実業団
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/28 04:10 UTC 版)
問題点
時代が進むにつれ、前時代的な体質や主義が根強く残る実業団には様々な問題が指摘され、学校の運動部と共に日本スポーツの悪の元凶などと批判を受けることもある。国士舘大学大学院非常勤講師でスポーツライターの玉木正之は、
- 企業の業績次第でチームが消滅する。
- 選手指導の横のつながりが希薄になり、スポーツ界全体のレベルアップにつながらない。
- 国内の実業団リーグで優勝さえすればいいと考えられ、海外のレベルから引き離される。
- スポーツマンの職業選択の自由を狭める。
といった問題点をあげている[5]。
実業団はチームに長期間所属することを前提として強固な団結力と選手強化力を示した。1964年の東京オリンピックのバレーボールでは、当時日本トップの実業団であったニチボー貝塚が事実上そのまま日本代表チームとなり金メダルを獲得した[備考 2]。しかしこれは、一つの実業団の枠を超えたバレーボール界全体でチームを選抜・育成することができなかったことを意味する。これは平成に入ってからの日本スポーツ界の改善点となり、協会主導による選抜選手の育成強化が行われた結果、2004年アテネオリンピックでは、実業団黄金期の東京オリンピックを超える史上最多のメダルを獲得するという現象が起きている[要出典]。
また、練習についても、選手・指導者の移籍や交流がなくなることによってスポーツ全体のレベルアップが妨げられ、また実業団の中で閉鎖的な練習が行なわれた結果、指導者絶対服従の風潮や根性論などの指導法がまかり通る温床ともなった[要出典]。
また場合によっては、実業団がリーグでの優勝を優先させるため、選手を国際大会の代表チームに参加させないなどということも起こりうる。実業団のある企業に入社することは、選手の身分と収入を保障するが、同時に他の自分の就きたい職業、自分の入りたい会社を諦めなければなければならないことでもある。このため、選手が引退後の生活のためのキャリアアップができないことにもなる[要出典]。
また、実業団リーグの運営の問題として、各実業団が興行権を持っておらず興行がリーグを主催するスポーツ連盟などに独占されていることがある。多くの観客動員数があるリーグの場合、興行収益やグッズの売上収益を各実業団や選手に再配分するシステムをある程度持っているものの、プロリーグに比べれば整備されたものとは言えない。[要出典]
備考
出典
- ^ 『企業スポーツの現状と展望』(笹川スポーツ財団 2016)pp.172
- ^ 渡辺保『現代スポーツ産業論』同友館、2004年。ISBN 978-4496038266。
- ^ 小椋博『スポーツ集団と選手づくりの社会学』同和書院、1988年。ISBN 978-4810550061。
- ^ 『企業スポーツの現状と展望』pp.174
- ^ 玉木正之『スポーツ解体新書』日本放送出版協会、2003年。ISBN 978-4140807491。
- ^ “「無職ランナー」藤原新でわかった実業団の弊害(1)拠点は1泊3食6000円”. アサヒ芸能 (2012年3月13日). 2012年5月28日閲覧。
- ^ フェンシング銀の太田 1日8時間練習でニートなのか - J-CASTニュース
- ^ 毎日新聞2000年12月7日付
- ^ 福田拓哉「企業スポーツにおける運営論理の変化に関する史的考察:日本的経営・アマチュアリズム・マスメディアの発達を分析視座として」(立命館経営学、第49巻第1号 2010)
- ^ mercari ATHLETES(メルカリアスリーツ)
- ^ [1]
- ^ フェンシング三宅諒がアルバイト決意 五輪メダリストが配達員になる -スポニチ
- ^ “実業団チーム【コトブキヤ陸上部】を設立”. KOTOBUKIYA. 2021年12月11日閲覧。
実業団と同じ種類の言葉
- 実業団のページへのリンク