機動戦士ガンダムF91の登場人物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/03 01:35 UTC 版)
サナリィ
モニカ・アノー
- Monica Arno[1]
声 - 荘司美代子
シーブックの母で、サナリィの技術者。44歳[1]。F91に搭載されているバイオ・コンピュータの開発責任者。かなりの仕事人間らしく、長らく家庭には戻っていない。クロスボーン軍の襲撃時にF91を目撃し、サナリィのスタッフでは唯一フロンティアIに残り、子供達を探す。スペース・アークでシーブックと再会するが、自分の開発したモビルスーツに我が子が乗っていることにショックを受け、スペース・アークのメカニックから機体整備の協力依頼を拒否してしまう。しかし、ナントやシーブックの説得もあって、状況を受け入れ、全面的に協力するようになる。ラストシーンでは、ラフレシアとの戦闘後、行方不明となったセシリー・フェアチャイルドを探すシーブックを、技術面と精神面の双方をもって導き、母親として助言を与えている。
他のキャラクターと同様に、以降の消息や生死については(特に設定されていないため)不明であり、息子シーブックが登場する『機動戦士クロスボーン・ガンダム』でも家族については触れられていない。
初期設定における名前は「モニーク・アノー」であった[3]。
地球連邦軍
グルス・エラス
- Gruce Erras[1]
声 - 竹村拓
スペース・アークのメカニック。20歳[1]。ガンダムF91の整備担当で、根っからの技術屋。一部落丁したマニュアルと不完全なビデオを傍らに、F91の整備をおこなう。小説版によると子持ちである。シーブックがリィズのために遠慮してほしいと申し出ていたにもかかわらず、F91のバイオコンピューターの情報欲しさに、開発責任者であるシーブックとリィズの母親が映っているVTRをリィズに見せてしまい、シーブックの顰蹙を買ってしまう。一方で、大人としての責任感も合わせ持っており、F91で戦果を挙げていったシーブックが、増長してセシリーのいるフロンティアIVに単身で乗り込んだ結果、再会した自分の父親であるレズリーを死なせてしまった事には激昂し、その無責任さを厳しく叱責している。
ケーン・ソン
- Cain Sohn[1]
声 - 佐藤浩之
地球連邦軍曹長。航法士として、民間人だらけのスペース・アーク艦長代理となったレアリーを冷静かつ的確に補佐する。
ケーニー・ハーハー
- Kaynee Hahhah[1]
スペース・アークに所属する正規のメカニック。高めの身長と刈り上げられた髪型が特徴。
ジェシカ・ングロ
- Jessica N'guro[1]
声 - 天野由梨
連邦軍の士官候補生で、階級は少尉。20歳[1]。正規クルー不在のスペース・アークでオペレーター代理を務める。真面目な性格で、色黒の外見以外はほとんど印象に残らない地味な人物でもある。
ストアスト
- Stoasto[6]
声 - 池田勝
地球連邦総督府の高官で、「長官」とよばれる。クロスボーン・バンガードの戦力を低く見ており、バカンス地からのニュース番組で、報道官からコメントを求められた際に「(連邦軍とクロスボーン・バンガードの戦争は)酔っ払い同士の喧嘩みたいなもの」と評している。
ディーナ・ジョク
スペース・アークに所属する正規のメカニック。浅黒い肌と口髭が特徴。
ナント・ルース
- Nanto Roos[1]
声 - 大友龍三郎
スペース・アークに所属するメカニックチーフの黒人男性。21歳[1]。軍艦にとっては邪魔者でしかない避難民の子供たちにも優しく接している。
バルド
- Bardo[2]
声 - 若本規夫
地球連邦軍中尉。28歳。フロンティア・サイドが襲われた際に、戦争博物館近くで連邦軍の部隊を指揮する。冷酷な性格で、シーブックら避難民と子供を人間の盾にしようとして協力させようとするが、シーブックらが抵抗したため、拳銃で銃撃を加える。
その後はレジスタンスに合流し、シーブックらの戦艦とは別の場所でモビルスーツに対し爆撃をおこなう。スペース・アークの出航後はコロニー防衛のためにレジスタンスや残存軍人で「バルド隊」を編成し別行動をとる。バグ襲撃後の消息は不明だが、報告によればバルド隊は全滅したとされる。
ビルギット・ピリヨ
- Berghito Pirieau[1]
声 - 塩屋翼
モビルスーツ・ヘビーガン24番機のパイロット候補生。22歳[1]。階級は少尉。小説版によれば、あと1ヶ月の訓練が終了すれば、正規のパイロットになれるという。
C・VによるフロンティアIV襲撃のあと、コズモによってフロンティアIの練習艦スペース・アークに集められ、クロスボーン・バンガードとの戦いに参加することになる。
戦果はモビルスーツ撃破1(アンナマリー機が発信した味方信号に戸惑い、動きを止めた敵機を撃ち落としたもの)。スコアこそ目立たないが、他の連邦軍機が次々と撃ち落とされていく中でほとんど損耗することはなく、更にはまだ候補生でありながらザビーネ率いる精鋭の「黒の戦隊」(ブラックバンガード)所属のデナン・ゲーとも旧式機のヘビーガンで対等に渡り合ってみせるなど、パイロットの素養は決して低くないことが描写されている。
スペース・アークに収容した多数の民間人を戦いの足手まといとしてかなり疎んじているが、実力を認めた相手に対しては、妬まずにその力を十全に発揮できるよう献身的に協力する。囮となって敵を足止めし、シーブックのF91が攻撃に回るという連携で数に勝るC・VのMS隊に対して互角以上に渡り合うほか、コズモの発言に「乗せられるなよ」と自分より若いシーブックを思いやる面も見せていたが、C・Vから投降したセシリーを「仕掛けたのは、そっちなんだよ!」と責めたてる一幕もあった。
シーブックの僚機として活躍するが、バグの群れと交戦した際に戦死している。劇場公開版では何の前振りもなくバグに撃墜されているが、完全版ではシーブックやセシリーと共に出撃するも、民間人を狙うバグを惹きつけようとして前に出すぎたために囲まれて撃墜されるという、最期の描写がより詳細に描かれている。
マヌー・ソーフ
- Manu Sofu[1]
スペース・アークに所属する正規のメカニック。階級は下士官[1]。細面で帽子を被っているのが特徴。
マヌエラ・パノパ
- Manuela Panopa[1]
声 - 鈴木みえ(現:一龍斎貞友)
連邦軍の士官候補生で、階級は少尉。20歳[1]。正規クルーの居ないスペース・アークで操舵手代理を務める。性格は陽気で肝も据わっている。F91の頭部を見た際に初めて「ガンダム」の名を口にしている。
レアリー・エドベリ
- Leahlee Edeberry[1]
声 - 横尾まり
地球連邦軍の中尉で、スペース・アークの艦長代行。22歳[1]。堕落しきっていた連邦軍の中ではかなりまともな軍人で、寄せ集め所帯のスペース・アークのクルーを指揮した。ちなみに、起動準備中だったF91の頭部を見て、「昔の有名なモビルスーツ」を連想し、「ガンダム」と命名した人物である。
ロナ家
本項では、ロナ家の人物およびその関係者を挙げる。ロナ家以外のクロスボーン・バンガード(C・V)関係者は別項を参照。
以下の人物はリンク先を参照。
家系図
アニメ版『F91』の舞台である宇宙世紀0123年までのロナ家の家系図を示す。のちの時代を描いた漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』シリーズでは、ベラはシーブックと結婚し、2児をもうけている。
アニメ版と小説版で設定が異なる部分は前者を優先。青地は男性、赤地は女性をあらわす。
シャンホルスト | (不明) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
エンゲイスト | マイッツァー | レイチェル | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
テス | ハウゼリー | ナディア | カロッゾ | (不明) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
シェリー | ディナハン | ベラ | ドレル | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
エンゲイスト・ロナ
小説版に登場。シャンホルストの長男で、マイッツァーの兄。作中でのフルネームはエンゲイスト・ブッホだが、年表ではロナ姓で表記されている[10]。地球連邦政府の中央議員であり、中央議会の閣僚を務めたこともある。政界を引退後、宇宙世紀0110年4月に[10]コロニー公社の副総裁として天下りする。その後、1期のみであるが総裁も務める。
漫画『機動戦士ガンダムF90 ファステストフォーミュラ (F90FF)』では、エゥーゴ派の議員としてサイド2コロニー「アメリア」を基盤に中央議会に進出したとされる。また「シャアの反乱」終結後に、サナリィの再編を図ったとされる。
小説版および漫画版『機動戦士ガンダム Twilight AXIS』では、宇宙世紀0096年頃に地球連邦政府の非公開議事でアクシズの「サイコ・フレーム回収計画」の実施が決定したことをシャンホルストに伝える。また、フロンティア・サイドの建設計画(当時はまだサイドの名称が決定したばかり)にも関与していることが示唆されている。
カロッゾ・ロナ
- Korozo Ronah[1]
声 - 前田昌明
クロスボーン・バンガードの総司令官。45歳[1]。ナディアの夫で、ドレルとベラの父。
「鉄仮面」と呼ばれ、常に頭部を覆う仮面(小説版ではプラチナ製とされる)を被っている。素顔を隠しているため、カロッゾ本人ではなく影武者であるとする説もある[11]。ベラとマイッツァーが再会した際の回想で以前の素顔が確認でき、頭髪は紫色であるが、小説版上巻扉絵のロナ家の集合写真のイラスト(美樹本晴彦による)では金髪になっている。
小説版によれば、結婚前の名前はカロッゾ・ビゲンゾンで、ヨーロッパ貴族の末裔もいる家系の生まれである。大学院では、バイオ・コンピューターに関する研究をおこなっている。ハウゼリーの結婚式が終了した夜、婚約者のナディアによってマイッツァーに引き合わされるが、おじけるところもなく、彼の目にも「合格」と映ったという。婿入り後はバイオ・コンピューターの開発に能力を示すとともに、マイッツァーやハウゼリーとの相性も良好である。0116年に[12]、自身の研究課題である人の意志の強化策「ラフレシア・プロジェクト」を立案。自身の存在すべてをC・V設立とその大義実践に投げ打つ決意とともに、同プロジェクトを自身の肉体を賭けてテストすることをマイッツァーに伝えるが、「今はやめておけ」と保留される。しかし、ブッホ・コロニーの住民構成を多国籍にして地球連邦での地位を高めるためや人質として[13]、社外の人間を移住させることを提案し、同年5月[10](翌0117年とも[12])にまずは若い芸術家とスポーツマンに教育の場を提供する。
ハウゼリーが暗殺された0118年から[10]1年をかけて自身を「強化」し、翌0119年からラフレシア・プロジェクトを発動[10]。鉄仮面を着け、マイッツァーからC・Vの指揮権を委譲される。隊員たちへの訓示の中で同隊の真の目的が「旧来のシステムに取り込まれた人々の粛清」、すなわちコスモ・バビロニア建設の尖兵としての虐殺であることを告白するも支持を得る。
漫画『機動戦士ガンダムF91プリクエル』でも、上記のマイッツァーからのC・Vの指揮権委譲や、隊員たちへの訓示の場面が描かれた。なお前者の場面では鉄仮面のデザインがやや異なる(初期稿に近い[14])。
漫画『F90FF』では、0115年頃にはマイッツァーからブッホ・コンツェルンの私兵集団「バーナムの森」の指揮を委ねられている。また、0116年1月22日にはサイド1コロニー「ロンデニオン」のホテルで、フォンセ・カガチから地球のブリエット家と木星との縁談について相談を受けている。また、同年にFF隊に配属されたバズ・ガレムソンの「本当の雇い主」であり、テロ組織である「黄金の鷲」と「レガシィ」の出資者でもあるとされる。
0123年3月16日[10]、C・Vの総司令官としてフロンティアIVの制圧を指揮(小説版より)。26日[10]、フロンティアIV政庁舎前で開催された式典で演説をおこない、その際に反対派によって頭部に狙撃を受けるも、仮面は銃弾を跳ね返す。
30日に[10]フロンティアIを、地球と月の人類を抹殺するために極秘裏に開発していた自動殺戮兵器「バグ」の実験場として解き放ち、コロニー内部の人間を無差別に虐殺する。小説版によれば、この作戦はマイッツァーを含むすべての人々が反対することが確実なため隠密裏に実施する必要があるが、テスト結果が間違いないものと確認できれば、C・Vのすべての人々の口を封じることができると確信している。また、今後マイッツァーには隠居してもらうつもりでもあるため、これについて認可を受けるつもりはなかったという。そして、これにより隠者として世の指弾のすべてを受けるために素顔を隠したとされる。
バグのコントロール艦であるガル・ブラウを撃沈された際には、それがベラによるものと確認されていないにもかかわらず「家庭の問題だからな」と言い、モビルアーマー・ラフレシアに搭乗して出撃。連邦軍の月からの援軍を全滅させる。ガンダムF91およびビギナ・ギナとの戦闘ではコックピットから平然と生身で宇宙空間に飛び出し、ビギナ・ギナのコックピットを素手でこじ開け、反抗するベラを放り出す(その際の会話で、強化人間になった理由を「人類の10分の9を抹殺しろと命令されればこうもなろう」と述べている)。その後F91の「質量をもった残像」に翻弄され、テンタクラー・ロッドでみずからのコックピットを攻撃して自滅する。
シェリー・ロナ
小説版に登場。ハウゼリーの長女で、父の死後はマイッツァーに引き取られる。コスモ・クルス教の教祖であるが、霊的な素養などは後天的に付与されたといわれる。
漫画『F91プリクエル』では、ハウゼリー暗殺から半年後の姿が描かれた。漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』ではシェリンドン・ロナの名で登場する。
シオ・フェアチャイルド
- Theo Fairchild[1]
声 - 大木民夫
ナディアの再婚相手で、ベラ(セシリー)の継父。40歳[1]。
小説版によれば、ナディアが結婚前に交際していた男性のひとりであり、小説家を目指しながら中年になっても独身のままサラリーマンを続けるが、ナディア(と娘のベラ)とサイド3に駆け落ちする。のちに3人でフロンティアIVに移住し、小説家をあきらめ「テスのパン屋[注 1]」を開業する。
ある日、店に訪れた弁護士からナディアとセシリーの本当の出自を知らされ、セシリーをロナ家に引き渡せば相応以上の謝礼が払われることを告げられる。その後、別の仲介人から発振器内蔵のイヤリングを渡され、セシリーに理由を告げずに事前に知らされていた「侵攻」(MSを投入する大規模なものとは聞かされていない)の日に着けるよう手渡す。
C・Vのフロンティア・サイド侵攻の際には、ノーマルスーツを着て配達用のエレカで戦闘状態となったコロニー内のセシリーを探しまわる。スペース・ボートの発着場で友人たちとフロンティアIVを脱出しようとするセシリーを発見し[注 2]引き留めるために銃を向け威嚇射撃をおこない、止めに入ろうとするシーブックに発砲して負傷させる。直後にMSに乗って来たドレルにセシリーを引き渡し、高笑いしながらその場を去る。
フロンティアIV制圧終了後、迎賓館でベラと会い、怒りをぶつけるベラに「せざるを得なかった」と詭弁を弄する。また、パン屋を畳んで迎賓館近くに引っ越している。小説版では、フロンティアII・III制圧後に迎賓館を訪れ、鉄仮面と面会。ベラおよびセシリーを育てた事実を口外しないことを条件に、中央官僚並の年金を死ぬまで支給される契約を結ぶ。
その後、ナディアにせがまれて[16]セシリーを取り戻すためにロナ家を訪ねる彼女に同行するが、ナディアとカロッゾが会った直後に突然倒れ、死亡[16]。原因は不明だが、ナディアは「人殺し」と叫んでいる。小説版では死亡せず、ロナ家を訪ねた事は不問に付され、その後の去就は不明。
『F90FF』では、著作である『霧の涯(はて)なる尖塔』を0116年にミズマ・ムエルテが紙媒体で読んでいる。ミズマによれば、「高い理想ばかり見すぎて愚かしさに取り込まれる男が主人公のファンタジー」とのこと。
シャンホルスト・ブッホ
小説版に登場。宇宙世紀0055年に[17]10代でスペース・ジャンク屋であるブッホ・ジャンク・インクを開業し、裕福な生活の基盤を手に入れる。また、0068年には[17]かつてヨーロッパ地区でそれなりの家柄であった名門ロナ家の姓を買い、シャンホルスト・ロナを名乗る。これは、将来達成すべき理想のためにこの程度の名前はもつべきであると考えてのことである。その理想とは、ジャンク屋ゆえに目にするデブリから感じる普通の人々の自然環境に対する「不感症」や、スペース・コロニーや地球の権益を独占するコロニー公社などに対する不信感から、他者に干渉されない独自の「城」を建設するというものである。これは0084年7月8日に[18]サイド1の外れに球形の自社コロニー(ブッホ・コロニー)を完成させることで達成し、10数年後にコロニーの邸宅で幸福な死を迎える。ただし、独自のコロニーを必要とする真の理由は「政治結社」の創設であったとされる。
小説版および漫画版『機動戦士ガンダム Twilight AXIS』では、往年は「財界の怪物」とささやかれたといわれ、宇宙世紀0096年頃には地球のロナ家本邸に滞在している。長男エンゲイストから地球連邦政府の「サイコ・フレーム回収計画」の実施が決定したことを伝えられ、自分や次男マイッツァーに何かあったときのために、エンゲイストに以後この件に関与しないよう言い含める。また、漫画版ではサナリィのブレンドレルと通信を交わすなど、出番が増えている。翌0097年に逝去[12]。
ディナハン・ロナ
小説版に登場。作中ではファースト・ネームのみ表記され、フルネームは『データガンダム』による[19]。ハウゼリーの長男で、シェリーの弟。父の死後はマイッツァーに引き取られる。C・Vのフロンティア・サイド制圧後、政庁のひとつを運営させる予定であったとされる。
漫画『F91プリクエル』では、ハウゼリー暗殺から半年後の姿が描かれた。
テス・ストウクラッツ
小説版に登場。ハウゼリーの妻となるが、結婚後はファースト・ネームで表記されるのみで、ロナ姓では表記されない(『データガンダム』では「テス・ロナ」と表記[19])。父はスーパーマーケットの巨大チェーン「ナイス・グロズリー」を経営。ロンデニオンでの結婚式は、テレビ中継されるほど盛大なものであった。夫の政治家としての理念に同調するが、夫が暗殺されると狂乱状態におちいり、その後死ぬまで認知症となる。
漫画『F91プリクエル』では、マイッツァーの自室の机に飾られた家族写真の中で、赤ん坊のディナハンを抱いている。
ドレル・ロナ
- Dorel Ronah[1]
声 - 草尾毅
カロッゾの長男。18歳[1]。アニメ版劇中では明確な描写はないものの、ナディアが母親ではなく、ベラとは異母兄妹である[1]。小説版では設定が異なり、ナディアとの子とされる(漫画『F91プリクエル』でも同様)。
ベルガ・ダラスに搭乗するC・VのMSパイロットであり、10代ながらMS15機からなる第3戦闘大隊(ドレル大隊)を率いる指揮官でもある。小説版によれば、親の七光りではなく実力でこの地位を手に入れており、マイッツァーやほかの隊員たちの間ではニュータイプではないかと噂されている。また、もうひとりのC・Vのエース・パイロットであるザビーネ・シャルにはライバル意識を持っている。
ナディアはベラを連れて家出したためドレルはロナ家に残り、フロンティアIV侵攻の際にベラを捜索、彼女が着けているイヤリングから発信するレーザー・パルスを頼りに発見し、迎賓館に連れて行く。
小説版では、その後3月19日からの[10]フロンティアIIおよびIIIの制圧の指揮を執るが、コロニーを無傷で手に入れるためにMSを使わず陸戦部隊によったため、制圧完了は4日後の22日[10]までかかっている。
その後、フロンティアI鉱区の坑道の制圧に当たり(小説版では鉱区中央部にある核融合発電場を占拠)、完了後命令違反を承知でコロニー内を偵察、連邦軍部隊と交戦となるが、初出撃したF91らに部下を3機撃墜され、2機が損傷したため撤退する。フロンティアI侵攻の際には、近傍宙域に展開する連邦軍艦隊と交戦。カロッゾの戦死後、ドレル大隊はザビーネ大隊の生き残りとともに31日に[10]コスモ・バビロニアに凱旋する。
以降の去就は不明で、のちの時代を描いた漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』にも登場しない。同作の作画を担当した長谷川裕一によれば、原作者である富野由悠季との打ち合わせの際にドレルがどうなったのかを尋ねたところ、「気にしなくていいよ。忘れて」との答えが返ってきたという[20]。
劇中には登場しないが、MSビギナ・ギナIIはドレルの専用機であったともいわれる。
漫画『F91プリクエル』では、幼少期にブッホ・コロニーの港口付近で、試作MSであるXM-00を操縦する。父カロッゾが「乗りたがったら乗せてやれ」と言ったため、管制所もしぶしぶ許可している。
ナーイ・フレッチェン
- Nye[6]
声 - 上村典子
帰還したベラの世話をする侍女長[21]。アニメ版のエンディング・クレジットなどではファースト・ネームのみであり、フルネームは小説版による。
小説版によれば、フロンティアIV侵攻の数年前まではマイッツァーの秘書を務めている。
ナディア・ロナ
- Nadia Ronah[1]
声 - 坪井章子
小説版では、高貴なる者への躾として、何人かの貴族の末裔を名乗る者たちが家庭教師に付けられ、父の目にもハイスクール時代までは優等生に見えたとされる。しかし、大学に入学してカロッゾと出会った頃から、父に反抗的な態度をとるようになる。文学部でヨーロッパ文学を専攻していることから父の貴族趣味を鬱陶しがり、ロナ家の姓も嫌う。
カロッゾと結婚するが、普通の家庭を望むナディアと、マイッツァーの思想に心酔してゆくカロッゾとの間に不協和音が生じ、子供をもうけた直後から夫婦仲は冷めていく。ある日(フロンティアIV侵攻の10年前[10])、ベラを連れてロンデニオンに行ったまま消息を絶ち、以前交際していたシオとサイド3に駆け落ちする。シオにはナディア・ブッホと名乗り、両親はシャアの反乱の際に死んだと嘘をついている。その後、フロンティアIVに移住しシオとベラ(セシリーと改名)の3人で暮らすが、突然出奔。自分が家に戻れば家族が不本意な生活をしなければならなくなる危険がある旨の手紙をダイレクトメールに偽装して送る。
C・VのフロンティアIV制圧後、フロンティアIでレジスタンスの一員となり、フロンティアIVから避難してきたシーブックたちと会い、セシリーの安否を尋ねる。その後、シオを連れてフロンティアIVの迎賓館に乗り込み、セシリーを連れ戻そうとするが、結局はセシリーにも拒絶され、さらにその場でシオが倒れて叫び声を上げたところを拘束・連行される。小説版では、その後不問に付される。いずれも以降の消息は不明。
ハウゼリー・ロナ
小説版に登場。マイッツァーの長男。交際していたパトリシアのすすめでロンデニオンのニックス・オックスフォード大学に入学し、政治学科を専攻する。卒業後は伯父であるエンゲイストの秘書となり、政界を目指す。これは、勘のいい彼が父の日常の言葉の端々から真の目的を洞察し、それを支援するためであったとされる。
宇宙世紀0110年4月の[10]伯父の政界引退後、選挙組織を受け継ぐ。同年にテスと結婚、議員になり巨大な票田を背景に地球連邦政府の中枢に食い込んでいく。0113年4月[10]、特殊鉱物資源の採掘を除き人類の地球降下を禁止し、不法居住者が一年以内にスペースコロニーへ移住しない場合は衛星軌道上からビーム攻撃を行う 「地球保全法」[22]や、過度の延命治療と見られる医療行為に厳罰を下す「過当医療禁止法」[23]を中央会議に上程するが、否決される。一方で、フロンティア・サイドの再建設計画において、「豊かで懐かしい街造り」を提唱し、大衆の支持を取り付ける。2度目の選挙に勝利したあと、0116年5月に[10]ふたたび「地球保全法案」を上程、不法滞在者のほとんどが地球連邦政府の閣僚と官僚であることを喧伝し中央議会の怒りを買うが、大衆からは支持され人気は上昇する。しかし0118年[10]、事務所のあるホテルの前で狙撃され暗殺される[注 3]。犯人は逮捕されるが、ハウゼリーを嫌っていたという供述以外に事件の背景は判然としないまま終わる。
漫画『F90FF』では、少年期に父マイッツァーとともにシャトルの窓から「シャアの反乱」におけるアクシズのオーロラの光を目撃している。父はアクシズが大気圏で燃えているのだと言うが、ハウゼリーにはもっと暖かなものに見えたという。以来アムロ・レイを「ヒーロー」と信奉し、ニュータイプの可能性を信じている。0115年のアメリアでは、サイド2市民に向けた演説の様子がテレビで放送される。「コロニー税」の一部が環境保全の名目で地球居住者のリゾート地開発に使われていると訴え、「ロナ家のプリンス」と大衆の支持を得ている。また、0116年1月22日にはロンデニオンのホテルで、入婿であるカロッゾに対し「家族」として親密な態度を見せている。同年初春、フロンティアIで入院中のディル・ライダーと面会し(ハウゼリー曰く「君の一番のファン」)、複数のジオン残党やテロ組織が手を組んで蜂起する可能性を伝えるが、同時に「オールズモビル」がフロンティアIを襲撃し、現実のものとなる。
漫画『F91プリクエル』では、暗殺から半年後に、マイッツァーの自室の机に飾られた家族写真や、壁に飾られた肖像写真として登場する。
パトリシア
小説版に登場。アナハイム・エレクトロニクス (AE) 社の副社長の娘で、学生時代からハウゼリーと交際するが、彼が議員秘書となった2年後に破局している。
マイッツァー・ロナ
- Meitza Ronah[1]
声 - 高杉哲平
ロナ家当主。ナディアの父で、ベラの祖父。69歳[1]。小説版や公式サイトではマイッツアーと表記される[1]。
小説版によれば、シャンホルストの次男である。本名はマイッツァー・ブッホであり、彼が10代の頃に父がロナ姓を買っている。この頃から父の船に同乗して事業の手法を学び、のちにブッホ・ジャンク・インクを継いでいる。父の野心の継承を決意し、利益の公共還元として宇宙世紀0081年3月14日に設立した[18]職業訓練学校の生徒の中から優秀な人材を集めた「特種学校」として「クロスボーン・バンガード(C・V)」を創立する。
0123年、カロッゾに指揮権を譲ったC・VによるフロンティアII - IVの制圧後、3月26日の[10]フロンティアIV政庁前でおこなわれた式典に列席。小説版では、カロッゾの演説のあとに演壇に立ち、コスモ・バビロニア建国を宣言している。以降は登場しない。
漫画『F90FF』では、0096年に亡父の跡を継いでロナ家総帥となっている。
小説版『Twilight AXIS』では、ブッホ・コンツェルンが本格的なMS開発に乗り出すためのベース機や技術を入手するために、ときには非合法な手段も必要であると考え、私兵集団「バーナム」を創設している。漫画版では、傭兵となっていた双子の強化人間フェルモ兄弟を宇宙で拘束し、バーナムに加入させる。
レイチェル
小説版に登場。ファースト・ネームのみ表記される。マイッツァーの妻であるが、のちに離婚している。理由は「およそ夫婦らしい交渉がなかった」とのことだが、ふたりの子供(ハウゼリーとナディア)をもうけている。離婚の際に慰謝料を請求しなかったため、マイッツァーから会社を通じて、独立して生活できるだけの援助を受けている。子供たちは家庭教師と執事たちによって教育されていることからマイッツァーの手元に置いているが、彼が多忙であるため、離婚前と同じだけ会えている。のちに美術館を経営し、別の男性と再婚しているが、男性はのちに死亡し、マイッツァーとの新婚当時と変わらない生活に戻る。
注釈
- ^ 小説版では、店名がナディアの兄嫁と同名なのは偶然で、シオが修行した店の商品のブランド名に因むとされる。実際には、シオの初期設定における名前が「テス・フェアチャイルド」であった[3]名残であり、「テス」が女性名であったために変更された[15]。
- ^ 小説版によれば、イヤリングから発振するレーザー・パルスを、障害物がない場合に受信できる機械を所持している。
- ^ 宇宙世紀年表ではハウゼリーの暗殺を0118年としているが、小説版ではナディア(およびベラ)のロナ家出奔直後になっている。アニメ本編(0123年)でカロッゾがベラとの再会を「10年ぶり」と言っていることから、計算上0113年となる。
- ^ 被っている帽子より。また、事故当時マイッツァーがバドムに避難ボートの捜索を命じている。
出典
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- ^ a b NT100%F91 1991, p. 63.
- ^ 『機動戦士ガンダムF91 クロスボーン・バンガード(上)』 p51
- ^ 『機動戦士ガンダムF91 クロスボーン・バンガード(上) 』p52。老人への過剰医療の禁止であり、安楽死の奨励であったとも記述されている。
- ^ a b c NT100%F91 1991, p. 71.
- ^ a b NT100%F91 1991, p. 51.
- ^ a b ファクトファイル64 2005, p. 13-14.
- ^ UC ENGAGE公式MS 2022.
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