対戦型格闘ゲーム 操作系

対戦型格闘ゲーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/18 10:17 UTC 版)

操作系

例外は多々あるが、上下左右の方向キー(アーケードゲームではレバー、コンシュマーでは十字キー)と3~6個のボタンで入力を行うものが多い。それらでは方向キーでキャラクターを移動やコマンドの入力をし、ボタンで攻撃する。以下一般的な例を説明する。

移動

左か右に入力することで前後に移動し、上でジャンプ、そして移動ではないが下へ入力するとその場でキャラはしゃがむ、というのが方向キーに関する最も一般的な仕様と言える。作品やキャラクターによっては斜め下へ入力するとしゃがんだ状態で移動する「しゃがみ歩き」と呼ばれる行動を持っている場合もある。

多くの場合、2D格闘ゲームでのジャンプは足払いなどの低い位置への攻撃を回避でき、さらにジャンプキックなどの攻撃を(特には連続技の始点になる通常技を)出しながら横方向へ移動できるという点で重要な行動である。ただしアッパーカットなど上向きの攻撃には良い的にされてしまうことがある。しゃがむことには相手の打点の高い攻撃を避けることができるという利点がある。

3D格闘ゲームのジャンプは事情が違っている。ジャンプの軌道がゆるやかで飛距離も極端に高いか低いのどちらかが多く、またジャンプ中の攻撃が強力なものは少ないため、あくまで回避手段として用いられることが多い。

歩行やジャンプの他にダッシュと呼ばれる移動方がある作品も多い。これはたいていの作品では同じ方向に続けて素早く2回入力するというコマンドで出すことができる。ダッシュの性能は一様ではなく、作品によって違うし、また同じ作品の中でもキャラによって差別化されている場合があるが、一滴距離を踏み込むステップタイプと、走り続けるランタイプが多い。積極的に敵に接近するための前方へのダッシュにくらべると、後退し敵から離れるためのバックダッシュの性能は低く抑えられていることが多いが、無敵時間が設定されているゲームもある(『餓狼伝説SPECIAL』など。ただし、空中投げに対しては無力)。3D対戦格闘ゲームではレバー入力に応じた自然な足の動きを再現することが難しく、キャラクターによっては通常の移動が極めて遅い者もいるため、素早く移動するには大抵このダッシュを使うことになる。

ダッシュは、必ずしも前後のそれが揃っているとは限らず、前か後、どちらかへのダッシュしかない作品も存在する。また作品のシステム上ダッシュはあるが、鈍重で移動能力が極端に低いという設定のキャラクターだけダッシュできないようにされている場合もある。例えば、作品中唯一前へのダッシュができない『ヴァンパイア』のビクトルや、作品中唯一前にも後にもダッシュができない『北斗の拳』のハート様などが該当する。

特殊な例として『サイキックフォース』のように360度全方位に移動できる作品もある。

3D対戦型格闘ゲームでの軸移動

3Dでは上下左右のほかに奥・手前(キャラクターにとって左右)の概念が付加される。この方向への移動は主に軸移動と呼ばれる。キャラクター同士の中心点を結ぶ直線を軸と呼び、この軸が移動するためである。

一般にレバーを下方向ないし上方向に素早く2回入力することで行なえ、直線的な攻撃を回避することができる。しかし、内部処理の方法は多種多様であり、『バーチャファイター』では直線攻撃(縦攻撃)と回転攻撃(横攻撃)を明確に分け、直線攻撃に対してのみ有効な無敵時間を用い時間的に回避の成否を決定している。一方『鉄拳』や『ソウルキャリバー』では当たり判定を動かし、相対的な位置で回避の成否を決定している。そのため、タイミングや位置が良ければ回転攻撃でも回避することができるし、システム上直線攻撃であっても回避しきれない場合も出てくる。

特殊な例として、『ソウルキャリバー』では通常のレバー操作で、俯瞰視点における前後左右の動作が行なえ、ジャンプやしゃがみはガードボタンとレバーを同時に用いて行なう。

攻撃

攻撃は主にボタン一つだけで発生する通常技とボタンとレバーの操作を組み合わせることで発生する必殺技に分類される。通常技の攻撃力は押したボタンによって異なっており、一般的に弱→(中)→強とダメージが高くなると同時に隙が大きくなる(技前後の予備動作が長くなる)。

2D対戦型格闘ゲームでのボタン操作

2D対戦型格闘ゲームの最大手だったカプコンが制作したゲームの多くは『ストリートファイターII』に代表される6ボタン入力系を採用している。これは元々は、前作『ストリートファイター』の汎用筐体向けのコンパネ仕様である。上段の3つを左から順に弱、中、強威力のパンチに、下段の3つを同様にキックに割り当てている。この入力体系をカプコンとアリカ製のゲーム以外で採用したゲームは『カイザーナックル』『ファイターズヒストリー』など『ストリートファイターII』ブームに乗る形で出したゲームが多い。

2D対戦型格闘ゲームで同じく多く使用されたのは4ボタン入力系である。これは格闘ゲームを多く送り出したネオジオで使用できる最大ボタン数が4までだったこともある。4ボタンと一括してもその使用法はバリエーションが多く、中攻撃を削除し、パンチ、キックの弱、強に割り当てるもの(『餓狼伝説スペシャル』『ザ・キング・オブ・ファイターズ』など)、弱・中に割り当てて強攻撃を弱、中のボタンを同時に押すことで発生させるもの(『サムライスピリッツ』『ワールドヒーローズパーフェクト』など)、3ボタンを攻撃に割き(弱、中、強、パンチ、キック、強攻撃、弱攻撃など)、4ボタン目を何らかの特殊行動に割り当てるもの(『サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣』『龍虎の拳』『ジョジョの奇妙な冒険』『MELTY BLOOD』『GUILTY GEARシリーズ』など)、等々、様々なものが存在する。

同時押しで強攻撃を発生させるタイプの場合、店舗側で5、6ボタン目を取り付けて弱、中ボタンの同時押しになるように改造し、6ボタン入力仕様にした筐体も散見された。また、4ボタンでは特殊動作をする際に同時押しを要求されることも多く、『餓狼伝説3』など格闘ゲームが進化していくにつれ直感的に分かりづらい煩雑な同時押しを要求されることも多かった。近年では、『北斗の拳』のように攻撃ボタンの4ボタンに加え、特殊動作に1ボタンを加え5ボタンにした作品も多い。

対戦型格闘ゲームの元祖とされる作品『ストリートファイター』では、感圧式のボタンが使用されていた。『ワールドヒーローズ』『龍虎の拳2』など、ボタンの押し具合によって強弱を使い分ける方式もある。

上段および下段のパンチ、キックと、それらの中央にガードボタンを配置したもの(『モータルコンバット』)、3ボタンの構成がパンチ、キック、ジャンプとなっているもの(『ナックルヘッズ』)等がある。

3D対戦型格闘ゲームでのボタン操作

バーチャファイター』に代表される3D対戦型格闘ゲームは、ガード・パンチ・キックの3ボタンで構成されるものが多い。パンチ・キックは1種類ずつしかないが、ボタンを特定の順番・タイミングで押す、特定の組み合わせで同時に押す、レバー入力と組み合わせるなどの操作で様々な技に派生させられる。「キックの威力はパンチの2倍」に従ってか、全体的にキックの方が威力は高い。ガードボタン単体では攻撃には関わらないが、ボタンを攻撃のバリエーションとして使用することもある。

これの操作系をアレンジしたものとして、ドリームファクトリー製のゲームはパンチ・キックの代わりに上段攻撃・下段攻撃とし(上下同時押しで中段攻撃)、技の属性が直感的に分かりやすいようになっている。

その他の特徴的なものに、左右の手足に4つのボタンを割り当てたもの(『鉄拳』)、キャラクターが武器を持ち、縦横の武器を振る方向で構成されたもの(『ソウルキャリバー』『スターグラディエイター』など)、前・後のボタンで移動、レバーで攻撃する『武力 〜BURIKI ONE〜』がある。

ガード

ガードは相手の攻撃を防御し、ダメージを完全に防ぐか最小限の被害に留める防御行動であるが、投げに対しては脆い(後述)。技による攻撃と同じぐらい重要な行動である。

2D対戦型格闘ゲームでのガード

2D対戦型格闘ゲームのほとんどと3D対戦型格闘ゲームの一部は、進行方向の逆にレバーを入力することでガードする。例えばキャラクターが右を向いている場合、左に入力するとガードになる。また、足下を狙う攻撃には左を入れてガードすることはできず(下段技)、左下を入力してガードする。また、ジャンプ中の攻撃は左下の入力ではガードできず、左を入れてガードする。

2D対戦型格闘ゲームにおいてはしゃがみ技に強力なものが多く、立ち技も下段ガード可能でジャンプ攻撃は下段ガード不能だが切り替えは比較的容易なため、しゃがみガードが防御の基本となる。地上での中段技(後述)を持っているキャラもいるが、そのほとんどがガード崩しのバリエーションにすぎないため、相手の動きに応じて中段技を意識はしつつ、ガードはしゃがみガードを中心とすれば基本的には安全である。だが、空中ダッシュなどでキャラクターが空中で機敏に動けるゲームではジャンプ攻撃が擬似的な中段技として機能することもあるため、一概にそうとは言い切れない。

3D対戦型格闘ゲームでのガード

3D対戦型格闘ゲームのほとんどは、レバー入力方向に応じず地上にいるときガードボタンを押すことでガードする。立っている時にガードボタンを押すと立ちガードになり、しゃがんでいる時にガードボタンを押すとしゃがみガードになる。但し『鉄拳』シリーズではレバーでガード動作を行う。

2D格闘ゲームと異なる点は、しゃがみガードできない「中段技」と呼ばれる技が多くあること(この中段技の元祖は2D格闘ゲームの『龍虎の拳』)で、それに比べしゃがみ攻撃は弱く、下段技も中段技に比べるとリスクやリターンでは劣っているものが多いため、3D格闘ゲームでは立ちガードが基本となる。しかし、隙の少ない上段攻撃はしゃがみで避けることができ、下段技も多用できる性能のため、2D格闘ゲームに比べて相手の動きに合わせて立ちとしゃがみを使い分ける機会は遥かに多い。また、先述のように2D格闘ゲームでもこのボタンガードを採用しているゲームもある。

投げ

投げは近くにいる相手を掴み、名前の通り投げ飛ばしたり至近距離からの打撃を与える攻撃行動で、基本的に防御に強く、打撃に弱い(後述。)

2D対戦型格闘ゲームでの投げ

通常投げ、コマンド投げ、移動投げ、対空投げ、空中投げ、打撃投げ、返し投げなどが存在する。

最大の特長はほとんどの投げ技が条件が成立していれば即可能で、通常の攻撃より出が早く前述のガードを無効化できる点であるが、相手との距離がきわめて近くないと投げられない、相手が攻撃を受けているモーション中は投げられないなどの条件が存在する。これは2D対戦格闘では攻撃することのリスクは低く、なんらかの技を出している・移動中の状態が多いため、密着状態にすること自体のリスクが高いからである。即ち、2D対戦型格闘での投げはガードを崩す裏の選択肢といえる。ただし、いわゆる投げキャラは打撃技等が今一つである反面、コマンド投げが大ダメージの場合もあるため、主流の選択肢となる。

投げられる条件を満たさないまま投げ技の入力をしたり、入力から実際につかむまでに条件が解けたりすると、別の技が出たり投げ失敗のモーションになり、隙をさらすことになるゲームも多い。特に「投げ失敗モーション」は昨今の格闘ゲームにはもはや一般的なものになっている。

1990年代後半に「投げ抜け」という投げられたタイミングに特定の入力をすることで投げ掴みを捌くことができるシステムが導入され始め、昨今の格闘ゲームのほとんどに採用されている。2D格闘ゲームの場合、相手が使用したの投げのコマンドと似たボタン入力が求められることが多い([P投げ]に対して[P]、[→K投げ]に対して[→K]など)。また、一部のコマンド投げや通常投げ以外を「投げ抜け不可」としている格闘ゲームも多く存在する。

3D対戦型格闘ゲームでの投げ

3D対戦格闘における投げは、ガードは無効化できるが、打撃技と比較しても早い部類と同等程度で、ダメージも単発としては高めな程度でしかない。しかし打撃技が、ある程度接近しないとヒットさせられず、ガードされると基本的には不利である。このガードに対する存在として、投げが存在する。そしてその投げも攻撃技とかち合うと一方的に潰される羽目になる。すなわち、打撃<ガード<投げ<打撃…という基本の「三すくみ」を構成する、重要な要素・選択肢といえる。

更に立ち・しゃがみガードの使い分けから、立ち状態を投げる立ち投げ、しゃがみ状態を投げるしゃがみ投げを区分。これを含めて細分化すると、中段攻撃<立ちガード<立ち投げ<中段攻撃の主流の三すくみに、更に下段攻撃<しゃがみガード<しゃがみ投げ・中段攻撃、更に立ち投げ<しゃがみガード、しゃがみ投げ<立ちガード等という複雑なすくみ関係のループが構成されている(ただ、基本的にしゃがみ投げを持つキャラは少ない。出の速い中段技でもしゃがみガード崩しは十分できるためである)。

これにより、どの行為にも有利・不利の相性があり、少なくないメリットとリスクがあるようになるため、相手がどう行動するのかの読みに勝つことが重要となるのである。これらは開祖である『バーチャファイター』が基本形を構築しており、後のゲームも大きな影響を受けている。

稀に、打撃技の出がかりをも投げられる「キャッチ投げ」があったり、投げをしゃがみ・立ち状態共通にするゲームも存在する。

投げ抜けに関しては、投げの殆どがコマンド投げであるため、すべてできるようにしているのが一般的。ただし対応する投げ抜けコマンド(相手投げコマンドの最後の方向と同じレバー+投げなど)でなければ抜けられないという制限を課し、ここにも読み合いの要素を入れていることがある。 また投げ失敗モーションがあるゲームも一般的。これは読みの失敗を明確にする効果もある。これも『バーチャファイター2』において、投げ失敗がなくコマンドの重複が可能だったため、いわゆる「自動二択」(投げられなければ、自動で中段攻撃が出る)がリスクが非常に低く強かったことの反省から導入されている。

レバーとボタンの組み合わせ

2D対戦型格闘ゲームのほとんどと3D対戦型格闘ゲームの一部は、特定のレバー操作(コマンド入力と呼ぶ)の後にボタンを押すことで必殺技を発動させられる。必殺技はガードすると体力がわずかに減少する(削り)。特定の操作とは、例えばボタンの連打、レバーを下から右方向に4分の1回転させた後パンチボタンを押す(波動拳コマンド)、といったもの。比較的簡単なものから、レバーを1回転させるような難しいものまで様々なものが存在する。

レバー操作のコマンド入力の歴史は初代ストリートファイターから存在しているが当初このシステムは他社の対戦格闘ゲームでは浸透していなかったが『ストリートファイターII』の大ヒット以降標準化されて行った物である。

龍虎の拳』において必殺技を越える超必殺技が登場し、すぐに他の作品でも採用された。性能は必殺技よりも高いものの、残り体力やゲージなど、一定の条件を満たす必要がある。さらに必殺技以上にコマンドが複雑なものが多く、『龍虎の拳』で初めて採用されたボタン同時押しを始め、当時のプレイヤーに「隠しコマンド探し」[注釈 4]というやり込みを促す方向へ進んでいった。1990年代中盤までは複雑化の一途を辿り、出せること自体が能力となっていた面もあったが、その後は単純なものへと回帰していった。これは格闘ゲーム自体がマニアックになりすぎ、プレイヤーの新規参入を阻んだことへの反動と言われる。

  • 複雑なコマンドの例

レバーを前方や後方などに入れながらボタンを押すと、通常とは違う攻撃を出せる場合もある。例えばレバーを進行方向に入れながら中パンチボタンを押すと、通常はフックが出るところを、上から振り下ろすようなパンチに変化する、といったもの(『スーパーストリートファイターIIX』、リュウ:鎖骨割り)。これらは通常技ではないが必殺技と言うほど特別ではない、という意味で特殊技もしくは単にレバー入れ技などと呼ばれる。レバーを下方向に入れた場合の攻撃はしゃがんだ状態の通常技と見なされ、特殊技とはされない。同様に上方向に入れた場合も、ジャンプ中の通常技と見なされる。ただし、例えば進行方向斜め下にレバーを入れた場合のみ技が変化する場合は特殊技とされる。

3D対戦型格闘ゲームについては、前述の通りボタン入力とレバー入力の組み合わせで様々な技に派生する。2D対戦型格闘ゲームでは一つのボタンでは状態によって決まった一つの通常技しか出なかったが、3D対戦型格闘ゲームは通常パンチボタンを押した際に出るジャブの他に、レバーを前に倒しながらボタンを押すことで全く異なる技の肘打ちを出すことができる。このように2D格闘ゲームのようなボタンの違いによる使い分けではなく、ボタンとレバーとの組み合わせで技を使い分けるようになっている。また「パンチ・パンチ・パンチ・キック」のように順にボタンを押していくことで固有のコンビネーション技を出すことができるキャラクターも多い。また、2D格闘ゲームの必殺技のようなコマンド入力を要求されることもある(レバーを←←→と倒してパンチとキックを同時押しなど)。

このレバーとボタンの組み合わせによる技の入力は、非常に簡便で使い分けやすいが、一方で人気シリーズでは新作を重ねると共に技は追加され続け、結果的にはその技の多さが複雑さを招いた。

コマンドの例

代表的なコマンドと通称を以下に挙げる。以下の例はキャラクターが右を向いているとき(左側にいるとき)の場合(左向きの場合は逆になる)。

通常技 - ボタン1つ
最も基本的なパターン。ほとんどは普通の攻撃だがゲームや操作設定によっては必殺技などの特殊な行動をする事がある。
レバー入れ技 - 一方向 + ボタン
ボタン入力と同時に行うレバー倒しの方向は技によって様々。ほぼ全ての対戦型格闘ゲームで採用されており対戦アクションゲームでも採用される。
波動拳コマンド - + ボタン
『ストリートファイター』シリーズのリュウの必殺技、波動拳に由来する。波動拳と同様に、なんらかの飛び道具を放つ技にこのコマンドが割り当てられることが多い。
「波動コマンド」、「波動」とも。英語圏ではQCFQuarter Circle Frontの略)と呼ばれる。
昇龍拳コマンド - + ボタン
同じくリュウの必殺技、昇龍拳に由来する。昇龍拳と同様に、上昇しつつ攻撃を放つ技にこのコマンドが割り当てられることが多い。波動拳コマンドに比べやや難しい。「昇龍コマンド」、「昇龍」とも。英語圏ではDPDragon Punchの略、米国版初代における昇龍拳の名称)やSRKShoryukenの略、昇龍拳の英字表記)と呼ばれる。
竜巻旋風脚コマンド - + ボタン
同じくリュウの必殺技、竜巻旋風脚に由来する。竜巻旋風脚と同様に、相手に向かって突進する技にこのコマンドが割り当てられることが多い。
「竜巻コマンド」、「竜巻」、「逆波動」とも。英語圏ではQCBQuarter Circle Backの略)と呼ばれる。
ため技 - レバーを方向にしばらく入れ、 + ボタン
溜め技タメ技溜めコマンドタメコマンドとも言われる[1][2][3][4]。『ストII』のインストカードで「ためる」という表現をしていたためこう呼ばれる。ためる時間はゲームや必殺技によって様々だが、多くは1秒前後。『ストII』のガイルの必殺技、ソニックブームが代表的。
ほとんどは「にためて」か、「にためて」だが、変則的なものも存在する。[注釈 5]
ホールドボタン技 - ボタンをしばらく押したままにして、そのボタンを離す
1つのボタンを使用するタイプもあれば複数のボタンを使用するタイプもある。「ホールドボタン技」という名称は『ストリートファイターV』で使用されている[3]
ヨガフレイムコマンド - + ボタン
『ストII』のダルシムの必殺技、ヨガフレイムに由来する。
省略して「ヨガ」「前半回転」とも。英語圏ではHCFHalf Circle Frontの略)と呼ばれる。『バーチャファイター』などの3D対戦型格闘ゲームでは強力な投げ技ジャイアントスイングなど)で用いられることが多い。
この逆に、前方から後方に半回転させる場合( )は「逆ヨガ」、「後ろ半回転」と呼ばれる。英語圏ではHCBHalf Circle Backの略)となる。ヨガフレイムのコマンド自体は後に『ストリートファイターZERO2』などで「逆ヨガ」に変更されたが、用語としての「ヨガフレイムコマンド」の指す意味は変わらずにいる。
スクリューコマンド - レバー1回転 + ボタン
『ストII』のザンギエフの必殺技、スクリューパイルドライバーに由来する。
2D対戦型格闘ゲームでは、スクリューパイルドライバーのように強力な投げ必殺技を出すときのコマンドで用いられる事が多く、大概は一撃必殺の威力を誇る。ボタンはパンチボタンが割り当てられる事がほとんどだが、稀にキックボタンで投げる事もあり、『ストZERO』のソドムのようにパンチとキック、それぞれに投げ必殺技があるキャラも存在する(後にザンギエフにもキックで投げる必殺技が追加された)。また、超必殺技型の投げ必殺技ではレバーを2回転させるものが大半である。
投げ必殺技の性質上、相手に接近しなければならず、しかも普通にレバーを回転させようとするとジャンプしてしまう事が多い為、使いこなすにはある程度の慣れと工夫が必要になる。しかし『ストリートファイターIV』では従来作よりも出しやすくなっている。
現在『アルカナハート』シリーズの大道寺きら、『BLAZBLUE CONTINUUM SHIFT』のテイガーの2キャラクターがレバー3回転コマンドの技を持っている。

これらのコマンドは2D対戦型格闘ゲームの典型となっており、他のゲームやキャラクターのコマンドを説明する際にも用語として用いられることが多い。例えば『餓狼伝説』のテリーの必殺技「パワーウェーブ」は「波動 + A」、『ストリートファイターZERO』の豪鬼の「滅殺豪波動」は「逆ヨガ×2 + P」等と説明できる。

なお、プレイヤー層やゲームによって呼び方が異なる場合がある。例えば「 + ボタン」というコマンドを、主にSNK系の格闘ゲームに親しむものは「覇王コマンド」(『龍虎の拳』の超必殺技「覇王翔吼拳」に由来)と呼ぶが、主にカプコン系の格闘ゲームに親しむものは「前 + ヨガ」等と呼ぶ。

コマンドの表記法

各ゲームのインストカードや、アーケードゲーム誌『ゲーメスト』等では、上記のようにレバー入力方向を矢印で表記している。また、末期のカプコンのゲーム等ではレバーの軌跡(昇龍拳コマンドではレバーをZ字状に動かすなど)を図示したものがある。

パソコン通信のフォーラムやウェブページ電子掲示板等ではコマンドを「623 + P」のように表記することが多い(この例は昇龍拳コマンド)。これは、キーボードテンキーまたは電卓の数字をレバーに見立て、1を左下、2を真下、3を右下、4を左……のように表現したもの。斜め方向の矢印がJIS X 0208に含まれず、表現しにくい理由から生み出された。

慣れるまでは分かりづらいが、文字ベースで簡潔に表現できるという利点がある。但し、携帯電話の普及により、電卓ではなく電話のテンキー表記(上下が逆)と勘違いされることも多い(例えば、春日野さくらの咲桜拳のコマンドを623Pと表記した場合に、右・上・右上・パンチと解釈されるなど。もちろん咲桜拳など出ず、ジャンプ攻撃が出る)。

その他、斜め方向の入力を全角スラッシュ(/)およびバックスラッシュ(\)で表現する方法もあるが、左下と右上、右下と左上の区別が付かないという欠点のため主流ではない。昇龍拳コマンドなら「→↓\ + P」のように表記し、ヨガフレイムコマンドなら「←/↓\→」のように表記する。Unicode対応ウェブブラウザの普及によって斜め方向の矢印も表示可能になっているが(例:↘ - ↘)、入力の手間がかかることなどから主流とはなっていない。


注釈

  1. ^ なお、『ストリートファイターII』では、インストラクションカードのルール説明で体力ではなく「精神力」と表記されていた。
  2. ^ 同作品では試合中は基本的に視点が真横に固定されているが、超必殺技の演出や試合後の勝ち名乗り演出では視点変更による演出が導入されている。
  3. ^ 餓狼伝説』シリーズのラインバトルシステムのような簡易的な奥行き移動はこれに含まれない
  4. ^ SNK自身が、リリース当初から『超必殺技を探せ!』というイベントを行っていた。
  5. ^ 例として、『ファイターズヒストリー』のキャラクター、ジャン・ピエールの「ロンダート」(タメ + K)など。

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