朝鮮語 系統

朝鮮語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/20 07:34 UTC 版)

系統

一般的には分類上アルタイ諸語孤立した言語と見なされるが、済州語を別の言語として、両者を朝鮮語族にまとめることもある。

アルタイ諸語との関係、また日本語との関係もしばしば議論の的となる。学者によっては、日本語と共にアルタイ諸語に含める場合もある。

日本語との比較

統語面では、基本語順SOV型であり、日本語と類型論的に同じ語順を持つ(なお、語順はそれ単独では同一系統の言語であることを示す証拠にはなり得ない。なぜなら、SOV型は世界の言語の約50%が属す普遍的な語順であり、また同一系統であっても言語によって、更には同一言語であっても時代によって基本語順が異なることがあるため)。否定の表現では逆位となる場合やいわゆる「かばん語」によって否定表現が一語となっているものがある。助詞主題を表示する点は日本語と共通している。

音韻的な面では、古い時代では語頭に流音(ラ行)・有声阻害音(濁音)が立たない点、母音調和が見られる点、母音連続を避ける点などが日本語と共通する。これらはアルタイ諸語に共通して見られる特徴でもあり、朝鮮語及び日本語がアルタイ語族であるという論拠の一つになっている。但し朝鮮語の音節が閉音節(CVC)を基本としているのに対し、日本語は開音節(CV)を基本としているなど、相違点も見られる。

その一方で語彙は、漢字語あるいは字音語を除き、一定の音韻対応によって系統的に同一の祖形に当てはまるものは見出されていない。

江戸時代から、様々な側面から日本語と朝鮮語の類似性を指摘する研究者はたびたび現れている(金澤庄三郎など)。小倉進平対馬方言と朝鮮語の関係を研究したが、対馬方言への朝鮮語の借用以上のものは見出していない。漢字呉音は古くは「対馬音」と呼ばれ、研究者の中には朝鮮字音から直接輸入されたと考える者もあったが、河野六郎の研究などによりその重層性が明らかにされていった。

かつてのような単純な説は出されることはなくなったが、現在でも様々な資料と方法によって親族関係を見出そうとする研究が続けられている。共通点については言語連合(Sprachbund, language union、例:バルカン言語連合)の可能性もある。

アルタイ語族

朝鮮語が孤立した言語でないとしたらアルタイ語族に属すであろうという意見もある。ただし、テュルク語群、モンゴル語群、ツングース語群には文法的に非常に似ていて類似性があるものの、それらが共通の祖語を持つアルタイ語族であるということは今のところ証明されるめどは立っていない。

歴史学の見地から考えると、百済、新羅、高句麗ではあう一定言語体系が異なるという説もある。しかし、日本のように百済、新羅、高句麗から高麗王朝と朝鮮王朝まで朝鮮民族の王朝がずっと支配層として続いており、昔と現代の言語体系はほとんど変わっていないという説もある[22]。朝鮮語はアルタイ語のうち、ツングース語族との関係が最も深いと考えられており、唯一まとまった文字資料をもつ満州語との比較研究が行われている。


注釈

  1. ^ ドイツ語の場合、ドイツオーストリアスイスの三カ国の文部省が共同で正書法の改訂に携わる制度があり、すくなくとも書面語におけるドイツ語の一体性は国境をこえて保持されている[要出典]
  2. ^ たとえば朝鮮総督府が発行した朝鮮語教科書がある。
  3. ^ なお、例外的な場合として、一部の熟語でのみ異なる発音になるもの(例: 識の通常の発音は식であるが、熟語「標識」においては지と発音される。)や姓に用いられる場合にのみ異なる発音になるもの(金の通常の発音は금であるが、姓「金」においては김と発音される。)がある。[要出典]

出典

  1. ^ Korean Made Simple: A beginner's guide to learning the Korean language, CreateSpace Independent Publishing Platform (2014), ISBN 978-1497445826, P. 136
  2. ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “Korean”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History. http://glottolog.org/resource/languoid/id/kore1280 
  3. ^ ハングルの歴史 - KONEST
  4. ^ 朝鮮語 よくある質問 - 東京外国語大学
  5. ^ 朝鮮語系 - 北京大学外国語学院(中国語)
  6. ^ “北朝鮮の人口が2500万人突破 高齢化進む”. 聯合ニュース. (2016年9月18日). https://jp.yna.co.kr/view/AJP20160916001600882 2022年8月20日閲覧。 
  7. ^ 大江孝男「ちょうせんご|朝鮮語」【監修】伊藤亜人+大村益夫+高崎宗司+武田幸男+吉田光男+梶村秀樹『[新版] 韓国 朝鮮を知る事典』平凡社、2014年3月19日 新版第1刷発行、ISBN 978-4-582-12647-1、352頁。
  8. ^ 文嬉眞. “北朝鮮における言語政策 「第 l 次・第 2 次金日成教示」の分析”. 愛知学院大学学術紀要データベース. p. 135. 2019年7月3日閲覧。
  9. ^ 野間秀樹(2010)『ハングルの誕生』平凡社新書、165ページ。
  10. ^ 駐日韓国文化院 Korean Cultural Center”. www.koreanculture.jp. 2019年7月3日閲覧。
  11. ^ アジア地域言語紹介・コリア語”. www.daito.ac.jp. 2021年5月7日閲覧。
  12. ^ 東大ではこれだけの外国語を学べます—特集 東大生、語学を楽しむ。(1)| キミの東大 高校生・受験生が東京大学をもっと知るためのサイト” (日本語). キミの東大 (2019年11月28日). 2021年5月7日閲覧。
  13. ^ 金泰虎(キム・タエホ)「日本における「朝鮮語」の名称」『言語と文化』第8号、甲南大学国際言語文化センター、2004年、 183-204頁、 doi:10.14990/00000402ISSN 13476610NAID 110002556782
  14. ^ ごあいさつ・協会概要” (日本語). ハングル能力検定協会. 2021年5月7日閲覧。
  15. ^ 大韓民国基礎データ” (日本語). Ministry of Foreign Affairs of Japan. 2021年5月3日閲覧。
  16. ^ 国家概况 — 中华人民共和国外交部”. www.fmprc.gov.cn. 2021年5月3日閲覧。
  17. ^ 北朝鮮基礎データ” (日本語). Ministry of Foreign Affairs of Japan. 2021年5月3日閲覧。
  18. ^ 国家概况 — 中华人民共和国外交部”. www.fmprc.gov.cn. 2021年5月3日閲覧。
  19. ^ 【遊中亞】流放中亞的朝鮮族 不諳韓語最愛泡菜”. Apple Daily 蘋果日報. 2019年7月3日閲覧。
  20. ^ 韓語交流協會”. www.io.gov.mo. 2019年7月3日閲覧。
  21. ^ 精選書摘 (2018年10月11日). “韓國人也不知道的韓語知識:掛電話時為何要說「您請回去」?” (中国語). The News Lens 關鍵評論網. 2019年7月3日閲覧。
  22. ^ Kim, Nam-Kil (1992), "Korean", International Encyclopedia of Linguistics, 2, pp. 282–86, scholars have tried to establish genetic relationships between Korean and other languages and major language families, but with little success
  23. ^ 『綜合教育教科書 : 各科教授法・教育制度・学校管理法. 乙』帝国地方行政学会、1923年、朝鮮語教育及び漢文の推進(朝鮮語教授の要旨の項)、NDLJP:924525/47






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