少年への性的虐待 加害者が女性の場合

少年への性的虐待

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/05 07:18 UTC 版)

加害者が女性の場合

加害者が女性の場合でも深刻な問題がある。こうした場合は性機能障害やセックスに対する嫌悪が起きやすい。なかなか男性はその心の内を見せない傾向があるが、こうした被害を受けた男性は社会が感じている体験と自分自身が感じている体験のズレに苦しんでいると言われる。彼らは多くセックスを嫌悪するが、一方で女性に対する怒りを別な形で示すため、大抵異性関係が奇妙なものになりやすい。女性からの加害が存在しないと考える文化的神話のために、少年も少女同様その時には屈辱感を味わったにもかかわらず、幼い頃の性的虐待行為を、成長した後に『大人の感覚で楽しめない自分が性的に未熟だったのだ』と事後的に無理に意味を改定してしまうケースが多い。それが恋なのだろうと無理に自分を騙す事も少なくない。しかし、実際にはその心的外傷自体は少女のそれとほとんど同じなのである。

男性は傷つかないのか

多くの人は男性は傷つかないと思っている。しかし、男性がレイプされた場合には事件に向き合いにくく、余計に傷を深め後遺症は時に女性以上のものとなることが分かっている。

  • Kessler RC, Sonnega A, Bromet E et al. (1995) によると米国の大規模な住民調査ではPTSDの生涯有病率は女性が10%、男性が5%であり、事件別のPTSD発症率では女性はレイプ、男性の場合は災害や事故、身体的暴力、武器による脅迫などが多いとされたが、レイプによるPTSD発症率は男性は65%で女性は46%、事故によるものは男性は6%で女性は9%、自然災害では男性は4%で女性は5%、身体暴力は男性は2%で女性は21%、武器による脅迫は男性は2%で女性は33%とPTSD発症率は全く逆の傾向が見られた[8]
  • Dean and Wood (1985) の調査:調査対象の男性の75%が被害を食い止められなかったことを恥じていた[9]
  • 沖縄タイムスが1998年に実施した調査:被害を受けた女児はそれぞれの被害についてそれぞれほぼ半分以上が相談するのに対し、男児は被害を受けても総被害件数の14.2%しか相談しない[10]

フィクションでの描写

多くの場合、性的虐待といえば成人男性から少女・あるいは若い女性に対するもの、という認識が世間では大勢であるためか、創作作品でこの事例が正面から描かれるケースは少ない。だが、2006年7月にNHK教育テレビドラマ枠『中学生日記』の中で、男子中学生に対する男性臨時コーチからの性的虐待がテーマとして取り上げた回を放映し、各方面に大きな反響と波紋を呼んだ。また、「くそみそテクニック」などで知られる漫画家の山川純一の作品にも成人男性から少年への性的虐待シーンが度々登場する。




  1. ^ Schoen, Cathy; Davis, Karen; DesRoches, Catherine et al. (1998年). “The Health of Adolescent Boys: Commonwealth Fund Survey Findings (PDF)” (英語). Commonwealth Fund. 2011年7月14日閲覧。
  2. ^ 『子どもと性被害』(吉田タカコ、2001年) 52・54・56ページ ISBN 4-08-720095-7
  3. ^ http://www.paedosexualitaet.de/lib/Finkelhor1984/c12.html
  4. ^ 『少年への性的虐待—男性被害者の心的外傷と精神分析治療』(リチャード・B・ガートナー。1999年の書物の宮地尚子らによる日本語訳。2005年) 219・220ページ ISBN 4-86182-013-8
  5. ^ 『少年への性的虐待—男性被害者の心的外傷と精神分析治療』(リチャード・B・ガートナー。1999年の書物の宮地尚子らによる日本語訳。2005年) 139・140ページ ISBN 4-86182-013-8
  6. ^ a b c d 『少年への性的虐待—男性被害者の心的外傷と精神分析治療』(リチャード・B・ガートナー。1999年の書物の宮地尚子らによる日本語訳。2005年) 136・137ページ ISBN 4-86182-013-8
  7. ^ 宮脇(吉本)かおり (2013). “同性を対象とした年少者わいせつ犯の特徴について”. 犯罪心理学研究 51巻特別号: 162. 
  8. ^ 『トラウマとジェンダー—臨床からの声』(宮地尚子、2004年) 22・23・42ページ ISBN 4-7724-0815-0
  9. ^ 『少年への性的虐待—男性被害者の心的外傷と精神分析治療』(リチャード・B・ガートナー。1999年の書物の宮地尚子らによる日本語訳。2005年) 106ページ ISBN 4-86182-013-8
  10. ^ 『子供と性被害』(吉田タカコ、2001年) 54・55ページ ISBN 4-08-720095-7
  11. ^ 『Come Here : A Man Overcomes the Tragic Aftermath of Childhood Sexual Abuse』(Richard Berendzen and Laura Palm,1993年) ISBN 067941777X
  12. ^ Axl Rose” (英語). ローリング・ストーン. 2011年6月12日閲覧。
  13. ^ https://news.livedoor.com/article/detail/8303769/
  14. ^ 『知事の履歴書―横山ノック一代記』 ISBN 4872332253
  15. ^ 『ピカレスク 〜太宰治伝』 ISBN 4-09-394166-1
  16. ^ 大高勝次郎『太宰治の思い出』(たいまつ社、1982年)
  17. ^ 『フロイトとユング』(ロバート・スティール)
  18. ^ 『少年への性的虐待—男性被害者の心的外傷と精神分析治療』(リチャード・B・ガートナー。1999年の書物の宮地尚子らによる日本語訳。2005年) 442ページ(宮地尚子による解説部分) ISBN 4-86182-013-8
  19. ^ ルイ・セロー『ヘンテコピープルUSA』(中央公論新社、2010年)p.99-100
  20. ^ contactmusic.com "Tina Turner - Ike Turner: 'I Lost My Virginity When I Was Six'" 13 October 2005 09:47


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