携帯式防空ミサイルシステム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/29 02:53 UTC 版)
対策
携帯式防空ミサイルシステムは、非正規軍事組織のためのブラックマーケットで人気のある商品である[18]。
こうした組織への拡散は論議を呼び、ワッセナー・アレンジメントは(WA)22 Elements for Export Controls of MANPADSを議題とした。2003年6月2日の第29回主要国首脳会議において「交通保安及び携帯式地対空ミサイル(MANPADS)の管理強化」に関する行動計画[19]が採択された[20]。2003年10月のアジア太平洋経済協力(APEC)の会議ではBangkok Declaration on Partnership for the Futureが開かれ、また2003年7月には欧州安全保障協力機構(OSCE)が安全保障協力のフォーラムにおいてDecision No. 7/03: Man-portable Air Defense Systemsを開いた[21]。
2003年には、コリン・パウエルがミサイルは「航空に対する最も深刻な脅威である」と述べている[22]。このミサイルはヘリコプターと民間旅客機の撃墜に使用でき、わずか数百ドルで不法に販売される。
アメリカ合衆国はこうした兵器を解体する世界的な活動を主導し、2003年以降、30,000基以上が自発的に破壊されたものの、おそらく数十万基がいまだに武装勢力の手中にある。特にイラクでは元独裁者のサッダーム・フセインが所有した軍の工場から兵器が流出し[23][24]、アフガニスタンでも同様である。
2010年8月、アメリカ科学者連盟(FAS)による報告書では、2009年のメディアのレポートと軍関係者へインタビューした結果、イラクのレジスタンスの隠匿所から「一握りの」違法なMANPADSを回収したことが確認された[25]。
軍の妨害装置
MANPADSによる民間旅客機への攻撃事例が増加し、数種類の対抗手段が開発されている。これらは航空機をミサイルから防護することに特化している。
- AN/ALQ-144、AN/ALQ-147、AN/ALQ-157は、アメリカで生産されたシステムで、サンダース・アソシエートにより1970年代に開発された。
- AN/ALQ-212 ATIRCM、AN/AAQ-24 Nemesisは、NATOが採用した指向性赤外線妨害装置である。開発はBAEシステムズおよびノースロップ・グラマン社が各自担当した。
民間の妨害装置
- 民間航空機ミサイル保護システム(CAMPS)は、SAABアビトロニクス、ケムリング・カウンターメジャース、ネイチャーリンク・アビエーションによって開発された装置で、非火工赤外線デコイを使用する。
- フライト・ガードは、イスラエルのエルタ・システムズ社による装置である。
注釈
- ^ 英語圏ではMANPADSのアクロニムが「MANPAD」との単数形で誤用されることも多いが、この種の兵器は1基であっても1組のシステムであり、最後のSは必要である。
- ^ 肩撃ち式SAMは、中東戦争、ベトナム戦争、イラン・イラク戦争からフォークランド紛争、ニカラグア、イェメン、アンゴラ、ウガンダ、チャド・リビア戦争、また1990年代のバルカン紛争に至るまでの多くの戦闘において効果的に使用されている。幾人かのアナリストが主張するところによれば、ソビエト・アフガンの紛争において、アフガンのムジャヒディンは、340基の肩撃ち式SAMを用いて269機のソビエト側航空機を撃墜したという。また、1991年の湾岸戦争で撃墜された連合軍航空機の29機中12機はMANPADSによる。
出典
- ^ CRS RL31741 page 1
- ^ Wade Bose, “Wassenaar Agreement Agrees on MANPADS Export Criteria”, Arms Control Today, January/February 2001, p. 1., quoted in CRS RL31741
- ^ MANPADS Proliferation - FAS
- ^ The proliferation of MANPADS - Jane's
- ^ a b c Marvin B. Schaffer, “Concerns About Terrorists With Manportable SAMS”, RAND Corporation Reports, October 1993, quoted in CRS RL31741
- ^ http://www.deol.ru/manclub/weap_y/txt/n397s1.htm Kolos groud-to air system
- ^ CRS RL31741 page 1-2
- ^ a b c CRS RL31741 page 2
- ^ “Raytheon Electronic Systems FIM-92 Stinger Low-Altitude Surface-to-Air Missile System Family”, Jane’s Defence, October 13, 2000, quoted in CRS RL31741
- ^ Timothy Gusinov, “Portable Weapons May Become the Next Weapon of Choice for Terrorists”, Washington Diplomat, January 2003, p. 2., quoted in CRS RL31741
- ^ CRS RL31741 page 2-3
- ^ “Land-Based Air Defence 2003-2004”, Jane’s, 2003, p. 37., quoted in CRS RL31741
- ^ a b CRS RL31741 page 3
- ^ Richardson, Mark, and Al-Jaberi, Mubarak, "The vulnerability of laser warning systems against guided weapons based on low power lasers", Cranfield University, April 28, 2006
- ^ "Russia's Strela and Igla portable killers" Archived 2008年10月7日, at the Wayback Machine.. A digital copy of an article from the Journal of Electronic Defense, January, 2004 by Michal Fiszer and Jerzy Gruszczynski. Retrieved: 15 June 2009.
- ^ ROGER COHENPublished: 11 December 1995 (1995年12月11日). “French Deadline Passes With No Word From Serbs on Pilots -- New York Times”. Nytimes.com. 2013年7月22日閲覧。
- ^ John Pike (1999年3月21日). “SA-7 GRAIL”. FAS. 2009年2月9日閲覧。
- ^ "MANPADS at a Glance"
- ^ 交通保安及び携帯式地対空ミサイル(MANPADS)の管理強化
- ^ "G-8 to Take Further Steps to Enhance Transportation Security"
- ^ "Man-Portable Air Defense System (MANPADS) Proliferation"
- ^ "Countering the MANPADS threat: strategies for success.(man-portable air defense systems)"
- ^ “U.S. Expands List of Lost Missiles” (英語). The New York Times. (2004年11月6日)
- ^ "Iraq’s Looted Arms Depots: What the GAO Didn’t Mention"
- ^ “Where Have All the MANPADS Gone?” (英語). WIRED. (2010年2月22日)
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