支那 文化・学術・言論での使用

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支那

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/20 23:45 UTC 版)

支那(しな)またはシナとは、中国またはその一部の地域に対して用いられる地理的呼称、あるいは王朝政権の名を超えた通史的な呼称の一つである。日本では江戸時代中期から広まったが、第二次世界大戦後は差別的意味合いがあると主張されて使用が批判される傾向がある[1]


注釈

  1. ^ 中華民国社会主義化していたモンゴルの独立を認めていなかった。
  2. ^ 富永仲基『出定後語』「三蔵阿毘曇修多羅伽陀第五」には「支那の教学、必ずこれを操縵に託す」とあり、同書「言有三物第十一」には「真丹・震旦・支那・指難また同じ、琳師云わく、東方は震に属すと、また字に因って解を生ず、笑うべし」とある。早稲田大学蔵、高橋昌長写本、 https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko01/bunko01_01577/bunko01_01577_p0017.jpghttps://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko01/bunko01_01577/bunko01_01577_p0031.jpg
  3. ^ 覚深『摩多羅私考』には「天竺・支那・扶桑の神なりや」「支那の神にあらず」という語が見える。
  4. ^ 長久保赤水「唐土歴代州郡沿革図」の安政2年佐藤元萇跋文に「世の論者ややもすれば輙ち曰く、支那と我と相い唇歯となすと、これ必ずしも然らず……六大洲の浩々たる、満清を継いで王たる者また何の姓なるを知らず」と言う。[1]
  5. ^ 間宮林蔵述村上貞助編『東韃紀行』国立公文書館デシタルアーカイブ 東韃地方紀行 中巻(文化八年(1811年)筆原本画像)
  6. ^ 「日憂黄種陵夷、憫支那削溺」宮崎滔天『三十三年之夢』 - 国立国会図書館デジタルコレクション国光書房
  7. ^ 「中華民国ナル名称ハ現共和国ノ国号ニ付承認後ニ於ケル公式ノ文書即チ条約国書等彼我往復ノ文書中特ニ国名全部ヲ記スル場合ハ斯ク認ムルヲ要スレトモ帝国部内ニ於テハ中華民国ト称スルノ要ナカルヘク」と稟申し、中国では歴朝の国号により呼称を変えるが欧米は関係なくChina等の地理的名詞を使用していること、日本で一般言語として支那と称していることを挙げ、欧米にならって支那という地理的名詞を使って正式な公文書を記録すべきであり「今後国号ノ更改如何セス我ニ於テハ「支那」ト称スルニ敢テ差支ナカルヘクト存候」と上申した[16]
  8. ^ ここでは「暴戻:残酷で徳義にもとる」「暴・膺懲:乱暴(な者)を懲らしめる」の意味であり、支那(支)そのものは固有名詞にすぎない。
  9. ^ 「中国」は現代中国語の発音記号でzhōngguó、国際音声記号では[ʈ͡ʂʊŋ˥ kuo˧˥]と表記され、かな文字化すると"チュンクォ"となる。
  10. ^ 戦後のかなり経過した書籍であっても、広島県町村会編「広島町村会50年史」(1971年発刊)のように、「日支事変」といった表現がある事例もある。
  11. ^ 1952年に蔣介石政権との間で締結された「日本国と中華民国との間の平和条約」は日華平和条約と呼ばれる。
  12. ^ たとえば1964年2月18日に参議院外務委員会において中国問題を扱った当時の大平正芳外務大臣の答弁は、全て「中共」である。
  13. ^ 編集者の西村幸祐のほか主に右派論客とされる、畠奈津子、中宮崇などの寄稿が「シナ」を使っている。ただし、批判的な論者でも青木直人などは「中国」としている。
  14. ^ ジャーナリスト堀田貢得によれば、「語源に差別の要素はないが、日本と中国との戦争中に多くの日本人が侮辱の感情を込めて用いたので、不適切な表現ではないとの反論はしがたく、公的場所での使用はほとんどない」とされる[46]

出典

  1. ^ a b 支那. コトバンクより2023年9月10日閲覧
  2. ^ 下中 1938、485頁
  3. ^ a b 于紅 2002, pp. 104.
  4. ^ 鈴木秀明 (2009年3月19日). “日中勘違い:「支那」という言葉について考える(1)”. サーチナ. モーニングスター. 2010年8月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年6月21日閲覧。
  5. ^ ジョシュア・フォーゲル, “On Japanese Expressions for ‘China’,” Sino-Japanese Studies II.1 (December 1989), 5-16; reprinted in The Journal of Intercultural Studies (Kansai University of Foreign Studies) 17-18 (1990-91), 31-40. (archive)
  6. ^ 『世界大百科事典』 12(シ-シヤ)(改訂新版)、平凡社、2007年9月、453頁。ISBN 978-4-582-03400-4 性霊集』原文は「摩竭鷲峰釈迦居、支那台岳曼殊廬」(摩竭の鷲峰は釈迦の居、支那の台岳は曼殊の廬)である。現代語訳は「マガダ国の霊鷲山は釈迦の家であり、支那の五台山は文殊菩薩の家」である。
  7. ^ 万里集九の「山谷先生を祭る文」に「支那扶桑、其の域異なると雖も、祭らざるべからざるは、宋興って以来一人のみ」とある。『五山禅僧詩文集』13。『五山文学用語辞典』13ページ、市木武雄編、続群書類従完成会、2002年。
  8. ^ 小関武史「明治の日本が作り出した新しい言語」『一橋法学』第3巻第3号、一橋大学大学院法学研究科、2004年11月、1001-1012頁、doi:10.15057/8702ISSN 13470388NAID 110007619918  PDF p.6-7 より
  9. ^ 東海林良昌「随自顕宗・随他扶宗について:大玄『浄土頌義探玄鈔』を中心に」『仏教大学総合研究所紀要』第16号、佛教大学総合研究所、2009年3月、281-294頁、ISSN 13405942NAID 110007974193 
  10. ^ 『増訂華英通語』の福澤諭吉の凡例に「学者自非諳支那音」云々とある。現代語訳は、「学ぶ者、支那の音を諳ずるに非ざるよりは」である。https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko08/bunko08_c0788/bunko08_c0788_p0003.jpg 子卿『増訂華英通語』福澤諭吉訳、快堂蔵板、1860年、4頁http://project.lib.keio.ac.jp/dg_kul/fukuzawa_text.php?ID=1&PAGE=4&KEY=%E6%94%AF%E9%82%A3 
  11. ^ a b 于紅 2002, pp. 84.
  12. ^ “「支那暗殺團」笑看飯統” (中国語). 自由時報 (Liberty Times). (2011年5月2日). http://www.libertytimes.com.tw/2011/new/may/2/today-o4.htm 2012年3月20日閲覧。 
  13. ^ a b 鈴木秀明 (2009年4月9日). “日中勘違い:「支那」という言葉について考える(4)”. サーチナ. モーニングスター. 2010年8月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年6月21日閲覧。
  14. ^ 清帝国 p164,増井経夫,1974年
  15. ^ 外務省「日中歴史共同研究」[2]PDF-P.213
  16. ^ 于紅 2002, pp. 81–82, 84.
  17. ^ 于紅 2002, pp. 79.
  18. ^ 1913年6月閣議、7月11日「公文上支那国名決定ニ関スル件」『日本外交文書』大正2年
  19. ^ a b c 于紅 2002, pp. 83.
  20. ^ 于紅 2002, pp. 86.
  21. ^ a b c 于紅 2002, pp. 87.
  22. ^ 国立国会図書館議会官庁資料室 1930年(昭和5年)10月31日閣議決定「支那国号ノ呼称ニ関スル件」
  23. ^ 外務省「第二次外相時代-幣原外交終焉の時
  24. ^ 于紅 2002, pp. 85.
  25. ^ 于紅 2002, pp. 98–99.
  26. ^ 国立国会図書館議会官庁資料室 1937年(昭和12年)9月2日閣議決定「事変呼称ニ関スル件」
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  29. ^ a b 朝日新聞1952年12月30日朝刊
  30. ^ 朝日新聞1947年11月9日朝刊
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  32. ^ 加藤徹『貝と羊の中国人』新潮社〈新潮新書〉、2006年6月、201頁。ISBN 4-10-610169-6 
  33. ^ 朝日新聞2003年9月13日朝刊
  34. ^ 昨日の日記 支那土人、同胞殺して金メダル 中宮崇の世相日記「些事争論」2008年8月23日
  35. ^ a b 朝日新聞2003年6月3日朝刊
  36. ^ a b c 鈴木秀明 (2009年4月9日). “日中勘違い:「支那」という言葉について考える(2)”. サーチナ. モーニングスター. 2010年8月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年6月21日閲覧。
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  42. ^ SETN三立新聞網 「反送中/怒嗆「支聯辦」!中共國徽遭蛋洗
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  44. ^ “〈おんなのイケ麺〉2週間食べ続けても飽きない目黒の支那ソバ 南果歩さん” (日本語). 朝日新聞デジタル&M(アンド・エム). https://www.asahi.com/sp/and_M/living/SDI2016040832941.html 2018年9月1日閲覧。 
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