時計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/10 02:15 UTC 版)
表示方式
アナログ式
アナログ式は長針と短針を組み合わせた針式。通常、長針1回転が60分、短針1回転が12時間を表す。
ムーブメントに取り付けて時を示す目盛やマークなどを印した部品を文字板(文字盤、dial)という[3]。通常、円周の等分の位置にアラビア数字やローマ数字を配置した文字盤を用いる(12方向あるいは4方向に数字を置く)。背景に数字を入れないデザインのものもあるが、時計の針は同一の周回を回転しているため、上下方向が定まっていないと時刻を認識できないことになる。そのため、少なくとも実用的な時計においては、長針、短針、秒針が全て重なる方向を上向きに設置し、その時間を0時または12時に調整する(背景が無地の壁掛け時計など)。文字盤にはライト付きのものや蓄光のものがある[3]。
針の制御は全てが機械式機構で正比例するように動く物、ステッピングモーターなどで別々に動かす物が有る。
秒針の動きには、連続して流れるような秒針の動きのスイープ運針(スイープセコンド、連続運針、連続秒針、sweep motion second、sweeping motion second)と、1秒ごとに区切りながら動くステップ運針(ステップセコンド、ステップ秒針、step motion second、stepping motion second)がある[3]。また、一定時刻にまたは手動の操作でメロディーが鳴りリズミカルに運針する機能のあるものもある(メロディー運針、rhythmical motion)[3]。
機械的な針を使わずに、液晶であらかじめ形が作られた針を表示するものや、Apple Watchのようにドットマトリクスで針を表示するものもある。
- レギュレータ
- 長針・分針・秒針(秒針は無い場合もある)がすべて独立しており、同軸にないもの(文字盤もそれぞれ別々に独立している)。機械式時計の基本原理としてはこの形態になる(機械式時計の項参照)。
- 2針式
- 長針と短針のみで、2つが同軸にあるもの(秒針が付いていても同軸でないものを含む)。レギュレータに歯車を1個追加して分針を駆動している。
- 3針式
- 秒針が長針・短針と同軸にあるもの。2針式の機構に歯車を1 - 2個追加して秒針を駆動している。
- 4針式
- 秒針と長針、短針に加え、GMT針が同軸にあるもの[15]。GMT針は、24時間で一周する針で、時針と区別がつくようにしてある物が多い[15][16][17]。なお、GMTはグリニッジ平均時(英:Greenwich Mean Time)の略称である[16]。
アナログ式はほとんど12時間表示(12等分)であるが、24時間表示の数字を小さく併記するものもある。文字盤の時間間隔については、日長により変化する不定時法(一部の和時計など)のものもあるが、基本的に現代の時計は時間間隔が常時一定の定時法をとる。その他文字盤に多数の目盛りが追加され、クロノグラフ(秒・分・時)やカレンダーが針で表示できるものもある。日付や月齢などは回転する板を、穴からのぞくようにして文字盤地板に表示するものも多い。なお、「12時方向」や「3時方向」など、アナログ式時計の文字盤に見立てて方向・方角を表す方法をクロックポジションという。
基本的に右回りであるが、その理由として日時計が右回りであったためという説が有力である[18][19]。緯度・経度・季節により誤差はあるが、太陽の位置により大まかな方角を知ることが出来る[20]。
外装を通してムーブメントが見える時計をスケルトンという[3]。
デジタル式
デジタル式は、数字で直接表示する方式。デジタル式には12時間表示のものと24時間表示のものがあり。切り替え可能なものも多い。以下の方式の一部では、決められた数字や記号(コロンなど)が作りこまれているものとドットマトリクスの仕組み表示するものとがある。
- パタパタ時計 - 反転フラップにより文字盤が回転するもの。1980年代ごろに主に使われた。
- ニキシー管表示
- 電光表示
- 蛍光表示管表示
- ロータリーバー式 - 1つの数字につき7つの棒が回転して時刻を表示する。家庭用ではなく、設備時計に分類される。
- 液晶表示
- 有機EL表示
コンビネーション式
アナログ式とデジタル式、両方を備えたコンビネーション式時計。アナデジ、デジアナ、ハイブリッド式時計とも呼ばれる。
その他
注釈
- ^ 世界各地に、標準電波の発信基地はある。日本での標準電波の発信基地(電波送信所)は、福島県田村市都路地区(大鷹鳥谷山、40kHz)と佐賀県佐賀市富士地区(羽金山、60kHz)の2か所。電波時計の記事を参照のこと。
- ^ このため商用電源(日本では50Hzまたは60Hz)は、長時間で誤差が累積されないように、進み遅れの制御がなされている。後者は現在でもビデオテープレコーダなどのタイマー予約用時計に使われることがある
- ^ 同名の歌大きな古時計を絵本にしたもの。
- ^ 古い版の楽譜は3種類。『尋常小学読本唱歌』1912年発行(明治43年)、『尋常小学唱歌 第二学年用』1913年発行(明治44年)、『新訂尋常小学唱歌-第二学年用』1932年発行(昭和7年)
- ^ 初演の題名は「大きな古時計」ではなかった。ミミー宮島は吉本興業(東京吉本)所属の子供歌手兼タップダンサー。
- ^ 2000年代初頭の出版例。たのしい・えいごのうた ABCのうた・おおきなふるどけい (スーパーセレクション) (CD). 日本クラウン. September 2005.
- ^ NHKラジオの幼稚園・保育園むけリズム遊び番組「あそびましょう」で初演
出典
- ^ 精選版 日本国語大辞典「時計・土圭」
- ^ 『日本大百科全書』「時計」
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj “時計用語”. 一般社団法人日本時計協会. 2020年6月24日閲覧。
- ^ a b c 山本光正「村に時計がやってきた」郵政博物館 研究紀要 第9号 郵政博物館、2019年10月3日閲覧。
- ^ a b c 押田榮一「“What is time?”」日本日時計の会会報 第14号 日本日時計の会、2019年10月3日閲覧。
- ^ 精選版 日本国語大辞典「時計・土圭」の解説
- ^ 「図説 時計の歴史」p13 有澤隆 河出書房新社 2006年1月30日初版発行
- ^ 『世界文明における技術の千年史 「生存の技術」との対話に向けて』p66 アーノルド・パーシー 林武監訳、東玲子訳、新評論、2001年6月。ISBN 978-4-7948-0522-5
- ^ 『世界文明における技術の千年史 「生存の技術」との対話に向けて』p77 アーノルド・パーシー 林武監訳、東玲子訳、新評論、2001年6月。ISBN 978-4-7948-0522-5
- ^ 「図説 時計の歴史」p17 有澤隆 河出書房新社 2006年1月30日初版発行
- ^ 「図説 時計の歴史」p37 有澤隆 河出書房新社 2006年1月30日初版発行
- ^ 『ジョージ王朝時代のイギリス』 ジョルジュ・ミノワ著 手塚リリ子・手塚喬介訳 白水社文庫クセジュ 2004年10月10日発行 p.125
- ^ 「図説 時計の歴史」p36 有澤隆 河出書房新社 2006年1月30日初版発行
- ^ A mechanical or electrical device for measuring time, indicating hours, minutes, and sometimes seconds by hands on a round dial or by displayed figures.
- ^ a b “時計の針の呼び方には長針短針、秒針時針など同じ針でも別の言い方ある”. SUNDAY LIFE/時計のブログ. 2020年10月14日閲覧。
- ^ a b syohbido. “GMTの便利な使い方”. 懐中時計 スイス時計専門店 正美堂新着ブログ. 2020年10月14日閲覧。
- ^ “GMT機能とその使い方について - Chrono24マガジン”. www.chrono24.jp. 2020年10月14日閲覧。
- ^ 時計の針(はり)は、どうして右回りなの?
- ^ 時計の針はなぜ右回りになったのですか?
- ^ “アナログ時計で方角を知る方法 警視庁”. www.keishicho.metro.tokyo.jp. 2021年7月30日閲覧。
- ^ 1992年4月ギネス世界記録認定、2015年撮影。2022早秋 - 2023年のリニューアル工事前。
- ^ 「図説 時計の歴史」p35 有澤隆 河出書房新社 2006年1月30日初版発行
- ^ http://www.fhs.jp/jpn/origins.html 「原点から現在まで」スイス時計協会 2016年7月9日閲覧
- ^ 森田安一『物語 スイスの歴史』中公新書 p138-139 2000年7月25日発行
- ^ 「図説スイスの歴史」p70 踊共二 河出書房新社 2011年8月30日初版発行
- ^ 「興亡の世界史13 近代ヨーロッパの覇権」p183-184 福井憲彦 講談社 2008年12月17日第1刷
- ^ http://www.jcwa.or.jp/etc/history.html 「時計の歴史」一般社団法人日本時計協会 2016年7月9日閲覧
- ^ http://www.jcwa.or.jp/etc/history01.html 「日本の時計産業概史」一般社団法人日本時計協会 2016年7月9日閲覧
- ^ a b c d e f g h 「今日のスイスの時計産業」 スイス時計協会 2021年6月20日閲覧
- ^ 原題 Paul Owen Lewis (1989). P. Bear's new year's party!. : A Counting Book. Berkeley, CA: Tricycle Press. ISBN 978-1-58246-191-5. OCLC 671817083
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