廃墟 ヴァンダリズムとの関係

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 言葉 > 状態 > > 廃墟の解説 > ヴァンダリズムとの関係 

廃墟

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/07 09:00 UTC 版)

ヴァンダリズムとの関係

廃墟への無断侵入や破壊行為は厳密には刑法に抵触する行為であるものの、事実上は現役の建造物に比べて比較的低いリスクで破壊行為(ヴァンダリズム)が実行可能であることから、実際に多くの廃墟が快楽的、愉快犯的な破壊行為や悪戯に晒されている。

廃墟と勘違いして現役の建物に侵入してしまうことは建造物侵入罪による摘発の危険性が非常に高いため、廃墟への侵入者はこれを恐れるものである。廃墟の中でも、廃業したホテルテーマパークは目立ちやすく、廃墟か否かを侵入者が比較的容易に判断でき、破壊の対象となり得る備品が多く取り残されているなどの理由から、侵入、破壊のターゲットとなりやすい傾向がある。

こうした破壊行為は器物損壊罪であるほか、写真撮影だけを目的として廃墟に侵入する廃墟マニアからも非難されることがある。

廃墟の例

奥多摩湖ロープウェイの三頭山口駅とゴンドラ
  • 廃屋 - 定住者がおらず管理放棄された空家など。
  • 廃校
  • 廃寺 - 史跡文化財として指定・管理されている場所の名称としても使われる。
上淀廃寺跡(鳥取県)、吉備池廃寺跡(奈良県)、南滋賀町廃寺跡(滋賀県)、北野廃寺跡(愛知県)、山王廃寺跡(群馬県)などはいずれも国の史跡としての名称である。
奥多摩湖ロープウェイなど。
文化財として指定・管理され廃墟ではなくなっている例もある。大社駅信越本線横川駅 - 軽井沢駅間「碓氷峠鉄道施設」(碓氷第三橋梁、旧丸山変電所など)、手宮線など。その他、所有者である鉄道事業者などにより保存されているものもある。
鉄道遺構として完全な形ではなく一部分だけ残っているものも存在する。
近年では鉱害問題や美観上の理由から完全に撤去され、覆土工事や植樹工事によって痕跡すらなくなることが多い。また閉山後は坑口をコンクリートや石などで封鎖することが義務付けられている。
ソビエト映画『ストーカー』では廃工場が舞台に設定された。
1950年代オールディーズの雰囲気が漂う場所も多く、建物が再利用され廃墟ではなくなっている例もある。
ただし米軍管理下の敷地に立ち入った場合は単なる住居侵入罪ではなく「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(日米地位協定)の実施に伴う刑事特別法」によって処罰されるほか、日本の国内法が適用されない場合があり、最悪の場合は、警備員などに射殺されたり、重い刑罰が科せられたりすることもあり得る。米軍から返還されても防衛省による留保地となっている場合も多く、無断侵入は厳しく制限される。
  • 移転後の国立大学や国立の研究所の建物
旧国立公衆衛生院広島大学旧校舎など。
過疎化高齢化災害戦災などにより、集落から全ての住民がいなくなった地区、のことである。各地に増え始め社会問題化している。
居住地として全く放棄されているものを指すが、住民が離れた後も旧住民やその家族、その他土地所有者によって土地や建物が管理・手入れされていたり、農地などは引き続き地域外からの通い耕作により利用され、旧住民の経済活動が存続している地域もある。
例えば廃村八丁は、建物は崩壊するに任せてあるものの、周辺がハイキングコースになっているため道標や案内看板等が設置され、人が出入りするなどある程度の管理がなされている。
谷中村は廃村ではあるが、長らく「旧谷中村遺跡」として整備や保存がされており、管理の及んでいない建物などはない。
ダム建設により全戸移転しゴーストタウンとなった場合は、ダムの運用開始で水没し廃墟としても失われる。徳山村夕張市鹿島(大夕張)など。大川村は村そのものは存続しているが早明浦ダム運用開始により主要集落が水没し、渇水時には水没した旧村役場の建物廃墟が出現する。
大会終了後、解体もしくは維持管理が困難となるなどで、廃墟に至るケースもみられる[7][8]
残虐な行為を忘れさせないために保存されているもの。チェコポーランドなどのユダヤ人強制収容所の跡地。フランスのオラドゥール=シュル=グラヌ村。

著名な廃墟

日本

原爆ドーム広島市
犬島精錬所跡(岡山市東区
端島(通称「軍艦島」、長崎市
神子畑選鉱所(兵庫県朝来市

現存するもの

以下は2010年代以降に閉鎖され報道等で「廃墟」と評されたことがあるもの

再利用が進められているもの

撤去されたもの

テムズ川に残されたマンセル要塞。

北米

欧州

その他

  • 柳京ホテル北朝鮮) - 一時建設中断により、10年以上も放置されたことから世界最大の廃墟と評された。後に建設は再開されたものの、竣工がいつ頃になるのかの目途は現在も立っていない。
  • ホームブッシュ湾英語版蒸気船オーストラリア
  • コールマンスコップ(ナミビア)
  • エル・オテル・デル・サルト(コロンビア) - 1923年築の元豪邸。その後、「ホテル・デル・サルト(El Hotel del Salto)」になり、廃墟として有名だったがテケンダマ滝博物館英語版として再利用されている。

注釈

  1. ^ たとえば江戸時代上田秋成の『雨月物語』「浅茅が宿」のススキやツタに覆われていた廃屋。また松尾芭蕉が詠んだ俳句「夏草やつわものどもが夢のあと」。

出典

  1. ^ モヘンジョダロなど。ユネスコ・アジア文化センター『モヘンジョダロ インダス文明の廃墟』1983年11月。
  2. ^ 廃墟 朽ちゆく美しさ「聖地」マヤカン 観光資源に朝日新聞』朝刊2021年5月2日(文化面)2021年8月9日閲覧
  3. ^ 朽ち果てていく廃虚の美しさに着目「変わる廃墟展2019」(2019年3月29日)2021年8月9日閲覧
  4. ^ 化女沼レジャーランド宮城県)など。 【列島をあるく】廃墟は遺産 朽ちゆく魅力/元遊園地「聖地」ツアー人気/閉鎖ホテル 住民の力で文化財に『朝日新聞』朝刊2021年8月3日(2021年8月9日閲覧)
  5. ^ a b 田中真知『美しいをさがす旅にでよう』<地球のカタチ> 白水社 2009年、ISBN 9784560031971 pp.42-44.
  6. ^ 無法地帯になった廃墟ビル 大麻事件で家宅捜索、違法風俗店営業も <仙台・ホテル木町解体(上)>”. 河北新報オンラインニュース (2021年7月8日). 2021年7月9日閲覧。
  7. ^ オリンピック会場は荒廃してしまう?遺産として活用できる?【ひでたけのやじうま好奇心】 ニッポン放送、2017年7月25日
  8. ^ 廃墟となったオリンピック会場のギャラリー ハフポスト、2013年7月13日
  9. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2020年4月16日). “仙台駅前再開発にドンキ名乗り 3年手つかずにようやくメド”. SankeiBiz. 2021年7月9日閲覧。[リンク切れ]
  10. ^ 「旧そごう柏」本館跡地、柏市が購入意向 三井不動産と交渉へ 市長表明「駅前緑豊かな空間に」”. 千葉日報 (2023年6月4日). 2023年11月24日閲覧。
  11. ^ 解体すれば8億円 「廃虚」維持に年300万円 宙に浮く図書館跡”. 毎日新聞. 2023年11月14日閲覧。
  12. ^ ヘレナ国際ホテル”. いわきフィルム・コミッション協議会. 2021年8月28日閲覧。
  13. ^ ヘレナリゾートいわき ロケーション - ホテルやスタジアムなどのシーンの撮影ロケ地 | 福島いわき市”. helena-international.jp. 2021年8月28日閲覧。
  14. ^ ホテル計画とん挫で「幽霊ビル」爆破解体 琵琶湖岸の廃墟跡、生物棲みつく|まいどなニュース”. まいどなニュース (2019年10月21日). 2023年9月10日閲覧。
  15. ^ 讀賣新聞』2006年8月30日西部朝刊福岡32頁「『心霊ホテル』30年越し解体」
  16. ^ A 30-Photo Tour of the Abandoned North Brother IslandCurbed, September 4, 2012
  17. ^ 巨大モール「LCワールド本巣」廃墟っぷりが大注目 残ったのは「タマネギ無人販売」 J-CASTニュース(2016年9月12日)
  18. ^ 生ける廃墟モール「ピエリ守山」の行く末は? 店舗ついにヒトケタ、今後は「何も定まってない」 J-CASTニュース、2013年9月24日
  19. ^ 萱野浦のショッピングセンター「パワーセンター大津」がとうとうカラッポに。最後まで残っていた2店は移転するみたい おおつうしん(2016年4月1日)
  20. ^ 「世界最大の商店街」は今やゴーストタウン、不動産バブルのツケ 中国 CNN(2013年3月10日17:40 JST)


「廃墟」の続きの解説一覧




廃墟と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「廃墟」の関連用語

廃墟のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



廃墟のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの廃墟 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS