最高速度 最高速度の決め方(高速道路)

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最高速度

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/18 16:11 UTC 版)

最高速度の決め方(高速道路)

本線車道

  1. 下記の項目の個別構造適合速度を個別に算出し、最小値をその地点の構造適合速度とする[20]。(下記#構造適合速度を参照)必須条件以外については道路構造令の特例値(地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合に採用する緩い基準)を採用している。曲線半径以外の必須条件には道路構造令に特例値が存在しないため、構造適合速度は設計速度と同等以上になる。半面、曲線半径は設計速度より最大で1段階(20 km/h)低くなる場合がある。
  2. 規制区間長を適用した「構造適合速度(統合)」の設定
    • 構造適合速度が低い区間が近接している場合に、低い区間に挟まれた高い区間を統合する。(下記#規制区間長の考え方を参照)
  3. 規制速度の決定
    • 「分離4車線以上」で「構造適合速度が100 km/h以上」の区間は原則100 km/hとする[20]。ただし上限120 km/hで決定できる区間を除く。
    • それ以外の区間では構造適合速度を最大限尊重しつつ、対象道路における現地状況を考慮して補正を行い、上限100 km/hの範囲内で10 km/h単位で規制速度を決定している[21][17]
      • 事故多発箇所
      • 渋滞多発箇所
      • その他要注意箇所(トンネル部・分合流部等)
      • 安全施設の整備状況(防護柵等)
    • ただし、次の条件全てを満たす区間については、上限120 km/hの範囲内で規制速度を決定する。
      1. 構造適合速度が120 km/hであること
      2. 設計速度が120 km/hであること
      3. 実勢速度(渋滞の発生がなく、大型車混入率1パーセント未満である追越車線の平均速度)が100 km/h以上であること
      4. 死傷事故率が高くないこと
      5. 一定の距離において速度規制の連続性が確保されること(原則20キロメートル以上)
      6. 道路や交通の状況に照らし、交通流の安全・円滑上の支障がないこと。具体的には、次の事項を考慮すること
        • 片側2車線の場合は大型車混入率が低いこと
        • 完成型であること(暫定型でないこと)
        • 自由流率(渋滞のない時間帯の割合)が概ね6割を超えていること

構造適合速度

高速道路の規制速度を指定する際の目安とする速度[17][20]

  • 必須条件(道路構造令の値を採用)
    • 曲線半径・片勾配 (表参照) - 道路構造令第15条(曲線半径)の規定値算出に使用される曲線半径と片勾配の関係式[55]から設定
    • 視距 (表参照)
    • 合成勾配 (表参照)
  • 必要条件(道路構造令の特例値を採用)
    • 縦断勾配 (表参照)
  • 望ましい値(道路構造令の特例値を採用)
    • 車線幅員(3.5 m以上 120 km/h 3.5 m未満 80 km/h)(第1種第4級および第2種第2級の場合(基準を超えて確保された場合を除く)と、第2種第1級でやむを得ず縮小した場合に限り制限される)
    • 路肩幅員(1.75 m以上 120 km/h 1.75 m未満 80 km/h)(第2種の場合(基準を超えて確保された場合を除く)と、第1種第3,4級でやむを得ず縮小した場合に限り制限される)
  • 加減速車線長は、明確な規定は存在せず、「道路構造令の解説と運用」という解説書において標準値として示され、道路設計の際に参考にされている。速度規制では、加減速車線長は運用の幅が想定されるとして構造適合速度の要素に含めなかったが[17]、実際の運用で支障となる場合には最終的な規制速度の決定に影響を与えることもあると考えられる。
個別構造適合速度(曲線半径・片勾配)[20]
曲線半径(m) 個別構造適合速度 道路構造令の規定
(同じ設計速度の値)
道路構造令の特例値
(同じ設計速度の特例値)
片勾配(%) 以上 - 未満
0 - 1 1 - 2 2 - 3 3 - 4 4 - 5 5 - 6 6 - 7 曲線半径(m)
1134 1031 945 872 810 756 709 120 km/h (710) (570)
716 656 606 562 525 492 463 100 km/h (460) (380)
420 388 360 336 315 296 280 80 km/h (280) (230)
218 202 189 177 167 157 149 60 km/h (150) (120)
141 131 123 116 109 104 98 50 km/h (100) (80)
84 79 74 70 66 63 60 40 km/h (60) (50)
47 44 42 39 37 35 34 30 km/h (30)
21 20 19 17 17 16 15 20 km/h (15)
個別構造適合速度(視距)
視距 個別構造適合速度
210 m以上 120 km/h
160 m以上 - 210 m未満 100 km/h
110 m以上 - 160 m未満 80 km/h
75 m以上 - 110 m未満 60 km/h
55 m以上 - 75 m未満 50 km/h
40 m以上 - 55 m未満 40 km/h
30 m以上 - 40 m未満 30 km/h
30 m未満 20 km/h
個別構造適合速度(合成勾配)
合成勾配 個別構造適合速度
10%以下 120 km/h
10%を超え10.5%以下 80 km/h
10.5%を超え11.5%以下 50 km/h
個別構造適合速度(縦断勾配)
縦断勾配 個別構造適合速度
5%以下 120 km/h
5%を超え6%以下 100 km/h
6%を超え7%以下 80 km/h
7%を超え8%以下 60 km/h
8%を超え9%以下 50 km/h
9%を超え10%以下 40 km/h

ただし、構造適合速度や現地の状況にかかわらず警察庁は以下のような上限を設定している。

高速道路の最高速度の上限[21]
高速道路の車線 最高速度の上限
分離4車線以上 100 km/h
分離2車線 80 km/h
非分離2車線 簡易中央分離施設がある区間 70 km/h
上記以外の区間 60 km/h

これらの上限により、高速道路の対面通行暫定2車線)区間では、安全な区間であっても道路標識等によって最高速度70 km/hまたはそれ以下に指定される。暫定2車線でも、ワイヤーロープ式中央分離帯などにより対向車との衝突が防げる区間は最高80 km/hで指定される[56]。なお、非分離2車線区間に挟まれた分離4車線以上の区間長が3 kmに満たない場合は、その区間の前後の非分離2車線区間の規制速度(70 km/hまたはそれ以下の指定)と同じになる。

現実には規制速度が70 km/hの暫定2車線区間の実勢速度(85パーセンタイル速度)は100 km/h - 110 km/hの範囲であり[57]、規制速度との大きな乖離が見られる。しかし、暫定2車線区間は対向車との衝突による重大事故が懸念されるため、2021年時点でも70 km/hの上限は維持されている。

分離2車線の高速道路では、対向車との衝突による事故を防げるため安全であるが、最高速度は80 km/hまでに制限される。

規制区間長の考え方

高速道路の規制区間長の考え方(設計速度80 km/hの例)[17]
規制速度がインターチェンジ単位のような一律な規制とならないよう、速度の引き下げは最小限にする一方、ごく短い区間の引き上げ区間を統合する

速度規制は最小限にするべきであり、また、必要な場所に限って最高速度規制を行うことでドライバーに危険性を認知させることができる[17]。しかし、あまりに頻繁な最高速度の変更は交通に影響を与えるため、一般道路では規制区間は最小限にしながらも、規制区間長に留意して最高速度が決定されている[20]

高速道路においては、構造適合速度が前後の区間より低い場合の規制区間長は、最高速度を引き下げる区間は可能な限り短い方が良いので、当該区間を安全に走行可能とするための必要最小限の区間長とする。しかしながら、構造適合速度が前後の区間より低い箇所が近接しており、構造適合速度が高い区間がおおむね3 - 5キロメートル未満の場合は、最高速度を引き上げてもすぐに引き下げになるような「低い区間に挟まれた高い区間」を統合し、挟まれた高い区間でも低い構造適合区間とする[17][20]。その後、現地状況を考慮して最高速度を決定する。

なお、規制区間を統合する場合の区間相互の間隔はおおむね3 - 5 km未満とする[20]が、インターチェンジ間隔等の現地状況に留意して定める[17]


90 km/h以上の最高速度の指定時の問題

高速自動車国道において90 km/hおよび110 km/h以上の最高速度を指定する場合には、高速自動車国道での法定最高速度が80 km/hである大貨等(特定中型以上貨物自動車大型特殊自動車)、三輪自動車、牽引自動車に対して80 km/hの最高速度の指定を行う必要がある。これは原動機付自転車等のように「最高速度が指定されている区間であっても、その速度が法定最高速度を超える速度である場合には、法定最高速度」という規定がないため、仮に最高速度に90 km/hとだけ指定すると、法定最高速度100 km/hである車両のみならず、法定最高速度が80 km/hの車両も90 km/h制限となってしまうからである。

同様に自動車専用道路において90 km/h以上の最高速度を指定する場合は、特定の車種に対する80 km/h規制および、必要ならば最低速度(原則50 km/h[58])の規制を行う必要がある。

制度上は現在も補助標識によって大貨等・三輪・牽引を指定から除外すれば、二種類の標識がなくとも90 km/hおよび110 km/h以上の指定は可能である。しかし悪天候時に80 km/hを下回る交通規制を行う必要のある道路では、逆に悪天候時に大貨等・三輪・牽引が規制から除外されてしまい、仮に50 km/hに最高速度を引き下げたとしてもそれらの車両の最高速度が80 km/hになってしまうため、補助標識にも可変標識が必要となってしまい、結局複雑な制御が必要になってしまう。実際のところ最高速度120 km/h区間では二種類の標識が設置されている。

1992年以前は原動機付自転車についてもこのような規定がなかったため、一般道路においても40 km/h以上の最高速度を指定する場合には「高・中速車」等の補助標識によって「低速車」の区分であった原動機付自転車を指定から除外していた[59]

なお、最高速度90 km/hの指定は2013年時点で行われていないが、90 km/hの指定自体は可能である[60]


高規格幹線道路などで一般国道自動車専用道路に指定されている区間(「A'路線」・「B路線」)で、高速自動車国道並の規格で作られている区間では、法定最高速度は60 km/hであるが「100(大型貨物等・三輪・けん引を除く)」「80(大型貨物等・三輪・けん引)」「50(最低速度)」の3つの規制標識が掲示され最高速度の引き上げが行われている(仙台東部道路東水戸道路など)。

なお、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の川島IC - 久喜白岡JCT間は、自動車専用道路(法定最高速度60 km/h)であるが最高速度100 km/hの標識のみ設置されているため、大貨等・三輪・牽引の最高速度も100 km/hとなっている。また、最低速度は指定されていない。

いずれの場合も、標識の「けん引」の定義は「重被牽引車を牽引している牽引自動車」であるため[61]、同じく法定速度が80 km/hである車両総重量750 kg以下のトレーラー(けん引免許が不要なライトトレーラー)をけん引する牽引自動車は「大型貨物等・三輪・けん引を除く」の補助標識で除外されておらず、最高速度が100 km/hや120 km/hとなっている路線がある。

本線車道以外

インターチェンジサービスエリア等の出入路については設計速度40 km/h以上となるよう要請した上で、原則として設計速度と同じ速度に設定している。ジャンクションについては、設計速度に加えて接続している各道路の規制速度を勘案して決定している[20]。 低速区間、料金徴収施設及び本線車道終点の手前の区間並びに特に減速させる必要がある区間の手前では、ドライバーに減速を適切に行わせるため、おおむね300メートルの区間ごとに10 km/h又は20 km/h差で段階的に低い最高速度を指定する[20]


注釈

  1. ^ ライトトレーラーを牽引する自動車も含む(道路交通法施行令第27条第1項第1号イからハまで)。よって、ライトトレーラー牽引車も法定最高速度80 km/hとなる。この点で、道路標識等において車両の種類を指定する「けん引」とは定義が異なる。後者は、「重被牽引車を牽引している牽引自動車」(道路標識、区画線及び道路標示に関する命令別表第二の備考一の(六))である。
  2. ^ 「緊急自動車」とは緊急用務中と言う意味である。
  3. ^ 福岡高速道路における西鉄バスの路線バスなど。
  4. ^ ただし規制速度決定の在り方に関する調査研究検討委員会で委員長を務めた太田勝敏東洋大学教授は、2013年の交通事故抑止に資する取締り・速度規制等の在り方に関する懇談会での資料、わが国での速度規制のあり方について(メモ)で、実勢速度を引き下げて決定した40 - 60 km/hの基準速度を基にプラスマイナス10 km/hで設定する制限速度の設定方法を示しながら、速度規制の決め方での時速70 km/hの意味について触れており、基準速度の上限を60 km/hとしたことについては、一般道路の通常の制限速度の上限を70 km/hとする意味もあったと考えられる。ただし、後述するように補正にも制限が加わり、70 km/hへの上方補正は行わないことが決定され、制限速度の上限も60 km/hとなった。
  5. ^ 道路交通法では排気量50 cc以下 (電動機の場合は定格出力0.6 kW以下)の自動二輪車を原動機付自転車と定義している
  6. ^ 例えば、これ以外で下方補正されている要因として、主に住民の要望、工事中、隣接区間との整合などがある。資料
  7. ^ 電波法施行規則第33条第6号(5)に基づく平成2年郵政省告示第240号第1項第4号および第5号により、警察用の無線標定陸上局無線標定移動局の操作は、無線従事者を必要としない「簡易な操作」ではないため。

出典

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