必須アミノ酸 必須アミノ酸の概要

必須アミノ酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/24 02:26 UTC 版)

ヒトの必須アミノ酸

ヒトでは、一般に次の8種ないしヒスチジンを追加した9種類が必須アミノ酸に含まれる。『トロリーバス不明』と言う覚え方がある(ただしトレオニンを旧来の呼称スレオニンとする)。

必須アミノ酸は、いずれもL-型で有効ではあるが、体内ではアミノ酸オキシダーゼ (EC 1.4.3.3) とアミノトランスフェラーゼ(EC 2.6.1群)の作用により、D-型とL-型の相互変換が可能なため、D-型のアミノ酸でもよい(リシンとトレオニンを除く)。また、相当するαケト酸やαヒドロキシ酸で代替できるものもある。

ヒスチジンの生合成は、ホスホリボシルATPから、4段階の反応を経てイミダゾールグリセロールリン酸となり、さらにこれが5段階の反応を経てヒスチジンとなる経路であるが、この経路ではグルタミンを途中原料として消費し、ヒスチジン1 molを生成するために42 molのATPを消費する。従ってヒスチジンはヒト体内での生合成が遅いため、FAOWHO1985年にこれを必須アミノ酸と位置付けている[1]。また急速な発育をする幼児にあっては生合成だけでは不足する可能性があるため、食事で供給することが望ましいアミノ酸である。

またアルギニンも体内で合成され、成人では非必須アミノ酸ではあるが、成長の早い乳幼児期では、体内での合成量が充分でなく不足しやすいため、アルギニンとヒスチジンは準必須アミノ酸と呼ばれる[2]。同様の理由から、システインチロシンも準必須アミノ酸として扱われる場合もある。準必須アミノ酸も必須アミノ酸として扱われることが多い。また逆に、これら準必須アミノ酸と対比するため、前出の9種(もしくはヒスチジンを除いた8種)のアミノ酸を完全必須アミノ酸と呼ぶこともある。

推奨摂取量

WHOによる必須アミノ酸の成人向け1日当たり推奨摂取量を以下に示す[3]

必須アミノ酸 体重1kg当たり(mg) 体重40kg当たり(mg) 体重50kg当たり(mg) 体重60kg当たり(mg) 体重70 kg当たり(mg) 体重100 kg当たり(mg)
イソロイシン 20 800 1000 1200 1400 2000
ロイシン 39 1560 1950 2340 2730 3900
リジン 30 1200 1500 1800 2100 3000
メチオニン

+ システイン

10.4 + 4.1 (合計15) 600 750 900 1050 1500
フェニルアラニン

+ チロシン

25 (合計) 1000 1250 1500 1750 2500
トレオニン 15 600 750 900 1050 1500
トリプトファン 4 160 200 240 280 400
バリン 26 1040 1300 1560 1820 2600
ヒスチジン 10 400 500 600 700 1000

※3歳以上の子供向けでは成人向け摂取量より10%〜20%ほど多くなり、0歳児では成人向け摂取量より150%ほど高くなる。

アミノ酸の桶

必須アミノ酸は全種類をバランスよく摂取しないと有効利用されない。これについては「アミノ酸の桶」という例をあげて説明されることが多い。つまり9種類のうち、一番含有量の少ないアミノ酸を一番背の低い桶板に例えて、いくら満杯にしようとしてもそこから水が流れてしまう=アミノ酸の含有バランスが悪い、という事になる。必須アミノ酸をバランスよく含む食物ほどスコアが高いと表現される。食品単体ではなく、食事という視点からでは1日のうちの食品中のアミノ酸を合計したものでバランスがとれればよい。そのため、単体ではバランスの悪い穀物も、その組み合わせでバランスがよくなる。なぜなら、穀物はトリプトファンメチオニンが多く、イソロイシンリジンが多いため互いに補いあうことができるからである。


  1. ^ 対象外物質評価書 ヒスチジン PDF - 食品安全委員会肥料・飼料等専門調査会 2012年2月
  2. ^ 高畑尚之、颯田葉子 (2007). “アミノ酸とゲノム遺伝子の変容”. 日本栄養・食糧学会誌 60 (3): 131-135. doi:10.4327/jsnfs.60.131. https://doi.org/10.4327/jsnfs.60.131. 
  3. ^ FAO/WHO/UNU (2007年). “PROTEIN AND AMINO ACID REQUIREMENTS IN HUMAN NUTRITION (PDF)”. WHO Press. 2009年12月3日閲覧。, page 150
  4. ^ a b c d http://www.nal.usda.gov/fnic/foodcomp/search/
  5. ^ 「4回目の改訂」の意味。改訂回数を示す漢数字1文字と改訂を示す「訂」の文字を合わせた二字熟語としての表現によるこの短縮形が正式な業務用語(より狭義では行政用語)として使用されている。以下五訂なども同様である。
  6. ^ 『たんぱく質の品質評価 : FAO/WHO合同専門家協議報告』国際食糧農業協会訳


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