日朝修好条規 条約締結の影響

日朝修好条規

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/14 14:59 UTC 版)

条約締結の影響

  • 条約の締結によって李氏朝鮮は開国し、それまでの慣習法を基にした伝統的な日朝関係が、国際法を基にした近代的なものへと置き換えられた。
  • 日朝間の条約締結をうけて、欧米諸国はなおも鎖国政策を継続しようとする朝鮮に対してより一層開国を迫るようになった。
  • 砲艦外交や米価騰貴、領事裁判権などいくつもの要因が重複して、朝鮮側は日本への悪感情を蓄積させていった。それはやがて壬午事変の暴発を招いた。
  • 条約締結以後、清朝は建国以来の冊封国朝鮮を維持しようと、朝鮮に積極的に関与するようになる。朝鮮を冊封体制から近代国際法的な属国へと位置づけし直そうとし始める。同じく日本も朝鮮を影響下に置こうと画策し始めていたため、日本と清朝の対立が深まり、日清戦争の遠因となった。

主要参考文献

関連項目


  1. ^ 外務省・日本外交文書デジタルアーカイブ第9巻1「江華島事件ノ解決並ニ日鮮修好条規締結一件」[1]DFVU-P.58(※閲覧にはブラウザのダウンロード要)[2]
  2. ^ 小島毅『歴史を動かす―東アジアのなかの日本史』亜紀書房、2011/8/2、ISBN 978-4750511153、p59
  3. ^ 砲艦外交の要請:「即今我軍艦一、二隻を発遣し、対州と彼国との間に往還隠見して、海路を測量し、彼をして我意の所在を測り得ざらしめ、・・・又結交上に於ても、幾分の権利を進むるを得べきは、必然の勢なり」(下記田保橋潔本より、原載『朝鮮交際始末』)
  4. ^ 糟谷憲一『朝鮮の近代』山川出版社、1996、p29。また、吉野誠「江華島事件」(『明治維新と征韓論』証書店、2002、192頁)など。「雲揚号事件をめぐる一考察」金光男(茨城大学人文学部紀要no.43 p.33-45 社会科学論集2007-3-30)[3]
  5. ^ 「自主」の解釈1(当時の見方):たとえば清朝の外交機関総理衙門は「朝鮮は中国の藩服に隷すと雖も、その本処の一切の政教・禁令は、向〔さき〕に該国に由り自ら専主を行う。中国従〔かつ〕て與聞せず」(朝鮮は中国の藩属国とはいえ、朝鮮の国政・法律は自らで行い、中国自体はそれに対しこれまで関与してこなかった。〔〕内、加筆者)と述べている。また当時駐華アメリカ公使だったロウは、朝鮮は清朝に貢物を送っているけれども、その性格は中国との交易の見返りとしての性格が強い、清朝は朝鮮に対していかなる形の支配や干渉する権限はないようだ、とアメリカ本国に報告している。
  6. ^ 「自主」の解釈2(現在の研究者の見解):日本側が「独立之邦」ではなく「自主之邦」ということばを用いたことについて、研究者の間でも意見が分かれている。わざわざ両義的な用語を用いることで朝鮮側が条約締結に応じやすくしようとしたとする説(高橋秀直)と、日本側は用語の両義性を認識していなかったという説(岡本隆司)がある。
  7. ^ 下関条約第一条:「清国は朝鮮国の完全無欠なる独立自主の国たることを確認す。因て右独立自主を損害すへき朝鮮国より清国に対する貢献典礼等は将来全く之を廃止すへし」
  8. ^ 寺島宗則の条約観:寺島宗則外務卿はイギリス書記官プランケットに対し、日朝修好条規は下田においてペリーと締結した最初の条約に似ている、と言明している。
  9. ^ 宗属関係切断の試み:ただフランスとベトナムとの間で1874年締結された条約では「共和政府大統領、今より後、安南王を王と待し、且諸外国に対し安南独立なるへきを証」すると記し、清朝のベトナムに対する宗主権を否定している。
  10. ^ パークスの条約観:パークスは、欧米諸国と日本の間の条約における治外法権の条項について、日本側は苦情を述べているのに、朝鮮における日本人についての領事裁判権をこの日朝条約に明記したことは特筆に値すると本国に書き送っている。
  11. ^ 明治初期の円ドル為替レート:日本銀行統計局編『明治以降本邦主要経済統計』並木書房、復刻版、1995。
  12. ^ 糟谷憲一『朝鮮の近代』山川出版社、1996、p30。
  13. ^ 日本側は条約締結当初から日本が欧米諸国と取り決めた税率水準(一律5%であるが、対朝鮮においてはある程度融通を利かせて品目別に課税することも想定していた)程度であれば許容するつもりであったが、朝鮮側は品目別課税(最高35%)を主張して譲らなかった。(国立公文書館『朝鮮国信使税則該判概略書ノ件』P14~「海関税則草案」)






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