愛知県
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経済
産業構造
県内総生産(2019年度)は40兆9,107億円で全国3位、製造品出荷額等(2021年)は43兆9,880億円で全国1位、年間商品販売額(2020年)は32兆6,284億円で全国3位、農業産出額(2021年)は2,922億円で全国8位[4]。農業・工業・商業いずれも国内上位となっており、バランスのとれた産業構造となっている。 また、中部産業連盟など、グローバルに事業活動を展開する全国ベースのマネジメント専門団体が立地するなど、経済活動が国内外問わず盛んに行われている。
- 経済の柱となる主な産業
経済界
かつての五摂家
五摂家とは、愛知県名古屋市に本拠地を置く中部圏財界の名門企業の一群である。 旧伊藤財閥系企業の東海銀行、松坂屋、インフラ企業の名古屋鉄道(名鉄)、中部電力(中電)、東邦ガスの5社で構成されている。かつては中部経済連合会(中経連)や名古屋商工会議所(名商)などの経済団体代表職を独占し、名古屋観光ホテルや名古屋ボストン美術館などの開設を主導する役割を担ってきた。このほか、名門企業として興和グループ、森村グループ、中日新聞社、大同特殊鋼を挙げる場合もある。
五摂家から御三家へ
1990年代より、東海銀行の消滅(2002年に三和銀行と合併、のち三菱UFJ銀行)、松坂屋、名古屋鉄道の経営不振(松坂屋は2007年に大丸と経営統合、名古屋鉄道は1999年(平成11年)から2008年にかけて赤字線区を随時廃線)、規制緩和による電力自由化・ガス自由化・オール電化住宅などによる中部電力と東邦ガスの利害対立などが生じるようになり、五摂家としてのまとまりはなくなりつつあった。これに反比例し、これまで「西三河モンロー主義」と呼ばれ、財界活動と距離を置いていたトヨタグループの路線転換や、国鉄分割民営化により東海道新幹線を引き継いだ東海旅客鉄道(JR東海)が発足すると、これらの存在感が増大している。最近は五摂家という表現に代わり、海陽学園開設で中心となったトヨタ自動車、JR東海、中部電力の3社で、御三家と呼ぶ表現へと変化した。
現在のトヨタグループ
経済界では、豊田市や刈谷市といった西三河地方を本拠地とするトヨタグループ会社の存在感が群を抜いている。 たとえば連結売上高では中部電力(約3兆1,000億円)と東海旅客鉄道(約2兆円)は、トヨタ自動車本体はおろかグループ企業のひとつであるアイシン(約2兆9,600億円)と同程度で、両社の連結売上高を合算してもグループ筆頭企業であるデンソー(4兆3,000億円)を超える程度である。財界活動でも、2015年現在、トヨタグループは中経連(豊田自動織機名誉会長)・名商(トヨタ自動車副会長)は前会頭を輩出し、また中部財界が中心となった中部国際空港開業や愛知万博の開催では同社社長(元関東自動車工業社長)・博覧会協会会長(豊田章一郎トヨタ自動車名誉会長)を務めている。
第一次産業
農林水産業
県内は自然環境にも恵まれており、農林水産業も東三河を中心に盛んである。農業産出額(2021年)は全国8位[4]。花きの産出額は昭和37年以来全国1位である[33]。
農産物では、キャベツ、大葉(青じそ)が作付面積、生産量、産出額とも全国1位であるほか、ふきは生産量、産出額が全国1位、カリフラワーは作付面積・生産量が全国1位、ブロッコリーは生産量が全国1位、イチジクは生産額が全国1位などとなっている。また花卉の生産も盛んで、きく、ばら、シクラメン、洋らんは作付面積、生産量、産出額とも全国1位である。菊については電照菊の項も参照。愛知県の平野部は農業に適した肥沃な土地が多く、野菜の自給率もそれなりに高い。そのほか、西尾市は碾茶の産地として知られる[34]。果物ではブドウ(全国8位)、ナシ、カキなどが多く生産されており、中でもブドウは大府市、ナシは安城市、豊橋市、豊田市など、カキは豊橋市(次郎柿)、幸田町(筆柿)などで生産が盛んである。
畜産ではウズラの飼養数、産出額が全国1位である。水産物ではあさり、がざみ(甲殻類)の漁獲量が全国1位であるほか、一色町の養殖うなぎはよく知られており、「三河一色産うなぎ」というブランドを偽装した産地偽装事件が起きたことがあるほどである。また弥富市周辺は金魚の産地として知られ(弥富金魚)、スペースシャトル内において宇宙酔い実験の被験者となった「宇宙金魚」も弥富金魚である。
第二次産業
工業
愛知県は、トヨタ自動車を筆頭に自動車関連企業が数多く存在することで有名である。自動車産業が発展する前は、繊維産業や、三菱重工業、愛知航空機、中島飛行機などの航空機産業が盛んであった。がいし生産世界一の日本碍子やINAX、日本特殊陶業などをはじめとするセラミックス産業、特殊鋼大手の大同特殊鋼やトヨタ自動車グループである愛知製鋼、日本製鉄名古屋製鉄所などの特殊鋼・鉄鋼業のほか、プリンター、FAX、ミシンなどを得意とするブラザー工業、そしてトヨタグループであるデンソー、アイシンなどの電気機器製造も盛んである。また、碧南市、高浜市などで生産されている三州瓦は、島根県の石州瓦、兵庫県の淡路瓦と並んで日本三大瓦であり[35]、全国的に有名である。
三大工業地帯のひとつである中京工業地帯の中心として工業は全般に活発で、製造品出荷額等(2019年)は47兆9,243億円で43年連続全国1位である(2位は神奈川県で約17兆7,461億円)[4]。
2005年に愛・地球博と中部国際空港開港という二大事業があり、東海環状自動車道、伊勢湾岸自動車道、愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)などインフラの整備が急速に進んだ。しかし、その一方で愛知県道511号武豊大府自転車道線(知多半島サイクリングロード)などの自転車道の建設、整備が放棄されており、多くの要望が寄せられている。
第三次産業
メガシティであり、世界有数の都市圏人口を有する中京大都市圏の中枢都市である名古屋市は、中日本最大の商都であり、物販の集積が著しい。 全体で見ると名古屋市が際立った存在感であるが、名古屋都市圏の中で人口10万人台の小牧市・刈谷市・半田市・東海市・安城市も昼間人口比率が1を超えており(働きに来る人が多い)、小規模な業務の中心都市として位置づけられている[36]。
近年では、名古屋市を中心とした半径100kmの以内の地域を「グレーター・ナゴヤ」のブランド名で統一して、海外企業を積極的に誘致し、世界有数の産業集積地にすることを目標とした大名古屋経済圏構想もあり、グレーター・ナゴヤ・イニシアティブ(GNI)と呼ばれる(関連ページ)。
商業
2007年度の名古屋市の卸売業販売額は約27兆656億円で全国で東京都区部・大阪市に次ぐ。 また小売業販売額は約3兆1,917億円で東京都区部・大阪市・横浜市に次いで額が大きい[37]。
2000年代に再開発が進み、名駅エリアを中心に超高層ビルの建設が急速に進んでいる。2020年代になると栄エリアにも高層ビル建設が複数計画されている[38]。
栄、名駅、大須、金山などが市外からも広く集客する繁華街となっており、栄と名駅一帯には広大な地下街が広がっている。東部の今池千種エリア、西部のささしまライブ24、南部の金山エリアや北部の大曽根エリアが、乗り換えのターミナルとなったり、新たなオフィス街が形成されるなど、副都心・新都心として発達している。
また、グルメ激戦区として名を馳せており、特有の文化を持った「名古屋めし」などを筆頭にさまざまな料理が集まる。2019年には、ミシュランガイド愛知・岐阜・三重2019特別版[39] が出版されるなど、世界的にも注目が集まっている。
県内に本社を置く主要企業
- 第二次産業
- トヨタ自動車
- デンソー
- アイシン
- ジェイテクト
- トヨタ車体
- 豊田自動織機
- 豊田合成
- トヨタ紡織
- 豊通テクノ
- 大同特殊鋼
- 大同メタル工業
- 愛知機械工業
- 愛知時計電機
- パナソニック エコシステムズ
- ヤマザキマザック
- 三菱航空機
- ブラザー工業
- プロスチール
- 愛知製鋼
- 小島プレス工業
- 日本車輌製造
- 日本ガイシ
- 日本特殊陶業
- 豊島
- マキタ
- オークマ
- DMG森精機
- リンナイ
- パロマ
- ホシザキ
- INAX
- イノアックコーポレーション
- ノリタケカンパニーリミテド
- メルコホールディングス(バッファロー)
- 住友理工
- メニコン
- ホーユー
- メナード化粧品
- カゴメ
- コーミ
- シヤチハタ
- ミツカン
- 敷島製パン
- フジパングループ本社
- 矢作建設工業
- 東建コーポレーション
- 徳倉建設
- 武蔵精密工業
- シロキ工業
- 第三次産業
- 中部電力
- 東邦ガス
- 中部ガス
- 松坂屋
- 中日新聞社
- 東海テレビ放送
- 中京テレビ放送
- 中部日本放送
- 名古屋テレビ放送
- テレビ愛知
- 名古屋銀行
- 愛知銀行
- 中京銀行
- ユニー
- スギ薬局
- スギヤマ薬品
- ビー・アンド・ディー
- 豊田通商
- 豊通マシナリー
- 豊通マテリアル
- 豊通シスコム
- 豊通鉄鋼販売
- 豊通ファシリティーズ
- エネ・ビジョン
- 興和
- 岡谷鋼機
- JPホールディングス
- アルペン
- コメ兵
- つばめグループ
- ヴィレッジヴァンガードコーポレーション
- ナガサカコイン
- 壱番屋
- 木曽路
- 太田油脂株式会社
- スガキコシステムズ(スガキヤラーメン)
- コメダ(喫茶店)
- エイチーム
- 丸栄
- 東海旅客鉄道(JR東海)
- 名古屋鉄道
- 名鉄百貨店
- 名鉄都市開発
- 名鉄運輸
- 名鉄観光
- 名鉄協商
- スズケン名古屋
- ゲオホールディングス
- トヨタファイナンス
- セディナ
- 引越社
- 東海東京証券
拠点を置く主要企業
金融機関
※愛知県に本社を構える地方銀行は現在存在しない。
- 東海労働金庫(東海ろうきん)
証券会社
- 中堅証券会社
注釈
- ^
年魚市潟 ()とは、氷河期の終わりに縄文海進と呼ばれる海面上昇により出現した旧愛知郡一帯にかけて広がっていた干潟のこと。 - ^ 江戸時代の殿様=藩主の三分の二は愛知県出身の家柄である。
- ^ 1975年4月創刊~1988年5月までは関連会社「中部読売新聞社」だったが、経営不振により1988年6月に読売興業(当時)に統合し、読売新聞中部本社となる。その後、2002年の読売新聞社機構改革により東京本社に統合、中部支社となった。夕刊は東海3県では未発行であるが、静岡県向け夕刊は本県清須市の中部支社工場にて印刷(発行元・東京本社)している。
- ^ a b 毎日新聞中部本社の合理化のため、それまで左記の自社工場で印刷されていたのを、2012年11月以後は中日新聞社に委託している。
- ^ 産経新聞は、前日18時締め切りの早版(6版)が発行されており、一部の記事と社説、投書欄などは大阪市内で発行される最終版(15版)から1日ずれて掲載されている。ただし名古屋駅や一部名古屋市営地下鉄の売店及び名古屋市内の産経の直売所では、それ以前より、13版が販売されている(同じく6版で発行される岐阜県でも岐阜市のごく一部で13版が発売されている)。テレビ欄は三重県版(「東海・三重」と表記。伊賀地域以外の地区)と同じものを掲載している。宅配は主として中日新聞の販売店を通しての委託販売だが、名古屋市内の一部で産経の直売所がある。愛知・岐阜県域版のページは掲載されていない。
- ^ 特に「芸どころ名古屋」と呼ばれるほどの芝居に関しては、徳川宗春の時代に、芝居が上方も江戸いずれも規制を受け、名古屋に芝居が全部集まり、結果として日本で一番いいものを見られるようになった。こうして人々の目が肥えていき、役者などの質も高くなっていったという。このためか、現代でも「名古屋の人達は芝居中は反応が薄くて静かだが、最後には割れんばかりの拍手が湧き出る」と役者が語るほどである(この意見は芝居以外の芸能でも聞かれることがある)[46]。
出典
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