日本弁護士連合会
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日本弁護士連合会 | |
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弁護士会館 | |
略称 | 日弁連 |
所在地 |
東京都千代田区霞が関一丁目1-3 弁護士会館 |
創立 | 1949年(昭和24年)9月1日 |
法人番号 | 6010005003966 |
会長 | 渕上玲子 |
会員数 | |
弁護士 (うち女性) |
45826 (9208) |
沖縄特別会員 | 3 |
外国特別会員 | 495 |
公式サイト | |
2024年4月1日現在 |
業務
日弁連は、弁護士・弁護士法人・弁護士会の指導・連絡・監督・弁護士会への入会資格審査・懲戒に関する事務を扱うほか、外国法事務弁護士の監督に関する業務を行う[1]。更に、定期的に弁護士を対象とする強制参加の倫理講習会を実施し、訴訟実務の経験などに基づき、さまざまな社会制度の整備に関する活動も行う。
法的地位
1949年(昭和24年)、弁護士法第45条から第50条までの規定に基づき設立された。日本司法書士会連合会や日本土地家屋調査士会連合会と同様、職能団体としての性格を有するが、特別民間法人ではなく弁護士自治が行われている。弁護士等は弁護士法22条に基づき、日弁連の定めた会則に従わなければならない。
経費は会則91条により、会費、登録料、贖罪寄付、その他の収入で賄われている[2]。
日本では弁護士・外国事務弁護士として活動する場合、全国52の単位会のいずれかに事務所を置く地域の弁護士会を通じて、必ず加入が義務付けられている強制加入(制)団体である[3]。
組織
2024年4月1日現在、全国に52の弁護士会が置かれ(北海道に4会、東京に3会、残りの府県に1会)、あわせて45,826名の弁護士、1,692の弁護士法人が入会している。このほか、3名の沖縄特別会員、495名の外国法事務弁護士、9つの外国法事務弁護士法人も所属している[4]。
議決機関
- 総会 - 日弁連の最高意思決定機関
- 代議員会 - 副会長・理事・監事の選任などについて審議
- 常務理事会 - 各弁護士会の会則・会規などの事項について審議
- 理事会 - 日弁連の規則制定、総会議案、各種意見書などの事項について審議
役員・執行部
2022年6月1日現在[5]
役職 | 定員 | 氏名(所属弁護士会) |
---|---|---|
会長 | 1名(任期2年) ※ 会員による直接選挙 |
小林元治(東京弁護士会) |
副会長 | 15名(任期1年) ※ 2名以上は女性 |
伊井和彦(東京弁護士会) 松村眞理子(第一東京弁護士会) 菅沼友子(第二東京弁護士会) 芳野直子(神奈川県弁護士会) 増子孝徳(栃木県弁護士会) 福田健次(大阪弁護士会) 矢倉昌子(大阪弁護士会) 林晃史(兵庫県弁護士会) 蜂須賀太郎(愛知県弁護士会) 下中奈美(広島弁護士会) 多川一成(福岡県弁護士会) 吉田瑞彦(岩手弁護士会) 秀嶋ゆかり(札幌弁護士会) 樋川恒一(札幌弁護士会) 松尾泰三 (徳島弁護士会) |
事務総長 | 1名(会長の任命) | 谷眞人(東京弁護士会) |
事務次長 | 若干名(会長の任命) | 木原大輔(東京弁護士会) 松田由貴(第一東京弁護士会) 石井邦尚(第二東京弁護士会) 服部千鶴(愛知県弁護士会) 杉村亜紀子(東京弁護士会) 亀井真紀(神奈川県弁護士会) 下園剛由(事務局) |
事務機構
- 事務局
- 総務部(総務課、情報システム・施設管理課、経理課、人事課)
- 審査部(審査第一課、審査第二課、審査第三課)
- 法制部(法制第一課、法制第二課)
- 人権部(人権第一課、人権第二課)
- 業務部(業務第一課、業務第二課、業務第三課)
- 企画部(企画課、広報課、国際課)
- 調査室
- 広報室
- 国際室
- 人権救済調査室
- 日本司法支援センター対応室
- 研修・業務支援室
- 日弁連総合研修センター
- 司法調査室
- 刑事調査室
委員会
- 弁護士法により設置を義務づけられた委員会
- 資格審査会
- 懲戒委員会
- 綱紀委員会
- 綱紀審査会
- 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法により設置を義務づけられた委員会
- 外国法事務弁護士登録審査会
- 外国法事務弁護士懲戒委員会
- 外国法事務弁護士綱紀委員会
- 会則により設けられた常置委員会
- 人権擁護委員会
- 司法修習委員会
- 司法制度調査会
- 弁護士推薦委員会
- 選挙管理委員会
- 会規により設置された委員会
- 経理委員会(会計及び資産に関する規程)
- 新会館の管理・運営のための委員会
- 会館運営委員会
- 講堂管理運営委員会
- 四会地代協議会
- 会則第82条による理事会の議決により設置された特別委員会等
- 弁護士倫理委員会
- その他の委員会
- 弁護士業務改革シンポジウム運営委員会
公設事務所
外郭団体
- 公益財団法人日弁連交通事故相談センター
- 日本弁護士国民年金基金
- 公益財団法人日弁連法務研究財団
- 日本知的財産仲裁センター
政治的活動
選択的夫婦別姓制度導入への取り組み
(主に女性の)弁護士の職務遂行においてその制度が必須である、という点からだけでなく、人権や信条の自由の面から、組織として選択的夫婦別姓制度をはじめとする民法改正を支持する立場を取り、たびたび会長声明を出すなど、提言を行っている[7][8]。
その論拠としては、「日本国憲法は、第13条で個人の尊厳を、第24条で婚姻は両性の合意のみに基づいて成立すること、そして婚姻について法律は個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならないことを規定している。氏名は、その人の人格の表象であり、それなしに人は社会で生きていくことができない。改姓を望まない人にも改姓を強制する制度は、その人格権を侵害するもの。また、圧倒的多数の夫婦が夫の氏を選択しており(2009年は96.3%)、望まない場合にも改姓を強いられているのは、実際には女性。民法第750条は、一見中立的であるが、現実には性差別規定に他ならない。選択的夫婦別姓制度の導入は、憲法上の要請といえる。」としている[9]。
死刑廃止に関する取り組み
死刑廃止を推進する立場から、提言を行い[10]、決議を採択している[11][12]。この採択に関しては、2016年の場合、日弁連内の死刑廃止検討委員会が主な宣言案を作り、各弁護士会の会長が集まる理事会(786人出席)で可決されたものである[13]。他方で、日弁連会員数は約3万7600人(当時)であり、宣言に際しては、思想・信条に関わる問題を786人の出席者で決めてよいのかとの質問も出るなどした[13]。
この提言・決議の内容を実現するため、死刑廃止検討委員会を設置し、上記「提言」と「決議」の実行のため、死刑廃止についての全社会的議論の呼びかけに向けた活動、 死刑執行停止に向けた活動、 死刑に関する情報開示の実現に向けた活動等を行っている。
2015年、刑事弁護センター死刑弁護小委員会が会員向けの「死刑回避」のための手引書を作成していたことが明らかとされた。その中では、「被害者参加制度に反対」「原則黙秘」などの死刑回避対策が推奨されている。
住民基本台帳ネットワークシステムに反対する取り組み
住民基本台帳ネットワークシステムを構築することは個人情報保護施策を欠いた国民総背番号制を導入するものであるとして、 意見書[14][15]や会長声明[16][17]を発表している。
君が代斉唱時の不起立の自由に関する取り組み
国旗及び国歌に関する法律(国旗国歌法)を根拠として行なわれる、君が代斉唱時の不起立に関する処分・起立を義務付ける条例[注 1]に反対する立場から裁判所判決や条例提出ごとに会長声明を発表している[18][19][20][21][22]。
慰安婦問題に関する活動
1992年、戸塚悦朗弁護士を海外調査特別委員に任命し、韓国の市民団体と連携して国連へ朝鮮人「強制連行」問題と「従軍慰安婦」問題を国連人権委員会に提起し、「日本軍従軍慰安婦」を「性奴隷」として国際社会が認識するようロビー活動を展開し、クマラスワミ報告に慰安婦に関する記述がなされるに至っている[23][24]。
安保関連法抗議活動
2015年、民主党(当時)の辻元清美議員や社民党の福島瑞穂議員、日本共産党議員約10人が駆けつけた安保関連法案反対の国会前デモに、日弁連としても会長を含め参加している。これに関して、日弁連会長の村越進(当時)は、護憲であり「政治活動ではない」という主張をしている[25]。
注釈
出典
- ^ “日本弁護士連合会:日弁連とは”. www.nichibenren.or.jp. 2021年10月22日閲覧。
- ^ 日本弁護士連合会会則 (PDF)
- ^ “弁護士会について|第二東京弁護士会ひまわり”. niben.jp. 2020年5月11日閲覧。 “日本で弁護士業務を行おうとする場合は、必ず、日本弁護士連合会に登録すると同時に、全国52の単位会のいずれかに所属しなければなりません(これを「強制加入団体」といいます)。”
- ^ “日弁連の会員”. 日本弁護士連合会ホームページ. 2020年6月6日閲覧。
- ^ 『2022年度 会長・副会長・事務総長・事務次長』(PDF)(プレスリリース)日本弁護士連合会、2022年6月1日 。2022年7月16日閲覧。
- ^ “ひまわり基金法律事務所(公設事務所)の概要と紹介”. 日本弁護士連合会ホームページ. 2020年6月6日閲覧。
- ^ 日本弁護士連合会(編)『今こそ変えよう!家族法―婚外子差別・選択的夫婦別姓を考える』日本加除出版、2011年4月。ISBN 978-4817839121。全国書誌番号:21926439。
- ^ 民法改正を考える会『よくわかる民法改正―選択的夫婦別姓&婚外子差別撤廃を求めて』朝陽会、2010年2月。ISBN 978-4903059327。全国書誌番号:21717560。
- ^ 別姓訴訟に関する会長応援メッセージ、2011年
- ^ “死刑制度問題に関する提言” (PDF). 日本弁護士連合会 (2002年11月22日). 2017年11月18日閲覧。 “『本提言について』(概略)”
- ^ “死刑執行停止法の制定、死刑制度に関する情報の公開及び死刑問題調査会の設置を求める決議”. 日本弁護士連合会 (2004年10月8日). 2017年11月18日閲覧。 “第47回人権擁護大会より(→過去の人権擁護大会・シンポジウム~2004年)”
- ^ “罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言”. 日本弁護士連合会 (2011年10月7日). 2017年11月18日閲覧。 “第54回人権擁護大会より(→過去の人権擁護大会・シンポジウム~2011年)”
- ^ a b 毎日新聞2016年10月8日30面
- ^ 「住民基本台帳ネットワークシステムの稼働の延期を求める意見書」(2002年4月20日)
- ^ 「自治体が住基ネットから離脱することに関する日弁連意見」(2002年12月20日)
- ^ 「住民基本台帳ネットワークの本格稼働の停止を求める会長声明」(2003年8月25日)
- ^ 「個人情報保護法案に反対し、住民基本台帳ネットワークシステム施行の延期を求める日弁連会長声明」(2002年5月24日)
- ^ 「君が代斉唱時の不起立を理由に戒告処分を受けた都立中学校教諭らの処分取消・国賠請求訴訟の上告棄却判決に対する会長声明」(2011年6月23日)
- ^ 「君が代斉唱時の不起立を理由に再雇用拒否された元都立高校教諭らの国賠請求訴訟の上告棄却判決に対する会長声明」(2011年6月10日)
- ^ 「卒業式の国歌斉唱時の不起立を理由とする元都立高校教諭の再雇用拒否を合憲とした最高裁判決に対する会長声明」(2011年6月3日)
- ^ 「公立学校教職員に君が代斉唱の際に起立・斉唱を強制する大阪府条例案提出に関する会長声明」(2011年5月26日)
- ^ 「「国旗・国歌」を強制する都教委通達を合憲とした東京高裁判決に対する会長声明」(2011年2月9日)
- ^ 秦郁彦 1999, p. 334
- ^ 西岡力「世界中にばら撒かれた「慰安婦問題」が捏造である完全なる根拠 (5/7)」『SAPIO』2012年8月22・29日号、小学館、2012年9月13日、2017年11月18日閲覧。 ※ 現在はインターネットアーカイブ内に残存
- ^ a b 日弁連の“左巻き”政治活動に内部からも異論噴出 日弁連会長「9条守れは政治的発言じゃない」、産経新聞、2015年9月10日、2016年9月14日閲覧
- ^ 弁護士が1億円の所得隠しでも注意で済ませる弁護士会を信用できるか - デイリー新潮《『週刊新潮』2016年3月31日号・「ワイド特集 さまざまの事おもひ出す桜かな」より;2017年11月18日閲覧》
- ^ a b 懲戒請求事案集計報告(日本弁護士連合会・2010年) (PDF)
- ^ 弁護士職務基本規程 (PDF)
- ^ 「政治的な声明は違法だ」 弁護士が日弁連などを提訴 - 2015年7月1日 産経ニュース
- ^ 東京地方裁判所平成29年2月27日民事第18部判決(東京地方裁判所平成27年(ワ)第18254号及び同平成28年(ワ)第12921号事件)LEX/DBインターネット ID=25551279
- ^ “【歴史戦 第2部 慰安婦問題の原点(1)後半】軍医論文ヒントに「完全な創作」世界に増殖 誤りに謝罪しながら訂正せず”. 産経新聞 (インターネットアーカイブ). (2015年5月20日) 2021年5月29日閲覧。
- ^ “【弁護士会 矛盾の痕跡(1)】「北朝鮮に腰が引けている」拉致に冷淡、「朝鮮人=被害者」以外は沈黙…〝人権派〟が朝鮮総連と強固なネットワーク…”. archive.vn (2021年5月29日). 2021年10月22日閲覧。
- ^ a b 異例の紛糾、組織内の亀裂あらわに 日弁連定期総会 産経新聞2017年5月26日
- ^ a b 日弁連の死刑廃止活動「賛成派弁護士の会費も使われている」弁護士グループが質問状 弁護士ドットコム
- ^ https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/news/2020/200311_sokuhou.pdf
- ^ 「もし中国が尖閣占領を…」〝日本有事〟直視しない反安保決議 少数派が主導権握る日弁連執行部 - 産経新聞・2017年4月7日付
- ^ 日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:会長声明・意見書等
- ^ 橋下大阪市長アンケートに対する法的な見解~弁護士会の声明
- ^ “自由と正義”. 日弁連ウェブサイト. 2021年7月13日閲覧。
- 1 日本弁護士連合会とは
- 2 日本弁護士連合会の概要
- 3 批判
- 4 各種投票・参加、宣言・決議賛同率
- 5 主な出版物
- 6 脚注
- 日本弁護士連合会のページへのリンク