朝鮮語 言語名

朝鮮語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 20:04 UTC 版)

言語名

日本では伝統的に「朝鮮半島」や「朝鮮民族」などと同様に「朝鮮」の名を冠した「朝鮮語」という呼称が用いられているが、朝鮮半島が南北に分かれ、日本が韓国としか国交がない現状を反映し、特に日韓間の民間交流の場では「韓国語」と呼ぶことも多い。ただし日本語で「韓国語」単独で用いられる場合、韓国で行われていることば、(北朝鮮や中国の自治州県のことばと対比した)韓国式のことば[10]を指す呼称として用いられる傾向が極めて強い。そのほか、「コリア語」[11]「韓国朝鮮語」[12]「高麗語」など多くの呼称が存在する[13]。また、本来ハングルは文字の名前であり言語の名前ではないが、言語名として「ハングル」を用いることもあり、日本放送協会(NHK)は「ハングル講座」を放送している。ハングル能力検定試験協会は「『韓国・朝鮮語』を統括する意味で『ハングル』を用いて」いると説明している[14]

中国は、1949年の建国から社会主義陣営に所属しており、当初から北朝鮮を朝鮮半島全体の唯一の正統政府としていた立場から、朝鮮民族の国家、民族や言語、文化に冠する呼称に「朝鮮」(簡体字で「朝鲜」)を使用し、中国の国民を構成する朝鮮系の集団やその言語に対してもこの名称を用いて、「朝鮮族」や「朝鮮語」と呼称してきた。

しかし1992年に韓国と中国が国交を樹立してからは、韓国との直接交流が進展し、韓国資本の裏付けにより、韓国式の語彙や文字配列をそのまま移植した語学テキストや辞典類が「韓国語」の名称を冠して発行されるようになった。その結果「韓国語」「韓語」という呼称は、新たに、中国の延辺朝鮮語とも北朝鮮の朝鮮語と共に韓国の言語に対する呼称として、「朝鮮語」と共に併用されるようになってきている。

現在の中国で出版されている外国語学習用の教材やテレビ・ラジオ放送、大学で学ぶことになる正書法・発音・語彙・文法等もほとんど韓国の標準語である。

日本の外務省および中国の外交部の公式サイトにおいては国に応じて別の呼称を使用している(韓国の公用語は韓国語[15][16]、北朝鮮の公用語は朝鮮語とされる[17][18])。

中国本土を除く中華圏香港[19]マカオ[20]台湾[21])では政治体制上の理由で「韓語(韓国語)」としか呼ばない。

韓国では「韓国語」に相当する「한국어韓國語ハングゴ)」「한국말韓國말ハングンマル)」という呼称が用いられており、北朝鮮においては「朝鮮語」に相当する「조선말朝鮮말チョソンマル)」「조선어朝鮮語チョソノ)」という呼称が用いられている。ここで「マル」は「言葉」を意味する朝鮮語の固有語であり、「」は「語」の読みを表した漢字語である。固有語を好む傾向のある北朝鮮では「조선말」が用いられることが多く、韓国では公式な場面では「」を用いた「한국어」が通常用いられる。この他に朝鮮民族どうしの表現として「国語」に相当する「국어國語)」や、朝鮮語の固有語で「我々の言葉」を意味する「우리말」という表現も用いられる。

中央アジアの朝鮮人の間では「高麗語」(고려말高麗말Корё маль、コリョマル)という呼称が用いられている。多くのヨーロッパ言語では高麗に由来する Korean英語)などの名称を用いており、中立性の問題は提起されていない。


注釈

  1. ^ ドイツ語の場合、ドイツオーストリアスイスの三カ国の文部省が共同で正書法の改訂に携わる制度があり、すくなくとも書面語におけるドイツ語の一体性は国境をこえて保持されている[要出典]
  2. ^ たとえば朝鮮総督府が発行した朝鮮語教科書がある。
  3. ^ なお、例外的な場合として、一部の熟語でのみ異なる発音になるもの(例: 識の通常の発音は식であるが、熟語「標識」においては지と発音される。)や姓に用いられる場合にのみ異なる発音になるもの(金の通常の発音は금であるが、姓「金」においては김と発音される。)がある。[要出典]

出典

  1. ^ Korean Made Simple: A beginner's guide to learning the Korean language, CreateSpace Independent Publishing Platform (2014), ISBN 978-1497445826, P. 136
  2. ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “Korean”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History. http://glottolog.org/resource/languoid/id/kore1280 
  3. ^ [1]
  4. ^ [2]
  5. ^ [3]
  6. ^ [4]
  7. ^ 大江孝男「ちょうせんご|朝鮮語」【監修】伊藤亜人+大村益夫+高崎宗司+武田幸男+吉田光男+梶村秀樹『[新版] 韓国 朝鮮を知る事典』平凡社、2014年3月19日 新版第1刷発行、ISBN 978-4-582-12647-1、352頁。
  8. ^ 文嬉眞. “北朝鮮における言語政策 「第 l 次・第 2 次金日成教示」の分析”. 愛知学院大学学術紀要データベース. p. 135. 2019年7月3日閲覧。
  9. ^ 野間秀樹(2010)『ハングルの誕生』平凡社新書、165ページ。
  10. ^ 駐日韓国文化院 Korean Cultural Center”. www.koreanculture.jp. 2019年7月3日閲覧。
  11. ^ アジア地域言語紹介・コリア語”. www.daito.ac.jp. 2021年5月7日閲覧。
  12. ^ 東大ではこれだけの外国語を学べます—特集 東大生、語学を楽しむ。(1)| キミの東大 高校生・受験生が東京大学をもっと知るためのサイト” (日本語). キミの東大 (2019年11月28日). 2021年5月7日閲覧。
  13. ^ 金泰虎(キム・タエホ)「日本における「朝鮮語」の名称」『言語と文化』第8号、甲南大学国際言語文化センター、2004年、 183-204頁、 doi:10.14990/00000402ISSN 13476610NAID 110002556782
  14. ^ ごあいさつ・協会概要” (日本語). ハングル能力検定協会. 2021年5月7日閲覧。
  15. ^ 大韓民国基礎データ” (日本語). Ministry of Foreign Affairs of Japan. 2021年5月3日閲覧。
  16. ^ 国家概况 — 中华人民共和国外交部”. www.fmprc.gov.cn. 2021年5月3日閲覧。
  17. ^ 北朝鮮基礎データ” (日本語). Ministry of Foreign Affairs of Japan. 2021年5月3日閲覧。
  18. ^ 国家概况 — 中华人民共和国外交部”. www.fmprc.gov.cn. 2021年5月3日閲覧。
  19. ^ 【遊中亞】流放中亞的朝鮮族 不諳韓語最愛泡菜”. Apple Daily 蘋果日報. 2019年7月3日閲覧。
  20. ^ 韓語交流協會”. www.io.gov.mo. 2019年7月3日閲覧。
  21. ^ 精選書摘 (2018年10月11日). “韓國人也不知道的韓語知識:掛電話時為何要說「您請回去」?” (中国語). The News Lens 關鍵評論網. 2019年7月3日閲覧。
  22. ^ Kim, Nam-Kil (1992), "Korean", International Encyclopedia of Linguistics, 2, pp. 282–86, scholars have tried to establish genetic relationships between Korean and other languages and major language families, but with little success
  23. ^ 『綜合教育教科書 : 各科教授法・教育制度・学校管理法. 乙』帝国地方行政学会、1923年、朝鮮語教育及び漢文の推進(朝鮮語教授の要旨の項)、NDLJP:924525/47






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