杉良太郎 来歴・人物

杉良太郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/22 12:08 UTC 版)

来歴・人物

100万枚を超えるヒットとなった[5]すきま風」を持つ歌手であり、数々の時代劇に主演してきた。中高年女性層を中心に「杉様」の愛称とともに日本各地でディナーショーを主催している。

幼少時より歌手を志し各地の喉自慢に出場し続けたが、なかなか評価を受けなかった。1965年日本コロムビアから「野郎笠」で念願の歌手デビューを果たすも、不本意な売り方をされた(曰く、嫌な柄の着物を着せられた[6])上に全く売れず、テレビ番組に出演する際はギャラどころか逆に多額の金品を要求されたことを自著で書いている。

18歳から20歳の下積み時代は、カレー屋の丁稚奉公で食いつなぎ、3年間まかないのカレーライスしか口にできず、朝6時から夜11時まで無休で、休みは元日だけだった[7][8]

1966年より、日活に所属。現代劇の助演で活躍する一方で、1967年NHKの『文五捕物絵図』に主役として出演して以来、時代劇をメインに出演していく。『遠山の金さん』『右門捕物帖』(テレビ朝日)、『新五捕物帳』(日本テレビ)、『一心太助』『同心暁蘭之介』(フジテレビ)、『大江戸捜査網』『喧嘩屋右近』(テレビ東京)などシリアスからコミカルなキャラクターを演じた。舞台などでも活躍。明治座新歌舞伎座などで、連続して出演した。

1975年にCBSソニー移籍後の第一弾シングルとして「なやみ」を発表。半年間テレビの仕事を休みレコードのキャンペーンを続けた成果が実り、自身初の10万枚を超える売上を記録[5]。これにより歌手としても知名度を獲得した[5]。歌手を目指したきっかけは、長い時間拘束される俳優などと違い、一曲歌えばそれで良く、儲かると考えたからだという。しかし『EXILE魂』に出演時、それが甘い考えであり、ヒット曲が出るまで10年もかかる結果となってしまったと述懐している。

自身の体力面(長年の酷使によって椎間板ヘルニアを悪化させており「自分が望む座長芝居が出来なくなった」との理由)から2005年7月の新歌舞伎座での公演を最後に、自らの座長公演を勇退した後は、若い役者が座長を務める公演に脇役で出演しどんどんアドバイスを出していきたいとの考えを表明。2008年10月には大阪新歌舞伎座で山本譲二山川豊主役に迎えた初のプロデュース公演『闇の身代り地蔵』を上演した。また、2009年6月の大阪新歌舞伎座さよなら公演では、息子の山田純大を主役に迎え、初の親子共演を果たす。新歌舞伎座で松平信康切腹を演じた時には千秋楽に本当に腹を切りたくなり、豚の臓物と血もたっぷり入れた袋を腹に巻いて、その上からさらしを巻き、白装束を着て舞台に立ち、本物の短刀を突き刺した[9]。杉は「血が噴き出て、客席がシーンとなり、短刀を右へ斬ったら、腹から豚の腸が一気に噴出し、自分が倒れたところで緞帳が下りたから会場はパニックになった」と述べている[9]

過去には伊東四朗岡田英次青木義朗福本清三赤塚真人うえだ峻本阿弥周子ら多くの俳優が1980年代から1990年代の杉の主演作に常連の如く出演をしている。『同心暁蘭之介』25話では福本清三のために杉が役を用意し、福本も初めての大きな役だったと自伝『おちおち死んでられまへん-斬られ役ハリウッドへ行く』で述べている。また、親友であった江利チエミもゲスト女優として『同心暁蘭之介』に出演している。

1991年頃から、主に風景画を中心に油彩画を描いている。現代美術展で賞を受賞している、百貨店などで絵画展をたびたび開催する。24時間没頭した事もあったという。2007年5月1日、長女に第1子となる男児が誕生したことによりおじいちゃんとなる。しかし本人は会見で「孫には『お兄さん』と呼ばせる」と宣言した。2009年6月1日には芸能活動45周年を記念し、初の作詞作曲集を発売。

2011年6月22日、芸能活動全般についてエイベックス・マネジメントと業務協力契約を締結する[10]

2013年2月に杉の個人事務所が所有する東京・西麻布のビル2階に「杉良太郎演劇塾」を設立[11]。同年10月には『よろず占い処 陰陽屋へようこそ』で33年ぶりとなる民放連続ドラマの出演となった[12]

慈善活動

15歳でボランティア活動を始める。

日本の刑務所への受刑者慰問活動も積極的に展開し、“矯正活動への多大な貢献”により、法務省から、史上初となる「名誉矯正監」を拝命。その間の刑務所視察の功績が認められ、2008年(平成20年)には「特別矯正監」を法務大臣より任命される。長年にわたり、刑務官・受刑者に対し、多くの意見交換・講演などを行っている。2019年6月25日、功績をたたえる大臣顕彰状が法務大臣から贈られ、あわせて永年の特別矯正監も委嘱された[1]

日本ベトナム社会主義共和国との親善にも20年間たずさわっている。ハノイ市等に教育施設(日本語学校等)の設置、無償援助に積極的に関わりベトナム政府から特別友好大使を委託されている。1997年(平成8年)12月には、ベトナム社会主義共和国国家主席チャン・ドゥック・ルオンより、友誼勲章(外国人に贈る最高位の勲章)を受章した。また、ベトナム人里子は100人以上に及ぶ。

1995年(平成7年)1月17日に発生した阪神・淡路大震災の救援と、慰問としてヘリコプター2機をチャーターし、被災者避難所へ寿司や飲料水、医薬品、衣料等2トンを空輸した。

2008年平成20年)4月29日、受刑者更生支援等奉仕者として、芸能人として初の緑綬褒章を受章。

5月24日、26日、日越外交関係樹立35周年記念行事の一つとして行われた、日本およびベトナムの有名歌手による「日越友好ハノイ-ホーチミン音楽祭(第1回日越友好音楽祭)」を、日越特別大使兼越日特別友好大使として主導した[13]

2009年平成21年)2月皇太子徳仁親王ベトナム社会主義共和国公式訪問では、現地での案内説明にたずさわる。同年、芸能活動の功績が認められ紫綬褒章を受章。

平成22年度、内閣府「災害被害を軽減する国民運動サポーター」に就任[14]

2011年平成23年)3月11日に発災した東北地方太平洋沖地震東日本大震災)を受けて、被災地への支援活動を開始。大量の救援物資を載せた車両12台を手配し[15]、自ら炊き出しを行った[16]。1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災で、実家が被災し、以降被災地への支援活動を継続的に行なっており、2004年(平成16年)の新潟県中越地震でも精力的な活動を行なっている[17]。また地震で被災し全体の2/3が不通となっている三陸鉄道の復旧支援ヘッドマークのオーナー(名義としては個人事務所の杉友となる)となり、2011年9月28日よりマークをつけた列車の運行が開始されている[18]

10月8日、10月9日、ベトナム・ハノイ市で開催された「第2回日越友好音楽祭」を主導した。

2012年(平成24年)4月26日、福島第一原子力発電所事故福島第一原子力発電所現場作業員の拠点となっている、福島県双葉郡のサッカー練習施設「Jヴィレッジ」を、演歌歌手伍代夏子と共に訪れ、激励コンサートを開いた[19]

2012年5月1日、日本財団により、伍代夏子とともに「被災地で活動した芸能人ベストサポート」に選出され、表彰されている[20]。車両15台でカレー、サラダなど2万食の食事と入れ歯洗浄剤などの物資を届け、宮城県内の避難所を細かく廻り、また、岩手県の三陸鉄道や青森県の津軽鉄道支援、福島県も何度も訪れるなど、様々な支援を続けた[21]活動が評価された。

2012年11月19日、オーストリア・アルベルト・シュバイツァー協会より人道援助活動の功績が認められ「アルベルト・シュバイツァー章」受章[22]

2013年平成25年)2月25日、ASEAN特別大使に任命され[23]2014年平成26年)2月10日にアジア各国との文化交流に貢献したとして内閣総理大臣感謝状を安倍晋三から手交された[24]

2013年11月にフィリピンを襲った、台風ヨランダでは、チャリティコンサートを企画し、認定NPO法人アイキャンを通じて、現地に学校を建設した。

エピソード

  • 杉良太郎が「水戸黄門」で初代佐々木助三郎を演じた理由は、『助さん』という音の響きがよかったからという。『徹子の部屋』に出演した際、若い頃、黒柳徹子を好きだった事を、本人の前で告白した。
  • 第64回NHK紅白歌合戦で、ゲスト審査員を担当し、出場した妻の伍代夏子の歌「金木犀」を、舞台目の前で審査する事となった。
  • 1966年に放送された実写版『忍者ハットリくん』でケムマキを演じたのは杉だと言われていたが[25][26][27]実際にケムマキを演じたのは関西を中心として活躍していた人気子役の傍田勉であり間違いである。
  • 1970年代、多数の作品への出演による多忙でTV放送をオンタイムで視聴できなかったため、高価だったUマチックデッキとテープを当時の給料から無理して購入し、自身の出演作品を録画視聴していた。その中にはNHKには映像が保存されていなかった大河ドラマ「国盗り物語」や朝ドラ「繭子ひとり」もあり、2015年にNHKへ提供された。
  • 2019年に高齢運転者による自動車事故が相次いでいることを受け、高齢運転者に運転免許証の自主返納について考えてもらうきっかけ作りとして、6月7日に鮫洲運転免許試験場運転免許証を自主返納した。自主返納時点での杉の年齢は74歳で、誕生日を迎える2ヶ月前だった[28]



注釈

  1. ^ テレビ東京系テレビドラマ「燃えよ剣」主題歌。
  2. ^ テレビ東京系テレビドラマ「大江戸捜査網」主題歌。
  3. ^ フジテレビ系テレビドラマ「一心太助」主題歌。
  4. ^ テレビ東京系テレビドラマ「旅人異三郎」主題歌。
  5. ^ テレビ朝日系テレビドラマ「右門捕物帖」主題歌。
  6. ^ テレビ朝日系テレビドラマ「遠山の金さん」主題歌。
  7. ^ 日本テレビ系テレビドラマ「新五捕物帳」ED主題歌。
  8. ^ 日本テレビ系テレビドラマ「新五捕物帳」OP主題歌。
  9. ^ 再発売盤。
  10. ^ フジテレビ系テレビドラマ「大捜査線」主題歌。
  11. ^ ジュディ・オングとのデュエット。
  12. ^ フジテレビ系テレビドラマ「同心暁蘭之介」主題歌。
  13. ^ 日本テレビ系テレビドラマ「右門捕物帖」主題歌。
  14. ^ TBS系テレビドラマ「氷紋」主題歌。
  15. ^ テレビ東京系テレビドラマ「喧嘩屋右近」主題歌。
  16. ^ 村田友里とのデュエット。
  17. ^ 水原弘の「君こそわが命」のカバーだが、歌詞が一部変更されている。
  18. ^ BeeTV テレビドラマ『医師 問題無ノ介』主題歌。
  19. ^ 本作以後カセットテープでの発売はなくなる。

出典

  1. ^ 杉良太郎さん“吟味”「南あわじ良太郎西瓜」5個を認定 兵庫
  2. ^ 有限会社ライトハウス - ライトハウス便り>徳之島の紹介!
  3. ^ 中日新聞・東京新聞『この道』第30回(2010年8月9日付夕刊)にて写真掲載あり。
  4. ^ “「勉強は死ぬまで」=文化功労者の杉良太郎さん”. 時事ドットコム. 時事通信社. (2016年10月28日). http://www.jiji.com/jc/article?k=2016102800409&g=soc 2016年10月28日閲覧。 
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak 『杉良太郎 芸能生活15周年記念 愛蔵版 果てしなき旅路』CBS・ソニー出版、昭和55年7月15日発行。(ノンブルなし)
  6. ^ 時代劇専門チャンネル『瓦版』第311回
  7. ^ 2011年3月11日放送の「笑っていいとも!」のテレフォンショッキングに初出演した際のトークなど
  8. ^ 「こころの玉手箱 杉良太郎①朝昼晩と食べたカレー」日本経済新聞2015年5月25日夕刊
  9. ^ a b 春日太一「杉良太郎 舞台切腹シーンで豚の臓物と血を使い劇場が大混乱」『週刊ポスト』2014年5月2日号、小学館、2014年4月26日、2014年5月27日閲覧。
  10. ^ 「杉良太郎」所属個人事務所と業務協力契約を締結 (PDF)”. エイベックス・マネジメント株式会社 (2011年6月22日). 2014年7月10日閲覧。
  11. ^ 杉良太郎の「密室演技指導」 22歳清純派女優が決意の告白」『週刊ポスト』2014年5月23日号、小学館、2014年5月13日、2014年5月27日閲覧。
  12. ^ 杉良太郎、33年ぶり民放連ドラ出演「人生経験生かせる役」 スポーツ報知
  13. ^ 日越友好ハノイ-ホーチミン音楽祭の開催在ホーチミン日本国総領事館サイト)、杉良太郎・日・ベトナム特別大使のベトナム訪問について(外務省プレスリリース)
  14. ^ 災害被害を軽減する国民運動サポーター 杉良太郎”. 内閣府 防災情報のページ. 2014年5月24日閲覧。
  15. ^ “【東日本大震災】杉良太郎、車両12台で救援キャラバン! +(1/2ページ)”. msn産経. (2011年4月3日). オリジナルの2014年4月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110404122150/http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/110401/ent11040107300001-n1.htm 2014年5月24日閲覧。 
  16. ^ “杉良太郎・伍代夏子さん夫妻、石巻で炊き出し”. YOMIURI ONLINE. (2011年4月3日). オリジナルの2012年12月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20121204164440/http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110403-OYT1T00216.htm 2014年5月24日閲覧。 
  17. ^ Active Human list 5 : 防災情報のページ -”. 内閣府. 2019年4月12日閲覧。
  18. ^ “三陸鉄道でヘッドマーク運行開始 復興支援の8社決定”. 47NEWS. (2011年9月28日). オリジナルの2011年9月30日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110930131431/http://www.47news.jp/CN/201109/CN2011092801000720.html 2014年5月24日閲覧。 
  19. ^ “杉サマ&伍代、原発作業員に感謝…涙の激励コンサート「お会いしたかった」”. デイリースポーツ. (2012年4月27日). オリジナルの2012年4月27日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20120427123412/http://daily.co.jp/gossip/article/2012/04/27/0005006404.shtml 2014年5月24日閲覧。 
  20. ^ 日本財団会長 笹川陽平ブログ>被災地で活動した芸能人ベストサポート
  21. ^ 日本財団>被災地で活動した芸能人ベストサポート>表彰者一覧
  22. ^ “第九回「アルベルト・シュバイツァー章」を受章 ”. http://www.r-sugi.com/archives/1060 
  23. ^ 杉良太郎氏に対する日・ASEAN特別大使としての委嘱状交付”. 外務省 (2013年2月25日). 2014年2月11日閲覧。
  24. ^ “首相、杉良太郎さんに感謝状 ASEANとの交流評価”. 朝日新聞DIGITAL. (2014年2月10日). オリジナルの2014年2月11日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/20140211124840/http://www.asahi.com/articles/ASG2B6H8LG2BUTFK12H.html 2014年5月24日閲覧。 
  25. ^ 1983年発売の写真誌『スクランブルPHOTO』の記事
  26. ^ 本橋信宏『裏本時代』飛鳥新社、1996年、p.234
  27. ^ 講談社編『メーキング・オブ・東映ヒーロー ラディカルヒーローの世界2』講談社X文庫、1987年、p.92。東映の許諾を得ている同書でもケムマキは杉良太郎とされている。
  28. ^ “74歳・杉良太郎、運転免許証自主返納「反応が以前と違うなと感じ…」 高齢運転者へ防犯呼びかけ”. ORICON NEWS. (2019年6月7日). https://www.oricon.co.jp/news/2137118/full/ 2019年6月7日閲覧。 
  29. ^ 番組エピソード 描き方も題材もさまざま!【時代劇特集】-NHKアーカイブス
  30. ^ “杉良太郎、『水戸黄門』助さん役以来、44年ぶりTBS連ドラ出演”. オリコン. (2015年9月6日). http://www.oricon.co.jp/news/2058745/full/ 2015年9月6日閲覧。 
  31. ^ “杉良太郎、14年ぶりに主演!時代劇ドラマで人情深い町医者に”. シネマトゥデイ. (2014年12月5日). http://www.cinematoday.jp/page/N0068773 2014年12月4日閲覧。 
  32. ^ 杉良太郎のペンネーム。
  33. ^ 杉良太郎氏に対する「日ベトナム特別大使」の委嘱 - 外務省
  34. ^ 厚生労働省 フォトレポート「俳優の杉良太郎さんへ肝炎対策国民運動特別参与の辞令を交付した小宮山厚生労働大臣」(2012年7月18日)2012年11月25日閲覧)


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