情動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/14 06:05 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動概説
「個体・個人を動機づけるものとしての英語affectの訳語としての「情動」は様々な議論を呼んでいる[要出典]」。英語affectの訳語として選択された「情動」は、元来の日本語の用法とは異なっている。[要出典]
主に「興奮」が中心的であるが、「不安」「快不快」も情動として扱える。一般的な「怒り」「喜び」「悲しみ」を情動とするか、感情とするかは、心理学、脳科学、医学、認知科学、それぞれの立場により異なる。
人間の感情はきわめて複雑であり、簡単に区別・分類できるものではない。ただし、「基本的には食欲や性欲など本能的な欲求にかかわる感情と、人間が独特にもっている尊敬や慈しみなどの感情に大別することができる[要出典]」とされることがある[誰?]。
医学や脳科学の専門用語としては「情動」は前者の感情を指し[要出典]、人間的な感情とは区別して考えられている。情動を構成するものは「快情動」と「不快情動」であり、食料を得るための「接近行動」は快情動、敵に対する「攻撃行動」や「回避行動」は不快情動によって引き起こされるものであり、生物として生存するためにきわめて重大な役割を持っている。脳の中で情動の根源的な部分は扁桃体であると考えられており、1937年、米国の精神科医ハインリッヒ・クリューバーとポール・ビューシーは、側頭葉を損傷したサルの実験で、サルが不快情動を失い、食べられるものと食べられないものを区別できなくなり、ヘビなどの敵に対しても警戒心を持たなくなってしまった症例が報告されている。これはネコやサルの扁桃体だけを破壊しても起こる症状であることが確認されており、「クリューバー・ビューシー症候群」と呼ばれている。
神経科学
- 情動と感情
アントニオ・ダマシオによると、「情動と定義が似ている感情は、高次の機能である」としている。自律神経に反映される身体反応や状況判断、予測などの高次認知機能(大脳皮質・前頭前野などで処理される)を含む。それゆえ、処理とその作用時間が比較的長時間にわたる「認知ラベル」である[2]。したがって、認知確認後の影響によって評価された状態を表す[2][3]。また、大脳皮質には、種々のホルモンによる主食作用が関与するため、情動よりも個人差が大きい。しかし、最新の研究では情動を基本として認知影響を脳の前頭前野や島の活動の分析から解析する研究が進んでいる[4]。
生理学的説明
生理学的には、情動とは短時間で強く作用する脳とホルモンや免疫系、生体物質での興奮の状態としての「生理反応」である。反応にはあまり個人差が出ないと考えられる[2]。
- ^ a b 広辞苑第六版【情動】
- ^ a b c Antonio R Damasio."Looking for Spinoza: Joy, Sorrow, and the Feeling Brain"(日本語版は、アントニオ・R・ダマシオ著、田中三彦訳『感じる脳――情動と勘定の脳科学 よみがえるスピノザ』ダイヤモンド社、2005年11月)
- ^ Stanley Schachter and J.E.Singer."Cognitive, social and physiological determinants of emotional state."
- ^ Joseph LeDoux."The Emotional Brain: The mysterrious Underpinnings of Emotional Life" (日本語版は、ジョゼフ・ルドゥー著 松本元、小幡邦彦、湯浅茂樹、川村光毅、石塚典生 訳『エモーショナル・ブレイン―情動の脳科学』東京大学出版会、2003年)
- >> 「情動」を含む用語の索引
- 情動のページへのリンク