核磁気共鳴画像法
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心臓MRI検査
心臓MRI検査ではシネMRI(cine MRI)による左室収縮能の評価、遅延造影MRIによる心筋梗塞や心筋線維化の評価、冠動脈MRAなどが知られている。
- cine MRI
- 心電図同期を利用して心臓の動きを1心拍16〜40コマの動画として撮影する方法である。SSFP法(ステディー・ステート・フリープリセッション法)では造影剤を用いないでも高い血液信号が得られる。2010年現在、最も正確な心機能測定法とされている。心基部から心尖部まで連続した短軸シネMRIを撮影しシンプソン法を用いて左室容積、左室駆出率や左室重量を計測する。
- 遅延増強効果
- Gd造影剤を静注して約10分後撮影する方法を遅延造影MRIという。正常心筋が低信号を示すが梗塞心筋や線維化が認められた場合は高信号を示す。糖尿病患者の無症候性心筋梗塞など心臓超音波検査でも検出ができない病変の検出も可能である。
- 冠動脈MRA(whole heart coronary MRA)
- 16列マルチスライスCTとほぼ同等の検出率を示すと言われ撮影時間が10分以上と長い。64列マルチスライスCTと比較すると診断感度がやや劣るとされているが、NPV(negative predictive value=病気がなく正常である)が高いために病気がないことを証明するには非常に有効である。CTは簡便で早く検査ができるが、冠動脈MRAは放射線被ばくや造影剤が不要なため、繰り返し検査が必要となる先天性疾患(川崎病など)のフォローアップに非常に有用であり、一般成人に対しては「突然死を防ぐスクリーニング」として、その有用性が期待されている。
MR neurography
3テスラのMRIを用いたMR neurography(MRN)が様々な末梢神経障害に応用されている[40][41]。MRNの神経描出の原理は神経周膜内部の水がT2WIおよびSTIRで高信号を示すことによる。STIR冠状断を用いて腕神経叢を評価し、MIP法で再構成する。読影には健側と患側を比較する。下記の末梢神経障害での所見が知られている。
疾患 | 臨床像 | MRI/MRN所見 |
---|---|---|
神経痛性筋萎縮症 | 一側の上肢の急性の神経痛とこれに続く筋萎縮 | 腕神経叢の浮腫性変化、偽陰性の報告あり |
頚椎症性神経障害 | 障害された神経根に合致した浮腫性変化、腕神経叢はびまん性の異常を示すこともある | |
神経原性胸郭出口症候群 | 神経痛性筋の萎縮症様の神経痛が認められない。母指球萎縮、小指しびれ感 | 神経の上方に凸の偏位、斜角筋異常、索状構造の描出 |
術後腕神経叢障害 | 手術体位(上肢過外転)、可逆性の障害が多い | 浮腫性変化 |
放射線照射後 | 悪性腫瘍に類似するが、疼痛は軽度のことが多い、ミオキミアあり | びまん性の腫脹 |
CIDP | 神経痛性筋の萎縮症様の神経痛が認められない。両側性で、亜急性から慢性に進行する。 | 神経の高度かつびまん性の肥厚 |
MRIの導入に必要な設備要件
- MRI検査において、外来の電磁波は微弱なものでも画像の歪みやノイズの原因となるため、MRI検査室の壁は電波シールド施工が要求される。またMRI本体からは高周波パルスが発生し、それが検査室外の電子部品に影響を与える可能性があるため、これを防ぐ目的でもある。これに加え、外乱磁気ノイズを防止するため、磁気シールド施工も要求される。MRI検査室の周辺に自動車・鉄道・エレベーターなど移動する大きな磁性体や、高圧送電線・電気室などの磁場変動の発生源がある場合、それらが発生する磁気ノイズによって MRI装置の磁場均一性が妨げられ画像に影響を与えるため、その磁場の侵入を抑える目的がある。
- MRI装置本体の重量は数トンから数十トンあるため、検査室の床が耐えられるよう補強する必要がある。それに伴い、クレーンの作業スペースや搬入経路の床耐荷重も考慮する必要がある。ちなみに鉄骨材の場合は、検査室の磁場均一調整ができなくなるため、非磁性体であるSUS材での施工が推奨されている。また電波シールド層より内側は原則、非磁性体(アルミやステンレスなど)での施工となる。ヘリウム排気管も同様に非磁性体かつマイナス200度に耐えられるステンレス材が用いられる場合が多い。
- MRI稼働中は騒音が発生するため、天井、壁、空調ダクトなどへの防音対策が要求される。吸音材、浮床構造、間仕切り壁、グラスウール充填といった様々な施工方法がある。
- クエンチ現象によりMRI本体から発生したヘリウムガスを外部に排出するヘリウム排気管には、いくつかの注意点と設置場所の検討が必要である。液体ヘリウムが気化すると容積比が700倍以上になり、マイナス200度の超低温高圧力ガスとなってヘリウム排気管を通過する。これを人が直接浴びると凍傷を起こしたり、また外壁が破損するなど大変危険である。そのため、ヘリウムガス排気口からは3メートル以上離してフェンスを設置し、立入禁止にする必要がある。
- MRI検査室の照明は、ハロゲンランプ・LED・クリプトン球が使用可能。ただしLEDについては、ノイズ低減対策が施された製品のみ使用可能。
- 磁性体の吸着事故防止のため、磁性体検知器の設置が推奨されている。患者がうっかりMRI検査室に磁性体を持ち込んでしまい、吸着事故が度々起きている。特に大型の磁性体は、MRI本体に極めて強力に引き寄せられ、人体に当たると大事故にも繋がるため大変危険である。これらの事故予防策として、検査室のシールド扉の前にゲート型やポール型の磁性体検知器を設置することで、入室前に磁性体を検知する事ができる[42]。
注釈
出典
- ^ “とっさの日本語便利帳の解説”. コトバンク. 2018年2月12日閲覧。
- ^ MRI開発史と科学者たち
- ^ 我が国初のNMR分光器
- ^ 我が国最古の高分解能NMRの磁石(MRIのルーツ)
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- ^ ПРИВЕТ НОБЕЛЮ ОТ ИВАНОВА
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- ^ アメリカ合衆国特許第 3,932,805号
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- ^ 筑波大学発,関節リウマチ診断用コンパクトMRIが薬事認証を取得
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- ^ a b c d 宮地利明、MRIの安全性(<シリーズ>MR) 日本放射線技術学会雑誌 2003年 59巻 12号 p.1508-1516, doi:10.6009/jjrt.KJ00000921680
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- ^ 脊椎脊髄ジャーナル 29巻9号
- ^ 脊椎脊髄ジャーナル 31巻5号
- ^ 一般社団法人日本画像医療システム工業会規格 「MRIのQ&A」 JESRA TR-0041-2014
- ^ Wine Tech
- ^ 食品品質管理用コンパクトMRI装置の開発
- ^ 産業用MRIの開発
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