巻雲 巻雲の概要

巻雲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/11 03:01 UTC 版)

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巻雲
略記号 Ci
雲形記号 または
巻雲
高度 5,000〜16,000 m
階級 A族 層状雲(上層雲)
特徴 薄く、細いすじ状
降水の有無 あり(地上に達しない尾流雲
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名称

国際的な雲形の分類である十種雲形の1つで、ラテン語学術名はCirrus(シーラス)、略号はその頭2文字をとったCiである[1][2]。Cirrusはラテン語で巻き毛を意味する[1]。Cirrusの日本語への訳語としては「巻雲」が当初から用いられていた。しかし、の「ケン」という読みが常用漢字の表外音訓となっているという指摘などから、1965年に「絹雲」という字を当てることが決定[6]されてしばらく使用されていた。その後1988年に再び「巻雲」に戻ったが、その名残が残っている。

形状と出現環境

巻雲と飛行機
肋骨雲

形状は殊に多様である。まっすぐなものもあれば、羽根などに例えられるように曲がったものもある。また変化が速く、刻々と形を変えることがある[1]

白いすじが不規則に曲がっていたり(毛状雲)、頭の部分が鉤型に反り返っていたり(鉤状雲)、綿状のかたまりになっていたり(房状雲)と、バリエーションがある[1][7]。まっすぐに長く伸びたものは英語で"mare's tails"(牝馬の尾。訳語として「馬尾雲」を充てることがある)と呼ばれる[4]

上空は水蒸気量が少ないため多くは厚みの乏しい薄い雲である。しかし、厚みを持ち布切れのような形をした種もある(濃密雲[7][8]

強風の時や風に乱れのある時にみられるのが、糸がもつれたような形のもつれ雲。一方、魚の骨あるいは肋骨のように、太い直線の雲の両側に直角に細い雲が並ぶのが肋骨雲である。肋骨雲は、雨が降る前に現れる場合もあるが、反対に雨の後に現れて消えていく場合もある[9]

もくもくと発達した積乱雲雲頂から生じる巻雲もある[1]。なお、最盛期を迎えた積乱雲は雲頂が毛羽立ち、すじ状や毛状の巻雲が付随するが、これを多毛雲と呼ぶ[10][8]

対流圏の上部に発生し、氷の粒(氷晶)でできている[1]。鉤状雲や房状雲にみられる尾を引いたように見える雲は、地上からは同じ高さに見えるが、氷晶が落下しながら蒸発することでできる。尾が長く伸びることがあり、上空で高さにより風速が異なると尾が曲がって見える[8]。上空の湿度が高いときは飛行機雲の氷晶が周りの水蒸気を集めて成長し、巻雲になることがある。このとき、飛行機のエンジンの排気に含まれる塵が凝結核氷晶核となることで、さらなる成長を引き起こすことも多い。

雲ができる高度は、高緯度地域では3〜8km、日本を含む中緯度地域で5〜13km、低緯度地域では6〜18km付近であるが、上層雲の中では最も高い高度に出現することが多い雲である。

中緯度地方では特にに多く見られる。ただし、頻度は違うが一年中見られる雲である[1]

ジェット巻雲

上空高く、対流圏上部の圏界面に近いところに吹いている非常に強い風、ジェット気流に沿って巻雲がみられることがある。ジェット雲[11]ジェット巻雲という。

ジェット巻雲の代表的な例としてシーラスストリークトランスバースラインがある。シーラスストリークはジェット気流の強風域の低緯度側に気流と平行な方向に並ぶ細長い筋状の巻雲である。トランスバースラインはジェット気流の強風域にそれと垂直な方向に並んで発生する波状の巻雲列である。トランスバースラインの発生する部分には乱気流が発生していることがしばしばある。シーラスストリークは直線的、トランスバースラインは縁が波打ったようになっていることから、雲画像だけでも判別可能である。

地上からジェット巻雲を見ると、東西に空を横切るように放射状に見える[11]




  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 『雲・空』pp.18-29.
  2. ^ a b c 『気象観測の手引き』p.51
  3. ^ 『雲・空』p.19.
  4. ^ a b c d 『雲・空』pp.158-159.
  5. ^ 『雲・空』pp.26-27.
  6. ^ 「天気」1965年3・4号
  7. ^ a b c 『雲・空』pp.112-115.
  8. ^ a b c d e 巻雲」、バイオウェザー お天気豆知識、2018年7月5日閲覧
  9. ^ a b 『雲・空』pp.128-129.
  10. ^ 『雲・空』pp.127.
  11. ^ a b 『雲・空』p.154.
  12. ^ a b 『雲・空』p.152.
  13. ^ 『雲・空』p.18.
  14. ^ 『雲・空』p.12


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