感謝祭 各国の感謝祭

感謝祭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/06 20:31 UTC 版)

各国の感謝祭

アメリカ合衆国の感謝祭

感謝祭は、祝日となるアメリカ合衆国の祝祭日(国家の日 National Holiday)のひとつである[30]。サンクスギビングデーと、翌日のブラックフライデー (アフター・サンクスギビングデー)、その後の休日を合わせた4日の間は学校や会社が休みになる[4]。また、学校や大学は丸々1週間休みになる地域もある[3]

2007年の感謝祭に七面鳥に恩赦を与えるブッシュ大統領(当時)。七面鳥恩赦式

現代の感謝祭では、宗教的な意味合いはかなり弱くなっており、現代アメリカ人の意識の中では、たくさんの親族や友人が集まる大規模な食事会であり、大切な家族行事のひとつと位置づけられている[3]。特に感謝祭前日と感謝祭休日最後となる日曜日は、空港高速道路鉄道などの交通機関が1年の中でも有数の大混雑・大渋滞となる[3]。一方、感謝祭当日の空港などは対照的に非常に閑散としており、感謝祭が行楽のための休日ではなく家族や親戚が集うためのものであることを物語っている[3]

感謝祭の朝には、大統領が二羽の七面鳥を屠殺される運命から恩赦する(Turkey Pardon)という行事が、ホワイトハウスで行われる[31]ニューヨーク市百貨店メイシーズでは、第二次世界大戦のために中断された1942年から1944年の間を除き、1924年から巨大な風船を用いたパレード「メイシーズ・サンクスギヴィング・デイ・パレード」が恒例行事となっている。また、通常は日曜日と月曜の夜しか行われないNFLの試合が3試合(1970年以降、ダラス・カウボーイズデトロイト・ライオンズのホームゲーム2試合が行われるのが通例だったが、2006年以降、それ以外のチームのホームゲームが持ち回りで開催)行われる。

また感謝祭は季節的に本格的な冬の入りであり、各地の集会場などでは慈善団体などがホームレスなど「あまり幸運ではなかった(less lucky)」人々に温かい七面鳥料理をふるまうのも恒例である。

ニューヨーク州のように全米祝祭日の感謝祭当日のみを祭日とする所もあるが(学校や商店は休日とするところが多い)、多くの州は感謝祭の翌日の金曜日も祝日扱いとして4連休の感謝祭休日(Day After Thanksgiving)とし、中には感謝祭の前の水曜日から5連休とする州もある。感謝祭が過ぎるとクリスマスまで約ひと月となり、クリスマスプレゼントの購入に向けて消費が動くため、各小売店では感謝祭をクリスマス・セールの前哨戦と位置づけ、客足をあてこんで金曜日から特別セールを行う。

金曜日の大売り出しを境に、小売店の年間通算収支が黒字に転換するといわれていることから、感謝祭の翌日を「ブラック・フライデー」、週明けの月曜日インターネットを利用してECサイトでプレゼントを購入する人が多いことから、感謝祭休み明けの月曜日を「サイバー・マンデー」と呼ぶ。

感謝祭からクリスマスまでのひと月は、小売店の年間の総売上で重要な期間となり、通説では小売業の年間売り上げの半分がこの一ヶ月に集中する。消費者向け製品を作る各社も、この「年末商戦」に間に合うように新製品を発売するのが通例である。

カナダの感謝祭

カナダの感謝祭も、プリマス植民地での出来事を記念するものと考えられており、独立戦争後にアメリカ合衆国から英領カナダに移住した王党派(ロイヤリスト)が持ち込んだ習慣である。カナダの感謝祭は10月の第2月曜日なので通常3連休だが、金曜日も休日として4連休とする州もある。

インディアンにおける感謝祭

インディアン達は「感謝祭」は、この日を境に先祖達の知識や土地がヨーロッパからの移民達に奪われた、「大量虐殺の始まりの日」としている。

1969年のアルカトラズ島占拠事件では、これに賛同したインディアンたちは「感謝祭の日」に合わせて数百人がアルカトラズ島に上陸した。

ワンパノアグ族を中心に、ニューイングランドのインディアン部族が結成する「ニューイングランド・アメリカインディアン連合」は、「ピルグリムファーザーズ」のこの「感謝祭」にぶつけて同じ日に、「全米哀悼の日英語版」としてデモ抗議を毎年行い、喪服を着て虐殺された先祖達に祈りを捧げている。

また、感謝祭の翌日の金曜日は「アメリカインディアン遺産記念日」(American Indian Heritage Day)として、合衆国におけるアメリカ先住民の位置を認識し高めるための祝祭行事を行い、かれらの伝統文化や言語の遺産を再認識するための日になっている。

オーストラリア

オーストラリア領のノーフォーク島では11月の最後の水曜日に感謝祭を祝っている[32]。ノーフォーク島の感謝祭はアメリカの捕鯨船によりもたらされ、ノーフォーク島民の先祖である、ピトケアン島バウンティ号の反乱者の子孫や捕鯨船の先祖を家族で祝う[32]

ブラジル

ブラジルでは、1909年にセントパトリック大聖堂でワシントンの大使として見た記念式典に熱心だったジョアキン・ナブコ大使の提案により、1949年8月17日の法律781を通じて、ガスパル・デュトラ大統領によって全国感謝祭が制定された。1966年、法律5110は、感謝祭のお祝いが11月の第4木曜日に行われることを定めた[33]。この日付は、ブラジルの福音ルーテル教会(アメリカ起源)、長老派教会、バプテスト教会、メソジスト教会、教会などプロテスタントのキリスト教宗派の他、ナザレ、およびメソジスト教派の大学によって、アメリカ起源の多くの家族によって祝われている。この日は、ブラジルのフォースクエア福音教会などの福音派教会によっても祝われる。

グレナダ

西インド諸島のグレナダ島やカリブ海では、10月25日に祝われる感謝祭と呼ばれる国民の祝日がある。同じ名前でありながら、アメリカとカナダのバージョンとほぼ同時に祝われる。感謝祭の、この休日はそれらのお祝いのどちらとも無関係である[34]

代わりに、この休日は、1983年に米国主導の島への侵略の記念日を迎える。グレナダでは1983年10月25日アメリカ軍グレナダ侵攻があり、アメリカの軍事介入による共産主義からの解放を記念日として10月25日に感謝祭として祝っている[34]

リベリア

リベリアでは11月の最初の木曜日に祝う[35]。アメリカの黒人解放奴隷(アメリコ・ライベリアン)により建国されたため、アフリカリベリアでも感謝祭が祝われている。感謝祭の伝統は、1821年に米国からの有色自由人によるアメリカ植民地協会の植民地としての米国の設立に根ざしている。

感謝祭は全国的に認められているが、主にリベリアの元々のアフリカ系アメリカ人入植者の子孫であるアメリコ・ライベリアンによって行われている[要出典]

オランダ

ライデン・ピーテル教会英語版

プリマス・プランテーションに移住した巡礼者の多くは、1609年から1620年にかけてライデン市に居住し、ライデンピーテルスケルク(聖ペテロ教会)での出生、結婚、死亡を記録していた。これを記念して、毎年、ライデンのゴシック様式の教会であるピーテルスケルクで、アメリカの感謝祭の朝に非宗派の感謝祭の礼拝が行われ、巡礼者がライデンで新世界に向かう途中で受けたおもてなしに注目する[36]

感謝祭は、11月の第1水曜日にオランダの正教会のプロテスタント教会によって行われる。祝日ではない。その日を祝う人は、夕方に教会に行くか、休日をとって朝(そして時には午後)にも教会に行く。

フィリピン

フィリピンは、20世紀前半はアメリカの植民地だったが、アメリカ人と同じ日に特別な祝日として感謝祭を祝った。第二次世界大戦中の日本の占領中、アメリカ人フィリピン人の両方が秘密裏に感謝祭を祝った。1945年に日本の撤退後、その伝統は1969年まで続いた。それはフェルディナンドマルコス大統領によって復活しましたが、戒厳令が国に課された毎年9月21日に日付が変更された。1986年にマルコスが追放された後、彼の長い政権の間に起こった物議を醸す出来事のために、伝統はもはや継続されなかった[37]

2020年の時点で、感謝祭は公式の祝日の地位を剥奪されたものの、商業的および文化的な休日として復活した。SMスーパーモールズは、昔と同じように、米国と同じ日に感謝祭のゆっくりとした復活を先導した。多くのモールやホテルがこの日に特別セールを提供する。これは、9月に始まるフィリピンのクリスマスの長いお祝いの一部である[38]

ルワンダ

ルワンダにはウムガヌラの日と呼ばれる祭りがある。この祭りは、ルワンダでの収穫の始まりを記念する感謝祭である。それは8月の第1金曜日に祝われる[39]

セントルシア

セントルシアの国は、10月の第1月曜日に感謝祭を祝う[40]

シエラレオネ

アフリカにあるシエラレオネの首都フリータウンではコットン・ツリーと呼ばれる伝説の木があり、1792年カナダとアメリカからの黒人解放奴隷がフリータウンに入植しに辿り着いた時、自由の土地に救済された事に神に感謝する為、この木の下で感謝祭が行われ、神への感謝の祈りと讃美歌が歌われたと言う。


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