成人向け漫画 法的規制

成人向け漫画

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/24 22:37 UTC 版)

法的規制

ゾーニングマークによる自主規制とは別に、法的規制としては青少年保護育成条例による有害図書指定と、刑法175条によるわいせつ物頒布罪の規制がある。

有害図書指定制度による規制

有害図書指定制度は、青少年の健全な育成を目的として、性や暴力に関して露骨な描写を含んだ書籍等を「有害図書」(東京都の場合は「不健全図書」)に指定することで青少年への販売を禁止するものである。有害図書の個別指定は、青少年保護育成条例にもとづいて都道府県などの自治体がゾーニングマークの付いていない書籍を対象に行う[2][3]。有害図書に指定された書籍は、18歳未満の者への販売が禁止され、区分陳列等が法的に義務付けられる。

特に東京都の青少年健全育成条例は、東京に出版業者が集中していることもあって、地方自治体の条例でありながらも絶大な影響力を持ち、出版倫理協議会が定めた自主規制により実質的に全国的な販売規制の基準となっている。具体的には、同一タイトルの雑誌(増刊含む)が東京都によって連続3回、または年間通算5回不健全指定された場合、「雑誌を自主廃刊する」か「一般書店での販売を止め、直販もしくは成人向け雑誌専門店での販売に特化する」といった出版倫理協議会による申し合わせがある[4][注 2]

また、Amazon.co.jpにおいては、東京都によって不健全指定された書籍の取り扱いを規約で禁止しており[5]、該当する書籍はAmazonのサイトから削除される[6]。なお、不健全指定自体は販売を全面的に禁じるものではなく、18歳未満の青少年への販売を規制するものに過ぎないため、Amazon以外の通販サイトでは成人向け商品として販売が継続されている場合が多い。不健全指定された書籍のタイトルなどは東京都都民安全推進本部のウェブサイト上の不健全指定図書類一覧で確認できる。

わいせつ物頒布罪による規制

わいせつ物頒布罪刑法175条)は、判例上では性的秩序・性道徳の維持を目的として、わいせつな文書・図画等の頒布を禁止するものである(最高裁判所大法廷判決昭和32年3月13日刑集11巻3号997頁(チャタレー事件))。ゾーニングマークを付けて成人向けに販売されている漫画においても性器描写に修正がかけられているのは、わいせつ物頒布罪を受けての出版社の自主規制である。

判例によると、「わいせつ」の基準は「その時代の健全な社会通念に照らして、徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」とされている(最高裁第二小法廷判決昭和55年11月28日刑集34巻6号433頁(四畳半襖の下張事件))。このように曖昧な基準であるために、過去には18禁漫画(書籍)の発行元が、業界で標準的な局部修正を施していたにも関わらず、わいせつ物頒布容疑で逮捕される事件(松文館裁判等)が発生している。この事件は、さらなる出版物規制に繋がりかねず、業界全体に与える影響は多大であるということで話題となった。また、逮捕までに至らなくても、官公庁から作家個人に警告をする例もある。

摘発の基準は上述のとおり時代によって変わりうるものであるため、過去に発売された漫画が性器描写の修正を薄めて再版されたり、逆に規制が強化されたりする場合がある。この刑法175条については、現状にそぐわない不合理な規制であり、廃止すべきとの批判もある[7]


注釈

  1. ^ 瓦敬助著『菜々子さん的な日常』のような単行本など。ただし、後に同作家の出した画集「九十九織』(コアマガジン)に同作品が掲載されたが、その際にはゾーニングマークはつかなかった。
  2. ^ 他の道府県でも、有害図書指定が続くとその県に配本されない「局地廃刊」が行われることもある。

出典



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