常磐自動車道 東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響

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常磐自動車道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/17 10:24 UTC 版)

東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響

東日本大震災、とりわけ福島第一原発事故の影響により工事区間への立ち入りが厳しく制限された関係で、2011年度中に開通を予定していた常磐富岡IC - 南相馬IC間(延長32.7 km)、及び2012年度の開設を予定していたならはPAは、施工スケジュールの見直しを余儀なくされ、供用開始は2014年度までずれこんだ。

同原発から半径20 kmの警戒区域外については震災から約3か月後の2011年5月に建設が再開されたものの、同原発から半径20 kmの警戒区域内においては、浪江IC - 南相馬IC間(延長18.4 km)が1年後、常磐富岡IC - 浪江IC間(延長14.3 km)については2年後の工事再開となった[29]。 震災前に工事中だった箇所の盛土や構造物は、地震の揺れによる損傷に加えて長期間放置された事によって雨水による斜面の浸食鉄筋などの被害が拡大し、急ピッチで復旧作業が進められた[29]。しかし、この頃には常磐道以外でも被災地の復旧工事が本格化した事で慢性的に作業員が不足し、放射能の影響で作業時間の制限や作業員の離脱も相次いで継続的な作業に支障をきたした[29]。また生コンクリートなど建設資材も不足し、同じく放射能の懸念から資材搬入が拒否される事もあったという[29]。工事再開が最も遅れた羽黒川橋では、打設予定日の悪天候に備えてエアドームや単管パイプでの架設屋根を設置するなどして乗り切った[29]。道路舗装用の砕石は遠く静岡県三重県から調達し、受け入れ港である相馬港では周辺住民協力のもと稼働時間を延長するなどして対処した[29]

除染作業は環境省直轄のもと、2012年3月から7月まで先行事業として「常磐自動車道警戒区域内における除染モデル実証事業」が、同年12月3日から翌13年6月28日にかけて本格的に「常磐自動車道除染等工事」が実施され[30]、その結果低減率19~55%が確認された。この結果について環境省は、2013年度内に開通を目指すとしていた広野IC - 常磐富岡IC間(延長16.4 km)については“概ね当初の方針どおり線量を低減”とし、その他の区間についても“一部で線量の高い区間があるものの一定程度低減”としている[31]

その後、除染の達成状況を確認するため、2014年10月に同省がモニタリングカーによる走行サーベイを実施したところ、浪江IC - 南相馬ICでは2014年10月21日測定時点で平均0.6~0.7μSv/h、広野IC - 常磐富岡ICでは2014年10月29日測定時点で平均1.3~1.5μSv/h、常磐富岡IC - 浪江ICでは2014年10月21日測定時点で平均0.5~2.4μSv/hと同省が常磐自動車道での除染方針の目標で挙げた3.8μSv/h以下(9.5μSv/h超の線量の場合は概ね9.5μSv/h以下)を下回ることが確認された[32]

  • 2011年3月11日 : 東北地方太平洋沖地震の発生により全線通行止。この内、那珂IC - 水戸IC間の上り線の一部区間で本線が崩壊する被害があった。本震により本線部分まで被害が出たのは唯一である(他の地域でも路肩部分の崩壊や余震による崩壊はあった)。
  • 2011年3月16日 : 三郷IC/JCT - 水戸IC間復旧。
  • 2011年3月21日 : 水戸IC - いわき中央IC間復旧。
  • 2011年3月24日 : 山元IC - 亘理IC間復旧。
  • 2011年4月1日 : いわき中央IC - いわき四倉IC間復旧。
  • 2011年4月28日 : いわき四倉IC - 広野IC間復旧により同IC - 常磐富岡IC間を除く開通区間が応急復旧完了。
  • 2011年6月20日 : 東日本大震災の被災者支援、東電福島第一原発事故による避難者や復旧・復興支援を目的に一部車両を対象に通行料金を無料とする措置を水戸IC - 広野IC間及び山元IC - 亘理IC間で開始。
  • 2011年8月31日 : 復旧・復興支援を目的に中型車以上の車両を対象に通行料金を無料とする措置を打ち切り。
  • 2011年9月5日 : 広野IC - 常磐富岡IC間を除く開通区間が東日本大震災の本復旧工事を開始。
  • 2011年12月1日 : 東日本大震災の復興支援として全車種に無料措置を実施開始。
  • 2012年3月31日 : 東日本大震災の復興支援として全車種に無料措置が終了。
  • 2012年4月1日 : 東電福島第一原発事故による警戒区域等から避難している人が乗車する車両(ETC車を除く)のみで無料措置を実施開始。
  • 2012年4月8日 : 南相馬IC - 相馬IC間が開通。同区間は全車無料措置のため2014年12月6日の相馬IC - 山元IC間開通まで無料通行となり[33]、最高速度も60 km/hに規制されていた。
  • 2012年12月22日 : 広野IC - 常磐富岡IC間および南相馬IC - 相馬IC間を除く開通区間の本復旧工事が完了。
  • 2014年2月22日 : 東日本大震災以来通行止めとなっていた広野IC - 常磐富岡IC間が3年ぶりに再開通(通行再開)[34][35]
  • 2014年12月6日 : 浪江IC - 南相馬IC間および相馬IC - 山元IC間が開通し、鳥の海PAが開設。これに伴い南相馬IC - 相馬IC間の全車無料措置が終了。
  • 2015年2月21日 : 南相馬鹿島SA/スマートICが供用開始[17]
  • 2015年3月1日 : 常磐富岡IC - 浪江IC間開通に伴い常磐自動車道が全線開通し、同時にならはPAが供用開始。
  • 2015年6月12日 : 大熊IC及び双葉ICを、追加インターチェンジとして連結許可[7]。大熊ICは2018年度、双葉ICは2019年度に、それぞれ供用開始予定[8]
  • 2016年3月31日 : 東電福島第一原発事故による警戒区域等から避難している人が乗車する車両(ETC車を除く)のみでの無料措置が終了[36]
  • 2019年3月21日 : ならはスマートICが供用開始[24]
  • 2019年3月31日 : 大熊ICが供用開始[25]



注釈

  1. ^ いわき中央ICまで開通したのが1988年であることから、1年違いで幻の全線開通であったともいえる。
  2. ^ 今後、仙台東部道路、仙台北部道路、およびこれらを連絡する仙塩道路の一部(仙台港北IC - 利府JCT間)についてはこれまでの先例(例:山形自動車道笹谷IC - 関沢ICなど)から、利用者の便宜を図ってこれら全てを常磐自動車道と改称する可能性がある(その際該当区間を高速自動車国道に昇格させるケースと、並行する一般国道自動車専用道路扱いのままとするケースが考えられる)。
  3. ^ これは、国内高速道路では初となる道路構造となったほか、海抜マイナス2メートルという建設当時としては、最も低い場所を通るユニークな要素をもつ高速道路となった。

出典

  1. ^ 東日本高速道路株式会社・中日本高速道路株式会社・西日本高速道路株式会社 2017, p. 標識編4-12.
  2. ^ 東日本高速道路株式会社・中日本高速道路株式会社・西日本高速道路株式会社 2017, p. 標識編4-15.
  3. ^ a b c 高速道路会社への事業許可およびスマートインターチェンジの準備段階調査への採択等を行いました (PDF)”. 国土交通省道路局 (2019年9月27日). 2019年9月27日閲覧。
  4. ^ https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191002-00000009-san-l08 谷和原-谷田部間に5年度末にスマートIC新設
  5. ^ 小名浜に新IC 常磐道、33年度供用目指す 国交省発表 福島民報 2014年8月9日付
  6. ^ E6常磐自動車道 双葉町内に設置するインターチェンジの正式名称が「常磐双葉インターチェンジ」に決定しました (PDF)”. 双葉町・東日本高速道路株式会社 (2019年8月2日). 2019年8月2日閲覧。
  7. ^ a b c 常磐道の追加インターチェンジの設置について 国土交通省 2015年6月12日掲載・閲覧
  8. ^ a b c 常磐道のIC設置を許可=18、19年度に2カ所-太田国交相 時事ドットコム 2015年6月12日掲載・閲覧
  9. ^ 東北中央自動車道 相馬西道路の開通予定の見直しについて (PDF)”. 国土交通省東北地方整備局 磐城国道事務所 (2017年8月10日). 2017年8月10日閲覧。
  10. ^ a b いばらき建設技術研究会;立原信永 (2002, p. 9)
  11. ^ 「常磐自動車道・首都高速と直結 柏 - 三郷が完成 華やかに開通式」『いはらき』茨城新聞社、1985年1月24日付日刊、1面。
  12. ^ 「常磐自動車道 - 難工事を突破、北へ」いばらき新時代-16-『いはらき茨城新聞社、1985年1月20日付日刊、1面。
  13. ^ a b 「常磐道さらに北へ」『茨城新聞』、1992年1月3日付日刊、2面。
  14. ^ いばらき建設技術研究会;立原信永 (2002, p. 2)
  15. ^ a b c d e f “常磐自動車道の全線開通について” (プレスリリース), 東日本高速道路, (2014年12月25日), http://www.e-nexco.co.jp/pressroom/press_release/head_office/h26/1225/ 2016年2月21日閲覧。 
  16. ^ 国土交通省 報道発表資料:高速自動車国道へのインターチェンジの追加設置について
  17. ^ a b c 常磐自動車道 南相馬鹿島SA及びならはPAの開業について”. 東日本高速道路株式会社東北支社 (2015年1月30日). 2015年1月30日閲覧。
  18. ^ 南相馬鹿島スマートインターチェンジの開通について”. 南相馬市 (2015年1月30日). 2015年1月30日閲覧。
  19. ^ 常磐自動車道の全線開通について 2014年12月25日付
  20. ^ 常磐自動車道の4車線化について
  21. ^ 常磐自動車道 鳥の海スマートIC 営業開始セレモニーの実施について 〜先着5名のお客さま(事前受付が必要)に通行認定証と記念品を贈呈します〜 (PDF)”. 東日本高速道路株式会社 東北支社仙台管理事務所 (2016年2月19日). 2016年2月20日閲覧。
  22. ^ 常磐自動車道『山元南スマートインターチェンジ』が4月1日(土)15時に開通します。 わかりやすい道路案内の実現に向け、高速道路ナンバリング標識を設置します。 (PDF)”. 山元町・東日本高速道路株式会社 (2017年3月6日). 2017年3月6日閲覧。
  23. ^ 【E6】常磐自動車道 四倉PA(下り線)に商業施設が新規オープン 〜8月3日(木)午前10時〜 (PDF)”. 東日本高速道路株式会社・ネクセリア東日本株式会社 (2017年6月27日). 2017年8月10日閲覧。
  24. ^ a b E6常磐自動車道『ならはスマートインターチェンジ』が平成31年3月21日(木)15時に開通します (PDF)”. 楢葉町・東日本高速道路株式会社 (2019年2月12日). 2019年2月12日閲覧。
  25. ^ a b E6常磐自動車道『大熊インターチェンジ』が平成31年3月31日(日)15時に開通します (PDF)”. 大熊町・東日本高速道路株式会社 (2019年2月12日). 2019年2月12日閲覧。
  26. ^ a b 4車線化優先決まる!磐越道・若松-安田、常磐道・浪江-山元” (日本語). 福島民友新聞社. 2019年9月5日閲覧。
  27. ^ E6常磐自動車道『水戸北スマートインターチェンジ』が令和元年9月7日(土)17時に「いわき方面も出入り可能」になります (PDF)”. 水戸市・東日本高速道路株式会社 (2019年8月9日). 2019年8月9日閲覧。
  28. ^ 「柏 - 三郷、一月に開通 常磐自動車道 万博客輸送へ対応」『いはらき茨城新聞社、1984年12月25日付日刊、1面。
  29. ^ a b c d e f “東日本復興特報版 -“希望のみち”来春に全線供用-”. 建設通信新聞 (日刊建設通信新聞社). (2014年12月9日) 
  30. ^ “常磐自動車道における除染結果について”. 浪江町公式ページ (浪江町). (2013年10月1日). http://www.town.namie.fukushima.jp/site/shinsai/namie-1002.html 
  31. ^ “報道発表資料 -常磐自動車道における除染の結果について-”. 環境省公式ページ (環境省). (2013年9月27日). http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=17181 
  32. ^ “報道発表資料 -常磐自動車道(浪江~南相馬)における除染方針の達成状況について-”. 環境省公式ページ (環境省). (2014年12月4日). http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=17181 
  33. ^ 常磐自動車道 南相馬IC~相馬IC間における無料措置の継続について NEXCO東日本 2014年3月10日発表、同日閲覧
  34. ^ 福島原発周辺の常磐道、2月末に再開通 震災後の通行止め区間なくなる SankeiBiz 2014年1月10日付
  35. ^ 2月末までに再開通=震災で通行止めの常磐道 時事ドットコム 2014年1月10日付
  36. ^ 原発事故による警戒区域等から避難されている方に対する高速道路の無料措置4月以降の取扱いについて NEXCO東日本・中日本・西日本・JB本四高速 2014年3月10日発表、同日閲覧


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