小田急電鉄
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/09 18:32 UTC 版)
ダイヤ
2006年以降のダイヤ改正は小田原線・多摩線が東京メトロ千代田線およびJR東日本の常磐緩行線(常磐線各駅停車)と相互直通運転を行い、小田原線の特急「ふじさん」が渋沢 - 松田間の連絡線経由でJR東海の御殿場線と直通運転を行っている関係で、一部の例外を除きJRグループのダイヤ改正と同じ日程で行われている。ただし2007年・2011年は実施されず、2010年は一部列車のダイヤ修正に留まっている。2012年にはロマンスカーの使用車両および運行系統・停車駅の変更などが大きく、JRグループのダイヤ改正と同日の3月17日に3年ぶりの大規模なダイヤ改正が実施された。
現有路線の節で述べた通り、2016年3月26日のダイヤ改正では、それまで千代田線綾瀬駅までの乗り入れであった小田急の車両もJR常磐緩行線への乗り入れが開始された。小田急の車両は自社路線のある東京都や神奈川県のほか、JR御殿場線への乗り入れで静岡県にも入っているが、同日より常磐緩行線への乗り入れで千葉県や、山梨県を除く関東地方で唯一大手私鉄の路線が存在せず、乗り入れてくる大手私鉄の車両もこれまで東京メトロのみであった茨城県南地域にも入るようになり、また小田急は複数のJRグループの会社の路線に乗り入れる大手私鉄となった(これにより小田急の車両は茨城県から静岡県までの広範囲で走行することとなった)。
有料特急列車
小田急電鉄では、「ロマンスカー」と総称して呼ばれる有料特急列車を運行しており、系統・種類に応じて下記の愛称がある。全列車とも全座席指定で運行される。大手私鉄では近畿日本鉄道の「近鉄特急」と並ぶ看板列車であり、使用車両にブルーリボン賞受賞車が多い。
現在の愛称
- 「はこね」:小田原線系統の列車で、小田急箱根鉄道線に乗り入れ、箱根湯本駅まで運行する列車。
- 「スーパーはこね」:小田原線系統の列車で、新宿駅 - 小田原駅間無停車であり、箱根湯本駅まで乗り入れ運行する列車。
- 「さがみ」:小田原線系統の列車で、小田急箱根鉄道線に乗り入れないもの。基本的には小田原駅発着だが、入出庫の都合で区間運行の列車も存在する。1999年に「サポート」という愛称に変更されたが2004年12月のダイヤ改正で再度「さがみ」に改称された。
- 「えのしま」:江ノ島線系統の列車。
- 「ホームウェイ」:新宿駅を18時以降に発車する下り列車。JRでの「ホームライナー」に相当し、該当する時間帯は「スーパーはこね」「はこね」「さがみ」「えのしま」系統の全ての列車がこの愛称となる。通勤時間帯での運行となるため、日中に比べ多少時間が掛かることが多い。2016年3月までは平日に限り多摩線直通の列車も存在していた。
2008年3月15日からの東京メトロ千代田線乗り入れ開始に伴い次の愛称が登場した。同時に新設された後述のベイリゾート号以外は全て頭に「メトロ」がつく。これらはすべて60000形MSEにより運転される。
- 「メトロホームウェイ」:夕方18時以降に千代田線から小田急線に乗り入れる下り列車(平日5本、土休日1本)。
- 「メトロはこね」:千代田線と箱根湯本駅間を運転する列車(平日上り1本・下り1本、土休日上り2本・下り2本)。
2018年3月17日のダイヤ改正で、次の愛称が新設された[95][61]。
- 「モーニングウェイ」:午前9時30分までに新宿駅に到着する従来の「さがみ」から改称された。
- 「メトロモーニングウェイ」:午前9時30分までに千代田線大手町駅に到着する従来の「メトロさがみ」から改称された。
- 「メトロえのしま」:千代田線と江ノ島線とを結ぶ列車。「メトロはこね」と連結して土・休日に定期運行。
- 「ふじさん」:JR御殿場線に乗り入れ、御殿場駅まで運行する列車。担当車両は60000形MSE。
運行日が限定される列車
- 「ニューイヤーエクスプレス」:2001年12月31日運行開始。大晦日夜から翌年1月1日早朝(元旦)までの終夜運転に合わせて運行される臨時特急である。この列車は、初詣号の頃から明治神宮への初詣客のために、普段は各駅停車しか停まらない参宮橋駅に一部列車が停車する。
過去の愛称
- 「サポート」:1999年に「あしがら」と「さがみ」を統合して登場。2004年12月のダイヤ改正で「さがみ」の復活に伴い消滅。
- 「あしがら」:1999年に廃止。小田原線系統で箱根登山線へ乗り入れていた。「はこね」より停車駅の多い列車として設定。
- 「ベイリゾート」:2008年5月3日運行開始。土休日に小田急線と東京メトロ有楽町線新木場駅間を結ぶ臨時列車(土休日上り1本、下り1本)。2012年より運行を中止している。
- 「メトロさがみ」:2008年3月15日ダイヤ改正より設定。朝方に小田急線から千代田線に乗り入れる上り列車。2018年3月17日のダイヤ改正で新設の「メトロモーニングウェイ」に統合され、設定が無くなった。
- 「あさぎり」:JR御殿場線に乗り入れ、御殿場駅まで運行する列車。2018年3月17日のダイヤ改正で「ふじさん」に改称された。
車両
小田急電鉄の場合、2600形までの通勤形車両については制御装置等の英字による略称を内部用語として用いることがあり、趣味的にも流用される。また、その延長で3000形 (初代)に"Super Express(Car)"の略称である「SE」の通称を与え、以降特急形車両については内部または公募で愛称・略称が与えられている。前者は全電動車式高性能車の問題を、後者は小田急ロマンスカーを参照されたい。なお、京浜急行電鉄、京成電鉄や東京都交通局、名古屋市交通局、および阪神電気鉄道の昭和50年代までに落成した車両などと同様に「○○系(けい)」ではなく「○○形(がた)」と呼称される。また、特急形・通勤形とも固定編成を前提とした機器構成がなされているので、原則として編成替えは行われない。
技術面での評価は高く、1957年には3000形「SE車」が東海道本線にて当時の狭軌鉄道での最高速度世界記録 (145 km/h) を樹立した。その他、ブルーリボン賞、ローレル賞などの鉄道関係の賞を数多く受賞していた。しかし、近年では通勤形車両のみならず、特急形車両でも他社で実績のある技術や工法を多く取り入れ、50000形VSEを除いて独自性はない。
車両の製造メーカーは特急形が日本車輌製造と川崎重工業、通勤形は前記の2社と総合車両製作所横浜事業所(および前経営者の東急車輛製造)であったが、50000形VSE以降の特急形は日本車輌製造のみ、4000形(2代)は総合車両製作所横浜事業所(および東急車輛製造)とJR東日本新津車両製作所(現・総合車両製作所新津事業所)で製造している。車両更新・改修は車両製造メーカーまたはグループ企業の小田急エンジニアリング(過去には小田急車両工業)で施工される。制御装置の製造メーカーは60000形「MSE」までの特急形が東芝(現・東芝インフラシステムズ)、通勤形と70000形「GSE」・EXEαの特急形は三菱電機と分けられている。
火災防止のため、全ての通勤形車両で車両間にある仕切扉のドアストッパーを撤去した。また、在籍する営業用車両の集電装置は全てシングルアーム式パンタグラフを搭載している。これは大手私鉄では初めてである[注釈 7]。
台車については、開業以来一部(ロマンスカー3000形SE車、国鉄タイプの1800形、旧型車の機器を流用した4000形 (初代)ほか)を除いて長い間住友金属工業(現・日本製鉄)製のもの(特に2200形から1000形までの新造通勤用車両やロマンスカー7000・10000・20000形はリンク式の一種であるアルストムリンク式と呼ばれる構造)が採用されていたが、ロマンスカーの50000形VSE以降は日本車輌製造製に、通勤用の3000形以降は東急車輛製造(→総合車両製作所)製に切り換えられている。ただし、新5000形は日車製のNS台車が採用されている。
現有車両
特急形車両
- 70000形 GSE
- 60000形 MSE(東京地下鉄〈東京メトロ〉・東海旅客鉄道〈JR東海〉直通仕様特急車両)
- 30000形 EXE(2017年から「EXEα」に順次リニューアル)
-
70000形 GSE
-
60000形 MSE
-
30000形 EXEα
-
30000形 EXE
通勤形車両
-
5000形(2代)
-
4000形(2代)
-
3000形(2代)
-
2000形
-
1000形
-
8000形
鉄道事業用車
-
クヤ31
除籍車両
特急形車両
- 50000形「VSE」
- 7000形「LSE」
- 20000形「RSE」(JR御殿場線直通特急向け車両。1編成が富士急行に譲渡された)
- 10000形「HiSE」(2編成が長野電鉄に譲渡された)
- 3100形「NSE」
- 3000形「SE」「SSE」
-
50000形「VSE」
-
7000形「LSE」
-
20000形「RSE」
-
10000形「HiSE」
-
3100形「NSE」
-
3000形「SE」・「SSE」
特急形気動車
特急形車両として登場後通勤形車両に格下げされた車両
通勤形車両
- 5000形(初代)・5200形(一部の6両編成は4両化[97])
- 9000形(初代千代田線乗り入れ用車両・ローレル賞受賞車両)
- 4000形(初代)(元釣り掛け車。のちに2400形の機器流用)
- 2600形(初の大型鋼製車両)
- 2400形
- 2220形
- 2200形(初の高性能車)
- 2100形
- 1900形
- 1800形(63系などを改造)
- 1600形
- 1500形(帝都電鉄モハ200形→小田急デハ1500形/帝都電鉄クハ500形→小田急クハ1550形)
- 1400形
- 1300形(小田原急行151形・大東急→小田急1250形)
- 1200形(小田原急行101形・121形・131形・大東急1200形)
- 1100形(小田原急行1形・大東急→小田急1150形)
-
5000形・5200形
-
9000形
-
4000形(初代)
-
2200形
-
1400形
-
1300形
-
小田原急行1形(1100形)
モノレール
-
500形
その他
注釈
- ^ 合併を含む提携強化を図る、小田急が所有する株数は相鉄の発行済み株式の16%まで、小田急出身の役員を2人受け入れの3つが定められた。ただし合併を含む提携強化については、実施されなかった。
- ^ 多摩線開通までの計画変遷については多摩線の記事を参照。翌1967年6月に喜多見 - 多摩間の免許廃止ならびに百合ヶ丘(後に新百合ヶ丘に変更) - 多摩間の敷設免許を申請し、同年12月に認可されたことで喜多見からの新線計画は放棄された。
- ^ 多摩 - 城山間の免許は存置されたが、後に失効した。
- ^ 特急ロマンスカーでは50000形「VSE」に限り担当乗務員専用の制服を着用していたが、以降は車種にかかわらずロマンスカー乗務員専用の制服を着用するようになる。
- ^ 小田原駅で乗り換えできるJR線は、在来線の東海道線はJR東日本だが、東海道新幹線はJR東海の路線である。小田原駅と同等のケースは京急線の品川駅が該当する。
- ^ JR2社の在来線管内を直接結んでいる私鉄は小田急電鉄のほか大手私鉄では近畿日本鉄道、第三セクター鉄道ではえちごトキめき鉄道がある。だが、近鉄はJR線との直通運転は行っておらず、えちごトキめき鉄道はJRの特急「しらゆき」が乗り入れるのみでえちごトキめき鉄道の車両はJRには乗り入れない。
- ^ かつて非シングルアームパンタの車両が在籍していた会社で、現在営業用車両がすべてシングルアームパンタ搭載車となった大手私鉄は、他に京王電鉄がある。JRの電車では、JR北海道とJR東海の車両が全てシングルアームパンタである。
- ^ かつてはJR東日本も自社発行であったが、2009年10月にカード部門を完全子会社「株式会社ビューカード」として分社化している(ブランド供給会社はクレディセゾンのUCカードと、JCBのブランド供給会社扱いで発行している)。
- ^ グループ会社では江ノ島電鉄の「えのんくん」や小田急バスの「きゅんた」などが存在する。
- ^ 1949年のシーズンまで「大陽ロビンズ」(1948年に太陽ロビンズから改称)と名乗っていた松竹ロビンズのこと。
- ^ 他には山陽電気鉄道がプロ野球球団の所有を企図し、一時期2軍チームの山陽クラウンズを所有している。
出典
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- ^ FC町田ゼルビア×小田急 共同企画 - 小田急電鉄 (PDF)
- ^ 株式会社日本格付研究所による格付け(2021年5月14日) (PDF)
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