少年犯罪 少年犯罪者の個人情報

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少年犯罪

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/21 03:28 UTC 版)

少年犯罪者の個人情報

日本では少年法で裁かれた被疑者成人後に逮捕された場合、マスメディアに対し規制が入るケースがある。女子高生コンクリート詰め殺人事件の被疑者が出所後に脅迫容疑で逮捕された時には、一部写真週刊誌以外のマスメディアが実名・顔写真の報道を控えた。

報道規制

日本では少年法第61条により、家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならないとされている。

「家庭裁判所の審判に付される」か「犯した罪により公訴を提起される」場合、規制対象になるとしている。ただ、少年法第61条には罰則規定がないので、出版物で犯罪少年を実名報道をしても刑事罰はない。実際には裁判所の審判に付される前段階である捜査段階や逮捕勾留段階から報道機関は自主規制して加害少年を匿名化し、実名報道を避けている(少年犯罪の場合、警察の発表が原則匿名で、実名報道が出来ないという事情もある)。しかし、逮捕前に実名が出てしまっているケースもあり、こちらは文字通りの解釈をすれば法律では規制することができない。 ただし、少年法第61条に罰則規定がないだけであり、名誉毀損やプライバシー侵害として民事・刑事上の責任を問われることはありうる[13]

例外として、浅沼稲次郎暗殺事件では事件の重大さからこの報道規制の対象外となった。少年ライフル魔事件永山則夫連続射殺事件(犯人の永山則夫は後に獄中から著書を実名出版している)でも報道規制の対象外となっている。

また、2011年3月10日の大阪・愛知・岐阜連続リンチ殺人事件最高裁判決で犯行当時少年3人の死刑判決が確定して以降、毎日新聞を除く全国紙及びテレビ局は同事件及び後に死刑が確定した光市母子殺害事件石巻3人殺傷事件少年死刑囚について実名報道を行っている。

  • 確認できる限りでは、朝日新聞が2004年6月5日以降の報道において適用している指針「事件の取材と報道2004」の中で「報道はやはり実名から出発すべき」とする一方で「第4章 匿名を考える場合」にて、「事件を起こした触法少年(未成年者)や心神喪失者は原則匿名で報じるが、少年でも死刑判決が確定した場合は実名報道に切り替え心神耗弱者は起訴される際は実名報道する」という原則を定めている。この指針を報じる特集記事の中で、少年死刑囚の実名報道を是認する理由については「(死刑判決確定により)基本的に社会での更生の可能性が消える一方、事件は極めて重大なのが常だ。権力行使の監視の意味でも、死刑執行の対象が誰かを明確にすることは必要だと考える」としている[14]。その後、大阪・愛知・岐阜連続リンチ殺人事件の最高裁判決を報じる記事がこの原則の適用第一号となった[15]
  • 読売新聞は「死刑が確定すれば、更生(社会復帰)の機会はなくなる一方、国家が人の命を奪う死刑の対象が誰なのかは重大な社会的関心事」とした[16]
  • 産経新聞は「死刑が事実上確定し、社会復帰などを前提とした更生の機会は失われます。事件の重大性も考慮」とした[17]
  • 日本経済新聞は「犯行当時少年だった被告に死刑判決が下された重大性に加え、被告の更生の機会がなくなることも考慮」とした[18]

インターネットの規制

インターネット上の公開も自主規制が行われている。しかし、インターネットに少年法が適用されるかについては見解は分かれる、すなわち、少年法61条は、「新聞紙その他の出版物」への掲載を禁じているのであり、インターネットは新聞紙でも出版物でもないが、出版物について「不特定多数の者が知りえる媒体」を指すという理解[19]に従えば、インターネットも対象になることになる。また少年法第61条は捜査段階や逮捕勾留段階には効力が及ばないので、その段階での新聞紙上での報道には少年法第61条上は何の問題もない。法務省による強制力のない行政指導、そしてプロバイダでの「自主規制」による規制しか行えず、法令の規定なしに、法務省が行政指導によって規制するのは、人権である表現の自由の侵害となる可能性がある。

2ちゃんねるをはじめとした一部の電子掲示板TwitterなどのSNSYouTubeニコニコ動画ニコニコ生放送などの動画投稿サイトでは規制に反して被疑者や疑わしき人物の実名や住所・電話番号・職業・家族構成・顔写真といった個人情報が掲載され、問題になっている。一例として2ちゃんねるでは、住所や電話番号などプライバシーを侵害する記述がない限り、削除しない運営をしている。その理由は、

  1. 公開が規制されている場合は、その掲載が事実か確認する手段がない、つまりでたらめな掲載であるから
  2. 裁判所に行けば一般人でも被告人の氏名が確認できるので、その氏名は公開情報とみなせるから

だという。(少年犯罪板の削除人のレスより)

電話帳は個人情報保護法第19条 - 第23条の規制の対象にならないので、対処のしようがない。さらに、海外のウェブサイト上でも掲載されることがある。こちらは国内法である少年法では法務省も対処の範疇外とされ、解決の目処は立っていないのが現状である。


  1. ^ “死刑宣告、過去最多45人 世論が厳罰化後押し”. 産経新聞. (2006年12月30日). http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/33377/ [リンク切れ]
  2. ^ a b c d e f g h i j 諸外国の司法制度概要 1”. 首相官邸. 2017年9月9日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k 諸外国の司法制度概要 2”. 首相官邸. 2017年9月9日閲覧。
  4. ^ a b c 法務省 (2019) (Excel). 令和元年版犯罪白書第 第2編 平成における犯罪・少年非行の動向 第2章 少年非行の動向 第1節 少年による刑法犯 3 罪名別動向 第2章 少年非行の動向 2-2-1-7図 少年による刑法犯 検挙人員の罪名別構成比 (Report). http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/66/nfm/n66_2_2_2_1_3.html#h2-2-1-07 2020年2月20日閲覧。. 
  5. ^ a b c 法務省 (1947). 昭和22年度刑事警察統計書 第二 靑少年犯罪者調 (Report). https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1272803/40 2020年8月8日閲覧。. 
  6. ^ a b 法務省 (1997). 平成9年版犯罪白書 第1編 憲法施行50年の犯罪動向  第5章 少年非行の動向 第1節 概説 1 少年刑法犯の動向 (Report). http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/38/nfm/n_38_2_1_5_1_1.html 2019年3月20日閲覧。. 
  7. ^ 法務省 (2011). 平成23年版犯罪白書第 第7編 少年・若年犯罪者の実態と再犯防止 第3章 少年院出院者の犯罪 第3節 少年院出院後の犯罪状況の分析 2 少年時の非行内容による分析 (1)概況 7-3-3-2-1表 非行群別刑事処分状況等 (Report). http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/58/nfm/n_58_2_7_3_3_2.html#h7-3-3-2-01 2019年3月20日閲覧。. 
  8. ^ 守屋克彦『現代の非行と少年審判』1998年、5頁。
  9. ^ 守屋克彦『現代の非行と少年審判』1998年、6頁。
  10. ^ a b 警察庁庁生活安全局少年課 (2019-03-12) (PDF). 令和元年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況 第1 少年非行 1 刑法犯少年(1,2ページ、PDF7,8ページ) (Report). https://www.npa.go.jp/safetylife/syonen/hikou_gyakutai_sakusyu/R1.pdf 2020年3月12日閲覧。. 
  11. ^ 少年犯罪は増加、凶悪化?(犯罪白書を読んで)
  12. ^ 警察庁庁生活安全局少年課 (2020-09-08) (PDF). 令和元年中における少年の補導及び保護の概況 第1章 少年の非行等 第2節 非行少年 1 犯罪少年 ⑴ 刑法犯少年 ア 検挙人員、人口比及び少年の占める割合の推移 1-2-1-1図 昭和24年以降における刑法犯少年の検挙人員及び人口比の推移(2ページ、PDF17ページ) (Report). https://www.npa.go.jp/safetylife/syonen/hodouhogo_gaikyou/R01.pdf 2020年9月12日閲覧。. 
  13. ^ 田宮裕・廣瀬健二『注釈少年法』489頁。民事で不法行為が認められ、確定した事例として大阪地判平成11年6月9日。
  14. ^ 『朝日新聞』2004年6月21日朝刊30面「朝日新聞指針『事件の取材と報道2004』 4年ぶり全面改訂」
  15. ^ 朝日新聞』2011年3月11日朝刊1面「元少年3人死刑確定へ 最高裁 4人殺害『責任重大』」
  16. ^ 読売新聞』2011年3月11日朝刊1面「元少年3人死刑確定へ 連続リンチ殺人 最高裁、上告棄却」
    『読売新聞』2011年3月11日朝刊37面「元少年3人の死刑確定へ 実名、報道すべき関心事」
  17. ^ 産経新聞』2011年3月11日東京朝刊1面「元少年3人、死刑確定へ 最高裁 連続リンチ殺人、上告棄却」
    『産経新聞』2011年3月11日大阪朝刊1面「元少年3人死刑確定へ 連続リンチ殺人 上告棄却 最高裁『執拗かつ残虐』」
  18. ^ 日本経済新聞』2011年3月11日朝刊43面「元少年3人死刑確定へ 連続リンチ殺人 最高裁上告棄却『4人次々 結果重大』」
  19. ^ 田宮裕・廣瀬健二『注釈少年法』489頁。





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