帆船 水上機

帆船

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/13 07:40 UTC 版)

水上機

水上機はエンジンで水上を滑走するだけでなく帆を張れば帆船ともなるため、一種の機帆船とみなすこともできる。

機械の信頼性が低かった時代にはエンジンの故障で不時着水した際、陸まで移動するための予備動力として取り外し可能なマストと帆が搭載されており、緊急時には帆船となって移動することが想定されていた。

エンジンの信頼性が向上した現代の水上機には採用されていない。

著名な帆船

17世紀以前

宝船中国語版15世紀ジャンク
鄭和による東アフリカまでの大航海に用いられた船で最大の帆船。『明史』によれば長さ44丈(約137m)、幅18丈(約56m)、8,000t、マスト9本を備えたと伝えられている。
サンタ・マリア号(15世紀、スペイン、ナオ
1492年、コロンブスによる初の大西洋横断航海のときに使われた3隻の帆船のうちの最大の船で、コロンブスが乗船した。イスパニョーラ島発見後に座礁、解体された。マストの本数、帆数と種類は判明しているものの船体については不明な部分が多い。
ビクトリア号16世紀、スペイン、キャラック
フェルディナンド・マゼランによる1519年から1522年にかけ地球一周航を目指した5隻の船団の1隻。船団の中で唯一世界一周を成し遂げた。
ゴールデン・ハインド17世紀、イギリス、ガレオン
フランシス・ドレークが世界一周を行った時の旗艦。ただし、南米のドレーク海峡を通過した時点で船団はゴールデン・ハインド号だけとなっていた。
メイフラワー号17世紀、イギリス、フリュート
1620年、106人の清教徒をイギリスから新天地アメリカに運んだ。
サン・ファン・バウティスタ号1614年日本仙台藩)、ガレオン)
日本で最初に建造された大型西洋式帆船。ローマ教皇のもとに遣わされたルイス・ソテロ(Luis Sotelo)および支倉常長以下の使節団を太平洋を横断してメキシコへ送りとどけ、同使節団の帰途にもメキシコから日本へ連れ帰った。
ヴァーサ1628年スウェーデン戦列艦
処女航海で帆を展開した際に横転沈没した悲劇の船。寒冷な海域だったため、1961年に船体の原型をほぼ保った形で引き揚げられ、17世紀ガレオン船の構造を示す貴重な資料となっている。
ソブリン・オブ・ザ・シーズ(1637年、イギリス、戦列艦)
100門の大砲を備えた戦列艦で、金箔による絢爛な装飾からオランダ海軍は「黄金の悪魔」と称した。

18世紀

ヴィクトリー1765年、イギリス、戦列艦)
トラファルガーの海戦ネルソン提督の旗艦となった戦列艦。イギリス海軍の現役の戦艦としてポーツマス港に保存されている。
エンデバー(1768年、イギリス、バーク
ジェームズ・クックにより、世界航海に使用された。
バウンティ1784年、イギリス、シップ
南太平洋のタヒチから帰途の途中で発生した叛乱で有名。この史実はマーロン・ブランド主演の『戦艦バウンティー』やメル・ギブソン主演の『バウンティ/愛と叛乱の航海』など計3度映画化されている。
三国丸1786年、日本、折衷)
江戸幕府が建造した廻船和船の帆に加えて洋式帆船のジフとスパンカーを備えた折衷船だった。
コンスティチューション1797年、アメリカ、フリゲート
米英戦争で活躍したフリゲート。アメリカ海軍の現役艦として数回の大修理を経て2008年現在も航海可能であり、航海可能な現役艦としては世界最古である。また、ポーツマス港に保存される戦列艦ヴィクトリー、横須賀に保存される戦艦三笠とあわせ世界三大記念艦とされる。

19世紀

ビーグル(1820年、イギリス、ブリッグ
イギリス海軍の調査船。チャールズ・ダーウィンが乗り込んだ船として有名。
鳳凰丸1854年、日本(江戸幕府)、バーク)
江戸幕府が建造した、日本初の大型洋式帆船。
君沢形1855年-1856年、日本、スクーナー
沈没したロシアの帆船ディアナの代船として建造されたヘダ号をはじめとする11隻の帆船。日本で初めて量産された洋式帆船となった。
メアリー・セレスト号1861年、アメリカ、ブリガンティン)
1872年12月4日、中部大西洋で無人のまま漂流している所を発見され、後にアーサー・コナン・ドイルの小説「J・ハバクック・ジェフソンの証言」でのマリー・セレスト(Marie Celeste)として広く知られるようになった。船長の家族を含む全乗員の行方は、現在もなお海事史上のミステリーの一つである。
カティーサーク1869年、イギリス、クリッパー
現存する唯一のティークリッパー。サーモピレー1868年建造、イギリス)とスピード競争を繰り広げた。ロンドン近郊のグリニッジで保存展示されていたが、復元工事中の2007年5月21日に火災事故が発生。2012年に一般公開が再開された。スコッチの銘柄の名称としても有名。
明治丸1875年、日本、スクーナー)
明治政府がイギリスに発注した灯台視察船(兼ロイヤル・ヨット)。1876年明治天皇が東北地方巡幸の際に乗船し7月20日に帰着。平成になってこれに因み海の記念日が制定された。1896年に東京商船学校の練習船として下付された。1978年に日本に現存する唯一の鉄船として重要文化財の指定を受け、東京海洋大学の越中島キャンパス内で保存されている。
パス・オブ・パルマハ→ゼーアドラー1888年、イギリス→アメリカ→ドイツ、クリッパー)
イギリスで建造された貨物船。第一次世界大戦中の1915年鹵獲され、燃料補給が不要という帆船の特性を活かして遠洋での通商破壊を行った。海の悪魔(Seeteufel)と称えられた。
フラム号1893年ノルウェー、スクーナー)
耐氷構造の探検船で、フリチョフ・ナンセンによって氷に閉じ込められたまま3年がかりで北極海の横断に成功した(ナンセンのフラム号遠征)ほか、ロアール・アムンセンによる南極点探検(アムンセンの南極点遠征)に用いられた。その後、記念船として展示公開されている。

20世紀

初代大成丸1904年、日本、バーク)
東京高等商船学校航海練習船。4本マストのバーク。1912-13年に掛けて初の世界一周遠洋航海に就く。1945年10月9日、神戸沖の瀬戸内海で触雷沈没。
雲鷹丸1909年、日本、バーク
東京海洋大の前身である東京水産大の前身である農商務省水産講習所の初代練習船・快鷹丸が韓国慶尚北道迎日湾にて難破したため、1909年に大阪鉄工所桜島造船所で、2代目練習船として建造された。4本マストのバーク。国産の鋼製船舶としては現存最古。1962年に、越中島から現在の東京海洋大学品川キャンパスに移設され、1998年12月11日に国の登録有形文化財として登録された。
マグダレン・ヴィネンII世→コモドーネ・ジョンセン→セドフ英語版ロシア語版1921年、ドイツ→ソビエト連邦ロシア、バーク)
ドイツで建造された3,432総トンの4本バーク。第二次大戦後に賠償艦としてソ連に引き取られ、ソ連およびロシアの漁業従事者の養成に用いられている。2020年8月18日から10月18日に帆船として141年ぶりに北極海航路の航行に成功した[20]
進徳丸1924年、日本、バーケンティン
神戸高等商船学校航海練習船。4本マストのバーケンティン。1945年8月に空襲を受け大破着底、1946年に引き揚げられ修理されたが、帆装は復旧せず汽船練習船として用いられた。1962年に引退し神戸商船大学の敷地に保存されたが、1995年阪神淡路大震災で被災し、解体された。
日本丸1930年、日本、バーク)
文部省航海練習船。4本マストのバーク。1984年に引退し、その役割を日本丸II世に引き継いだ。横浜みなとみらい21で展示・保存されている。
海王丸1930年、日本、バーク)
文部省航海練習船。4本マストのバーク。1989年に引退し、その役割を海王丸II世に引き継いだ。富山新港海王丸パークにて一般公開されている。
ホクレア1975年、ハワイ、航海カヌー
伝統的航海技術研究の為に建造された双胴の航海カヌー。ナイノア・トンプソンはこの船を用いて独自のスター・ナヴィゲーション技術を編み出した。現在までにハワイからニュージーランド、イースター島、タヒチ等、ポリネシア・トライアングル内の主要な島々を全て訪問している。
新愛徳丸1980年、日本)
世界初の省エネ帆走商船。
クアウテモク英語版1981年メキシコ
メキシコ海軍の帆走練習船[21]
海星英語版1987年ポーランドブリガンティン
1990年に日本の民間のNPO団体が運営したトレーニングシップ。2本マストのブリガンティン。広く海事思想の普及に勤めたが、2003年に運航を停止し、アメリカに売却された。
みらいへ1992年、日本、スクーナー)
大阪市が所有していたセイル・トレーニングシップ。旧船名は「あこがれ」。3本マストのトップスルスクーナー。日本の帆船として初めて世界一周航海(東回りヨーロッパ航路)を達成した。

21世紀

シャバブ・オマーン2英語版2014年オマーン、シップ)
オマーン海軍の帆走練習艦で、3本マストのシップ。2014年9月にオランダのダーメン・シェルデ造船所で竣工した[22]
ビマ・スチインドネシア語版2017年インドネシア、バーク)
インドネシア海軍の帆走練習艦で、3本マストのバーク。2017年9月にスペインのフレイア造船所で竣工した。艦橋には、電子海図のモニターなどデジタル機器が用いられている[23]
シー・クラウド・スピリット(2021年、ドイツ、シップ)
ドイツのシー・クラウド・クルーズの帆走クルーズ客船で、3本マストのシップ。船体完成間際の2008年に造船所が倒産して建造が中断したが、その後建造を再開し2021年に竣工した。乗客136人を69室の客室に収容し、浴場やフィットネス設備も備える[24][25]

その他

  • 南北朝の武将名和長年は「帆掛船」を笠験としていた(新田一郎 『日本の歴史11 太平記の時代』 講談社 2001年 p.65)。この他、帆船の家紋としては、「丸に帆掛舟」、「丸に真向き帆掛舟」があるが、単体の家紋の方が多い(古沢恒敏編 『正しい家紋帖』 金園社 1995年 pp.36 - 37)。
  • 帆船(sailing ship , sailing boat)を操作する人をセーラー(sailor)=船乗り、水兵、水夫という。

注釈

  1. ^ 帆桁(ほげた)に取り付け、船首と船尾を結ぶ線と直角に張られる帆。「追い風による順走」(=ランニング)に適する[2]
  2. ^ 縦帆とは帆柱の片側に張られる帆。三角型の帆が多く、操帆作業が容易で、風上への逆走性能にすぐれる[3]スクーナーやセーリング・クルーザーの帆がその典型。
  3. ^ カエサルは(ヨーロッパの)北方へと侵攻、司令官であり、かつ文筆家だったカエサルは文章でその地の人々の習俗も記録、『ガリア戦記』として残した。
  4. ^ なお、このとき設計された帆船を実質的な主人公とした小説「A Ravel of Waters」が執筆されているが、これは日本でもハヤカワ文庫から「電子帆船ジェットウインド」の題名で出版されていた。

出典

  1. ^ 船舶の省エネ装置|PBCF|商船三井テクノトレード株式会社”. www.pbcf.jp. 2021年12月25日閲覧。
  2. ^ 横帆とは - コトバンク
  3. ^ 縦帆とは - コトバンク
  4. ^ 金子隆一 2008, p. 34.
  5. ^ ロモラ&R.C.アンダーソン 1999, p. 3.
  6. ^ a b ロモラ&R.C.アンダーソン 1999, pp. 1–11.
  7. ^ レイヴァリ 2007, pp. 22–25.
  8. ^ ロモラ&R.C.アンダーソン 1999, pp. 22–27.
  9. ^ レイヴァリ 2007, pp. 18–21.
  10. ^ レイヴァリ 2007, pp. 32–35.
  11. ^ a b ロモラ&R.C.アンダーソン 1999, pp. 44–45.
  12. ^ レイヴァリ 2007, pp. 40–41.
  13. ^ ロモラ&R.C.アンダーソン 1999, pp. 50–60.
  14. ^ a b レイヴァリ 2007, p. 42.
  15. ^ a b c d レイヴァリ 2007, pp. 230–241.
  16. ^ 金子隆一 2008, pp. 42–45.
  17. ^ ウィンドチャレンジャー計画HP” (2014年1月29日). 2014年1月29日閲覧。
  18. ^ 「内外商船ニュース 「ウインドチャレンジャー」搭載石炭船建造開始へ」 『世界の艦船』通巻943集(2021年3月号) 海人社 P.168
  19. ^ 北海シマエビ漁Q&A | 別海町観光協会[リンク切れ]
  20. ^ 「内外商船ニュース ロシア帆船「セドフ」北極海ルートを走破」 『世界の艦船』第943集(2021年3月号) 海人社 p.170
  21. ^ メキシコ海軍「クアウテモク号」が東京へ”. 乗り物ニュース (2017年9月18日). 2019年1月5日閲覧。
  22. ^ 「海外艦艇ニュース オマーンの帆走練習艦がオランダで完成」 『世界の艦船』第808集(2014年12月号) 海人社 p.165
  23. ^ 写真:東野一志「インドネシア帆走練習艦「ビマ・スーチ」来日!」 『世界の艦船』第911集(2019年11月号) 海人社 pp.117-119
  24. ^ 「内外商船ニュース 帆走クルーズ船「シー・クラウド・スピリット」竣工」 『世界の艦船』第953集(2021年8月特大号) 海人社 p.185
  25. ^ 新帆走クルーズ船「シー・クラウド・スピリット」デビュー!”. 世界の艦船. 株式会社海人社 (2021年10月22日). 2022年4月10日閲覧。


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