最終処分場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/05 18:12 UTC 版)
諸外国の事情
廃棄物学会で行われた国際比較の研究[8]によると、日本の最終処分場は世界水準のトップにあたるという。これは、準好気性埋立による効率的な安定化と、焼却を中心とする中間処理が普及していることによる。 国際協力機構は、準好気性埋立の技術導入による事業をマレーシア、イラン、メキシコ、中華人民共和国、オセアニアなどで行い、評価を得たとしている[9]
- 開発途上国
- 財政に困窮する国が多く、大多数で社会基盤整備が廃棄物処理にまで及んでいない。先進国の廃棄物を受け入れる最終処分場が建設された場合、管理水準は期待できない。ほとんどの途上国では、有価物を拾い集めて生計を立てる人々(ウェスト・ピッカー)がリサイクルと廃棄物減量に大きな役割を果たしていて、その効果は10〜20%と試算されている[10]が、劣悪な生活環境の改善が必須である。
- 新興工業国
- 人口の集中と生活水準向上により、都市ごみの処理に苦慮している。これと並んで法整備の遅れや意識の低さによる産業廃棄物の未処理投棄が常態化し、環境汚染が急激に拡大していると見られている。適切な最終処分場の建設は重要・必要な対策だが、ほとんどの地域で手つかずの状態となっている。
- 旧東欧諸国
- 未処理投棄が多く、リサイクル、最終処分場の建設も進んでいない。焼却に対する抵抗感が強く、中間処理を行わず直接埋め立てる例が多い。さらに、社会主義政権時代の負の遺産として有害廃棄物の大量投棄地を抱える国もある。
- 欧州連合(EU)
- リサイクルに注力して成果をあげていたが、その反面で最終処分における中間処理は普及せず、有機性廃棄物の直接埋立が多かった。しかし1999年公布のEU埋立指令でこれが全面的に転換し、20年で3分の1とすることが決められた。埋立指令では、最終処分場として有機物、有害廃棄物、非有害廃棄物、安定廃棄物の4種が規定されている。また、中間処理が義務づけられた。
- ^ a b 【くらし探検隊】家庭のごみの一生をたどってみた*埋め立て ピークの10分の1『日本経済新聞』朝刊2021年7月24日土曜別刷りNIKKEIプラス1(11面)
- ^ 高レベル放射性廃棄物、最終処分場の候補地選び本格化 自治体誘致の流れ大切に SankeiBiz(2021年4月15日)2021年8月27日閲覧
- ^ 田中信寿『環境安全な廃棄物埋立処分場の建設と管理』技報堂出版 2000年
- ^ FULL SCALE APPLICATION OF IN SITU AEROBIC STABILIZATION OF OLD LANDFILLS
- ^ 準好気性埋立構造(福岡方式)の開発
- ^ 関口鉄夫『ゴミは田舎へ?』川辺書林 1996年[リンク切れ]
- ^ 田村建雄『産廃汚職 利権に群がる議員・業者・暴力団』リム出版新社 2006年 ISBN 978-4-89800-174-5
- ^ 松藤敏彦ほか『世界の埋立処分の現状と将来トレンドに関する研究』2004年廃棄物学会研究委員会廃棄物埋立処理処分研究部会小集会「循環型社会における埋立地のあり方を考える」(第15回廃棄物学会研究発表会・2004年11月・高松) 講演論文集 p.11-16/2021年8月27日閲覧
- ^ 技術協力プロジェクト「廃棄物管理改善プロジェクト」JICAの事例紹介
- ^ Observations of Solid Waste Landfills in Developing Countries:Africa, Asia, and Latin America
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