日本ペンクラブ 沿革

日本ペンクラブ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 00:12 UTC 版)

沿革

1935年11月26日国際ペンクラブの春からの要請を受け、外務省文化事業部の課長・柳澤健(詩人でもあった)が文壇に呼びかけて国際ペンクラブの日本センターとして創立。初代会長は島崎藤村。他に正宗白鳥徳田秋声などが参加。

第二次世界大戦中は活動休止の状態であったが、1947年に再建。国際ペンクラブにも復帰。

1957年9月、「東西文学の相互影響」をテーマとした東京京都での国際ペン大会を主催。

1958年、ソ連政府ボリス・パステルナークのノーベル文学賞授与を辞退させた際、日本ペンクラブはソ連政府よりの姿勢をとり、平林たい子エドワード・G・サイデンステッカーらが、それを批判した[3]。1959年に来日したアーサー・ケストラーも、日本ペンクラブの姿勢を批判した[4]

1965年、創立30周年を記念し、創立記念日(11月26日)が「ペンの日」に定められる。

1970年には韓国での国際ペン大会・台湾でのアジア作家会議に対するペンクラブの行動に抗議して、松岡洋子理事・小田切秀雄大江健三郎が脱会。1972年にはペンクラブ主催の日本文化研究国際大会開会式に皇太子を呼んだ事への批判から、柴田錬三郎佐野洋松本清張梶山季之城山三郎正木ひろしが脱会した。

1974年にはペンクラブを代表して藤島泰輔白井浩司朴正煕独裁政権下の韓国を訪問、金芝河への死刑判決を「文学活動ではなく、政治活動によるもの」とコメントした。この発言に抗議して7月24日有吉佐和子理事は、「ペンクラブは序列の厳しいところで、理事といっても名前ばかりで権限はない」と断った上で、個人の発言ではなくてペンクラブ代表の発言としてこのような発言をされたなら心外だと脱会を宣言。7月30日には司馬遼太郎理事も脱会を表明。これに瀬戸内晴美水上勉立原正秋が続いた。安岡章太郎阿川弘之理事も、藤島と白井の訪韓にゴーサインを出したのは失敗だったとして理事辞任の意向を漏らし、遂には芹沢光治良会長も辞任に追い込まれる事態となった。

この「藤島・白井事件」以降、野坂昭如五木寛之三好徹ら23人が集団入会、1977年の理事選挙では進歩的と呼ばれる作家が執行部の多数を占めたが、これに対し保守的な立場から「政治的に徒党を組んだ者たち」に乗っ取られたとの批判が噴出。小山内高行・黛敏郎村松剛が脱会する事態に至った。

1984年3月、「核状況下における文学―なぜわれわれは書くのか」をテーマとし、東京では2度目の国際ペン大会を主催。ゲストとしてロブ=グリエ巴金ヴォネガット等が招かれた。このテーマには、政治的活動をしないというペン憲章に違反しているとの理由で理事の江藤淳が反対し、大江健三郎と論争になった。

思想・良心の自由の徹底した擁護を訴え、また表現の自由に関わる知る権利を擁護する立場から国家機密法などにも反対する声明を出している。

井上、阿刀田、浅田、吉岡と直近4代の会長は、ミステリ、SF、ホラー、ユーモア小説、ノンフィクションなど戦後伸張してきたタイプの娯楽小説分野で実績を築いてきた作家が続いており、純文学作家か評論家が代表を務めることの多かった同団体としては異色の傾向を示している。井上以前には存在しなかった直木賞受賞作家の会長が3代続くことになる。

2021年5月25日桐野夏生が第18代会長に選出され、女性初の会長となった[5][6]。桐野は会員の高齢化を問題として挙げている[7]


  1. ^ 日本ペンクラブ会員名簿
  2. ^ a b c d e f 入会案内・ご協力のお願い – 日本ペンクラブ”. japanpen.or.jp. 2021年7月19日閲覧。
  3. ^ エドワード・G・サイデンステッカー「日本との50年戦争―ひと・くに・ことば」(朝日新聞社)P.211
  4. ^ エドワード・G・サイデンステッカー「私のニッポン日記」(講談社)P.133
  5. ^ 日本ペンクラブ第18代会長に桐野夏生氏 就任のご挨拶 – 日本ペンクラブ”. japanpen.or.jp. 2021年5月25日閲覧。
  6. ^ 日本ペンクラブ会長に作家の桐野夏生さん…女性会長は初めて : エンタメ・文化 : ニュース” (日本語). 読売新聞オンライン (2021年5月25日). 2021年5月25日閲覧。
  7. ^ 日本放送協会. “日本ペンクラブ女性初の会長桐野夏生さん「反動や差別と闘う」”. NHKニュース. 2021年7月19日閲覧。
  8. ^ 秦 2001, 618頁.






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