成人式 問題

成人式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/02/19 03:58 UTC 版)

問題

趣旨再定義の立ち遅れ

2004年3月に横浜市教育委員会が行った市民意識調査[25]によると、元来の趣旨である「新成人が、大人になったことを自覚するための行事」がほとんどの世代で最も多いものの、参加対象層である未成年、新成人、20代においては「友達同士が再会する『同窓会』のような行事」が約2割から3割に及んでいる。ほかに、20代以下の女性においては「スーツや晴れ着を着て、新成人が一堂に会する行事」が2割台に及んでおり、開催側のイベントの趣旨設定が、参加対象者層のイベントへの期待と乖離しつつあることがうかがえる。

上記の調査においては、高校生・未成年層では成人式に「参加したい」という回答が82.7%、「参加したくない」が17.2%となった。高校生・未成年層の回答において「参加しない理由」は「内容に興味がないから」が36.8%で最も多くなっている。歌手などによるコンサートなどのアトラクションについては、高校生・未成年・新成人において「必要である」とした回答が50%を超えた一方、市長政治家の来賓等の紹介については、「必要ない」という回答が全ての世代で半数を超え、横浜市の提言書では「式典全体を冗長にし、内容を乏しくする一因となっている」と評している。

出席率の低下

もともと成人式は、法律の趣旨にもあるように、一定の年齢に達した青年を行政などが祝福・激励し、これに対して参加者が、責任ある自立した社会人としてより良い社会の創造に貢献していくことを決意し、それを広く社会に啓蒙するためのものだった。

しかし、1970年代に入ると受験戦争の激化による浪人の増加で、大学入試センター試験(旧大学共通第1次学力試験)と日時が重なる[注釈 12]。上記の横浜市教委の市民意識調査[25]では新成人では成人式に「参加した」という回答は74.6%、「参加しなかった」は25.4%で、20代では「参加した」が 69.9%、「参加しなかった」は30.1%となっている。新成人・20代の回答では参加した理由としては「一生に一度のことなので、とりあえず参加した」が45%前後で最も多く、参加しなかった理由としては「仕事や勉強などで時間がなかったから」が新成人18.8%、20代28.2%で最も多かった。

最近では自治体が工夫し、出席率が上昇しているところもある[26]

都市部と郡部

都市化の進展で、郡部の成人式出席該当者が減少し、一方で都市部の該当者が顕著に増加した。

郡部では、高校卒業後に大学進学や就職などで都市部に出て行ってしまう者が多く、大学生は冬休みが終わっていたり、社会人も既に正月三が日に休みをとっていて1月15日の成人式のためだけに帰省するのは困難な状況であった。そのため、郡部ではお盆期間に成人式をする自治体が増加した。また、成人式の案内状は住民票などを基に送られる事も多く、故郷の成人式の案内状が来ないこともある。現住所と異なる市町村の成人式に出席したい場合は、自ら希望する市町村に申し出る必要がある。成人の日が第2月曜に移行した2000年ごとから地方部(中核市以下の市)ではその前日に行うケースも少なくない。またこの時期でも帰省が困難または帰省ができても物理的な負担が大きいなどとされお盆と異なり季節が同じに正月に行う例もある[27]

モラルの低下

箱物行政と言われながら公共事業の予算が増加し続けた1990年後半までに、成人式の式典が充分開催できる施設が都市部でも拡充した。しかし、第二次ベビーブーム世代が成人式を迎えた1990年代前半が過ぎると、少子化の影響で成人となる者の数が減少の一途となっていった。1990年代末ともなると、都市部では式典会場の空席が目立つようになった。また、空席の増加により、従来会場内に入らなかったような層が会場内に入れるようになり、それまで会場外で行われていて問題とはならなかったようなことが顕在化してきた。例えば、私語が収まらない、会場内で携帯電話を使う、そして一部では、数人の新成人グループが会場で暴れ回って式を妨害するケースなども見受けられる。公務執行妨害を理由とした事件を中心に逮捕者が出るほどの騒ぎに発展した市町村もある(例、2001年における高松市)。また、成人の日が1月第2月曜日に移った2000年以降は、学齢方式を成人の対象とする自治体がほとんどになったことから、成人式が事実上中学や高校の同窓会的な意味合いで捉えられるようになってきた。

さらに、式に出席する若者が、外面的には着物で豪華に着飾っていても、会場では久し振りに会った友人との談笑などに熱中する余り、主催する自治体首長などの式辞・講演に関心を示さず式典が騒がしくなっている。その結果、本来一人前の大人としての決意をすべき場である成人式が、かえって若者のモラル低下を露見させる場となっている。このような現象のことを成人式での七五三現象と言う。21世紀に入っても、各地でこれまでに様々な問題が起きている。

お笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳2016年平成28年)1月11日に、Twitterで成人式のモラルの低下について言及し、成人式のあり方についてアンケートを行った結果、翌日18時までに約6万900票が集まり、70%が成人式自体は必要との認識を示した一方、「今まで通り必要」は33%にとどまり、「形を変えて必要」が35%、「必要ない」が23%、「わからない」が9%と、廃止も含む何らかの現状変更が必要だとする回答者は半数を超えた[28]

成人年齢の引き下げ

2016年(平成28年)に公職選挙選挙権年齢を20歳から18歳に引き下げる公職選挙法が改正され、2018年(平成30年)には成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案が閣議決定される[29]など、従前の「20歳成人」から「18歳成人」へ移行する動きが活発になっている。ただ、成人年齢が引き下げられた年の成人式は満20歳・満19歳・満18歳の3学年が対象になるため会場確保が難しくなる問題が生じる。また、18歳の多くが高校3年生にあたり、成人式の開催時期が大学受験や就職活動と重複するため、これから新成人を迎える世代から不安の声があがる[30]ほか、成人式参加者からの需要に支えられてきた呉服業界からも強い懸念が提示されている[31]。逗子市、京都市がいち早く改正民法施行後も20歳成人式を続けることを表明したが、2018年現在、多くの自治体が未定としている。自治体によって18歳成人式と20歳成人式に分かれる可能性が指摘されている[32]


注釈

  1. ^ 例えば、1996年の場合は1976年1月1日から12月31日までに生まれた人が参加可能。大半が満19歳での式典参加となる。
  2. ^ 広島市では、1996年1月開催の式典まで暦年による区分が用いられていた。翌1997年1月は1977年1月1日から1978年1月15日生まれを対象とし、移行期間最中の1998年には成人式は開催されなかった。翌1999年は1978年1月16日から1979年3月31日生まれが対象者となっていた。札幌市は、1998年1月開催まで対象者を暦年で区分し、1999年の式典は1979年1月1日から3月31日生まれの者を対象としていた。
  3. ^ 1987年から。1月は豪雪があり、8月は暑すぎるため、5月が着物が着やすいと判断。
  4. ^ 2017年から。軽装で参加してもらうため。
  5. ^ 1969年から。家庭の負担軽減のため。しかし、2014年の調査では新成人の7割が「振袖・着物を着たい」等の理由で1月開催を希望したが、2017年度も8月であった[7]
  6. ^ 横浜市[9]川崎市[9]をはじめ、政令指定都市の多くはこの方法をとっている。
  7. ^ 政令指定都市では札幌市[10]相模原市[9]大阪市(公募制による全市行事もある)[11]堺市[11]名古屋市のうち4区[12]が主な市(2018年時点)。
  8. ^ 浜松市[13]・名古屋市のうち12区[12]宇都宮市[14]松山市[15]など(2018年時点)。
  9. ^ 例えば愛媛県では今治市西条市四国中央市鬼北町が該当(2018年時点)[15]
  10. ^ 2014年以降2018年現在は北九州メディアドームで開催[16]
  11. ^ 静岡市[22]京都市[23]など(2018年時点)。
  12. ^ 実際、共通一次試験時代の1983年1984年、およびセンター試験となってからの1994年1995年は成人の日当日に試験が実施された。
  13. ^ 例えば、ジャニーズ事務所では先輩タレントが立会人を務める中で、新成人タレントが明治神宮へ参拝するのが恒例だった。しかし2006年以降では、2008年に簡易な成人式を実施したのみ[47]
  14. ^ 少なくともアメリカイタリアドイツオーストラリアタイ、には日本の成人式のような儀式は存在しないとみられている。アメリカやドイツは18歳(ハイスクール卒業)で選挙権が付与され、たとえ大学生であっても親からの自立・別居(なおかつ学費も自己負担)が原則となる。

出典

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  41. ^ 【ニュースQ3】成人式いつから振り袖?予約は2年前 簡素化の動きも『朝日新聞』朝刊2018年1月16日(社会面)
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  44. ^ 北海道)新成人隊員、戦車と綱引き 陸自・北恵庭駐屯地:朝日新聞デジタル
  45. ^ 自衛隊宮城地方協力本部
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