日本における自動車 種類

日本における自動車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/22 13:22 UTC 版)

種類

主に路上を走る車輌として、トラック、バス、乗用車、特殊車輌があり、他に路上外を走る車輌がある。種類は機能的な分類以外に、さまざまな用途の側面からなされている。たとえば、車の販売上、たとえば、規制や税といった観点である。このような法規制での観点からは国によって自動車の種類は異なる。それぞれの観点で便宜を受ける対象者に利用されるのが区別の目的であるためであり、それぞれの区別に対して統一的な一貫性があるものではなく、規制のために用いられる区分は販売ディーラーと購入者の用いる区別とまったく同一ではないし、車輌を製作する側と販売する側の区別もまったく同一というものではない。また、車輌の大きなカテゴリーが異なれば、おなじユーザーといっても観点は異なる。一例として、販売/購入の観点からはトラックやバスでは、積載可能な荷物の容量や乗員数が大きな区分とされる一方、乗用車では、別の観点、つまりボディスタイルや排気量、その他で区別される。法令では、規制と税金の観点から区分がなされ、排気量の区分も税の観点からのものがベースとなっている。

さまざまの分類が可能であるが、ここではサイズ・排気量別に分ける。なお、ロータリーエンジンを搭載した自動車はこの限りでない(税法上、排気量=単室容積×ローター数×1.5とする。ロータリーエンジン#自動車用も参照)。

  • ミニカー(50cc以下又は定格出力0.6kW以下)
    • 道路運送車両法上は原動機付自転車であるが、道路交通法上は自動車として扱われている超小型の車両。利便性や走行性能、安全性に劣るため普及率は非常に低い。
  • 軽自動車(660cc)
    • 日本における一般的な四輪車では最も小さいサイズ。日本独自の規格であるが、ヨーロッパで販売されているものはAセグメントクラスに含まれる。エンジン排気量が小さく、一般に高速走行や長時間走行は辛いものの、小さなボディ外寸と最小回転半径の小ささから取り回しが非常に楽で、商業施設などには軽自動車専用の駐車スペースも設けられている。
    • 自動車税などの諸税や保険料が安く、町村部では車庫証明も必要ない。タイヤ、オイルといった消耗品の交換費用も一般に低廉であり、維持費が抑えられる。このことから、公共交通機関の便が悪く自家用車を複数台持つことが多い地方を中心に生活用に普及している。
    • かつては車体サイズの兼ね合いで室内空間が狭かったが、スズキ・ワゴンRを皮切りに広い室内を売りにしたモデルが現れ(軽トールワゴン)、小型車からの乗り換え(ダウンサイジング)として都市部のユーザーにも支持されている。さらに、ホンダ・N-BOXなどスライドドアを搭載したモデルがファミリーカーとしても普及している。ただし規格上乗員は4人までに限られる。
    • 2005年頃からの原油価格の高騰、登録車の肥大化・3ナンバー化に伴い、コンパクトで燃費に優れる軽自動車の売れ行きがさらに伸び、日本での最量販クラスとなっている。
    • 商用車としても広く使用される。その小さい外寸が狭い市街地の道路を通行する機会が多い都市部の運送事業者に重宝され、狭い農道林道を通行することの多い農林業分野でも軽トラックや軽ワンボックスカーが活躍している。
  • 1000cc〜1500ccクラス
    • 小型車、あるいはコンパクトカーリッターカーとも呼ばれる、軽自動車のすぐ上に属するクラス。ヨーロッパのAセグメント〜Bセグメントに相当する。本体価格は軽自動車とほとんど同じ、車体の大きさは軽自動車より一回り大きい程度。車種によっては軽自動車とほぼ同様のサイズのものもある。軽自動車ほどではないが取り回しに優れ、エンジン排気量が大きくなった分、高速走行にもゆとりがある。燃費は市街地走行では軽自動車にやや劣り、高速走行では優れる傾向にある。
    • 2000年代以降小型車の品質が向上したため、中型車からこのクラスに乗り換える人が多く(ダウンサイジング)、ホンダ・フィットトヨタ・ヤリススズキ・ソリオなどの各社の戦略車がしのぎを削る。ただし、日本においては税金が軽自動車の4倍以上に跳ね上がるデメリットがあり、軽自動車より車体が大きいにもかかわらず室内が狭いモデルも多いので、利便性と維持費の安さを求めるユーザーが軽自動車に流出する傾向もある。
    • 欧州での最量販クラス。
  • 1500cc〜2000ccクラス
    • 大衆車と呼ばれる、日本では中の下(北米ではサブコンパクトカー)のクラス。ヨーロッパのCセグメントに相当。日本国内での使用を前提とすれば、日常の取り回しや使い勝手、ほどほどの燃費や居住性、高速走行や長時間走行をこなせる性能をバランス良く有する。
    • かつてこのクラスのセダンステーションワゴンは一般的なファミリーカーとして、トヨタ・カローラ日産・サニーをはじめとする各社の主軸車種がしのぎを削る主戦場であった。現在でもトヨタ・シエンタホンダ・フリードなどこのクラスの小型ミニバンは人気がある。しかし、近年は日本の自動車のダウンサイジングが進んだことにより、ハイブリッドカートヨタ・プリウスを除いて、市場の主流はすでに軽自動車やコンパクトカーに移った。ファミリーカーとしての役目はミニバンや軽トールワゴンが主流になっている。
    • 以前は車幅が1.7m未満のものが大半であったが、近年では小型乗用車と普通乗用車の維持費の差がほとんどなくなったことや輸出を重視したことから、2000cc未満でも3ナンバー登録となる幅1.7m越えの車両が発売され、小さい車を求める日本のユーザーの軽自動車への流出がみられる。
  • 2000cc〜2500ccクラス
    • 日本では中の上(北米ではコンパクトカー)のクラス。ヨーロッパのDセグメントに相当。
    • 日本でタクシー用に使われるサイズの主流。
    • 近年の日本では、日産・セレナホンダ・ステップワゴンなど、ファミリーカーとしてこのクラスに属する中型ミニバンが高い人気がある。
    • 北米での最量販クラス。
    • かつては5ナンバーサイズとよばれる小型車の寸法の車が多かったが、前述のとおり小型乗用車と普通乗用車の違いによる維持費の差がほとんどなくなったため最近では普通乗用車サイズのものが多い。
  • 2500〜3000ccクラス
  • 3000cc以上
    • 日本ではハイエンドに属するクラス。ヨーロッパのFセグメントに相当。最新技術や装備がふんだんに盛り込まれた豪華志向車や、高性能なスポーツカー、ラグジュアリー志向のSUVなど。そのため燃費は良いとはいえず、税金、保険などを含めた維持費もかかる。
    • 富裕層が所有するほか、ほとんどは重役用車や、重役用ハイヤーのような社用車、芸能やスポーツ選手、企業家などのステータスシンボルという位置づけ。後部座席に座るような高級車や非常に走行性能静粛性能の高い車種が多い。特にスポーツ選手は「体が資本」という考え方から、安全性に優れるとされる大型高級車に乗る人が多い。 メルセデス・ベンツレクサスBMWポルシェなどに代表される高級車ブランド各社の上級車種が、富裕層をターゲットにしのぎを削る主戦場。
    • また近年では3000ccちょうどの乗用車用エンジンが少なくなる傾向があり、それまで2500〜3000ccクラスであった車が「2500〜3500ccクラス」になってしまうケースも間々ある。歴史の長い車としてはマークXカムリクラウンスカイラインフェアレディZなどがある。
  • 貨物自動車(1・4ナンバー)においてはその車両重量や積載重量、課税額の算出方法が異なることなどから乗用車よりも遥かに大排気量のエンジンを搭載した車両は珍しくない。

注釈

  1. ^ 道路交通法の一部を改正する法律(令和4年法律第32号)改正施行以降は、これに特定自動運行をする車が含まれる[1]
  2. ^ 道路交通法の一部を改正する法律(令和元年法律第20号)改正施行以前は「自転車」であった[2]。なお自動車の範囲については法体系上大きな変更はない。
  3. ^ 道路交通法の一部を改正する法律(令和4年法律第32号)改正施行により、「身体障害者用の車椅子」が「身体障害者用の車」に置き換えられ、移動用小型車と遠隔操作型小型車が追加され、「歩行補助車等」のうち「小児用の車」と言う表現が「乳母車その他の歩きながら用いる小型の車」に置き換えられた。
  4. ^ なお、道路交通法の一部を改正する法律(令和元年法律第20号)改正施行以前は「小児用の車」は入っていなかった[3]

出典

  1. ^ 法律|警察庁Webサイト”. 警察庁Webサイト. 2023年8月16日閲覧。
  2. ^ 法律|警察庁Webサイト”. 警察庁Webサイト. 2020年1月29日閲覧。
  3. ^ 法律|警察庁Webサイト”. 警察庁Webサイト. 2020年1月29日閲覧。
  4. ^ 出典は庄野新『「運び」の社会史』白桃書房で、原典は東京朝日新聞1898/1/11と同2/1やジョルジュ・ビゴー『極東にて』の「自動車に驚く東京市民」
  5. ^ 日本自動車工業史稿 自動車工業会編
  6. ^ 外国車ガイドブック1991』p.196
  7. ^ 統計年鑑・日本帝国統計年鑑
  8. ^ 『外国車ガイドブック1991』p.196
  9. ^ 『外国車ガイドブック1980』p.44
  10. ^ 『外国車ガイドブック1991』p.197
  11. ^ 史料明治百年 朝日新聞社編
  12. ^ a b 『外国車ガイドブック1980』p.45。
  13. ^ 『外国車ガイドブック1991』p.197。





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