日本のタクシー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/14 00:53 UTC 版)
乗務員
必要な資格など
乗務員(運転手)として、旅客輸送業に従事する旅客車に乗務する為には、第二種運転免許(普通二種、またはその上位免許である中型二種、大型二種免許)が必要である。AT車のみの乗務であれば、AT車限定の普通二種免許で乗務できる。
- 東京武三交通圏の場合、タクシー乗務員になるには、普通自動車第一種運転免許証または、準中型自動車運転免許証を取得後、三年経過した者で雇用先が指定する健康診断を通れば、二種免許養成乗務員として入社することができる。
養成期間中は、日当が支給される。都道府県公安委員会(運転免許試験場)の学科試験・技能試験の合格を経て、二種免許取得後、自動車事故対策機構(NASVA)の適正診断を受ける[注 10]、二種免許取得後、空車表示灯(スーパーサイン)の裏に立てる乗務員証を取得する為、営業区域の指定する機関で乗務員登録を行う。営業所配属後、1年から2年間の在籍を必要とする拘束期間がある[注 11]。
東京・大阪等地理試験が必要な地区の場合は各タクシーセンターが行う地理試験に合格し、新任研修を経た者が登録乗務員になれる。
さらに、上述したタクシー事業の多角化に対応するため、入社後、ホームヘルパー、警備員検定、救命講習修了、運行管理者等の資格取得を求められる会社もある。
勤務
乗務員は男性が多いが、タクシー乗務員については1999年(平成11年)の労働基準法改正以前から、女性の深夜労働(22時 - 翌5時)が認められており、乗務員が働く女性の場合も少なからずいる。しかし、一般的には昼日勤者が多い。乗務員は、一般に正社員(期限の定めの無い雇用契約)が多く、隔日勤務の場合、月に11乗務から13乗務。隔日勤務の場合、一回の乗務を2日分の労働と計算するので、1か月に22日から26日相当の勤務をすることになる。昼日勤(朝から夕方まで)、夜日勤(夜から朝まで)、最大12時間までを毎日乗務する勤務体系もあるが、この場合、1か月に22回から26回の乗務をすることも可能。正社員にこの勤務体制が多い。
運転手の大半が高齢者であることも特徴と言える。自身が高齢になりバスの運転が不安となり、大型2種免許には「上位互換」があるので普通2種免許を改めて取得する必要はなく(上位免許の所持者は取得できない)その制度を活用してタクシーの運転手に転職する人もいる。
定時制乗務員(契約社員・嘱託)は、正社員ではなく、月に隔日勤ベースで8乗務まで(昼・夜日勤の場合、16乗務まで一勤務最大12時間以内まで)。主に、高齢者や兼業者がこういった勤務をする場合が多い。
毎月の給与は月間売り上げに対して、固定給制と歩合給制と混合型と存在する。従って歩合給制の場合、稼働日数が多いときや売上が多いときは給与が増えることもあるが、売り上げが少ない時は給与が下がる。一定額の運送収入に達しない場合、売り上げに対する歩合率が下がる。(一般的に「足切り」と呼ばれる)。賞与は毎月の給与の中から歩合率の一定額を控除し、年間数回に分けて賞与の形で支給される。売上が規定稼働額に達しない場合は支給されないこともある。歩合率は1日の営業運賃収入に対して賃率が決まる場合や月間運賃収入に対して決まる場合もある。売り上げの40%から60%程度、各社各種条件により変動する。
近年の規制緩和によりタクシー台数が急増し、一部地域では過当競争が発生し、乗務員の労働環境を低下させている見方がある。乗務員の平均年収は全労働者の地域別最低賃金の平均年収を大きく下回っている地域もある。最低賃金格差社会問題の一端が表れていると、マスメディアでこのことが取り上げられることもしばしばある。
タクシー運転手の求人広告は、主にスポーツ新聞や夕刊紙、公共職業安定所(ハローワーク)で行われることが多い。一般紙や一般の求人情報誌、求人ウェブサイト(リクルート社のリクナビなど)にタクシー運転手の求人広告が載ることは少ないが、大都市近郊では吊り広告など電車内の広告(特に私鉄系のタクシー会社)やラジオCM等で求人を募集している会社がある。
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