明楽
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/19 01:05 UTC 版)
現状
幕末から明治にかけて、明楽は絶滅寸前の状態であった。不幸中の幸い、明治年間に音楽取調掛(東京芸術大学の前身)が、鉅鹿氏の子孫から明楽の楽器や楽器図、楽譜図などの資料をまとめて購入したおかげで、明楽の資料は比較的よく残っている(現在これらの資料は東京芸術大学が所蔵)。
上述の『魏氏楽譜』には、「江陵楽」「蝶恋花」「喜遷鶯」「陽関曲」「賀聖朝」「昭君怨」「如夢令」など五十曲の楽譜が収録されている。唐宋の詩詞と同題名の曲も少なくない(例えば「陽関曲」の歌詞は、王維の七絶である)。今日の楽譜と違い、楽譜の肝心な部分は、弟子が肉筆で加筆するようになっている(師匠に手続きをふんで入門し、門人にならないと、楽譜を教えてもらえない仕組みになっていた。こうしたことは、江戸時代の芸道では、よく見られた)。
日本では明楽の楽器の現物のセットと『魏氏楽譜』という完備した楽譜が残っているのに対して、中国本土では明楽についての資料はほとんど残っていない。そのため『魏氏楽譜』(に書き込まれた楽譜)は、中国本土の音楽研究者にとっても第一級の資料となっている。
現在、明楽の再現演奏は、東京音楽大学付属民族音楽研究所の定例公開講座「伊福部昭の遺した明清楽器を聴く」[1]や、湯島聖堂での坂田古典音楽研究所の演奏などで聴くことができる。
脚注
参考文献
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- 坂田進一「魏氏明楽と姫路」(特別展「酒井宗雅の夢」図録パンフレット所収、2008年、姫路文学館)
関連項目
- ^ ほぼ毎年行われている。2017年は「伊福部昭の遺した明清楽器を聴く【其の7】 御座楽と明清楽」。YouTubeにも動画がある。
明楽と同じ種類の言葉
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