文部科学省
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広報
文部科学省が編集する白書には「文部科学白書」及び「科学技術白書」があり、後者は科学技術基本法の規定により、政府が毎年国会に提出する「政府が科学技術の振興に関して講じた施策に関する報告書」(年次報告書、同法第8条)を収録している。
文部科学省が発行または編集する広報誌としては、本省の『文部科学広報』(月刊)、文化庁の『月刊文化財』、日本学士院の『日本学士院ニュースレター - 明六社だより』(年2回刊)、地震調査研究推進本部の『地震本部ニュース』(月刊)、などがある。『月刊文化財』の発行主体は第一法規株式会社で、文化庁は監修に携わっている。かつては、ぎょうせい発行の『文部科学時報』(月刊)があったが、2012年3月10日号をもって終刊となった。文化庁の『文化庁月報』(月刊)も2014年3月号をもって終刊となり、不定期のウェブ広報誌『ぶんかる』として発刊している。
ウェブサーバー名は「www.mext.go.jp
」。他に文化庁は「www.bunka.go.jp
」、日本学士院は「www.japan-acad.go.jp
」、地震調査研究推進本部は「www.jishin.go.jp
」、国立教育政策研究所は「www.nier.go.jp
」、科学技術・学術政策研究所は「www.nistep.go.jp
」等と一部の機関は独自のドメイン名を持つ。
関連紛争や諸問題
教育全般に関わる問題
外国との関係
民間との関係
天下り問題
2017年に発覚した組織的な天下りのあっせん(文部科学省天下り問題)への対策として、2019年4月から国立大学法人へ理事として出向する文科省幹部を半減させる事になった。文科省は運営費交付金を出すなど、大学に対して大きな権限を持つ。加計学園問題で注目された前川喜平は次官として天下りあっせんで処分されており、加計学園理事であった木曽功も元国際統括官である[18]。
アートプラットフォーム関係者の抗議、辞任
あいちトリエンナーレ2019に対する補助金不交付問題にからんで、2019年10月1日に文化庁が取り組む「アートプラットフォーム事業」のメンバーから撤回を求める声明文が出され、副座長が辞表を提出した[19]。
不祥事や疑惑など
- 1989年 - リクルート事件。高石邦男元文部次官が収賄容疑で逮捕された。
- 2008年 - 文部科学省施設整備汚職事件。企画部長が収賄で逮捕。
- 2017年 - 文部科学省天下り問題。組織的な天下り斡旋事件が発覚し、62件の国家公務員法違反が確認されたとして、2017年3月30日付で歴代事務次官8人のOBを含む幹部37人に停職や減給等の処分を実施している[20]。
- 2018年 - 文部科学省汚職事件。科学技術・学術政策局長、国際統括官が相次いで収賄で逮捕。
- 2019年5月 - 初等中等教育局の男性参事官補佐(44歳)が覚せい剤取締法違反(所持)、大麻取締法違反(所持)容疑で関東信越厚生局麻薬取締部に逮捕される[21]。「霞ヶ関」の薬物事件は、2018年年末の外務省(外務省#関連紛争や諸問題参照)、2019年5月の経済産業省(経済産業省#不祥事など参照)に続く3例目であった。
- 令和元年度の教科書検定について産経新聞及び関連のサイトは下記の主張をしている[22]。
- 山川出版の中学校用教科書に「従軍慰安婦」が復活。本文で「(外国人が)徴用され、鉱山や工場などで過酷な条件の下での労働を強いられた」と記述し、注記で「戦地に設けられた『慰安施設』には、朝鮮・中国・フィリピンなどから女性が集められた(いわゆる従軍慰安婦)」と補足する。要するに、過酷な条件で労働を強いられた一つに集められた従軍慰安婦があった、と読める。従軍慰安婦は戦後30年の造語である。約半数を占めていた日本が抜けている。「閣議決定等政府の統一的な見解又は最高裁の判例に基づいた記述がされていること」の検定基準に違反している。平成19年の閣議決定「強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」、平成28年国会答弁「性奴隷の事実はない」、最高裁判決の、朝日新聞記者による”慰安婦強制連行記事”は捏造とするのが相当である、との令和2年(2020年)判決、それぞれに反している。河野談話は、より上位の閣議決定等で上書きされている。上記諸点で不適切な記述の教科書を、文科省は合格にしている[22]また、外国人徴用工と日本人徴用工の待遇が同じだったこともわかっている。台湾出身で三菱重工長崎造船所で働いた徴用工・鄭新発には、給与以外に団体出勤賞や賞与金、生産増進慰労金まで支払われている[23]。
- 2020年3月10日の参議院文教科学委員会で松沢成文参議員が教科書検定一発不合格問題を質した。「以前の教科書認定で用いられた記述と同じ記述が、今回はどういう理由か分からないけれども否定されている。これも複数箇所あるんですよね。これは、教科書認定制度を実行している文科省としては、これが発覚したらやっぱりおかしいですよね。そういうこともあり得るんですか。以前はこれはオーケーだった、全く同じ文章なのに今回は駄目だ。そりゃ歴史がすごく変わったり状況が変わったりしたら別ですよ。だって、昔の出来事のことを同じ表現でしていて、今回は駄目だ。これは、教科書認定制度としてこういうことをやるのは不正じゃないですか、欠陥じゃないですか。どうですか。」これに対して文部科学省(大臣官房総括審議官 串田 俊巳)は、「検定の一般論といたしまして、以前の検定で合格した教科書の記述とたとえ同じ表現であったといたしましても、学習指導要領の改訂あるいは学説状況の変化といったものがあった場合、記述の文脈が変わった場合などについては、いわゆる欠陥箇所として指摘するということは十分あり得ることでございます。また、教科書検定につきましては、学習指導要領あるいは教科用図書検定基準などの規則に基づきまして、教科用図書検定調査審議会の学術的、専門的な審議により執り行われているものでございまして、審議は申請者の名前を明かさずに行っていることからいたしましても、全く同じ記述について特定の教科書についてのみ欠陥を指摘するといったことは考えにくいものと認識しております。」と答弁した。さらに松沢議員は「今回のつくる会のこの記者発表を見ていても、報道を見ていても、どう見ても今回のやり方は異常ですよ。四百五件と、があっと増やしているんです。これどうして増やしたかというと、一発で不合格にしたいからと思われても仕方がないでしょう。実はこれが三百五十以下ぐらいの欠陥箇所だと反論権が与えられて、そこから交渉が始まって、また教科書、よし、ここの、この辺りを直したならばいいでしょうといって教科書として検定が合格できる可能性もあるのに、それをさせない分量までがあっと積み上げているんですよね。」「過去通っているのが今回は駄目だ、ほかの教科書でオーケーなのがこの教科書だけは駄目だ、こんな不公平な検定をやるような文科省の検定制度を我々国民は検定しなきゃいけないんですよ。おかしいでしょう。」と発言した[24][25]
- 2020年 - 週刊アサヒ芸能、産経新聞は下記の記事を掲載した。
- 「北朝鮮スパイリスト」を韓国警察が押収。中身は一般人に身分を偽装した工作員のリストで、慰安婦問題など負の歴史を通じ反日思想を刷り込む工作などに関わっていた。リストに名前が載るNは文部科学省の教科書調査官で、令和3年度(2021年)から使われる中学歴史教科書の検定に、主任として関わっていたことが分かった[26]。産経新聞によると、Nが「従軍慰安婦」記述を復活させ、左翼が忌み嫌う「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を検定不合格にした張本人だという。韓国での講師経験しかない、毛沢東礼賛本しか書いていないNが、なぜ「教授、准教授の経歴またはそれに準じる高度に専門的な学識」を有する者と認められ、調査官に任命されたのか。しかも学位を法学で取得したNに地理歴史科の調査官を任せるなど、"文科省の闇" が指摘されている[27]。
- 2021年 - 当時文部科学副大臣だった亀岡偉民と官房長だった藤原誠が、国から補助金を受けている学校法人から繰り返し接待を受けていたと、しんぶん赤旗が報じた[28]。文部科学大臣の萩生田光一は、しんぶん赤旗の報道翌日の会見で、補助金を受けている学校法人との会合に藤原氏が同席したことを認めた[29]。
- 2022年8月 - 全日本私立幼稚園連合会をめぐる業務上横領事件に関連し、供応接待を受けるなど国家公務員法や倫理規程違反があったとして、矢野和彦官房長ら6人を減給とする懲戒処分を発表した[30]。
その他
- 文化庁については「文化庁#関連紛争や諸問題」を参照。
歴代事務次官
代 | 氏名 | 出身 | 前職 | 在任期間 | 最終学歴 | 退任後の役職 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 小野元之 | 文部省 | 文部省大臣官房長 | 2001年(平成13年) 2003年(平成15年) 1月10日 |
1月06日-京都大学法学部卒 | 日本学術振興会理事長 学校法人城西大学理事長代理 教育再生会議委員 |
2 | 御手洗康 | 文部省 | 文部科学審議官 | 2003年(平成15年) 2005年(平成17年) 1月11日 |
1月10日-東京大学法学部卒 | 放送大学学園理事長 学校法人共立女子学園理事長 |
3 | 結城章夫 | 科学技術庁 | 文部科学審議官 | 2005年(平成17年) 2007年(平成19年) 7月 6日 |
1月11日-東京大学工学部卒 | 山形大学学長 学校法人富澤学園副理事長 |
4 | 銭谷眞美 | 文部省 | 初等中等教育局長 | 2007年(平成19年) 2009年(平成21年) 7月14日 |
7月 6日-東北大学教育学部卒 | 東京国立博物館館長 日本博物館協会会長 ベルマーク教育助成財団理事長 |
5 | 坂田東一 | 科学技術庁 | 文部科学審議官 | 2009年(平成21年) 2010年(平成22年) 7月30日 |
7月14日-東京大学大学院工学系研究科修士課程修了 | ウクライナ特命全権大使 一般社団法人日本原子力産業協会特任フェロー |
6 | 清水潔 | 文部省 | 文部科学審議官 | 2010年(平成22年) 2012年(平成24年) 1月 6日 |
7月30日-東京大学法学部卒 | 明治大学研究・知財戦略機構特任教授 早稲田大学大学院教職研究科客員教授 京都工芸繊維大学顧問 弁護士(みのり総合法律事務所) |
7 | 森口泰孝 | 科学技術庁 | 文部科学審議官 | 2012年(平成24年) 2013年(平成25年) 7月 8日 |
1月 6日-東大大学院工学系研究科修了 | 東京理科大学特命教授を経て副学長 科学技術広報財団理事長 日本工学教育協会会長 |
8 | 山中伸一 | 文部省 | 文部科学審議官 | 2013年(平成25年) 2015年(平成27年) 8月 4日 |
7月 8日- 東京大学法学部卒 | ブルガリア特命全権大使 学校法人角川ドワンゴ学園理事長 |
9 | 土屋定之 | 科学技術庁 | 文部科学審議官 | 2015年(平成27年) 2016年(平成28年) 6月17日 |
8月 4日- 北海道大学大学院環境科学研究科修了 | ペルー特命全権大使 広島県公立大学法人理事長 広島大学学長参与、北里大学参与、国立サンマルコス大学名誉博士 |
10 | 前川喜平 | 文部省 | 文部科学審議官 | 2016年(平成28年) 2017年(平成29年) 1月20日 |
6月17日- 東京大学法学部卒 | 日本大学非常勤講師 |
11 | 戸谷一夫 | 科学技術庁 | 文部科学審議官 | 2017年(平成29年) |
1月20日- 東北大学工学部卒 | 材料科学技術振興財団理事長 玉川大学教授 半導体エネルギー研究所取締役 高砂熱学工業顧問 |
藤原誠文部科学省大臣官房長による事務代理[31]。 | 2018年(平成30年) 2018年(平成30年)10月16日 |
9月21日- 東京大学法学部卒 | ||||
12 | 藤原誠 | 文部省 | 大臣官房長 | 2018年(平成30年)10月16日-
2021年(令和3年)9月21日 |
東京大学法学部卒 | 東京国立博物館館長 |
13 | 義本博司 | 文部省 | 総合教育政策局長 | 2021年(令和3年)9月21日-
2022年(令和4年)9月1日 |
京都大学法学部卒 | |
14 | 柳孝 | 科学技術庁 | 文部科学審議官 | 2022年(令和4年)9月1日-
2023年(令和5年)8月8日 |
立命館大学法学部卒 | |
15 | 藤原章夫 | 文部省 | 初等中等教育局長 | 2023年(令和5年)8月8日- | 東京大学法学部卒 |
注釈
出典
- ^ 国会、裁判所、内閣、内閣府ほか11省等 会計検査院 2021年1月8日閲覧
- ^ a b 行政機関職員定員令(昭和44年12月9日政令第374号)(最終改正、令和5年3月30日政令第90号) - e-Gov法令検索
- ^ a b 文部科学省定員規則(平成13年文部科学省令第17号)(最終改正:令和5年3月30日文部科学省令第13号) - e-Gov法令検索
- ^ a b c 令和5年度一般会計予算 (PDF) 財務省
- ^ 文部科学省 コトバンク 2021年3月27日閲覧。
- ^ 『本部事務所仮移転のお知らせ』(プレスリリース)東京商工会議所、2015年1月5日 。2016年4月30日閲覧。
- ^ 『新ビルでの本部業務開始について』(プレスリリース)東京商工会議所、18/11/26 。2019年4月15日閲覧。
- ^ “知っていますか? 文部科学省のシンボルマーク - きょういくじん会議 - 明治図書オンライン「教育zine」”. www.meijitosho.co.jp. 2023年10月6日閲覧。
- ^ 科学技術・学術(独立行政法人) - 文部科学省ホームページ
- ^ “平成27年2月6日(金)定例閣議案件”. 首相官邸. 2021年1月26日閲覧。
- ^ “独立行政法人一覧(令和5年4月1日現在)” (PDF). 総務省. 2023年5月5日閲覧。
- ^ “所管府省別特殊法人一覧(令和5年4月1日現在)” (PDF). 総務省. 2023年5月5日閲覧。
- ^ “特別の法律により設立される民間法人一覧(令和5年4月1日現在:34法人)” (PDF). 総務省. 2023年5月5日閲覧。
- ^ 一般職国家公務員在職状況統計表 (PDF) (令和4年7月1日現在)
- ^ 令和5年度特別会計予算 (PDF) 財務省
- ^ 令和3年度 年次報告書(公務員白書) 「第1編第3部第6章:職員団体 - 資料6-2;職員団体の登録状況。2021年3月31日現在。 (PDF)
- ^ 大原社会問題研究所 「主要な労働組合の現状」『日本労働年鑑. 第80集(2010年版)』 旬報社、2010年6月、p.438。2010年3月末現在。
- ^ 文科省幹部の国立大理事としての出向を半減へ 天下りあっせんが問題化 毎日新聞 2019年2月15日
- ^ 「文化庁アートプラットフォーム事業」メンバーからも撤回求める声。文化庁の補助金不交付決定で 美術手帖 2019年10月1日
- ^ “文科省天下りで37人処分 最終報告、違法事案62件に”. 日本経済新聞. (2017年3月31日) 2017年6月15日閲覧。
- ^ “文科省キャリア逮捕 覚醒剤と大麻所持疑い”. 東京新聞 2019年5月29日 02時00分. 2020年8月15日閲覧。
- ^ a b 「教科書の従軍慰安婦削除を」『産経新聞』2021年1月21日
- ^ NHKは私の真意を歪めた 「給与 + ボーナス 30分辺り」チャンネル正論 2020年10月29日
- ^ 第201回国会 参議院 文教科学委員会 第2号 令和2年3月10日
- ^ こんなやり方有りますか、ひどいもんです 「極めて不正と思われる手段で潰しにかかる文科省」松沢しげふみ!チャンネル 2020年03月11日
- ^ 「北朝鮮スパイリストに文科省調査官」 週刊アサヒ芸能 2020年7月30日号
- ^ 「教科書調査官と北朝鮮の闇」 産経新聞 2020年7月28日
- ^ “本紙スクープ/文科省接待の記録/亀岡副大臣(当時)・次官らを複数回/豊栄学園 補助金2400万円”. しんぶん赤旗. (2021年3月22日) 2021年5月4日閲覧。
- ^ “学校法人の副大臣接待報道、事務次官同席認める 萩生田文科相”. 産経新聞. (2021年3月23日) 2021年5月4日閲覧。
- ^ “官房長ら6人を懲戒処分 幼稚園連合事件めぐり接待など―文科省”. 時事ドットコム. (2022年8月26日) 2022年9月4日閲覧。
- ^ 官房長が次官事務代理に文科省 2018/9/21 11:39(日経新聞)
- ^ 職員名簿(文部科学省)(令和5年7月4日現在) 文部科学省
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