当世書生気質 あらすじ

当世書生気質

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/20 05:52 UTC 版)

あらすじ

年代設定については後編の緒言に「明治十四、五年」[8]とあり、かつ、第9回で登場人物が「板垣の岐阜一件」(明治15年4月6日)について触れる場面[9]があることから、明治15年(1882年)と特定されている[10]

4月、東京の飛鳥山でのこと。銀行家の三芳庄右衛門、代言人の吉住潔らの花見に連れ出されていた芸妓の田の次は、偶然に書生の小町田粲爾と出会う。田の次ことお芳は、幼いときに上野戦争に際して家と両親を失い、その後養母に拾われて育てられたが、その養母も死んで孤児になったところを、粲爾の父・浩爾に拾われた。その後、粲爾とは兄妹同然に育ってきたが、浩爾が失業して養っていくことができなくなり、芸妓に身を落としていたのである。血のつながりのない兄妹であった二人は、互いに惹かれあっていく。

ところが、田の次に横恋慕していた吉住は、粲爾という恋敵が現れことのねたましさのあまり、兄が粲爾の学校の教師をしているのを幸いとして、粲爾と田の次の関係を大げさに吹き込む。このために学内での粲爾の評判はがた落ちとなり、しまいには暫時休学処分を受ける羽目になる。

一方、小町田の学友、守山友芳は、上野戦争の際に生き別れとなった実の妹、お袖を探していた。守山の羽織を着た友人の倉瀬蓮作が芳原に遊んだところ、相手の花魁・顔鳥が、羽織の紋を見て大いに驚く。

顔鳥はその後、梳攏しんぞう(女中)のお秀に連れられて守山友芳の父・友定のもとを訪れ、証拠の品を携えて自分がお袖だと名乗り出る。

ところが、そこに友定の旧友である三芳庄右衛門が現れ、真相が明らかとなる。お秀は、かつて庄右衛門の妾だった。お秀は上野戦争の混乱の最中、孤児になっていたお袖と、実の娘のお新とを取り違えてしまった。お秀は、お袖の持っていた巾着袋を盗んで、お袖を置き去りにしてしまう。その後、「角海老」の女中として雇われたお秀は、そこで芸妓・顔鳥となっていたお新と再会し、守山家がお袖を探しているのをいいことに、実の娘である顔鳥をお袖に仕立て上げようとしたのである。そして、田の次ことお芳こそが他ならぬお袖であることが判明し、物語は大団円を迎える。

結末で作者は、後日談となる『続当世書生気質』の執筆を予告しているが、実際には執筆されなかった。

  1. ^ 柳田 1960, pp. 142-143.
  2. ^ 坪内 1926, p. 1, 神代種亮「解題」.
  3. ^ a b 柳田 1960, p. 147.
  4. ^ 坪内 1926, p. 4, 神代種亮「解題」.
  5. ^ a b 坪内 2006, p. 321, 宗像和重「解説 「小説」の誕生、「敗者」へのまなざし」.
  6. ^ 坪内 1926, p. 10, 神代種亮「解題」.
  7. ^ 柳田 1960, pp. 146, 159.
  8. ^ 坪内 2006, p. 161.
  9. ^ 坪内 2006, p. 130.
  10. ^ 関 1965, p. 7.
  11. ^ 坪内 1926, p. 付録7, 半峰居士「当世書生気質の批評」.
  12. ^ 坪内 1926, p. 付録37, 逍遥遊人「作者餘談」.
  13. ^ 高田 1927, p. 59.
  14. ^ a b c d 関 1965, p. 11.
  15. ^ 高田 1927, pp. 53-60.
  16. ^ 清水 1965, pp. 25-26.
  17. ^ a b 清水 1965, p. 31.
  18. ^ a b c 坪内 1926, p. 付録38, 逍遥遊人「作者餘談」.
  19. ^ 高田 1927, p. 60.
  20. ^ 薄田斬雲 『天下之記者 一名 山田一郎君言行録』 実業之日本社、1906年、43頁。NDLJP:782115 
  21. ^ 坪内 1926, pp. 付録37-38, 逍遥遊人「作者餘談」.






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