日焼け 治療

日焼け

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/13 13:02 UTC 版)

治療

アメリカ熱傷協会では以下のような治療が紹介されている。香料やエタノールを含まないもので日焼けの部位を保湿し、石鹸で過剰に洗わない[2]。脱水に注意し、飲酒やカフェインを避ける[2]。1日に数度冷たいシャワーや湿布を使い、体温の低下のしすぎにも注意する[2]アセトアミノフェン (NSAIDs) といった鎮痛剤を使用でき、子供にはアスピリン (NSAIDs) は使わない[2]。複数の水疱、感染の兆候がある水疱の濁りでは医師に相談する[2]

メルクマニュアルによれば、軽度の場合は冷水湿布や保湿剤も効果があるものの、皮膚に刺激を与える恐れがある麻酔薬や香料が含まれていないものを選択する[4]

日本の研究者[誰?]によれば、重度の場合の第一選択はステロイド外用薬であるが、効果は極めて限定的とされている[3]。炎症の沈静化と疼痛の緩和には非ステロイド系抗炎症薬 (NSAIDs) が有効である。なお、ステロイドの全身投与の有効性には疑問を呈する見解がある[3]

日焼けによるリスク

日焼けの危険性として皮膚がんのリスク増加が指摘される。紫外線が直接DNAを損傷することが原因となる[3]。通常、この損傷はほとんどが修復される。しかし、色素性乾皮症のように修復機能が欠損するケースでは、紫外線暴露による皮膚ガンが極めて起こりやすいことが知られている。また、日焼けは稀に全身性エリテマトーデス発症のきっかけになるともされている[5]

2004年における10万人毎の皮膚がんによる死亡者数(年齢標準化済み)[6]
  no data
  0.7以下
  0.7-1.4
  1.4-2.1
  2.1-2.8
  2.8-3.5
  3.5-4.2
  4.2-4.9
  4.9-5.6
  5.6-6.3
  6.3-7
  7-7.7
  7.7以上

かつては[いつ?]欧米諸国において、日焼けは、個人の太陽に対する防御機構を増進するものとして望ましいものと捉えられていた。北ヨーロッパのような高緯度地域では、乳幼児の間でビタミンD不足によるくる病が発生することがあった。現在では白人の間でくる病の発生は稀になっている。肌の色の濃いインド系やアフリカ系の人々がイギリスなどの高緯度地域に移住した場合、ビタミンD欠乏症を発症することが多く、イギリスでは南アジアやアフリカ系の移民の子供達の間で、くる病の多発が問題となっている[要出典]

近年[いつ?]、医学的に日焼けによってシミ、そばかすを増やし、皮膚を老化させ、皮膚癌白内障を発症、誘発し皮膚の免疫力までも低下させると言われるようになった。ファッションとして日焼けする場合にも日焼け止めの使用を推奨している[要出典]

なおヒトにおいては、日焼け止めクリームを使わない場合、午前10時から午後3時の日光を少なくとも週に2回、5分から30分の間、顔、手足、背中に浴びることで十分な量のビタミンDが体内で生合成される(夏では10-20分で十分だが、冬の場合、北海道では139分、茨城県では41分が必要になる)[7][8]

皮膚癌(がん)発生リスク

紫外線を受けること(天然、人工、問わず)が皮膚を老化させたり皮膚癌や白内障を発症、誘発すると指摘されている[9][10][信頼性要検証]

チミン二量体の生成によるDNA損傷。
チミンの光二量体。左:胞子の光生成物。右:シクロブタンピリミジン二量体。

紫外線のうちのUVBは、皮膚がんを引き起こす。生物のDNAは吸収スペクトルが 250 nm 近辺に存在しており、紫外線が照射されると、皮膚等の細胞中のDNAを構成する分子は励起される。このDNA分子の励起は、DNA螺旋を構成する「はしご」を切り離し、隣接する塩基で、チミン-チミン、シトシン-シトシン等の二量体を形成する。これの二量体は、通常生成することはなく、DNA配列の混乱、複製の中断、ギャップの生成、複製のミスを発生させる。これは、がん等の突然変異を引き起こす。 紫外線による突然変異は、バクテリアにおいて簡単に観察される。これは、地球環境問題でオゾンホールオゾン層の破壊が懸念される理由の1つである。

DNA分子の損傷は1日1細胞あたり最大50万回程度発生することが知られており、その原因は、正常な代謝活動に伴うもの(DNAポリメラーゼによるDNA複製ミス)と環境要因によるもの(紫外線など)がある。それぞれに対応し、DNA修復には定常的に働いているものと、環境要因などによって誘起されるものがある。 DNA修復速度の細胞の加齢に伴う低下や、環境要因のよるDNA分子の損傷増大によりDNA修復がDNA損傷の発生に追いつかなくなると、以下のいずれかの運命をたどることになる。

なお、皮膚がんは、米国の全がん発生比率では、男性で5%、女性で4%を占めている[要出典]。全がん死亡比率では、この割合はさらに低くなる。

依存症

太陽光には、リラックス効果や、気分を高揚させる神経伝達物質エンドルフィンの分泌を促すため、人は日焼けをすることによって快楽を得る。この快楽を味わいたいがために、日焼け依存症に陥る人がいる。研究者[誰?]によると、これはヘロインの依存症に似ており、皮膚がんになっても日焼け用ベッドを使い続ける人や、友人や親から金を盗んで日焼けサロンに通う人などの実例もある[12]

上手な日焼けと対策

紫外線にさらされると、表皮に色素沈着を助長する。しかし、どうしても小麦色に肌を焼きたい場合は、皮膚にダメージを与えないように注意する。肌に負担をかけない日焼けの方法としては、サンバーン(炎症)を決して起こさないことである。

日焼けの方法

日傘やビーチパラソルを使ったり、帽子(サンバイザー)や紫外線を通しにくい衣類を着用し、露出部位については日焼け止めを使う。

太陽光下では最初にサンスクリーン剤(日焼け止め)をムラなく肌に塗付し、サンバーン(炎症)を起こすUVBをカットしながら段階的に焼いていく。海水浴などへ行った初日から長時間、太陽光下で焼くことは非常に危険である。個人差はあるが太陽光線に対しての抵抗力つまり、慣光性を超えて日焼けしてはならない。

  1. 午前10時から午後2時までの太陽光線の強い時間帯を避ける。
  2. 日光浴の時間は1日当たり合計で3時間を超えない。
  3. 日焼け直後は肌が乾燥した状態なので、化粧水や乳液などで保湿を行う。
  4. 赤みを感じる時は冷やしタオルなどでほてりを抑え、消炎ローション(カーマインローションなど)を塗る。

上記の作業を数日間のあいだ繰り返し、日数を経て、ある程度肌の色が褐色に変化したら、ようやくサンオイルに切り替える。つまりサンバーンを防ぎ、皮膚を急激な炎症から守ることで初めて、肌をムラなく黒く焼くことが可能になる。

日焼け止めをしない場合、日光に直接当たる場所と服などに覆われた場所とで焼け方が異なることになる。こういった跡を見ることにより、どれだけ日に焼けたかを日焼け後に確認することができる。通常、このような跡は服を着た場合に隠れてしまう部位なので日常生活では問題にはならない。しかしサングラスやスキーゴーグルなどを着けていて目の周りに跡ができた場合には、見た目上不恰好に見えることがある。

日焼けサロン使用の場合

日焼けマシーン

ファッションとして、意図的に肌に紫外線を浴びせて黒くすることを商売とする日焼けサロンもある。紫外線には大きくA波・B波・C波と分かれる。この中のA波B波が大きく日焼けに作用する。B波比率が高い紫外線ランプを極力使わないのが、むらなく綺麗に焼くコツであり、必要以上のB波は黒くなるのとは無関係で不必要である。

国際がん研究機関が2009年に行った発表で、UVAにもUVBと同じように発がん性があることが確認された[要出典]

紫外線はUVA(長波長紫外線)は目を閉じていても、瞼を通過し、水晶体に悪影響があると考えられているため 海外の日焼けサロンでは、保護グラス(水泳 ゴーグルに形状が近い物)の着用が常識である。

アフターケア

日焼け後に皮膚が浮き、めくれてくることがあるが無理には剥がさないようにする。自然に剥がれてきたら薬品やクリームなどで、皮膚の手入れを行う。日焼けの後のケアを継続することで、沈着しているメラニン色素は新陳代謝により(あか)となって剥がれ落ち、日焼けによるシミやソバカスは徐々に薄くなり、やがて消えることになる。

顔の皮膚を光損傷し、その程度が軽症から中等度の19人にランダム化比較試験を実施し、ビタミンCセラムの外用薬は偽薬よりも、シワ、たるみなどを改善した[13]


  1. ^ 上出良一「紫外線防御の皮膚科学的意義」『日本化粧品技術者会誌』第30巻第3号、1996年、265-272頁、doi:10.5107/sccj.30.265 
  2. ^ a b c d e f g "Summer Burn Safety Educator's Guide" (PDF) (Press release). American Burn Association. 2019年7月4日閲覧
  3. ^ a b c d 上出良一:太陽紫外線による皮膚障害―サンバーンの治療― 日本皮膚科学会雑誌 Vol.124 (2014) No.6 p.1115-1119
  4. ^ 日焼け メルクマニュアル
  5. ^ 大西 俊造、梶原 博毅、神山 隆一 編集『スタンダード病理学 (第2版)』 p.489 (右側中央部) 文光堂 2004年3月30日発行 ISBN 4-8306-0449-2
  6. ^ a b WHO Disease and injury country estimates”. World Health Organization (2009年). 2009年11月11日閲覧。
  7. ^ Holick MF (July 2007). “Vitamin D deficiency”. The New England Journal of Medicine 357 (3): 266–81. doi:10.1056/NEJMra070553. PMID 17634462. 
  8. ^ Holick, Michael F. (February 2002). “Vitamin D: the underappreciated D-lightful hormone that is important for skeletal and cellular health”. Current Opinion in Endocrinology & Diabetes 9 (1): 87–98. doi:10.1097/00060793-200202000-00011. 
  9. ^ フロンによるオゾン層の破壊」『昨日今日いつかくる明日~読切り「エネルギー・環境」』2008年、ISBN 978-4434116209
  10. ^ 5・6班テーマ学習:日焼けについて”. 大分大学医学部・医学系研究科. 2015年3月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年2月10日閲覧。
  11. ^ a b Jemal A, Siegel R, Ward E et al. (2008). “Cancer statistics, 2008”. CA Cancer J Clin 58 (2): 71–96. doi:10.3322/CA.2007.0010. PMID 18287387. オリジナルの2011年7月3日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110703021822/http://caonline.amcancersoc.org/cgi/content/full/58/2/71. 
  12. ^ “がんになっても、窃盗してでも… 日焼けサロンに依存する人々”. フランス通信社. (2015年9月29日). https://www.afpbb.com/articles/-/3060252 2015年10月31日閲覧。 
  13. ^ Traikovich SS (October 1999). “Use of topical ascorbic acid and its effects on photodamaged skin topography”. Arch. Otolaryngol. Head Neck Surg. (10): 1091–8. PMID 10522500. 
  14. ^ Garland, CF; Garland, FC; Gorham, ED; Lipkin, M; Newmark, H; Mohr, SB; Holick, MF (2006). “The role of vitamin D in cancer prevention”. American journal of public health 96 (2): 252–61. doi:10.2105/AJPH.2004.045260. PMC 1470481. PMID 16380576. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1470481/. 
  15. ^ “Vitamin D 'can lower cancer risk'”. BBC News. (2005年12月28日). http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/4563336.stm 2006年3月23日閲覧。 
  16. ^ Gorham, ED; Garland, CF; Garland, FC; Grant, WB; Mohr, SB; Lipkin, M; Newmark, HL; Giovannucci, E et al. (2007). “Optimal vitamin D status for colorectal cancer prevention: a quantitative meta analysis”. American journal of preventive medicine 32 (3): 210–6. doi:10.1016/j.amepre.2006.11.004. PMID 17296473. 
  17. ^ Garland, CF; Mohr, SB; Gorham, ED; Grant, WB; Garland, FC (2006). “Role of ultraviolet B irradiance and vitamin D in prevention of ovarian cancer”. American journal of preventive medicine 31 (6): 512-4. doi:10.1016/j.amepre.2006.08.018. PMID 17169713. 






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