日本教職員組合 概説

日本教職員組合

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/02 09:04 UTC 版)

概説

現存する日本の教職員組合の中で最も歴史が古く、規模も結成以来一貫して日本最大の教職員組合である[3]日本国憲法や改正される前の教育基本法の精神を基本に、民主主義教育の推進と教職員の大同団結をめざすとしている。

教職員の待遇改善、地位の向上、教職員定数の改善をはじめとする教育条件の整備などを主な目的として活動している。2007年の教育基本法改定、教員免許更新制導入に反対する運動など、教育課題に直接関係する活動のほか、政治的な活動も行っており[4]入学式卒業式国旗掲揚及び国歌斉唱を求める文部科学省の指導[5]に対しては、様々な教職員に対する処分の実態などを背景にして「強制」であるとして批判的な立場をとる。

日教組の政治活動が大きな問題となった例としては、日教組系の山梨県教職員組合による政治献金問題や、教職員組合の政治活動問題などがある(詳細は下記の『教職員組合の政治活動への批判』などを参照)。

55年体制下では、他の総評系官公労と同じく、社会党を支持する有力労働組合の一つであったが、かつては共産党支持のグループも日教組に属し、共産党支持グループからなる反主流派が約3分の1の勢力を持っていた。1989年の労組再編[6]共産党支持グループの大多数が日教組を離脱し、全教を結成。日教組内の反主流派はごく一部を残すのみとなった。(後述)

2018年現在では立憲民主党支持が中心であるが、岩手県大分県など社会民主党を軸に支持するところや、広島県のように新社会党を支援するところもある(大分県の例については大分県教職員組合を参照)。

NGOであるEducation International(EI)に加盟している[7](EIには米国の全米教職員組合など世界のほとんどの教職員組合がメンバーで[8]ある)。

国立公立私立幼稚園小学校中学校高等学校特別支援学校大学高等専門学校専修学校各種学校などの教職員で構成する組合と、教育関連団体スタッフによる組合を単位組織とする連合体組織」と、自己規定している。現状では小学校、中学校、高等学校の教職員が組合員の大半を占めている。

文部科学省が毎年10月1日に実施している教職員団体への加入状況調査や、厚生労働省が毎年6月30日に実施している労働組合基礎調査などから、日教組の加入者数が緩やかな減少傾向にあることが明らかになっている[9]

現状

かつて、日教組の組織の形態は法人格のない社団であり、そのことに起因する活動範囲、権利能力及び財産管理など(団体名義による契約締結及び口座開設並びに登記などができないこと)の問題を改善するために法人格取得への動きがあったが、難航していた。2021年時点では、法人格がある[10]

かつては日本の学校教育に大きな影響力を持ち、文部省(現在の文部科学省)が教育行政によるトップダウン方式で均質かつ地域格差のない教育を指向するのに対し、現場の教員がボトムアップ方式で築く柔軟で人間的な教育を唱え、激しく対立した。その後、1994年(平成6年)に日本社会党委員長村山富市を首班とする村山内閣自社さ連立政権)が誕生した。そして、1995年(平成7年)、日本教職員組合は、文部省(当時)との協調路線(歴史的和解)へと方針転換を表明した。

組織内候補として日本民主教育政治連盟(日政連)に所属する議員を推薦して、国会に送り込んでおり、連合に所属する産別の中では、政治的影響力は大きいとされる。国会議員では衆議院議員横光克彦川内博史本多平直道下大樹参議院議員には水岡俊一那谷屋正義斎藤嘉隆鉢呂吉雄がいる。

組織

本部組織

  • 大会
  • 中央委員会
  • 中央執行委員会
    • 総務局(総務、財務)
    • 組織局(組織、国際、広報)
    • 高等学校・大学局
    • 教育文化局(教育政策・文化・研究)
    • 生活局(生活、賃金、法制)
    • 専門部・対策委員会
      • 幼稚園部
      • 現業職員部
      • 障害児教員部
      • 養護教員部
      • 実習教員部
      • 事務職員部
      • 栄養職員部
      • 青年部
      • 女性部
      • 書記対策委員会
      • 臨時採用教職員等対策委員会
      • 学校図書館対策委員会

地方組織

  • 都道府県の単位組合(詳しくは#加盟組合を参照)
    • 地域ごとの単位組合
      • 学校ごとの単位組合

独立機関・所属機関

  • 国民教育文化総合研究所(教育総研):シンクタンク
  • 国立大学・公的機関交流センター(UIPセンター)
  • 日本国公立大学高専教職員組合(日大教)
  • 日本私立学校教職員組合(日私教)

組織率

公立小・中・高等学校における組織率及び組合員数は、文部省及び文部科学省発表による。単組数は直接的な下部組織のみ。

  • 1958年(昭和33年):86.3%(調査開始時)
  • 2003年(平成15年):30.4%、76単組、組合員数約31万8,000~33万人
  • 2004年(平成16年):29.9%、76単組、組合員数約31~32万2,000人
  • 2006年(平成18年):28.8%、76単組、組合員数約29万6,000人
  • 2007年(平成19年):28.3%、76単組、組合員数約29万人
  • 2017年(平成29年):22.9%、(調査なし)、組合員数約23.5万人[11]

都道府県で組織率に格差があり、山梨県静岡県愛知県新潟県福井県三重県兵庫県大分県北海道、大阪東部などで比較的高い組織率を保つ一方、栃木県岐阜県愛媛県など、ほぼゼロのところ、和歌山県のように、和歌山市に200~300人がほぼ集中しているところ、京都府のように、100人前後を組織するにとどまっているところもある。

新採用教職員に限った場合、その加入者数は約6,800人で、加入率は約19.2%(2017年10月1日現在)[11]である。

また、厚生労働省による「労働組合基礎調査」によれば、私立学校教員や大学教員、教員以外の学校職員を含んだ組織人員は約23万6,000人[12](2017年6月30日現在)である。

組合歌

正式な組合歌は「日本教職員組合歌」であるが、現在、集会などでよく歌われているものは、日教組が公募して「君が代」に代わる国歌として1951年に選ばれた「緑の山河」である。




  1. ^ 平成29年労働組合基礎調査の概況 附表2 主要団体別労働組合員数の状況 厚生労働省 2017年12月25日
  2. ^ [1]“英語より韓国語、中国語教育を!” 子に自虐史観を植え付ける「日教組」集会レポート
  3. ^ 文部科学省の調査によれば、教職員組合加入者(教職員全体の半数弱)全体の中で日教組組合員の占める割合は約6割、新採用教職員の中で教職員組合に加入する者(新採用教職員全体の4分の1強)のうち日教組の占める割合は約8割である。
  4. ^ a b c SAPIO2008年11月26日号[要ページ番号]
  5. ^ 文部省が根拠とする国歌国旗法は定義法であり、首相答弁でも強制はされないとされている
  6. ^ 日本の労働運動史参照。
  7. ^ EI教育インターナショナルの概要
  8. ^ Education International
  9. ^ “教職員団体への加入状況に関する調査結果について” (プレスリリース), 文部科学省, (2008年12月25日), http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/12/1217805.htm 2010年6月17日閲覧。 
  10. ^ 日本教職員組合の情報”. 法人番号公表サイト. 国税庁. 2021年1月24日閲覧。
  11. ^ a b 教職員団体への加入状況について”. 文部科学省. 2018年9月5日閲覧。
  12. ^ 平成29年労働組合基礎調査の概況 附表2”. 厚生労働省. 2018年9月5日閲覧。
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  15. ^ 日本大百科全書(小学館) 大野喜実・川崎忠文
  16. ^ http://db.jil.go.jp/cgi-bin/jnk01?smode=dtldsp&detail=S19970609008
  17. ^ 『週刊労働ニュース』1980年5月19日号同1980年9月3日号同1981年5月25日号
  18. ^ 『週刊労働ニュース』1986年9月8日号同1987年3月16日号同1988年2月8日号など
  19. ^ 『週刊労働ニュース』1989年9月11日号
  20. ^ http://db.jil.go.jp/cgi-bin/jnk01?smode=dtldsp&detail=S19891218013
  21. ^ http://db.jil.go.jp/cgi-bin/jnk01?smode=dtldsp&detail=S19900305010
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  25. ^ 1992年1月29日毎日新聞
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  28. ^ グランドプリンス新高輪は、自民党が党大会の会場にも利用している。2008年にも、1月17日に党大会を開催したばかりだった。この時も右翼団体の街宣車が会場にやって来たが、それを理由にプリンスホテルが自民党の利用を断ったことはない(もっとも、右翼団体が、日教組に対しては自民党より遙かに力を入れているという事情はある)。
  29. ^ 読売新聞2008年2月3日
  30. ^ 『朝日新聞』2月2日、『毎日新聞』2月2日、『中日新聞』2月2日、『読売新聞』2月3日、『産經新聞』2月10日
  31. ^ 日教組ホテル利用拒絶に関する会長談話 日本弁護士連合会
  32. ^ 日教組・第57次教育研究全国集会(全体集会)中止の決定についての談話
  33. ^ 旅館業法は、伝染病や違法行為の恐れがある場合を除いて、ホテルは宿泊を拒否できないと定めている。
  34. ^ 毎日新聞 2006年12月17日付記事より[要ページ番号]
  35. ^ 西村幸祐 (2010年3月9日). “【民主党を支援する日教組の暗部】善意の寄付でマネーロンダリングか”. 夕刊フジ (産経新聞社). http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100309/plt1003091617002-n2.htm 2010年3月11日閲覧。 [リンク切れ]
  36. ^ “日本教職員組合ホームページ 子供救援カンパの使途”. 日本教職員組合. (2009年6月3日). http://www.jtu-net.or.jp/syun0906e.html 2010年7月2日閲覧。 
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  42. ^ 例えば、「大分県教育委員会汚職事件」の直後であったからか、大分県が組織率が高い県であることとを結びつけて、勉強しない先生の子供でも教師になれるなどとも批判した。
  43. ^ 【主張】中山国交相辞任 信頼失う言動くり返すな 産経新聞[リンク切れ]
  44. ^ 「水差された」自民議員怒り…中山国交相は辞任後も持論[リンク切れ]読売新聞2008年9月28日22時54分
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  46. ^ 保守系雑誌の正論2008年9月号では日教組にメスを入れろとの、日教組に対する批判もある。その中で大分県は日教組の影響が強い県としている
  47. ^ 共同通信2008年9月27日
  48. ^ 9月29日10時19分時事通信配信[リンク切れ]
  49. ^ 「日教組強いと学力低い」中山説、調べてみれば相関なし 朝日新聞2008年9月27日[リンク切れ]
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  74. ^ 豪遊W不倫の日教組委員長、辞任必至 タクシー代私的流用報道「指摘通りです」[リンク切れ]






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