松山市 経済

松山市

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/09 23:24 UTC 版)

経済

みかんに代表される農業や、日本最古の道後温泉松山城などを中心とした観光業、化学繊維を中心とした製造業などが基幹産業である。空港や港湾付近の沿岸部には工業地帯が広がり、帝人グループ最大の生産拠点を擁するなど、工業生産額は四国地方で上位となっている。

情報・通信については、四国を統括している主要な機関として総務省四国総合通信局、NTT西日本愛媛支店、日本郵政四国支社、NHK松山放送局(四国統括局)などがあり、その関連で情報通信の基盤整備も進んでいる。

四国最大の人口を持つ都市として、サービス業など第三次産業も発達しており、周辺の市町をも圏域とする利便性の高い商業集積が見られる。また、2010年までは、四国でも数少ない人口増加中の都市であったほか、瀬戸内海を挟んで広島都市圏との交流も盛んである。通年の全交通機関の生活圏間流動(2005年)で松山を出発地とする目的地別順位では1位が高知中央(91万9千人)、2位が香川東部(82万1千人)、3位が香川西部(55万9千人)で広島は次いで第4位(46万7千人)となっており、四国外との交流では広島が最も繋がりの深い都市であることが見て取れる[11]

産業人口

データは2015年(平成27年国勢調査結果)[12]

  • 生産年齢人口 303,024人
  • 老齢人口 128,658人
  • 就業人口 234,503人
    • 第一次産業 6,957人
    • 第二次産業 40,668人
    • 第三次産業 169,242人
    • 分類不能の産業 17,636人

卸小売業

銀天街商店街の入口
いよてつ高島屋(市駅の駅ビルともなっている)
松山城の南が商業地となっており、一番町の松山三越と市駅前の伊予鉄高島屋を繋ぐ形で、大街道、銀天街の商店街がL字型に連なっており、大掛かりなアーケード設備も有し、松山市や愛媛県を代表する商店街となっている。銀天街の西に隣接する伊予鉄松山市駅前には、四国で唯一の地下街がある。
大街道商店街を挟み、北は一番町から南は千舟町通にかけての一帯には非常に多くの飲食店が軒を連ねている。
柳井町の南端から千舟町4・5丁目の狭い範囲にかけて、アニメショップ、ゲームショップ、同人誌専門店およびメイド喫茶などの店舗が集積しており、いわゆる「おたく街」を形成している。
道後温泉周辺にも商店・飲食店や風俗店などが多数立地しており、繁華街を形成している。
地元資本の明屋書店が市内各所に展開している。都心部には複数の書店が出店しており、中でも紀伊国屋書店は1976年出店とかなり古い部類に入る。また、都心部・郊外を問わず中小の古本屋が多数存在している。
いずれも県内唯一の店舗である。
家電量販店のうちエディオン松山本店・ケーズデンキ松山藤原店(JT跡地)は市内中心部に、ヤマダデンキテックランド松山本店・YAMADA web.com松山問屋町店(33号線沿いと北部環状線)は郊外に出店している。
フジグラン松山
地元資本のスーパーであるフジが市内に多数の店舗を有し、それを補完するように県内外資本の中小スーパーが展開している。
松山市内では、コンビニ業界大手各社のうち、ミニストップ(愛媛県内では東予地域にのみ出店をしている)については出店計画がない。
コンビニATMは、ローソンにローソンATMが、ファミリーマートおよびポプラにイーネットATMが、またセブン銀行ATMはセブンイレブン各店松山空港および野村證券松山支店に設置されている。

その他 大衆娯楽

営業中
閉館
  • 松山シネマサンシャイン(旧・国際ビル)
  • 松山シネリエンテ
  • シネマサンシャイン大街道

情報通信業

NTT西日本 愛媛支店(松山3棟ビル)

総務省地方支分部局である四国総合通信局が市内に設置されていることもあり、日本郵便の四国支社やNTT西日本の四国事業本部(携帯電話事業のNTTドコモ、インターネットサービス事業のNTTコミュニケーションズ高松市に拠点を置いている)が設置されている。日本郵便やNTT西日本の拠点では四国4県の統括的な業務を行っている。NTTデータ四国NTT西日本松山病院といったNTTの関連企業・施設・拠点も設置されている。

市では21世紀型産業である情報通信時代の到来を見越し、2002年から2004年にかけて、他市に先駆け松山市内に光ファイバー網を敷設した[13]。この基盤を活かして情報通信関連企業の積極的な誘致に努め、5年間でコールセンター8件、データ入力センター1件、事務センター1件の誘致に成功し、3,000人を超える新規雇用を創出している[13]。コールセンターではブリッジインターナショナルベネフィット・ワンもしもしホットラインなどが立地している。また2006年には富士火災海上保険(現在のAIG損害保険)中央営業事務センターが進出した他、ソフトウェア開発会社のサイボウズが開発・サポート拠点として松山オフィスを設けている。

2004年には総務省の「ITビジネスモデル地区」の指定を受けている。

郵便局(集配局)

運輸業

松山観光港高速艇桟橋
伊予鉄道本社(松山市駅前)

松山港からは中国(特に広島へはスーパージェットなどが頻繁に運行されている)・九州地方北九州への航路が開かれ、松山空港からは東京大阪名古屋など日本国内のほか中華人民共和国大韓民国台湾への定期便が就航している。また高速道路JR四国予讃線などもあり県外・県内の移動の拠点となっている。このほか市内には、伊予鉄道の路面電車や郊外電車、伊予鉄バスの路線バスが多数運行されている。

貨物輸送ではJR貨物の貨物駅や運送会社の支社・営業所などが立地している。

金融機関

伊予銀行愛媛銀行などの地元金融機関の本店・支店のほか、都市銀行や近隣県に本店を置く地方銀行の支店・ATMが設けられている。また、四国の直営店の統括機能を有するゆうちょ銀行松山支店も立地している。

多くの保険会社の支店・営業所がある。また近年は大手保険会社の集中事務センターの誘致に成功[14]している。

銀行

四国に本店を置く地方銀行・第二地方銀行すべてが市内に支店を持っている[* 5]。また、都市銀行は1995年のあさひ銀行(現・りそな銀行)撤退して以降みずほ銀行(旧・第一勧業銀行)のみ設けられていたが2009年(平成21年)1月、三井住友銀行の支店が開設された。

信用金庫・信用組合など

証券会社

本店・本社を置く証券会社
支店を置く証券会社

支店を置く保険会社

生活協同組合

観光業

道後温泉駅

3000年の歴史を有するといわれ、文献上、日本最古である道後温泉や日本で最後の完全な城郭建築とされる松山城ミシュランの観光版(ギード・ベール)日本編ではそれぞれ二つ星に選定。)、四国八十八箇所の1つである石手寺(ミシュラン一つ星)など観光施設が豊富であり、多くの観光客を集めている。また、しまなみ海道開通時には、しまなみブームと呼ばれるほど観光客が増加した。

伊予鉄道夏目漱石の小説・坊ちゃんにも登場した蒸気機関車を復元した「坊っちゃん列車」を運行している。また、JR四国松山駅を発着する観光列車・「伊予灘ものがたり」を2014年より運行している。

観光に関する問い合わせに対応するため、財団法人松山観光コンベンション協会が年中無休の電話窓口を設けている。

県や市のスポーツ施設も多数あり、坊っちゃんスタジアムプロ野球公式戦などが年に数回行われるほか、堀之内や愛媛県総合運動公園a-nationなどの野外ライブが実施されたり、愛媛県武道館ディズニー・オン・アイスが公演したりする。

2010年の推定観光客数は588万4千人(対前年比12.0%増)、道後温泉地区宿泊客数は80万1千人(同4.2%増。ただし市全域では3.2%増)[15]となっている。

不動産業

松山市の人口が増加していることもありマンション需要が伸びているため、不動産会社が次々マンションを建設している。またオフィスビルの需要も、コールセンターなどの進出で伸びており、ビル建設も増加している。

サービス業

予備校・学習塾

近年、市内の高校が定員超過となっているほか、私立の中高一貫校では受験競争が激化する兆候がある[要出典]ことなどから、日能研東進衛星予備校ITTO個別指導学院明光義塾などの全国規模の塾や予備校が進出し、市内の小規模塾や大手塾(寺小屋グループなど)と競合している。

製造業

伊予絣
赤秀等級のニューピオーネ

空港や港近郊の沿岸部には工業地帯が広がっている。2010年の工業統計調査(従業員4人以上の事業所が対象)では製造業等出荷額は4,237億5,149万円、製造業の従業員数14,691人、事業者数は420事業所となっている[16]

製造業等出荷額(2010年)の割合は化学が32.6%、生産用機械が22.0%、食料品12.3%、はん用機械が11.8%を占めている[16]。化学では帝人大阪ソーダ東レ・ファインケミカルコスモ松山石油などが事業所を置いており化学製品・化学繊維などの生産が行われている。機械ではトラクターなどの農業用機械製造の井関農機、ボイラー・水処理関連機器などの機械製造の三浦工業が本社・生産拠点を設置している。

農業・伝統産業

ウンシュウミカンの生産が盛んで、イヨカンの代表的な産地の一つでもあり、「紅まどんな」など付加価値の高い柑橘類の生産にも取り組んでいる。また、伊台や五明など高原地域ではニューピオーネなどのブドウ栽培も行われている。特産品・伝統工芸として、姫だるま、竹細工(日本三大産地)、伊予絣(同)、油揚げ(松山揚げ)などが有名である。

まつやま農林水産物ブランド

  • 紅まどんな(柑橘類)
  • せとか(柑橘類)
  • ぼっちゃん島あわび
  • カラマンダリン(柑橘類)
  • 瀬戸内の銀鱗煮干
  • 松山長なす
  • 松山一寸そらまめ
  • 伊台・五明ニューピオーネ(高原ぶどう)

本社を置く主要企業

上場企業

非上場企業

製造業
建設業・不動産業
情報通信業
卸売業
小売業・飲食業
金融業
運輸業
放送・新聞・出版業
サービス業

事業所を置く主要企業

本社機能

製造・開発拠点

コールセンター・事務センター


注釈

  1. ^ 市制施行90周年を記念し、1979年(昭和54年)2月21日に制定された。作詞:大野志津根、作曲:芥川也寸志
  2. ^ もっとも、四国には政令指定都市が存在しない。
  3. ^ 俳句甲子園俳句王国なども開催されている。
  4. ^ のち、運用上は70万人程度となる。なお、制度上は50万人以上とされている。
  5. ^ 松山市に限らず、四国の県庁所在地には必ずある。
  6. ^ 道後温泉街の一角には、「としだうどん」と呼ばれる有名店があったが、後継者がなく廃業し、跡地は現在は小公園になっている。
  7. ^ ジェイエア日本エアコミューターの機材・乗務員で運航する便あり。
  8. ^ ANAウイングスの機材・乗務員で運航する便あり。
  9. ^ 日本航空(JAL)とのコードシェア(JAL国際線との乗継時のみ)。
  10. ^ 日本航空(JL)との共同運航便。
  11. ^ 就航時、週2便(月・金)。 2012年4月18日から週3便(月・水・金)、2012年10月29日以降 4便(月・水・金・土)に増便されたが、2013年10月27日から週2便(月・金)に減便。エアバスA319型機。
  12. ^ 2017年11月2日から週3便(火・木・日)で就航。ボーイング737-800型機。 2018年7月・8月および冬ダイヤ期間中は週5便に(月・火・木・金・日)に増便された。2019年冬ダイヤは増便検討も日韓関係悪化に伴い中止。
  13. ^ 全日本航空(NH)・ニュージーランド航空(NZ)との共同運航便。
  14. ^ 2019年7月18日より週2便(木・日)で就航。エアバスA321型機。 2020年4月10日より週4便(水・木・土・日)に増便。
  15. ^ テレビ愛媛は真砂町、あいテレビは竹原町、愛媛朝日テレビは和泉北に立地。かつては、南海放送も本社が道後樋又地区にあったので、2006年7月までは、市街地にあるのはNHKのみだった。
  16. ^ 2011年は、東北地方太平洋沖地震の被害の大きさを考慮して中止となった。

出典

  1. ^ 平年値ダウンロード”. 気象庁. 2023年10月閲覧。
  2. ^ 観測史上1〜10位の値(年間を通じての値)”. 気象庁. 2023年10月閲覧。
  3. ^ 松山で全国産業博覧会開く『大阪朝日新聞』昭和2年4月5日 香川愛媛版(『昭和ニュース事典第1巻 昭和元年-昭和3年』本編p24-25 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)
  4. ^ 松江市に都市計画法、三年一月から適用『大阪毎日新聞』昭和2年10月7日山陰版(『昭和ニュース事典第1巻 昭和元年-昭和3年』本編p231 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)
  5. ^ 別府航路の客船、貨物船と衝突して沈没(昭和18年7月17日 毎日新聞(大阪 夕刊))『昭和ニュース辞典第8巻 昭和17年/昭和20年』p42 毎日コミュニケーションズ刊 1994年
  6. ^ 旅客船「浦戸丸」沈没78年 続く供養 惨事思いはせ”. 愛媛新聞 (2021年10月3日). 2022年1月15日閲覧。
  7. ^ ことばのちから四国松山
  8. ^ ヴィキューブ お仕事の日々
  9. ^ 歴代三役 - 松山市
  10. ^ “「慰安婦像設置」の韓国に中学生派遣中止…「市民の理解が得られないと判断」 松山市”. 産経新聞. (2017年4月20日). http://www.sankei.com/west/news/170420/wst1704200045-n1.html?&pushcrew_powered 2017年4月20日閲覧。 
  11. ^ 国土交通省・第4回全国幹線旅客純流動データ
  12. ^ 平成27年国勢調査 松山市ホームページ 2017年10月12日閲覧
  13. ^ a b 経済産業省地域経済産業グループ(2008年)『企業立地に頑張る市町村事例集』103頁
  14. ^ 松山市ホームページ-富士火災海上保険(株)中央営業事務センターの立地協定書調印式について
  15. ^ 『広報まつやま』2011年6月1日号
  16. ^ a b 経済産業省 (2010)『平成22年工業統計調査結果』
  17. ^ 愛媛県松山市の小劇場・シアターねこのホームページ
  18. ^ 「エヒメアヤメ自生南限地帯(じせいなんげんちたい)」について
  19. ^ 松山外環状道路インター線(井門IC〜古川IC)が3月16日(日曜日)に開通します。〜松山市内の渋滞解消に向けた、第一歩が始まります〜 国土交通省 四国地方整備局 松山河川国道事務所 2014年1月23日付
  20. ^ “松山市景観計画冊子 第3章 行為の制限に関する事項 ”. 松山市ホームページ. http://www.city.matsuyama.ehime.jp/shisei/machizukuri/toshikeikaku/keikan/keikaku/keikankeikaku_sassi.files/053kouiseigena.pdf 2013年11月24日閲覧。 
  21. ^ “俳句が縁 EU大統領が松山訪問”. 愛媛新聞. (2013年11月19日). http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131118-08979401-ehime-l38&pos=1 2013年11月19日閲覧。 






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