新世紀エヴァンゲリオン 概要

新世紀エヴァンゲリオン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/15 10:56 UTC 版)

概要

本作品は1990年代に始まる第3次アニメブームのきっかけとなった作品である[5]。作品発表当時、物語の構造として、主人公の自意識や人間関係と、世界の命運という両極端なスケールの話が連動していることが斬新であったため、ポスト・エヴァンゲリオンともいうべき作品が数多く生み出され、後にそのような作品がセカイ系と呼称されるようになった[6]。さらに、製作委員会方式を採用した初期の作品であり、本編を収めたパッケージメディアの成功だけでなく、メディアミックスの一環として発売した漫画やフィギュアなどの関連商品も軒並みヒットし、本作品以降首都圏で深夜を中心にアニメ放送が急増し(深夜アニメの登場)、21世紀以降のアニメ文化の枠組みを築いた。

設定にある第3新東京市とは、実際の日本地図に当てはめると、神奈川県足柄下郡箱根町仙石原付近の芦ノ湖北岸にあたりになる。

1997年には、テレビシリーズ版の結末(第弐拾伍話、最終話)とは別の結末を描いた劇場版『Air/まごころを、君に』(第25話、第26話)が公開された。

テレビアニメと漫画のメディアミックス作品であり、テレビ放送に先立つ1994年12月(1995年2月号)より角川書店の『少年エース』で貞本義行によるコミカライズ版『新世紀エヴァンゲリオン』が連載開始され、18年後の2013年6月(2013年7月号)に連載終了。連載開始から19年後の2014年11月20日に最後の単行本(第14巻)が発売されて完結した。

2006年には、本作品を新たな設定・ストーリーで「リビルド(再構築)」した『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ全4作の制作が発表され、2007年に第1作『』、2009年に第2作『』、2012年に第3作『Q』、2021年に第4作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が公開された。

なお、テレビアニメ版、旧劇場版[注釈 6]、漫画版、新劇場版はそれぞれ物語後半からストーリーに差異が見られる。


  1. ^ 日本SF大賞を受賞していることなどから。
  2. ^ 制作者側より明言されていることなどから[1]
  3. ^ a b c d e 本放送当時は原作とアニメーション制作がGAINAXになっていたが、2023年現在は原作は庵野秀明、アニメーション制作はタツノコプロ単独に変更された。また、EDのクレジット表記ではGAINAX関連の企業をモザイクで隠す処置が行われた。
  4. ^ a b 角川書店、Project Eva.、GAINAXテレビ東京セガ・エンタープライゼス、東映。
  5. ^ 前述の通り、原作者は放送当時「GAINAX」名義だった。
  6. ^ 旧劇場版はテレビアニメ版第25話から分岐する形となり、最終2話分を新たに制作。
  7. ^ この時の日付は作中で明示されていないが、シンジを演じた緒方恵美は2015年6月21日、自身のツイートで「『明日』だった」と述べている。
  8. ^ テレビシリーズ版として発売されたVHS・LD・初期DVDまでは、テレビシリーズ版の第弐拾伍話・最終話と同時に、旧劇場版と同じ物語の第25話・第26話が収録された。ただし、劇場版とは異なる部分がある。
  9. ^ ただし、設定・テーマは同じで、展開を別に描いたものである[7]
  10. ^ リメイク作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズでは、式波・アスカ・ラングレー(しきなみ アスカ ラングレー)として登場する。
  11. ^ なお、その生産過程にはその正体に関連する人道的な問題があるため、各機関はその真実を秘匿し続けていた。
  12. ^ 母親の魂を介すことでEVAとシンクロする。この設定は、NHKスペシャル驚異の小宇宙 人体II 脳と心』から着想を得ている[8]。また、パイロットが14歳に限定される理由は当初は設定されていなかったが、前述の『驚異の小宇宙 人体II 脳と心』から貞本がイメージを作っていった[9]
  13. ^ 改装後の零号機を商品化する際などに使われる名称。本編では改装後も一貫して零号機と呼称される。
  14. ^ 本編においてはS2機関の実験中にNERV第2支部と共に消滅したと言及されるのみで、外観描写は無い。
  15. ^ 本編において外観描写が無いため。プラモデル化の際にはシルバーと設定された。
  16. ^ ゲームやパチンコに登場する際には渚カヲル、または相田ケンスケが搭乗することがある。
  17. ^ 渚カヲルのパーソナルが移植されている。
  18. ^ 『トップをねらえ!』の設定と類似するので却下された[8]
  19. ^ 貞本、鶴巻、佐藤ら主要制作スタッフが語るところによる[19]
  20. ^ ただ、これは竹熊健太郎の問いに対し、庵野が「無意識でやっているんでしょうね」と答えるに留まっており、完全に言明したわけではない[26]
  21. ^ ただし第拾伍話と第弐拾四話は反転して白地に黒字。
  22. ^ 第拾九話では枠なし、最終話は赤枠に赤字で表記。
  23. ^ 『新世紀エヴァンゲリオン(ニュータイプ100%コレクション)』で、当時のパソコン通信での反応が見られる[40]。また、2006年10月号の『月刊ニュータイプ』では「ネットでアニメを語った最初の作品」として紹介されている[41]。その他氷川竜介の評論など参照[42]
  24. ^ エンディングテーマは「FLY ME TO THE MOON」を使用しておらず、不適切な言語が修正されている。この変更の影響で、「NERV」(ナーヴ)の発音がキャラクター毎に異なっている。
  25. ^ ビデオ版第26話の次回予告は実写を使用。
  26. ^ これは当作に限ったことではなく、当時のテレビ東京は年末年始の特別番組により通常時間での放送ができなかった場合放送時間を午前帯に振り替えて週1回の放送を維持していた。現在はこのようなことはなく、当該放送は休止されている。
  27. ^ シナリオ集『エヴァンゲリオン オリジナル』では「ゼーレ、魂の座」が第拾参話、「使徒、侵入」が第拾四話に入っている。
  28. ^ ヨハネの黙示録に出てくる獣。
  29. ^ 英語で「転校生」の意。
  30. ^ 心理学用語の「ヤマアラシのジレンマ=the Porcupine Dilemma」から。ここで使われている「Hedgehog」はハリネズミのことで、英語ではHedgehog's Dilemmaの表記が一般的。
  31. ^ 『新世紀エヴァンゲリオン』のテレビシリーズおよび劇場版、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序〜Q』のシリーズを通して庵野秀明が唯一脚本を担当していない回である。ただし、脚本集『エヴァンゲリオン オリジナル』に所収されている本話の脚本は、全体の内容に大きな相違はないが、形式は「葛城ミサトによる碇シンジの観察報告」と完成作とは大きく異なったものになっている。
  32. ^ 「strike」は、「攻撃する」と「(えさに食いついた後で釣糸を張って)魚を鉤針にひっかける」をかけている。また、アメリカでは台風上陸時に「(女性名)strikes!」と言い回されるが、それともかけている。
  33. ^ デイヴィッド・ブリンのSF小説『サンダイバー英語版』 (SUNDIVER) から。また、唯一日本語と英語のタイトル名が同一の回。
  34. ^ SF映画『地球の静止する日』 (The Day the Earth Stood Still) から。
  35. ^ 小説『ガリヴァー旅行記』に登場する小人族リリパットから。
  36. ^ セーレン・キェルケゴールの著作『死に至る病』から。
  37. ^ 心理学用語「乳房の分裂」から。
  38. ^ 心理学用語「取り込み」から。
  39. ^ 心理学用語「口唇期」から。
  40. ^ 直訳すると「存在するな」のように聞こえるが、実際に英語の会話の中で使われるときには「I'm sorry(ご免なさい)」の返答・否定形として使われ、「自分を責めるな」の意となる。
  41. ^ 「シ者」は、渚カヲルの「渚」のを分けたもの。使者、あるいは死者。
  42. ^ ロナルド・D・レインの詩集『DO YOU LOVE ME?』(邦題『好き?好き?大好き?』)から。
  43. ^ ハーラン・エリスンの著作『世界の中心で愛を叫んだけもの英語版』から。
  44. ^ 英語で「お大事に、お体を大切に、(別れ際に)お気をつけて」の意。
  45. ^ ただし第拾参・拾四話は先述の通り放送時間の変更があったため、視聴率は低下している。この2話を除いた最低視聴率は第四話の5.8%。
  46. ^ テレビ東京では、1995年12月27日は水曜 17:30 - 18:00、1996年1月3日は水曜 8:00 - 8:30にそれぞれ放送された。
  47. ^ 当時の夕方6時30分枠はアニメ再放送枠『マンガのくに』となっていた関係で、TXN系列局で唯一の時差ネットとなっていた。1995年12月28日放送分は12月27日水曜 17:30 - 18:00に放送(他系列局と同時刻であるが遅れ放送)。後番組の『VS騎士ラムネ&40炎』の翌日に最終回が放送された(夕方6時30分枠の時差ネットは1996年4月改編をもって解消されたため)。
  48. ^ この他に2001年2月21日発売、新世紀エヴァンゲリオン SECOND IMPACT BOX 中巻 VOLUME6に収録。
  49. ^ 第弐拾伍話、最終話の次回予告は15秒、第25話、第26話の次回予告は30秒。
  50. ^ 放送時の次回予告の長さは当初は30秒を予定していたが放送時間の都合上、15秒に変更されて放送された。このため放映時の15秒の次回予告は特典映像として収録された[82]
  51. ^ VHS・LD全巻購入者特典の第弐拾壱話 - 第弐拾四話。および2001年2月21日発売、新世紀エヴァンゲリオン SECOND IMPACT BOX 中巻 VOLUME6を除く。
  52. ^ 第弐拾四話終了後に第弐拾伍話と第25話の次回予告。第25話終了後に第26話の次回予告。第26話終了後にエンディングがある。他にも演出上の違いがある。
  53. ^ 新世紀エヴァンゲリオン SECOND IMPACT BOX 下巻 VOLUME7(2001年6月22日発売)を除く。
  54. ^ テレビ東京系列での放映版、VHS・LD・初期DVD版よりサイズが大きい。
  55. ^ ただしDVDのリニューアルの際に削除されたカットもある。
  56. ^ VHS・LD・初期DVD版の第弐拾壱話から第弐拾四話のエンディングはテレビサイズのため追加シーンのスタッフテロップは次回予告の後に掲載される。
  57. ^ 劇場版「シト新生」ビデオ付き前売券のために製作されたビデオ[84]
  58. ^ 発売日はビデオ付き前売券の劇場窓口販売開始日。
  59. ^ VHSまたはLD全巻購入者への特典として応募者に配布。
  60. ^ KIBA-はキングレコード盤、GDVD-はGAINAX盤となっており、ディスク上の刻印も異なるが収録内容は同じである。なお、キングレコード盤は帯付きのケースとなっている。
  61. ^ 第弐拾壱話から第弐拾四話はテレビ放映版を収録。
  62. ^ a b 第拾六話はオリジナルの16mmネガフィルムが紛失したため、35mmインターネガからテレシネで収録[85]
  63. ^ 予約限定5万セット。
  64. ^ Yahoo!Japan store限定。
  65. ^ '07 EDITIONの特典ディスクは2003年版、または復刻版の特典ディスクから「AR用定尺ラッシュビデオ」のみ未収録[86]であること以外は同じ内容を収録。加えて、ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序の予告編を新たに収録。
  66. ^ a b 第拾六話はオリジナルの16mmネガフィルムが紛失したため、SDマスターからのアップコンバートで収録[88]
  67. ^ 第拾六話はオリジナルの16mmネガフィルムが紛失したため、SDマスターからのアップコンバートで収録[89]
  68. ^ ゲーム雑誌『電撃PlayStation』が新劇場版の特集を行った時にこの「各業界への影響」について触れている。そこでゲームクリエイターに対して行われたインタビューやアンケートでも「本作品の影響を受けた」とする回答が多く見られた。
  69. ^ 多くのロボットアニメは玩具メーカーがメインスポンサーとなっており、玩具の売り上げが作品にも大きな影響を与える。本作品のスポンサーには玩具メーカーがついていないが、これは監督の庵野の意向である[1]。また、ロボットアニメの記事なども参照のこと。
  70. ^ テレビアニメ#テレビアニメ史深夜アニメも参照。
  71. ^ 1996年では1本しかなかった深夜アニメ(『エルフを狩るモノたち』)が1997年には12本、1998年には24本と急速に増加した[41]
  72. ^ ただし、プロデューサーの大月俊倫によるとテレビ版の企画としてクレジットされている「Project EVA」は実質的に大月1人の存在で製作委員会の会議も一度もやっていないという[123][124]。旧劇場版では製作委員会が組織されているが新劇場版はカラーの自社製作である。






固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「新世紀エヴァンゲリオン」の関連用語

新世紀エヴァンゲリオンのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



新世紀エヴァンゲリオンのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの新世紀エヴァンゲリオン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS