東京電力ホールディングス 巨額の損害賠償と公的資金

東京電力ホールディングス

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巨額の損害賠償と公的資金

2011年11月以降、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(実質は日本国政府)より、毎月数百億から数千億円規模の資金援助を受けており、2021年度末現在で累計10兆2282億円に達している[13]。当社は機構からの交付資金を特別利益として会計処理しており、交付された資金と同額を特別損失として賠償金に充てている。この資金援助には明確な法的返済義務が課せられておらず、当社は交付された資金を負債として計上していない[14][15]。機構からの資金援助を収益と認識する会計方針については、「(資金交付金の)申請にあたっては、資金援助の内容や額について、原子力損害賠償支援機構と調整していることや、機構法の趣旨などを勘案すれば、申請を行った時点で、原子力損害賠償支援機構資金交付金を受け取る起因が発生しており、実質的に収益が実現している」と説明している[16]

これにより、当社は損益計算書上の赤字決算貸借対照表上の債務超過を回避している。交付された資金は、各原子力事業者が機構に納付する一般負担金、東電が機構に納付することになる特別負担金、機構が保有する東電株式の売却益などによって国庫に回収されることになっているが、2021年の会計検査院の試算によると、資金の国への回収が終わるのは2044年(令和26年)~2064年(令和46年)で、仮に全額を回収出来たとしても、国は1519億円~2388億円の利払いを負担することになる[17][18][19]

一部債権者に対して原子力発電所事故による補償を拒否するなどの行動をしているとも報じられている[20]

国は、上述の資金援助とは別に、福島第一原子力発電所1-4号機の廃炉・汚染水対策に関する研究開発等、研究施設の整備等及び実証事業に対して、毎年数百億円規模の財政措置を講じている。


注釈

  1. ^ 「電気事業法等の一部を改正する等の法律(平成27年法律第47号)」による。
  2. ^ 同社の原発がある福島県新潟県青森県(未稼動)は、いずれも東北電力ネットワークの送配電地域である。柏崎刈羽原子力発電所の1号機は東北電力との共同開発。
  3. ^ ただし、事業地域である茨城県には日本原子力発電(原電)が保有する東海第二発電所があり、東京電力も原電から電力を購入している。また沖縄電力は原子力発電所を保有していない。
  4. ^ シンジケートローン方式による民間借入および機構債の発行。
  5. ^ レベル7認定は同年4月12日[32]
  6. ^ 新東京火力発電所跡地には、地下式では世界初の50万ボルト変電所である新豊洲変電所が建設された。
  7. ^ 2012年1月25日から『TEPORE(テポーレ)』の運営を実施。
  8. ^ 他社営業エリアの長野県新潟県福島県青森県
  9. ^ 普及開発関係費とよばれる宣伝広告費、各地にある電力館等のPR施設の運営費や、電力事業普及キャンペーン費用など。
  10. ^ マンスリーゲストの番組のため、震災・事故以前から2011年3月末で終了は告知されていたが、後番組「神津カンナのあんな話こんな話」ではCM枠に計画停電に関する問い合わせ先告知やACジャパンのスポットが流れているので予約されている。
  11. ^ 静岡第一テレビでの提供は1979年7月以降、平日・土曜の夕方枠のみ。
  12. ^ 「石破政調会長-マナ娘がよりによって東電に入社」(週刊文春、2011年4月28日号) 記事の中で石破自身がインタビューに答え、娘の東電入社を認めている。

出典

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