日産・スカイライン GT-R

日産・スカイライン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/19 14:28 UTC 版)

GT-R

日産・スカイラインGT-Rも参照

GT-Rは、C10型(通称:ハコスカ)から続くスカイラインの中でもサーキットでの使用を主眼にして開発(メーカーチューン)された車両である。乗用車ベースでありながらレースで勝つことを使命とし、スカイラインの他のグレードと違った装備やエンジンを搭載し、他の国産スポーツカーにも影響を与えるほどの車である。それゆえに熱狂的なファンが多く、エンジニアにも特別のこだわりがある。そのためにGT-Rの名を冠することが許されなかったモデルもあり、それがGT-Rの存在をより特別のものとしている。 「世界的に有名な3つのアルファベットがあります。G、T、Rです。私はここでお約束いたします。必ずGT-Rは復活します。」と2001年東京モーターショーのプレス・カンファレンスでカルロス・ゴーンCOO(当時)が“GT-Rコンセプト”を前に、プレゼンテーションの冒頭で発言した。徹底した合理化戦略ばかりが取り上げられることが多いゴーンにこのような内容を託したことからも、この車に懸ける日産の姿勢が伺える。この約束をカルロス・ゴーンは果たし日産・GT-Rを2007年10月24日第40回東京モーターショーで量産型を発表し2007年12月6日に販売されることとなる。 特にBNR32型からではあるが、海外のレースで大いに活躍した功績から、Rの評判は国内のみならず世界にもその名を知られており、ゴジラ(Godzilla)と呼ばれるほど浸透している[注 11]。それゆえに、スカイラインはほぼ日本販売専用車であるが、BNR32、BCNR33、BNR34のGT-Rが輸出業者の手により海外へと渡っている。評判は非常に高く、正規輸出としてもBCNR33型GT-Rのモデル末期に100台限定で、さらに、BNR34型GT-Rも同じくV-specが100台限定ながらイギリスや香港ニュージーランド左側通行国で販売された。

これは日産自動車側に「海外でも販売して欲しい」という要望が強かったことと、ル・マン24時間耐久レースに、「NISMO GT-R LM」として出場したことによりヨーロッパでの知名度が上がったこと、そして最大の理由は、イギリスBBCで放送されているトップ・ギアに出演しているジェレミー・クラークソンがBCNR33型の記事を寄稿したことによるものである。イギリスでは関税の影響で、日本円に換算すると1080万円する(日本仕様のV-specIIの新車価格は574.8万円)ことで、高所得層しか購入できなかったが、フェラーリ以上の価値(希少性)やステータスがあるというユーザーもあり、「スポーツ走行ができる程高性能なのに、家族も乗せられる」と、実用面に対しての満足度も非常に高い。英国の自動車誌では、「パフォーマンスとテクノロジーは最高だが、見た目は東京タクシーのようだ」と評されたが、この書き方は英国流のジョークであり、むしろ「外見が普通の乗用車的なのに中身はスポーツカー」というコンセプトが、新鮮なものとして受け入れられていることの裏返し的表現である。現に「カーガイ(クルマ好き)」には好感を持って迎えられた。なおこの計200台はいずれも数日で完売している。

その他、ドイツフランススイスアメリカUAEなどの右側通行国などへは個人輸出されたケースも多い(アメリカではによっては基準に適合していない車を入れることは法律違反となる場合もあり、業者が警察当局に拘束、収監されてしまったケースもある)。

  • SUPER GTで活躍するミハエル・クルムは日本国内でBNR34型GT-Rを2台購入し、モナコへ輸送している。
  • マニー・ラミレスもGT-Rを2台保有しており、高知に入団する以前にプライベートで日本を訪れチューニングショップに依頼して約2千万円をかけて改造した[40]。高知入団後も岡山市内のチューニングショップに依頼して改造している。

英国仕様は、日本仕様とは特に大きな差異はないが、BNR34型は現地の法規に合わせた対応(セキュリティの強化やヘッドライトのハロゲンバルブ化(保安基準に適合しなかったための変更)、スピードリミッターを欧州の自主規制値である250km/hへ引き上げ、および200マイル/hスケールスピードメーターの採用等)や、後に国内仕様のMスペックにも採用された本革シートが装備されている(英国仕様の本皮はコノリー社により手作業で張られたもので、日本のラインナップにはなかった赤色表皮も選択でき、一応日本でもNISMOから20脚限定で発売されていた)。

ハコスカ時代、初代GT-Rが発売される前年の1968年東京モーターショーには市販直前型のプロトタイプが参考出品されているが、この時点ではまだ「スカイラインGTレース用スポーツ車」とありエンブレムも「2000GT」でGT-Rの名は明かされておらず、2代目スカイラインのホットモデルに付けられたGT-AおよびGT-Bの流れを汲み、市販時にはGT-Cとなるとの噂もあった。ただしこの出品車は、通常のGTのエンブレムの地が青だったのに対し赤く塗られていた。またエンジンのカムカバーも量産型のS20エンジンとは異なるデザインであった。

GT-Rはストックの状態で、すでにチューニングカーとしての完成度が高いことから、むやみに手を入れることを嫌うオーナーが多い。また標準のGTにGT-Rのエンブレムをつけたりバンパーを移植するなどして、GT-Rっぽく見せるチューニングも多く行われることからGT-Rのスタイルの人気が伺える。

ただハコスカ時代は、S20エンジンはレース用エンジンを公道用に無理やりデ・チューンした物であり、レース用にチューンにしてこそ生きるエンジンであった。事実ノーマルのエンジン特性はストリートは使い辛く、ともすればL28登載車の方がストリートでは使い勝手が良かった。そこで当時は標準のGTに、安価で入手できたセドリック/グロリアのL28エンジンに載せ換える事が流行した。ゆえに外装はGT-R、しかし3ナンバーが多く見受けられる。


注釈

  1. ^ 1960年代初頭までの自動車は、ほこりや砂などでエンジン内が磨耗を起こしがちであったため、ライナーを打ち込んで内部を研削し磨耗代を復元するためのヘッド開閉は頻繁で、これを長期不要としたのは画期的であった。長く用いられた在来エンジンの設計を踏襲してはいるが、「封印エンジン」が実現したのは、材質の改良や、内部の表面加工改良のたまものである。
  2. ^ トヨタ・セリカのターボモデルの設定はA60型にモデルチェンジされた1年2ヵ月後の1982年9月である。A60型セリカの姉妹車種で、同年10月にターボモデルを設定したトヨタ・コロナ(T140型)も、日産・ブルーバード(910型)と、CMキャラクターやキャッチコピーで対抗しあっていた。
  3. ^ 開発主管の伊藤修令は、自身の初見での印象が芳しくなかったことと、周囲の反応から、発表前の時点で危機感を抱いていたことを証言している[14]
  4. ^ ワゴンは1990年発売のアベニールと1996年発売のステージアが後継車となる。
  5. ^ 1991年にはV6エンジン(VG20E)を搭載するグロリアが採用されたが、その後同じRB20Eを積むクルーを投入。
  6. ^ ランサーエボリューションも限定販売→増産というパターンはよくとられているが、即日で完売した例は最近ではNür以外にはない。
  7. ^ 型式認定を受けない改造車のため、書類上持ち込み登録の販売となる。
  8. ^ 神奈川県警察もR32、R33と導入しているが、R34型は導入していない。
  9. ^ HRは高回転型(High Revolving)の略。
  10. ^ バルブ作動角・リフト量連続可変システム。
  11. ^ 最初にゴジラとして紹介したのはオーストラリアのWheels magazineである。

出典

  1. ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第30号3ページより。
  2. ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第86号1ページ。
  3. ^ 第45回:『トリノの風薫る』プリンス・スカイラインスポーツ(1962-63)(その4) 【これっきりですカー】 - webCG
  4. ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第99号11ページより。
  5. ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第4号7ページより。
  6. ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第11号3ページより。
  7. ^ 美瑛町観光協会 - 観光名所ケンとメリーの木”. 2021年9月24日閲覧。
  8. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第13号7ページより。
  9. ^ a b 【昭和クルマ列伝】セリカの挑発で始まった馬力競争 スカイラインもターボで逆襲 産経WEST 2015年10月24日
  10. ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第4号9ページより。
  11. ^ a b c d 『昭和55年 写真生活』(2017年、ダイアプレス)p87
  12. ^ 『NISSANスカイラインRSのすべて』三栄書房、2017年3月1日。 
  13. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第56号7ページより。
  14. ^ 「R31の父、語る。」 『R30&R31 Magazine オレたちのスカイライン』三栄書房〈サンエイムック Domestic Tuning & Racing Car Series〉、2018年、140頁。ISBN 978-4-7796-3476-5 
  15. ^ 『これが幻のV6エンジン搭載R31スカイラインだ!』生産台数5台、櫻井眞一郎氏の魂が込められた超レアモデルの真実 - WebOption・2021年8月12日
  16. ^ a b 「GT-R」の称号が16年ぶりに復活! R31での悔しさを晴らしたかったR32商品主管・伊藤修令氏の想いとは - CarView・2022年7月25日
  17. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第71号5ページより。
  18. ^ 今だから話せるスカイライン秘話『無謀と言われたR32』【水野和敏が斬る】ベストカーweb2017年5月31日配信記事。2022年1月30日確認
  19. ^ スカイラインオーテックバージョンR32 公式サイト
  20. ^ 当摩節夫「カタログでたどる歴代スカイライン-R32、R33、R34型を中心として-」 『スカイライン R32、R33、R34型を中心として』三樹書房、2017年、59頁。ISBN 978-4-89522-684-4 
  21. ^ スカイライン(日産)1989年5月〜1993年7月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
  22. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第87号3ページより。
  23. ^ スカイラインGT-R 40th ANNIVERSARY AUTECH VERSION 公式サイト
  24. ^ スカイライン(日産)1993年8月〜1998年4月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
  25. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第31号7ページより。
  26. ^ スカイライン(日産)1998年5月〜2001年5月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
  27. ^ ニスモの技術を結集した"世界最強のロードゴーイングカー"「NISMO R34GT-R Z-tune」20台限定発売”. NISMO (2004年12月20日). 2022年7月4日閲覧。
  28. ^ 【期待が外れた】日産 スカイライン V35型…こんなカタチで自ら終わらせなくても
  29. ^ スカイライン(日産)2001年6月〜2006年10月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
  30. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第38号7ページより。
  31. ^ スカイラインクーペ(日産)2003年1月〜2007年9月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
  32. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第48号7ページより。
  33. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第92号9ページより。
  34. ^ 新型スカイラインの受注状況について 日産自動車プレスリリース
  35. ^ 新型「スカイライン」を発表 - 日産自動車 ニュースリリース 2013年11月11日(2013年11月12日閲覧)
  36. ^ 日産が7年ぶり新型スカイライン 13代目は初のHV msn産経ニュース
  37. ^ 「新型スカイライン」の想定顧客 実は600人位しか実在しない? – ガジェット通信
  38. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第100号(最終号)17ページより。
  39. ^ 日産 / TECHNOLOGY / TOP / 車両搭載技術 / プロパイロット 2.0 (インテリジェント高速道路ルート走行)”. 2019年12月11日閲覧。
  40. ^ 週刊文春,2017年1月26日号pp.132-133『史上最強助っ人ラミレスは日産GT-Rの走り屋だった』
  41. ^ JAF公式サイト 第二回日本グランプリレース GT-IIクラス結果
  42. ^ JAF公式サイト 第二回日本グランプリレース T-Vクラス結果
  43. ^ JAF公式サイト 第二回日本グランプリレース T-VIクラス結果
  44. ^ ラリーインフォドットコム






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