探偵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/15 01:00 UTC 版)
日本における問題点
日本における探偵は、探偵業法による規制こそあるものの基本的には届出制であり、その能力について公的な保証はない。また、探偵の利用者の中にも、探偵の悪用を目論む者もある。そのため、下記のような問題が発生している。
犯罪目的での依頼
ストーカーなどの犯罪者が、標的となる被害者について、探偵を利用してその居所を把握することがある。2012年に発生した逗子ストーカー殺人事件のように、個人情報を入手した探偵のストーカーへの情報提供により、殺人事件にまで発展したケースもある。探偵業法により利用者は依頼に当たって犯罪や違法行為に用いない書面の提出を要するが、利用者側が嘘をつくなどした場合には探偵側も利用者の目的を見極めることは難しく、利用者について公的機関への照会を可能とする法整備の必要性を訴える声もある[10]。
消費者被害
特定企業を相手方とする先物取引等で損害を被った者に対し、「自己に調査を依頼すれば損害を取り戻せる」と勧誘し、実際には損害の取戻しが見込みがないのに依頼をさせたり、新たな調査を行わずに多数の依頼者に既存の資料を使いまわしたり、成果が出ないとして追加調査費用の支払を迫る探偵業者の例もある。消費者庁が消費者安全法に基づき公表した事例もある[11][12]。
業界団体・企業・著名な探偵
国際探偵協会
- World Association of Detectives 世界探偵社協会(通称"WAD")
- Association of British Investigators イギリス調査組合(通称"ABI")
- COUNCIL OF INTERNATIONAL INVESTIGATORS 国際調査協議会(通称"CII")
日本の探偵協会
- 日本の調査業協会の一覧を参照。
フィクションの探偵
探偵を主人公とする小説は欧米の探偵小説がルーツで、事件捜査の中心人物とされることが多く、名探偵とも呼ばれる。
日本では、主人公が探偵業務を行う小説は、かつて「探偵小説」と呼ばれたが、推理をする人間が必ずしも探偵を職業にしているとは限らないため、現在は「推理小説」と呼ばれている。
注釈
- ^ 日常的には、「the private eye」とも。
- ^ 現在のパリ警視庁の前身。
- ^ 注 - ヴィドックのこの数奇な人生が、コナン・ドイルに「シャーロック・ホームズ」の着想を、またヴィクトル・ユゴーに『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャンや彼を追うジャベールの着想を与えた、とも言われる
- ^ 免許制になっている州では、探偵の免許はたとえば3段階に分けられており、消費者との商談が許される最上位の免許については取得に5年以上かかる[要出典]。
- ^ 警察官は法律で職務内容や権限が定められる。また、公務で知ったことを私的に金銭目的で使用してはならない、と関連法で定められることが一般的である。さらに、警察官は警察学校を卒業し“法に遵い正しく職務執行します”と宣誓していることが多い。職務絡みの違法行為を為した者はこの宣誓にも背くことになり、処罰や人事処分を受ける。
出典
- ^ a b c d e f 『スーパーニッポニカ』「探偵」。梶龍雄 執筆担当。
- ^ INC, SANKEI DIGITAL (2013年10月18日). “【関西の議論】「探偵」も受難の時代…「尾行」は「正当業務」か「つきまとい」か、大阪では異例訴訟が係争中(1/4ページ)”. 産経ニュース. 2023年6月30日閲覧。
- ^ a b Morn, Frank (1982). The Eye That Never Sleeps: A History of the Pinkerton National Detective Agency. Bloomington: Indiana University Press. ISBN 0-253-32086-0 p. 192.
- ^ 探偵の日 社団法人探偵協会、2017年1月27日閲覧。
- ^ ファミリーヒストリー「さだまさし~スパイだった祖父 大陸の奥地へ~」 - NHK
- ^ 梶龍雄「探偵」『日本大百科全書』 15巻、小学館、1987年5月1日、76頁。ISBN 4-09-526015-7。“探偵”. コトバンク. 2018年4月7日閲覧。
- ^ “令和4年中における探偵業の概況”. 警視庁生活安全局生活安全企画課. 令和5年11月6日閲覧。
- ^ private detective services
- ^ 探偵社新聞集成明治編年史. 第七卷、林泉社、1936-1940
- ^ “DV被害者、逃げたら「探偵に後をつけられるように…」加害者の依頼、見極めに苦慮する業界”. 弁護士ドットコム2020年11月28日記事. 2021年4月13日閲覧。
- ^ “「先物取引の損失戻す」と勧誘 探偵会社「コム」に注意”. 朝日新聞2020年8月5日記事. 2021年4月13日閲覧。
- ^ “「商品先物取引で被った損失を取り戻せる」などとうたい、高額な金銭を支払わせる株式会社コムに関する注意喚起”. 消費者庁. 2021年4月13日閲覧。
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