日本の経済 概要

日本の経済

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概要

歴史

1956 - 2008年の実質GDP成長率の推移

第二次世界大戦により国土は焼け野原となったが、GHQの占領期間中に、農地改革財閥解体労働三法の成立・独占禁止法の制定といった経済の民主化シャウプ勧告ドッジ・ラインなどを受けて経済改革を進め、朝鮮戦争を契機に経済復興をとげた(特需景気)。1950年代三種の神器に代表される民間消費が経済成長を牽引し、民間消費の拡大に対応する為に投資も拡大したが、当時は設備を海外からの輸入に依存していたことから、投資が拡大すると輸入が拡大することとなり、その結果、国際収支の天井により好景気と不景気を繰り返していた(神武景気なべ底不況岩戸景気[14]

初代新幹線である新幹線0系電車(1989年撮影、小田原駅にて)

1960年夏、池田勇人内閣総理大臣に就任し、所得倍増計画を提唱、1964年東京オリンピックを開催するための有形固定資産の投資の拡大(名神高速道路東名高速道路の開通、東海道新幹線の開通)が景気を下支えした(オリンピック景気)。1964年の東京オリンピックの反動における証券不況(構造不況、昭和40年不況)を経て、佐藤栄作首相の時代には、「所得倍増計画」が目指していたものを上回る、急速な所得向上が続き消費者の可処分所得は大幅に増え、3Cに代表される耐久消費財の普及、旺盛な住宅建設需要と、それに見合った設備投資の拡大、原油安や海外の好景気もあり、当時戦後最長の好景気が続き(いざなぎ景気高度経済成長をとげた[15][16]。一方、公害による環境破壊が深刻化し、1967年には公害対策基本法が制定され、次いで1970年には環境庁が設置された。また、若年労働者が都市に学業や就業のために移動することが原因となって太平洋ベルトに人口が集中し地方の過疎化が進んだ。

1970年代大阪万博で好調に始まったものの、1970年7月にはいざなぎ景気は終焉を迎えた[17]1971年8月の変動相場制度(ニクソン・ショック)への移行、1972年6月に田中角栄が発表した日本列島改造論(列島改造景気)による国土の均衡成長を図ったことが、過剰流動性・開発の思惑などから土地の値段を上昇させたこと、ならびに1973年10月の第4次中東戦争を発端としたオイルショック(第1次石油危機)により狂乱物価が勃発した。総需要抑制政策から1974年にはマイナスの実質経済成長率 (-1.2%) となり低成長の時代を迎えた[15]。また、税収不足から1975年度から赤字国債が発行されるようになり、この年から恒常的な財政赤字が始まった。

1980年代には自動車家電ハイテク産業を中心として欧米への輸出を伸ばし、特にアメリカとの間に日米貿易摩擦が激化したが、1985年プラザ合意より一転、円高不況となった。円高不況克服のために、低金利政策を採用したことにより過剰流動性が発生し、信用創造が膨らんで不動産、株価が上昇してバブル景気となり、世界第2位の経済大国となった。また、中曽根康弘内閣は日本電信電話公社日本専売公社国鉄三公社民営化を行い、次いで竹下登内閣は1989年4月より消費税を新設した。

バブル崩壊以降の1990年代中盤には、国内の政治体制の混乱も相まって、多くの企業は冷戦終了後のグローバル経済体制の流れに乗れず、旧来の経営に固執していた。特に金融機関はBIS規制金融ビッグバン対策、新たに導入される時価会計制度から不良債権の処理が急務となり、融資の引上げが相次いだ。このため中小零細企業だけでなく大企業の倒産も相次ぎ、経済停滞が長引いた。民間企業は過剰な設備・雇用・負債を抱え込み[18]、経済は停滞(実質経済成長率は1990年 - 2000年の10年間で平均1.5%)[16]し、1997年には日産生命山一證券北海道拓殖銀行、翌1998年には日本長期信用銀行日本債券信用銀行といった金融機関の破綻が相次ぎ、大手金融機関同士の合併・統合が進んだ。この年代は「失われた10年」と呼ばれるようになった。1990年代後半にはデフレーションが発生し、その克服が重要な経済課題となった。

2000年代に入り、公的資金を注入したことによって金融機関の不良債権処理が進み、民間企業の過剰な設備・雇用・負債が解消された。中国の経済発展により貿易相手国の第一位はアメリカから中国に代わった。中国をはじめとするBRICs諸国や、ASEAN諸国の経済発展に伴って伸びた外需に牽引されて、日本はデフレ脱却、景気の回復を果たし、大企業の業績は大幅に伸びた。しかし労働者にはこの好景気の分配はなく、労働者の給与は減少傾向をたどった[19]。旧来の労使関係は見直され、終身雇用制度は崩壊し、契約社員派遣社員が増えて労働市場の流動化が進んだ。労働環境の悪化と雇用不安のため出生率は落ち込み、少子化高齢化により2005年から日本は人口減少を始めた。国内需要を見限った企業は海外市場に活路を求め、製造業は外需偏重となり、海外市場の動向に日本の景気が顕著に左右されるようになった。2007年夏頃よりアメリカ合衆国のサブプライムローンに端を発した世界金融危機により、戦後最長といわれた「いざなみ景気」(第14循環)は終焉を迎えた[20]。日本経済は再び不景気の時代に突入し、またそれまでのいざなみ景気も好景気の実感が乏しいものだったため、いざなみ景気の期間も含めたバブル崩壊以降の20年間を「失われた20年」とする見方も出始めた。さらに、外需依存という日本経済の体質的な問題、産業の海外移転、少子高齢化などから内需縮小の傾向は今後も変わらず、中進国レベルに賃金が下落するまで衰退を続けるといった悲観論も続出している。ちなみに、2016年現在日本の一人あたりGDPは為替レートでの順位にして24位であり(国際通貨基金調べ)[21]、上位を独占する欧州やアメリカ合衆国と比較しても、「先進国」としてはかなりの凋落が見られ、激しい貧富の差がかねてからの社会問題として認識されている中東のイスラエルよりも数値上ではGDPは低い。

20世紀末には国内総生産額は世界第2位(市場為替レート (MER) 換算ベース)となり、経済大国と言われるまでになった日本経済だが、近年の経済的不調により「もはや日本は経済は一流と言えるような状況ではなくなってしまいました」[22]という認識もある。また、2009年には日本のGNIは中国に抜かれ世界第3位に後退した[23]、2010年には日本のGDPは中国に抜かれ世界第3位に後退した[13]

天然資源

北海道・昭和炭鉱

日本は国土面積が小さいため地下資源の賦存量は総量で見れば少ない。しかし、狭い面積に多種多様な地下資源を産出し、資源の博物館とも呼ばれている。かつては石炭硫黄を大量に産出しており、戦国時代には戦国大名らが金銀の増産に励んだため、世界の金銀の流通量のかなりの割合を日本産が占めたこともあった。

現在は、石炭については埋蔵量は多いものの、良質の石炭が少ないこともあり、大規模な採炭は釧路コールマインで行われているのみである。金・銀は菱刈鉱山などで非常に良質な鉱石が産出するが、採掘コストがかさむため採掘量は多くない。日本海沿岸では石油天然ガスを産出する。しかし、産出量は少なく国内需要を満たすことはできない。東京周辺の地下には莫大な天然ガスが埋蔵されている(南関東ガス田)ものの、市街地化が進んでいる地域であることから環境規制が厳しく、房総半島でわずかに採掘されているのみである。ここではヨウ素が豊富に採掘され、生産量は世界第二位である。日本の領海・排他的経済水域 (EEZ) に、金・銀・石油・メタンハイドレート等が大量に埋蔵されていることが確認されているが、コストや技術的な問題で採掘できていないものや、調査中のものがほとんどである(詳細は「日本の海底資源」を参照)。ただし、セメント原料の石灰石、ガラスや建築材料の原料となる珪石は露天掘りができるため採掘コストが安く、盛んに採掘されている。

木材資源は、森林面積が広く降水量も多いため比較的豊富である。かつては木材生産が盛んであり、高度経済成長期までに天然林の多くが伐採され、その後植えられた人工林が森林面積の大半を占める。林産物の自由化が進むにつれて、工業化の進展や海外産木材とのコスト競争の結果比較劣位となり、日本の林業は壊滅的な衰退を被った。放棄された人工林は荒廃し、保水力の低下など国土保全上の問題が懸念されている。近年は国産材需要が回復しつつあり、衰退した林業の再建が急がれている。

水産資源の面では、基本的に恵まれている。近海は豊かな漁場となっており世界有数の漁獲高だが、長年の乱獲と海洋環境の変化により漁獲量は減少傾向にある。日本近海では韓国・中国・台湾・ロシアなどの漁船が操業しており、日本の漁船との競合が起こっている。

水資源は、温暖湿潤気候のため降雨が多い上に、山林の保水力が高いため、良質な軟水が豊富に入手可能である。飲料水はもとより工業用水としての質も高い。

産業

国内市場が大きいため第三次産業が発達している。製造業も強く、加工貿易が盛ん。特に工業技術は世界最高水準であり、多くの分野において、他の先進諸国や発展途上国にとって規範となり、また脅威ともなっている。中でも自動車、エレクトロニクス、造船、鉄鋼、素材関連の産業は大戦後大きく成長し、世界的企業を多数擁する。

技術貿易での技術依存度は、輸入超過から輸出超過へと長期傾向的に変化している。工業用ロボットなどの付加価値の高い、独自の技術をひねり出すケースも各所で見受けられる。例えば、日本は工業用ロボットについて世界のロボット生産量の7割を生産している。また世界で使われている工業用ロボットの6割は日本で活動している。日本の工業界は非常にロボット化され、効率がよい産業と言える。また、家庭用ロボットという概念も日本から発信されたものである。

貿易等

主な貿易相手国はアメリカ合衆国東アジア東南アジア欧州連合 (EU)、サウジアラビアなどである。特に最近は中華人民共和国などのアジアとの貿易額が急増している。東日本大震災までは貿易収支は概ね黒字で、1990年以降をみても毎年10兆円近く黒字となっていた。しかし、東日本大震災以降は、四半期ベースでの貿易収支の赤字が続いている[24]

主な輸出入品目は、資源が乏しく加工貿易が盛んなため、輸入は石油、鉄鉱石半製品食料品

輸出自動車電気製品電子機器家庭用ロボット工作機械産業用ロボットなど。

また、継続的な経常黒字により世界最大の債権国となっており、世界経済からの配当利子の受け取りが次第に増大している。ただし、2013年10月から2014年1月まで4ヶ月連続で経常赤字となるなど最近は変化の兆しもみられる[25]

金融

日本の通貨であるは、アメリカ合衆国ドル欧州連合ユーロと共に国際通貨の一角を占めている。経済規模の大きさにもかかわらず円の国際化は進んでおらず、世界における準備通貨比率で円は第四位(3.2% 2006年)である。これは外貨準備の運用先となるべき日本国債が国内に偏在していることや長期にわたる低金利の状況と表裏一体の現象である。

日本の商慣行では間接金融による資金調達を広く用いており、銀行の活動が経済に与える影響は大きい。また、銀行は融資の際に不動産(土地・建物)を担保に取ることが多いため、地価変動が経済に与える影響も大きい。

だが、バブル景気崩壊後は直接金融への転換が進められ、担保も多様化してきている。一方で金融機関の審査能力については、特に地方銀行で十分でないとの指摘もある[26]

近年、株式取引(特に個人投資家による取引と投資)、直接金融が活発化しているが、規制撤廃・金融開放の進んだアメリカやイギリスに比べると、未だ金融資産に占める株式等のリスク商品の比率は低い。その一因としてバブル崩壊後の株式投資が確実には収益を上げにくい投資であったこと、デフレにより低い名目金利でも実質金利は高かったこと、失業の危険や所得の伸びの鈍化から流動性の高い現預金の需要が高まったこと、財形貯蓄などの強力な現預金貯蓄システムの存在、政府年金による強制貯蓄や国民の貯蓄型保険への嗜好、株式投資を博打と同一視する風潮などが考えられている。




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