札幌農学校 北海道帝国大学農科大学

札幌農学校

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/13 04:21 UTC 版)

北海道帝国大学農科大学

1910年(明治43年)、小樽高等商業学校(現在の小樽商科大学)が設置され、北海道で農学と商学という複数の高等教育が受けられるようになった。しかし高等商業学校は大学予科と同レベル(大学予科と小樽高商で定期戦開催)であり、帝国大学とは格差があった。

東北帝国大学では1911年(明治44年)1月に理科大学が設置され、翌1912年(明治45年)4月1日仙台医学専門学校が医学専門部(後に医科大学)として仙台高等工業学校1906年(明治39年)設立)が工学専門部として包摂されるなど仙台での東北帝大拡充が続いた。

東北帝国大学理科大学新設と同じ1911年(明治44年)1月に、九州帝国大学が設置された。また同年4月には京都帝国大学の福岡医科大学が九州帝国大学に移管され、工科大学も新設された。

九州では京都帝国大学から独立して分科大学も複数設置されたのに対し、北海道での高等教育は従来の農学以外には広がらず、この時点で東北帝国大学からの独立も実現しなかった。このため北海道帝国大学設立の運動が再燃し、1911年(明治44年)に3度目となる「北海道帝国大学設立建議」が帝国議会にあげられた。採択はされたものの、この期にも北海道帝国大学設立には至らなかった。

その後、第一次世界大戦が始まって日本が好況に入ると風向きが変わり、大学令公布(1918年大正7年)12月6日)に伴う各帝国大学の分科大学制から学部制への改組に先立って、仙台と札幌に分かれている東北帝国大学は各都市毎に分かれることになった。

1918年(大正7年)4月1日、北海道帝国大学設置。同時に東北帝国大学農科大学が東北帝国大学から分離され、北海道帝国大学に移管された。この年の年末の札幌区の人口は9万3218人、北海道の人口は、帝国大学設置運動が始まった頃の約10倍の204万8600人となっていた。

1919年(大正8年)2月、大学令に基づいて北海道帝国大学農科大学は北海道帝国大学農学部に改組され、同時に医学部も設置された。以後、1924年(大正13年)に工学部1930年昭和5年)に理学部が設置されるなど、高等教育を拡充して総合大学となっていった。

なお六大都市大阪市(125万人)や名古屋市(43万人)、あるいは広島市(16万人)や金沢市(13万人)に比べて人口が少ない仙台市(12万人)、札幌区(10万人)、福岡市(9.5万人)に政策的な理由で帝国大学が設置されたため、他の大都市では帝国大学設置運動がその後も続いた(→都道府県庁所在地と政令指定都市の人口順位#1920年(大正9年)の人口順位)。

以後の歴史については北海道大学を参照。

(参考)1920年(大正9年) 国勢調査時点の道内の都市人口順位

  1. 函館区 14万4749人
  2. 小樽区 10万8113人
  3. 札幌区 10万2580人
  4. 旭川区 6万1319人
  5. 室蘭町 5万6082人
  6. 釧路町 3万9392人

注釈

  1. ^ 結婚条項については半年後に削除された。
  2. ^ 原文の漢字を常用漢字体に、片仮名を平仮名に改めた。

出典

  1. ^ a b 山本悠三『札幌農学校の理念と人脈』芙蓉書房出版、2020年。 
  2. ^ 創基150周年について”. 北海道大学創基150周年記念ウェブサイト. 2024年3月10日閲覧。
  3. ^ 資料でたどる北海道大学の歴史”. 北海道大学150年史 編集準備室. 2020年12月4日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g 開拓使女学校から札幌女学校へ”. 新札幌市史デジタルアーカイブ(ADEAC所収). 札幌市中央図書館. 2021年4月12日閲覧。
  5. ^ a b 開拓使仮学校・札幌学校(1872~)”. 資料でたどる北海道大学の歴史. 北海道大学150年史編集室. 2022年10月25日閲覧。
  6. ^ a b c 釧路市地域史研究会 『釧路市統合年表:釧路市・阿寒町音別町合併1周年記念』 釧路市、2006年10月。
  7. ^ 半藤一利、小島直記 :気概の人石橋湛山 (2004)
  8. ^ 逸見 勝亮 (2007). “札幌農学校の再編・昇格と佐藤昌介”. 北海道大学大学文書館年報 2: 29. http://hdl.handle.net/2115/20441. 
  9. ^ a b 原口征人,今尚之,佐藤馨一 (1999). “札幌農学校における土木教育”. 高等教育ジャーナル─高等教育と生涯学習 5: 111. https://high.high.hokudai.ac.jp/wp-content/uploads/2016/02/No0510.pdf. 
  10. ^ 東北大学金属材料研究所(編)(2016)「片平の散歩道 金研百年の歩みとともに」河北新報出版センター
  11. ^ 『官報』第7269号、明治40年9月19日。
  12. ^ a b 農学校のカリキュラム”. 北海道大学附属図書館. 2023年9月27日閲覧。
  13. ^ 札幌農学校官制・御署名原本・明治十九年・勅令第八十四号”. 国立公文書館. 2023年9月27日閲覧。
  14. ^ 札幌農学校|日本歴史地名大系・日本大百科全書|ジャパンナレッジ”. NetAdvance Inc.. 2023年10月28日閲覧。
  15. ^ 札幌市時計台:時計台のあゆみ”. 2023年10月23日閲覧。
  16. ^ a b 歴史的遺産ガイドマップ”. 北海道大学. 2023年10月22日閲覧。






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