春画
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海外流出と受容
幕末に起きたジャポニスムによって、西洋では浮世絵がもてはやされたが、春画は画題が猥褻であるとの理由から嫌われ、輸出には供されなかった。しかし、次第に外国人好みの美人画が不足していったことから、明治末期から大正にかけて局部を書き換えた春画や、複数の春画を切り張りして一枚の美人画に仕立て上げたものを輸出するようになっていった。こうして作られた美人画は現在も多数流通しており、真贋をめぐって裁判沙汰になったケースもある。
西洋に初めて春画が伝わった時期は明らかではないが、イギリスに初めて春画がもたらさられたのは、1614年に日本から帰航した東インド会社所有のクローブ号(日本に初めて来たイギリスの商船)と言われている[8]。日本で得た文物はオークションで売りさばかれたが、春画は猥褻であるとして、破棄された。優れた絵画として高く評価したのは、ジャポニズム時代のフランスの美術家たちである。美術評論家ジュール・ド・ゴンクールは、1863年の『日記』の中でいち早くその芸術性に言及したが、『日記』初版時にはその個所は削除された。「浮世絵の発見者」と称するゴンクール兄弟は春画のコレクションを多く所有し、春画の紹介に努めた[9]。ロダン、ロートレック、ピカソといった画家たちに影響を与えたと言われている。
以来、春画のコレクターは世界中に広がり、オークションや展示会も各地で行なわれるようになった。春画コレクションを持つ美術館は多いが、一般に非公開である。パリのフランス国立図書館は所有する大量の春画を「地獄」のコレクション(一般の閲覧を禁じたもの)に収蔵しているという[10]。ロンドンの大英博物館では、1960年代まで「シクレターム(秘密)」と呼ばれる部屋に春画を保管していたが[11]、2013年に大規模な展覧会を行なった[12][13]。
世界で春画が美術として高評価を得る様になると、ようやく日本でも美術館での春画の展覧会が、2015年(平成27年)10月に、東京都の永青文庫で企画展が開催される様になった。
- ^ a b c 車 2015, p. 48.
- ^ 枕草紙とはコトバンク
- ^ 王勇 「日本扇絵の宋元明への流入」、辻惟雄先生還暦記念会編『日本美術史の水脈』 ぺりかん社、1993年、pp.753-754、ISBN 4-8315-0595-1。
- ^ 浅野秀剛 「肉筆浮世絵の世界」(石田泰弘監修 福岡市美術館ほか編 『肉筆浮世絵の世界 -美人画、風俗画、そして春画-』 西日本新聞社 テレビ西日本、2016年8月8日、p.8)。
- ^ 三国古典の散歩崎岡洋右、文芸社, 2007
- ^ 林守篤 『画筌』。
- ^ 早川聞多 「眼からウロコの浮世絵春画」(石田泰弘監修 福岡市美術館ほか編 『肉筆浮世絵の世界 -美人画、風俗画、そして春画- 春画編』 西日本新聞社 テレビ西日本、2016年8月8日、p.6)。
- ^ Historic Japanese erotica reveals Tokyo’s sex secrets By Duncan Bartlett BBC World Service 1 October 2013
- ^ エドモン・ド・ゴンクールの歌麿、北斎 評釈に見る時代精神 (PDF) 太田康子、名古屋大学
- ^ 日仏芸術交流に新視点 150年機に新たな光 朝日新聞、2009年1月15日
- ^ インタビュー:ティム・クラークさん - 注目を集める大英博物館 「春画展」のキュレーターニュースダイジェスト、October 10, 2013
- ^ Shunga - Sex and Pleasure in Japanese Art runs at the British Museum from 3 October 2013 until 5 January 2014British Museum
- ^ 大英博物館学芸員による解説 大英博物館公式チャンネル
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