新宗教
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/06 00:36 UTC 版)
言及
宗教学者
島薗進は、1970年代以降発展した新宗教を「新新宗教」と呼ぶ立場を取り[24]、新新宗教を「隔離型」「個人参加型」「中間型」の3つに分類している。そのうち「隔離型」の団体は、世俗の職業生活や家庭生活を放棄して強固な共同体を形成しようとするために、トラブルを起こしがちであり、反社会的な「カルト」教団と批判される団体の多くは隔離型であるとしている。「隔離型教団」の代表的な例として、オウム真理教、旧統一教会(名称変更以後:世界平和統一家庭連合)、エホバの証人を挙げている。「個人参加型」は、「隔離型」と対極の特徴を示し、共同体としての人間的結合は散漫である。「中間型」は、「隔離型」と「個人参加型」の両極端の間に位置する。1970年代以前に発展した新宗教は、パーフェクト リバティー教団や生長の家などが個人参加型、創価学会やほんみちなどが隔離型に近い特徴があるものの、ほとんどの教団が中間型に属するとしている。「個人参加型」「隔離型」の教団が登場した要因として、情報化が進んで社会構造が複雑化・多様化し、人と人との絆が弱まり、それを反映して個人主義的な考え方が広まってきたこと、一方で、そうした一般社会の趨勢に対抗し、緊密な共同体の形成を目指すとき、隔離型の教団が形成されるとしている[25]。
石井研士は「宗教団体が、いい意味でも悪い意味でも社会問題化するときには、あまりに実態を無視した、性急で、理念的な分析や意見が飛び交っているように思えてならない。」と主張している[26]。
島田裕巳は、ある新宗教が社会からカルトして糾弾されるのは、その教団が、世直しの思想や終末論を強調したときであるという。過度な世直し思想や終末論により危機感を煽ることで、過激な布教や多額の献金を集めている場合は、反社会的な行動に出る可能性が高まっているという[27]。
井上順孝は、新宗教教団の公称信者数は平均すると、実際の4~5倍程度と推測している[28]。
注釈
- ^ 現在では諸派の扱い。成立当時は教派神道系。
- ^ 竹内文書を教典とする。
- ^ 霊友会系に分類することもある。
- ^ 真言宗醍醐派から独立。
- ^ 大森智辯を宗祖とする宗派。高野山真言宗から独立。
- ^ 木原覚恵を創始者・真言宗泉涌寺派から独立。
- ^ 中山身語正宗からの離脱分派。
- ^ 木原覚恵を創始者・宗祖とする宗派教団。
- ^ 下ヨシ子を教祖とする密教。
- ^ 沿革では霊友会からの分派とされるが、日本敬神崇祖自修団の戸次貞雄を恩師であり教祖と仰ぐ。
- ^ 根本仏教系新宗教。
- ^ 文化庁発行の『宗教年鑑』に仏教系と明記。
- ^ 前身は皇道治教で真言宗とは全く無関係。照真秘流を自称。
- ^ 韓国系。
- ^ ヴィパッサナー瞑想の普及で知られる。
- ^ ベトナム系。
- ^ ハレ・クリシュナ
- ^ 「家庭連合」、旧称「世界基督教統一神霊協会」(「統一協会」または「統一教会」)、韓国では「統一教」。
- ^ 「ものみの塔聖書冊子協会」
- ^ 下記の諸宗教と異なり基本的にはプロテスタントに含まれるが、宗教分類学上の新宗教に含まれるとする意見も存在する。
- ^ モルモン教
- ^ 摂理
- ^ 原始福音。神道とキリスト教を融合。
- ^ 儒教・道教とキリスト教を融合。
- ^ ブラック・ムスリム
- ^ アハマディア
- ^ 天啓を受けたと称する矢内東紀が2012年に立ち上げたイスラム系宗教集団。2018年に解散。
- ^ 財団法人修養団とは関係がない。
- ^ 前身に霊術家桑田欣児設立の帝国心霊研究会本部がある。
- ^ パロディ宗教(冗談宗教)として創始したが、宗教団体に認定している国がある。
- ^ 御嶽教、扶桑教を経て独立。
- ^ 真言宗醍醐派から独立。真言宗系新宗教に分類されることもあるが、教団では「諸教」として届け出ている。
- ^ ゴッド・ライト・アソシエーション
- ^ おおやまねずのみことしんじきょうかい
- ^ 松井秀喜の実家。
- ^ 2001年解散。
- ^ 多宗教教の布教を目的とする宗教団体
- ^ 京都市右京区にある自身の旧宅に細木数子がまつっている。
- ^ ミクロネーションであるアエリカ帝国に存在する宗教。冗談で作られたにも関わらず、現在では世界に30人ほどの信者がいるとされる[31][32]。
- ^ 歴史学者林健太郎は、マルクスの労働者革命による救済説は、キリスト教終末論、千年王国による救済説の継承であり、また、ユダヤ的、旧約聖書的メシアニズムの発現であって、超越的な神への信仰を欠いた救済説で、人間能力の万全を信じるイデオロギーとしての擬似宗教となったとする[33]。詳細は「マルクス主義批判#宗教的予言としての批判」を参照
出典
- ^ 新興宗教 コトバンク
- ^ 石井研士『プレステップ宗教学<第3版>』弘文堂(2020)p130
- ^ a b 井上順孝『人はなぜ新宗教に魅かれるのか』三笠書房(2009)p18
- ^ 学制百年史 第五節 宗教:文部科学省
- ^ 宗教年鑑平成21年版 p.24
- ^ 遠藤高志「1930年代中盤に見る「類似宗教」論 : 「迷信」論 との関係に着目して」東北宗教学 2, p77-102,2006
- ^ a b 島薗進 2001, p. 6.
- ^ 中村 元 監修『新・佛教辞典 [第三版]』誠信書房(2006) p313
- ^ a b 井上順孝『人はなぜ新宗教に魅かれるのか』三笠書房(2009)p20-22,119
- ^ 井上順孝『新宗教の解読』ちくま学芸文庫(1996) p47
- ^ a b 村上重良『昭和の宗教史』三嶺書房(1985) p99-100
- ^ 井上順孝他『縮刷版 新宗教事典』弘文堂(1994) p2-5
- ^ “大林組公式サイト - 念佛宗 無量壽寺 佛教之王堂”. 2022年12月12日閲覧。
- ^ 朝日現代用語「知恵蔵」. 朝日新聞社. (2007). pp. 828
- ^ 【中田考の近未来、世界はこうなる!講座 第2回】【対談】中田考×島田裕巳 未来の宗教はどうなるのか? これから世界はどうなるのか? - Ohta Collective 太田コレクティブ
- ^ 井上順孝『人はなぜ新宗教に魅かれるのか』三笠書房(2009)p114-115
- ^ 宮本要太郎 荒木美智雄(編)『世界の民衆宗教』 ミネルヴァ書房 <人文・社会科学叢書> 2004年、ISBN 4623037797 pp.193-206.
- ^ a b 井上順孝『人はなぜ新宗教に魅かれるのか』三笠書房(2009)p39-43
- ^ 井上順孝『人はなぜ新宗教に魅かれるのか』三笠書房(2009)p125-127
- ^ 井上順孝『人はなぜ新宗教に魅かれるのか』三笠書房(2009)p52-53,191-193
- ^ 島薗進 2001, p. 26.
- ^ a b c 井上順孝『人はなぜ新宗教に魅かれるのか』三笠書房(2009)p182-187
- ^ 井上順孝『人はなぜ新宗教に魅かれるのか』三笠書房(2009)p194
- ^ 島薗進 2001, p. 14.
- ^ 島薗進 2001, pp. 29–36.
- ^ 日本人はどれくらい宗教団体を信頼しているのか、石井研士、「東洋学術研究」第 49 巻第2号、271ページ、2016年7月1日閲覧。
- ^ 島田裕巳『日本の10大新宗教』 幻冬舎(2007/11) P207-209
- ^ 井上順孝『人はなぜ新宗教に魅かれるのか』三笠書房(2009)p68
- ^ セブンスデー・アドベンチスト教会とは - Weblio辞書
- ^ セブンスデー・アドベンチスト教会とは: ホープチャンネル・オフィシャルサイト
- ^ The Aerican Empire : Religion(アエリカ帝国の公式サイト内ページ)
- ^ The Aerican Empire : Quartier Libre(アエリカ帝国の公式サイト内ページ)のうち、一番下の項目。
- ^ 林健太郎「「倨傲の宗教」の終焉」,1990年、p.32-34
新宗教と同じ種類の言葉
- 新宗教のページへのリンク