山 山の概要

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/01 05:55 UTC 版)

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概要

定義

周囲とどの程度の高度差があれば山と呼ぶかについては、国や地域ごとの習慣、領域や研究者ごとに差異があり、一概に決まっているわけではない[1]。たとえば日常生活で人々は、ある盛りあがった地形を指して、同じ人々が、ある時は「山」と呼んでみたり、またある時は丘陵、岡などと呼んだりすることがあり、区別は必ずしも明確でない。

ブリタニカ百科事典では、相対的に2,000フィート(610m)の高さを持つものを山としている。

国際連合環境計画において定義された「山岳環境」は、以下のいずれかの条件を満たす地点を山岳と定義している[2]

  • 高度が少なくとも2,500m以上ある。
  • 仰角が2度を越え、高度が少なくとも1,500m以上ある。
  • 仰角が5度を越え、高度が少なくとも1,000m以上ある。
  • 周囲半径7㎞以内で300m以上高度が上がっている場合、高度が少なくとも300m以上ある。

この定義を使用した場合、山岳地帯はユーラシアの33%、北アメリカの24%、南アメリカの19%、そしてアフリカの14%を占めている[3]。また、地上の全陸地面積のおよそ24%が山岳地帯と定義されることになる[4]。日本では、国土地理院が地図に示す名称に「山」を附ける場合、地方自治体の申請を以て表示するとしている[5]

分類

山の複合的なものを山岳(連山、山地、山脈)と呼ぶ[注 2]。通常、陸上のものは単に「山」と言い、海中の山は海山と言う。

起伏の程度によって分類する方法もあり、低山性山地、中山性山地、高山性山地に分類される[1]。 山地を形成した営力によって分類する方法もあり、

  1. 火山作用で形成された山地(火山性山地
  2. 浸食作用で形成された山地(残存山地あるいは浸食山地
  3. 地殻運動によって形成された山地

などに大きく分類される[1]。そしてそれらがまた様々な観点から分類されている。

(1)の火山性山地は、形態や構造によって単式火山と複式火山(複成火山とも)に分類される[1]。単式火山には成層火山、楯状火山 等々等々が含まれ、複式火山にはカルデラや複数の単式火山の複合などが含まれる[1]。そしてカルデラ火山はさらに二重式火山や三重式火山に分類される[1]。また火山性山地はその噴出場所によって陸上火山、海底火山、氷底火山に分類される[1]

(2)の浸食山地の分類としては、湿潤地域で生じる「残丘」、乾燥地域で生じるインゼルベルクやボルンハルトがある[1]

(3)のタイプの山地はさらに、褶曲山地(しゅうきょく - )、曲隆山地、ドーム状山地、断層山地、傾動山地などに分類できる[1][注 3]。 なお人工的に作った山は築山と言う。

山の高さ

山の高さ(標高)は、海面の延長であるジオイドからの距離とすることが一般的であり、これを海抜(かいばつ)と言う。

地球上の最高峰(最も高い山)はヒマラヤ山脈エベレスト(海抜8,848m)とされている[6] が、海抜以外の指標により最高峰を選ぶことも可能である。例えば、地球中心から見た最高峰は南米アンデス山脈チンボラソ山(海抜6,310m)である[7]

地球は自転の遠心力により回転楕円体となっていて、赤道付近がふくらんでいる。そのため、赤道からわずか150kmにあるチンボラソ山は、エベレストより2,150mも地球中心から見て高くなっている。ハワイマウナケア山も海抜では4,205mだが、太平洋底から一気に10,203mもせり上がっており、基盤部分からの標高では世界最高峰となっている[8]

日本国内では、最高峰は富士山(標高3,776m)である。対して最も低い山は仙台市日和山(標高3m)[9] であるが、山の定義や地形学的分類あるいは地図作成測量により捉え方は様々であり、最も低い山の決定が難しい。

地球以外の天体では、ジオイドに相当する面からの距離を標高とする。ただし、地球以外の天体には海面がないので、天体ごとに恣意的に定義する。たとえば、火星でジオイドに相当するアレイドは、温度0.01で気圧610.5パスカルとなる面である。日本語では地球上、地球外共に「山」であるが、英語ではMonsといい、地球の山と区別される。

なお、太陽系で知られている最高峰は火星オリンポス山であり、標高は約27,000m(27㎞)に達する。火星にはこのほかにもアルシア山(標高19km)やアスクレウス山(標高18km)、パボニス山(標高14km)といった、地球よりもはるかに高い火山が存在する[10]が、これは火星にプレートテクトニクスが存在せず、マグマの吹き出すホットスポットが移動しないため溶岩が同じ場所に堆積し続けたためと考えられている[11]




注釈

  1. ^ (一般には、山とやや区別しつつ)平坦かつ標高の高い地形台地高地高原と言う。
  2. ^ 山岳のうちでも標高が高く目立つ頂点の部位を山と呼ぶこともある。
  3. ^ 地殻運動の各詳細については、褶曲、曲隆、断層、傾動などを参照のこと。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i 竹内 2002.
  2. ^
    Blyth et,al. 2002 p.74.
  3. ^ Blyth et,al. 2002 p.14.
  4. ^ Panos (2002年). “High Stakes”. 2012年6月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年2月17日閲覧。
  5. ^ 尼崎市立地域研究史料館. “レファレンス事例詳細”. レファレンス協同データベース. 国立国会図書館. 2018年11月11日閲覧。
  6. ^ “Nepal and China agree on Mount Everest's height”. BBC News. (2010年4月8日). オリジナルの2012年3月3日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20120303133522/http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/south_asia/8608913.stm 2010年8月22日閲覧。 
  7. ^ The 'Highest' Spot on Earth”. Npr.org (2007年4月7日). 2013年2月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年7月31日閲覧。
  8. ^ Mountains: Highest Points on Earth”. National Geographic Society. 2010年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年9月19日閲覧。
  9. ^ 標高3メートル、日本一低い山に…天保山下回る:社会:読売新聞(YOMIURI ONLINE)[リンク切れ]
  10. ^ 水谷 2006, p. 42.
  11. ^ Baker & Ratcliff 2012, p. 5.
  12. ^ 「山はどうしてできるのか ダイナミックな地球科学入門」p150-152 藤岡換太郎 講談社 2012年1月20日第1刷
  13. ^ 「山はどうしてできるのか ダイナミックな地球科学入門」p120-122 藤岡換太郎 講談社 2012年1月20日第1刷
  14. ^ Price 2017, p. 31.
  15. ^ Price 2017, pp. 32-33.
  16. ^ a b Price 2017, p. 34.
  17. ^ Price 2017, p. 35.
  18. ^ アイドマ 2006, pp. 68-69.
  19. ^ 深田 1982, pp. 13-376.
  20. ^ 公益社団法人 日本山岳会「山を知ろう
  21. ^ 水野 2016, p. 121.
  22. ^ 現代地図帳 1988, p. 43.
  23. ^ Price 2017, p. 61.
  24. ^ 篠田 2008, p. 23.
  25. ^ 小林 2015, p. 83.
  26. ^ Kolossov, V. (2005). Border studies: changing perspectives and theoretical approaches. Geopolitics, 10(4), 606-632.
  27. ^ Van Houtum, H. (2005). The geopolitics of borders and boundaries. Geopolitics, 10(4), 672-679.
  28. ^ Price 2017, p. 6.
  29. ^ Moore, Lorna G. (2001). “Human Genetic Adaptation to High Altitude”. High Alt Med Biol 2 (2): 257–279. doi:10.1089/152702901750265341. PMID 11443005. 
  30. ^ Cook, James D.; Boy, Erick; Flowers, Carol; del Carmen Daroca, Maria (2005). “The influence of high-altitude living on body iron”. Blood 106 (4): 1441–1446. doi:10.1182/blood-2004-12-4782. PMID 15870179. http://bloodjournal.hematologylibrary.org/content/106/4/1441.long. 
  31. ^ El Alto, Bolivia: A New World Out Of Differences”. 2015年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月8日閲覧。
  32. ^ Finnegan, William (2015年4月20日). “Tears of the Sun” (英語). The New Yorker. Condé Nast Publications. 2018年7月8日閲覧。
  33. ^ West, JB (2002). “Highest permanent human habitation”. High Altitude Medical Biology 3 (4): 401–7. doi:10.1089/15270290260512882. PMID 12631426. 
  34. ^ Everest:The Death Zone”. Nova. PBS (1998年2月24日). 2017年6月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月8日閲覧。
  35. ^ Price 2017, p. 89.
  36. ^ Price 2017, pp. 81-83.
  37. ^ 坂井他 2007, pp. 254-255.
  38. ^ Blyth et,al. 2002 p.22.
  39. ^ International Year of Freshwater 2003”. 2006年10月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年12月7日閲覧。
  40. ^ The Mountain Institute”. 2006年7月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年12月7日閲覧。
  41. ^ a b Price 2017, p. 52.
  42. ^ 山梨のパワースポット”. 富士の国やまなし観光ネット. 社団法人やまなし観光推進機構. 2011年3月6日閲覧。
  43. ^ ランドネ 2010, pp. 57-71.
  44. ^ a b c d e f g h i j k l 新詳高等地図.






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