機動戦士Ζガンダム・ホットスクランブル 特別バージョン

機動戦士Ζガンダム・ホットスクランブル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/02 15:08 UTC 版)

特別バージョン

本作の製品版の市販に合わせて、「ファイナルバージョン」と呼ばれる特別バージョンのROMカセットが1000名限定でプレゼント配布されるキャンペーンも行われた。このバージョンは遠藤が最初にバンダイにゲーム化を立案した際に独力で作り上げ、ロケテストに臨んだ際のものであり、製品版とは下記のような違いが見られる。

  • 黒いROMカセットの製品版とは異なり、ROMカセット全体が銀メッキされている。
  • ステージ構成はシューティング面のみで、要塞面が存在しない。
  • 照準マーカーが十字キーの操作に合わせてある程度動く。
  • BGMの曲調が製品版と異なる。
  • スタッフロールが存在しない。その代わり、オープニングデモのタイトル画面表示にスタッフの名前が表記されている。
  • 製品版では再接近した際にモビルスーツ形態に変形する可変モビルスーツが変形せず、モビルアーマー形態のままで交戦する。
  • 敵モビルスーツはティターンズ陣営のみで、アクシズ陣営のモビルスーツは登場しない。3D戦闘も対モビルスーツ戦のみで、対戦艦戦闘は存在せず、巨大モビルアーマーや宇宙戦艦も登場しない。
  • 画面構成が製品版とかなり異なる。中央下部がレーダー、左下部がΖガンダムの機体を模したダメージゲージ、右下部がスコア表、左右の横棒ゲージは右が燃料、左がビームライフルのエネルギーとなっている。
    • ステージ開始時に、最大9機の敵モビルスーツ部隊の内訳がレーダーに表示され、その後各モビルスーツの位置関係が矢印と略記号(F=前方、B=後方)で表される。プレイヤーは自機の前後および上下左右のどの位置に敵モビルスーツが存在するかをレーダー表示から把握した上で、交戦を行う。
    • 敵の思考ルーチンは製品版よりも複雑で、「強襲」「奇襲」「索敵」といった様々な行動パターンで攻撃を行ってくる。製品版には存在しない「回避」のルーチンも備わっており、製品版程簡単には敵モビルスーツに着弾できない場合もある。
    • 製品版のような明確なライフゲージは存在せず、被弾するとダメージゲージの手足や頭が変色することで自機の状態変化が表される。被弾が重なると左足、右足、左腕、頭部、右腕の順に破損が進行していく。左腕が破壊されるとシールド、頭部が破壊されるとバルカン砲とメインカメラが破損したと被害報告が表示され、最終的に右腕(ビームライフル)が破壊された段階で攻撃不能となり(たとえ敵と相討ちであっても)ゲームオーバーとなる。被害報告は単なる演出ではなく、頭部が破壊されると照準マーカーが消え、照準が付けにくくなるなどといった機能障害が生じる仕様となっている。
    • 敵編隊を全滅させた時点での残燃料がスコアに加算され、破損した部位もスコア加算に応じて修復されて次のステージへ進む。
    • 燃料は時間経過と共に減少していき、Aボタンでの加速を多用する程早く減少する。敵編隊全滅前に燃料が尽きた場合燃料切れとなりゲームオーバーとなる。ビームライフルのエネルギーは射撃と共に減少し、射撃を休止することで次第に回復する。連射などでエネルギーが尽きた場合には頭部のバルカン砲に攻撃法が切り替わるが、射程が短く、頭部が破壊されている時は使用不能となる。

バンダイが用意したロケテストチームの構成員は多くが小学生であり、遠藤が用意したファイナルバージョン構成は難易度が高すぎて不評だったという。また、Ζガンダムそのものの露出を増やしたいバンダイサイドの意向などもあり、製品版はファイナルバージョンを大幅に簡素化した上で、遠藤自身が関わらない形で要塞面が追加される事となった。要塞面は先行して発売された8ビットパソコン(PC-8800シリーズ)用『Ζガンダム』と類似している。

2016年4月のゲーム雑誌での報告では、スーパーポテト秋葉原店で128,000円で取り扱われているという[3]


  1. ^ 遠藤は『機動戦士Ζガンダム』を見て感銘を受け、ぜひ自分がゲーム化したいとバンダイに企画を持ち込んだ。1985年当時遠藤が在籍していたナムコでは同年にバンダイと共同で発売した『超機動要塞マクロス』(1985年)を失敗と判断し、版権もののゲームを出さないという方針だったため、ナムコで『機動戦士Ζガンダム』のゲームが作れないことが、独立のきっかけとなった。
  2. ^ Ζガンダムの左右の向きは単なる反転では無く、左右どちらでも右手にビームライフル、左手にシールドを持っている。
  3. ^ M.B.MOOK『懐かしファミコンパーフェクトガイド』61ページ
  4. ^ iモード向けに『機動戦士Zガンダム』のふたつのアプリが追加!” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA (2005年10月6日). 2019年1月12日閲覧。
  5. ^ a b c 2ちゃんねる レトロゲーム板 「Zガンダム ホットスクランブル」被害者の会 スレッドでの遠藤雅伸★名義での発言
  6. ^ a b c 「5月10日号特別付録 ファミコンロムカセット オールカタログ」『ファミリーコンピュータMagazine』第7巻第9号、徳間書店、1991年5月10日、210頁。 


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