市民的及び政治的権利に関する国際規約
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/21 16:03 UTC 版)
締約国
自由権規約の締約国となるためには、(1)署名の上、批准を行うか、(2)加入の手続をとる必要があり、規約は署名又は加入のために開放されている。批准・加入したときは、批准書・加入書を国連事務総長に寄託する(48条)。
各国の状況
2020年5月時点では、署名のみの国は74か国であり、そのうちまだ批准もしていないのは中華人民共和国、コモロ、キューバ、ナウル、パラオ、セントルシアの6か国である。サウジアラビアとミャンマーは署名もしていない。それを除く批准国と、加入国を合わせると、締約国は173か国である[12]。
日本
日本は、1978年5月30日、社会権規約及び本規約に署名し、1979年6月21日、両規約の批准書を寄託した(同年8月4日、社会権規約は同年条約第6号として、自由権規約は同年条約第7号として公布された)。それにより、同年9月21日、両規約は日本について効力を生じた[13]。
更に、第22条2項で団結権の制限が認められている「警察の構成員」には消防職員を含むとし、社会権規約についても留保及び“解釈宣言”を行っている[14]。
2014年7月には袴田事件に言及し自白を強要されて死刑判決を受けたが、凍結後に再審無罪判決を受けたことをケースとして死刑制度廃止の検討を求められ、また福島第一原発事故で避難指示区域の解除に問題点があるとの指摘を受け、生命を守るため必要なあらゆる措置を講じるよう求められた[15]。
第19条3項は、表現の自由の権利行使に一定の制限を課す場合は法律を定めるよう義務付けている。ただし2015年1月から2月かけて後藤健二 (ジャーナリスト)達がISILに殺害された映像の公開を受けて、外務省は同年2月末にあるフリーカメラマンへの国外紛争地域であるシリアへ渡航しようとしたのを最初に、旅券法に基づき返納によって出国を制止した。男性はその後シリアとトルコへは渡航出来ない日本国旅券を発給されたが、報道の自由を侵害されたとして裁判をおこした。しかし、2017年に東京地方裁判所は報道関係者が再び狙われて生命が危険に晒される可能性が高いとして、外務大臣が予防として男性に行った措置は、日本国憲法は自他の生命や身体より報道の自由を優先している訳ではないという理由で「適法だった」とする判決を下している[16]。
- ^ 宮崎 (1988: 260)。
- ^ Treaty Collection.
- ^ “Treaty Collection: Second Optional Protocol to the International Covenant on Civil and Political Rights, aiming at the abolition of the death penalty”. United Nations. 2011年2月23日閲覧。
- ^ 中谷ほか (2006: 218)。
- ^ 中谷ほか (2006: 219)。
- ^ 「法施行機関職員行動規範」、国際連合(1976年)- ウィキソース。
- ^ 中谷ほか (2006: 221-22)。
- ^ 中谷ほか (2006: 222)。
- ^ 阿部ほか (2009: 90)。
- ^ 中谷ほか (2006: 223)。
- ^ “Treaty Collection: Optional Protocol to the International Covenant on Civil and Political Rights”. United Nations. 2012年2月20日閲覧。
- ^ Treaty Collection.
- ^ 宮崎 (1988: 260)。
- ^ 宮崎 (1988: 261)。
- ^ 中日新聞2014年7月25日朝刊3面
- ^ 『シリア渡航計画で旅券返納命令は「適法」 東京地裁判決』、2017年4月19日。朝日新聞
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