月経 閉経

月経

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/16 14:45 UTC 版)

閉経

閉経時期(更年期)を迎えると、女性の体はホルモン分泌が変わり、月経は不規則になり、やがて停止する。多くの場合、50歳前後で閉経する(日本人女性の平均閉経年齢は約50歳である)。動詞で「上がる」とも称する。

日本産科婦人科学会定義による 月経異常の種類【閉止】と問題点[17]

種類と年令 問題点
正常 50歳
早期閉経 40歳未満
(早期卵巣不全)[4]
骨粗鬆症、動脈硬化
遅発閉経 55歳以上 乳がん子宮体がん

閉経まで排卵が続く場合もあるが、早い者では40歳代前半には排卵がなくなり、無排卵のままホルモンバランスによる月経が閉経まで起こることがある。

閉経をはさむ前後5年ほどの時期を「更年期」と呼ぶ[4]。月経の停止以外に、ホルモンバランスの変化や心理影響によって、色々な自覚症状を感じる女性もいる。

処置

月経期間中は、子宮から膣を経て体外に経血が排出される。女性はこの出血を自分でコントロールできないため、なんの処置もしないでいると、下着や衣服を汚してしまい支障がでる。そのため、排出される経血を吸収するために、ナプキンタンポンのような生理用品を使用する。

月経異常

期間の異常、サイクルの異常、疼痛などがあり[4]、正常月経の範囲を逸脱したものと定義される[17]

日本産科婦人科学会定義による 正常月経[17]
月経周期 25 - 38日
出血持続日数 3 - 7日
出血量 20 - 140 ml
随伴症状 日常生活に支障の無い軽度のもの
  • 月経不順
    • 月経が始まった頃は、月経周期は安定せず、数か月起こらなかったりすることもよくある。
    • 月経周期 (menstrual cycle) の異常
      • 頻発月経/経早/月経先期:月経周期が異常に短縮する(24日以下)
      • 稀発月経/経遅/月経後期:月経周期が異常に長くなる(39日以上)
      • 不正周期月経/経乱:月経周期が不定期なもの(毎回の変動が7日以上)
    • 月経持続期間の異常
      • 過短月経 (too short menstruation):出血期間が異常に短縮する(2日以下)
      • 過長月経 (too long menstruation):出血期間が異常に長くなる(8日以上)
    • 月経量の異常
      • 過少月経 (hypomenorrhea):20ml未満
      • 過多月経 (hypermenorrhea/menorrhagia):140ml以上
  • 無排卵月経
    一見すると定期反復的な出血が見られるが、周期内に排卵を伴わないもの。基礎体温を測ると一相性になる。厳密な意味での月経とはいえず、特に短期間に繰り返す頻発月経だったり不正周期のランダムな出血だったり、あるいは月経とも呼べない程の過少月経だったりする場合は、不正出血の一種として扱うことも多い。
  • 無月経 (amenorrhoea)
    • 原発性無月経
      18歳の誕生日までに初潮を見ないこと。染色体異常性分化疾患内分泌器系の異常[29]などで起因することが多い。
    • 二次性無月経または続発性無月経
      初潮後ある程度月経を経験した女性の月経が3か月以上なくなること。妊娠した場合には当然ながら続発性無月経となる。また過度なダイエット拒食症、過度のスポーツなどで栄養障害を起こした場合にしばしば起こりうる。スポーツに起因するものは運動性無月経と呼ばれる事がある[30]
  • 月経発来異常
    • 早発月経 (premature menstruation):10歳の誕生日より前に初経を迎える[29]
    • 遅発月経 (delayed menstruation):16歳の誕生日より後に初経を迎える
  • 月経困難症(生理痛 dysmenorrhea)。子宮筋が収縮し剥離・脱落した子宮内膜を腟へ排出する際に生じる収縮痛[4]
    月経期間中、痙攣のような腹痛を感じたり、腰が砕けそうな痛みを感じたり、足が痺れたり、身体が麻痺したり、下痢悪心があったり、日常生活に支障をきたすような不調が起こること。若い女性に多い。妊娠経験後、痙攣性の腹痛を感じなくなる場合も少なくない。
  • 月経前症候群・PMS (premenstrual syndrome)
    多くの女性は月経前数日、様々な不快を感じる(個人差はある)。腰痛・腹痛・頭痛・むくみ・悪心・食欲不振・乳房の緊張など。また精神的に不安定になって、落ち込んだり怒りっぽくなったりすることも多い。黄体ホルモンの影響によると考えられる。

月経中の性行為

月経中に性欲の高まりを感じる人もいる[31][32]。月経中の性行為はタブー視されていることが多いが、産婦人科医の河野美代子によれば、血液の流出に対処できるのであれば行為自体に問題はないという[33]。また、「生理中にセックスしてはいけない」という説には医学的な根拠はないのではないかとも述べている[33]。ただ、下記の通り、頸管が広がっているので、雑菌を子宮内に押し込むことがあり、注意が必要であろう。性行為で月経血の逆流が起こるとされることもあるが、英国王立産婦人科医協会英語版によれば、月経血の逆流は性行為の有無に関わらず月経中の女性の90%に起きていることであるという[34]

しかし、月経中の性行為でも妊娠の可能性はあり、妊娠を避ける場合は通常通り避妊が必要となる[32][33][35]。また、子宮頸部が広がっていることにより感染のリスクが普段よりも若干上がっているため、パートナーが性感染症に罹患しているかどうかわからないような場合には、コンドームなどを利用してセーファーセックスを心がける必要がある[35]。また、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)などの性感染症のウイルスは血液中に存在するため、パートナーにうつさないためにも、セーファーセックスは有用な考え方である[32]インディアナ大学ブルーミントン校公衆衛生学部英語版の教授であるデビー・ハーベニック英語版博士は、オーガズム時の筋収縮によって月経前や月経時の痛みや不快感が和らぐこともあるとしている[36]。ただし、生理痛を和らげるためにできることは他にもあるため、女性は生理痛であるか否かに関わらず、したいときはすれば良いし、したくないときはしなければ良いとも述べている[36]


  1. ^ a b c d e 『生化学辞典』第2版、p.427 【月経周期】
  2. ^ a b 月経周期 - 22. 女性の健康上の問題 MSDマニュアル家庭版
  3. ^ a b 経済産業省ヘルスケア産業課『健康経営における女性の健康の取り組みについて』平成31年3月
  4. ^ a b c d e 経異常・排卵障害 慶應義塾大学病院 KOMPAS
  5. ^ 居駒永幸「景行記の歌と散文(I): 表現空間の解読と注釈」『明治大学教養論集』第534号、明治大学教養論集刊行会、2018年9月、 111-123頁、 ISSN 0389-6005NAID 1200064717182021年3月11日閲覧。
  6. ^ a b 鈴木明子「月経の名称 : 現代の月経」『跡見学園女子大学文学部紀要』第48号、跡見学園女子大学、2013年3月、 133-146頁、 ISSN 1348-1444NAID 1100096053902022年5月21日閲覧。
  7. ^ 井之口有一、中井和子、堀井令以知「<資料>御所ことば語彙の調査研究 : 続編食物を除く  」『京都府立大学学術報告 人文』第15号、京都府立大学学術報告委員会、1963年11月、 22-52頁、 ISSN 00757381NAID 110000057145(記述は p.32)
  8. ^ 鈴木明子『おんなの身体論 月経・産育・暮らし』(岩田書院 2018年10月11日第1刷発行)p.47
  9. ^ 鈴木明子『おんなの身体論 月経・産育・暮らし』(岩田書院 2018年10月11日第1刷発行)pp.48-51
  10. ^ 太田恭子「大正期の「母親による性教育モデル」の形成」『人文学報. 社会学』第467号、首都大学東京人文科学研究科、2013年3月、 1-26頁、 ISSN 0386-8729NAID 120005325502
  11. ^ 鈴木明子『おんなの身体論 月経・産育・暮らし』(岩田書院 2018年10月11日第1刷発行)p.52
  12. ^ 川瀬良美「人間発達における女性の特質:思春期と月経」『淑徳大学社会学部研究紀要』む 1998-03-15, 32巻, pp.17-32, ISSN 1342-7792, NAID 110004783233
  13. ^ 鈴木明子『おんなの身体論 月経・産育・暮らし』(岩田書院 2018年10月11日第1刷発行)pp.58-68
  14. ^ a b c 女性の生殖内分泌学 - 18. 婦人科および産科 MSDマニュアル プロフェッショナル版
  15. ^ ユーゴ『布ナプキン:こころ、からだ、軽くなる』産経新聞出版、2010年
  16. ^ 守山正樹、柏崎浩、鈴木継美「日本における初潮年齢の推移」『民族衛生』1980年 46巻 1号 pp.22-32, doi:10.3861/jshhe.46.22
  17. ^ a b c d e f g h 高橋俊之「研修コーナー:症候論(その1)」『『日本産科婦人科学会雑誌』63巻1号』http://fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.php?file=to63/63/1/KJ00007017607.pdf 
  18. ^ a b 大山建司「思春期の発現」『山梨大学看護学会誌』第3巻第1号、山梨大学看護学会、2004年、 3-8頁、 doi:10.34429/00003695ISSN 13477714NAID 110006184827
  19. ^ 鈴木明子『おんなの身体論 月経・産育・暮らし』(岩田書院 2018年10月11日第1刷発行)pp.17-19
  20. ^ a b 思春期早発症 日本小児内分泌学会
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