森田実 森田実の概要

森田実

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/29 14:59 UTC 版)

もりた みのる
森田 実
生誕 (1932-10-23) 1932年10月23日
日本 静岡県伊東市
死没 (2023-02-07) 2023年2月7日(90歳没)
日本 東京都江東区[1]
国籍 日本
出身校 東京大学工学部鉱山学科
職業 政治評論家
肩書き 東日本国際大学客員教授
配偶者
公式サイト MORITA RESEARCH INSTITUTE CO.,LTD
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妻の甥は、医師民主党に在籍していた、元衆議院議員石森久嗣

来歴

静岡県伊東市出身。伊東西小、伊東北中、相洋高校を経て東京大学工学部鉱山学科卒業。尚、弟も東大出身であり、地元伊東市では名家として知られている。在学中に日本共産党に入党し、香山健一島成郎生田浩二青木昌彦らとともに全日本学生自治会総連合の指導部を形成した。破壊活動防止法反対闘争(1952年)、原水爆禁止運動(1955年)、砂川闘争1957年)、安保闘争1958年1960年)などに携わる[2]。その後、日本共産党幹部と殴り合いを演じて共産党を除名されると、1958年、多くの学生党員らと共に共産主義者同盟(ブント)を結成し、主に労対関係の任に当たっていた。その後、日本評論社出版部長、『経済セミナー』編集長を経て、1973年からフリーの政治評論家として活動。東日本国際大学客員教授も務める。また、2015年6月に中国山東省を訪問し、山東大学より名誉教授の称号を贈られた。

2004年7月、著作本『公共事業必要論』の記念講演会を二階俊博が代表を務める自由民主党の派閥「新しい波」が主催し、「新しい波」から寄付も得た。アメリカ発の新自由主義に基づく構造改革路線をとった自由民主党を激しく批判しており、雇用・社会保障を重視した修正資本主義路線に戻すべきだと提言していた[3]小沢一郎政経研究会で講演したこともある[4]

2023年2月7日、悪性リンパ腫のため、東京都江東区のがん研究会有明病院で死去[5][1][6]。90歳没。その翌日には、日本経済新聞客員コラムニストの田勢康弘が亡くなった。2日続けて平成を代表する政治ジャーナリストがこの世を去ったことになる[7][8]

思想・主張

政治評論家として独立以来、ほぼ一貫して保守本流である自由民主党宏池会(旧宮沢派)を支持し、その「経済重視、平和外交」路線を支持してきたが、2003年前後の自由民主党や宏池会の分裂後は、自民党内でもそれまで親しくなかった亀井系を支持するなど方針転換するに至った。かつて、宮澤政権誕生前夜には、金丸信の暗躍を正面から批判する数少ない評論家として活躍し、当時、三塚派成立の際に中堅として尽力した小泉純一郎についても、「正直で信頼できる人間」「竹下派支配に立ち向かう信念ある政治家」「21世紀初頭の総理候補」と激賞している。宮澤支持や小泉への好意と、金丸・小沢一郎による「闇支配」批判の明確な姿勢は、当時の森田の著作(徳間書店『政変』など)でも明白である。

後の森田のスタンスは、経済においては「修正資本主義」に近く、政治・外交においては「平和主義」「反米[要出典]・対アジア協調」「9条護憲」の立場を採る。日中友好論者でもあり、台湾独立靖国神社公式参拝には反対している。政治評論家としては珍しく、時々の政治家・政党に対する支持・不支持を明確にしており、亀井静香野中広務綿貫民輔鈴木宗男といった、小泉政権時の郵政民営化法案や対米依存政策における自民党内の「抵抗勢力」、河野洋平加藤紘一二階俊博、福田康夫ら親中派の支持者であった。とりわけ、綿貫に対しては「日本一品格のある政治家」と最大限の賛辞を送っている。鈴木に対しても、かつては激しい批判を加えていたが、後に評価に転じている。森田が最も評価していた政治家は、かつて小沢一郎の側近だった熊谷弘で、朝日ニュースターに出演した際には「真の改革者は熊谷さんだけ」と絶賛していた。

21世紀以降の政局では、郵政民営化に代表される新自由主義路線に反対の立場で、小泉政権への批判を展開していた。公共事業は地方活性化のためには必要不可欠な「善」であると主張する。談合についても、日本の古き良き慣習であると肯定し、談合批判は米国の陰謀であると主張する。その小泉の後継者である安倍晋三に対する批判はさらにヒートアップしたもので、北朝鮮2006年7月5日、ミサイル発射実験を実施した際には、日朝平壌宣言に明確に違反した北朝鮮への批判は全くと言っていいほど行わず、ひたすら安倍(当時は官房長官)への批判に終始した。また、北朝鮮による日本人拉致問題についても、「対米従属助長のための陰謀」と断言している。そのような小泉・安倍政権批判への反作用として、以前は厳しく批判していた小沢一郎民主党代表に就任すると、「『小沢一郎』入門」なる書物を書き下ろして大絶賛した。しかし、その小沢に対してもISAF参加構想を発表した折には平和主義からの逸脱であるとして厳しく糾弾し、大連立騒動やそれを巡ると民主党代表辞任のゴタゴタを起こすに及んで激しく批判(ただし背景としてウェブサイト上でアメリカ共和党のエージェントによる小沢への圧力を指摘)。[要出典] 以後は小沢民主党批判に転じ、2008年12月に出版された「政治大恐慌 悪夢の政権交代」(ビジネス社)では、小沢民主党のままの政権交代や大連立に警鐘を鳴らして明確に「脱小沢」を説いている。

民主党による政権交代が実現した後も小沢に対する批判は続けており、2010年には陸山会政治資金規正法違反事件を巡る疑惑に対して詳細な説明をしようとしない小沢に「やり方があまりにも姑息で、汚らしい」「独裁者が怖くて民主党議員も小沢を批判できない」などと断じている[9]。その一方で、2011年9月26日に出された石川知裕ら3人への有罪判決については痛烈に批判している。

晩年は公明党や同党の候補者を応援し同党の機関紙『公明新聞』や『』、『第三文明』など同党の支持母体である創価学会系の雑誌にも多数寄稿した[10]


  1. ^ a b “政治評論家の森田実さんが死去 テレビ番組で「ご意見番」”. 共同通信社. (2023年2月8日). https://nordot.app/996012113301602304 2023年2月8日閲覧。 
  2. ^ 森田実の言わねばならぬ 平和・自立・調和の日本をつくるために【784】”. 森田実の時代を斬る (2014年7月15日). 2015年9月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月3日閲覧。
  3. ^ 2009年9月 森田実、雨宮処凛著『国家の貧困』日本文芸社
  4. ^ 総務省 政治資金収支報告書及び政党交付金使途等報告書
  5. ^ 政治評論家・森田実さん死去 90歳 日本の米国追随姿勢を批判 - 毎日新聞 2023年2月8日
  6. ^ 森田実氏死去、90歳 平和主義貫いた政治評論家」『時事ドットコムニュース』、2023年2月8日。2023年2月8日閲覧。
  7. ^ ◎政治ジャーナリストの田勢康弘氏死去”. 時事通信ニュース. 2024年2月29日閲覧。
  8. ^ 田勢康弘氏が死去 78歳、元日本経済新聞社コラムニスト”. 日本経済新聞 (2023年2月8日). 2024年2月29日閲覧。
  9. ^ “小沢、不起訴再決定で態度一変 政倫審「出ると言ってない」”. ZAKZAK. (2010年5月25日). オリジナルの2010年5月25日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20100525233647/http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100525/plt1005251227001-n2.htm 2021年8月3日閲覧。 
  10. ^ 森田実”. ja-jp.facebook.com. 2023年2月8日閲覧。
  11. ^ ただし自民党としては公示前に比べ38議席を失ったため、同党にとっては厳しい結果であったと言える。
  12. ^ 電通を表だって批判した言論人は森田が最初である、と自サイトにおける友人の投稿の形で表明しているが、言論人では1981年田原総一朗が著作『電通』で、1981年に大下英治が著作『小説電通』で既に電通の社内事情や政治との癒着を明らかにしている。
  13. ^ 森田実のTV出演情報”. ORICON NEWS. 2023年2月8日閲覧。
  14. ^ 【東京ホンマもん教室】新型コロナと自然災害~今必要な強靭化とは~”. 東京MX. 2023年3月3日閲覧。
  15. ^ 【東京ホンマもん教室】藤井聡が徹底解説!大阪都構想とは何だったのか?~2回連続の否決が意味するものとは?~”. 東京MX. 2023年3月3日閲覧。
  16. ^ 【東京ホンマもん教室】 本当に"積極財政"できるのか?岸田内閣ホンマもんの話”. 東京MX. 2023年3月3日閲覧。
  17. ^ 【東京ホンマもん教室】10万円給付じゃ全然足りない?日本人が知らない!"欧米給付の手厚い実態"”. 東京MX. 2023年3月3日閲覧。
  18. ^ 【東京ホンマもん教室】日本は今「戦後最大」の危機である~岸田内閣で大丈夫なのか?~”. 東京MX. 2023年3月3日閲覧。


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