宇宙 語源

宇宙

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 12:10 UTC 版)

語源

「宇宙」という言葉確定した起源意味は不明だが、次のような説がある。

  • 「宇」は「天地四方上下」(つまり上下前後左右、三次元空間全体)「宙」は「往古来今」(つまり過去現在未来時間全体)を意味し(中国の戦国時代の書物・「尸子巻下」)、「宇宙」で時空(時間と空間)の全体を意味する(代の書物・「淮南子斉俗訓」)[5]
  • 「宇」は「天」、「宙」は「地」を意味し、「宇宙」で「天地」のことを表す。古代中国の漢字文化で、「宇」と「宙」を組み合わせて生まれた言葉であると言われている。

分野ごとの定義

それぞれの観点から見た場合の「宇宙」の定義には、以下のようなものがある。

宗教哲学

哲学的・宗教的観点から見た場合、宇宙全体の一部でありながら全体と類似したものを「小宇宙」と呼ぶのに対して、宇宙全体のことを「大宇宙」と呼ぶ。

天文学および現代宇宙論

天文学的観点から見た場合、「宇宙」はすべての天体・空間を含む領域をいう。銀河のことを「小宇宙」と呼ぶのに対して「大宇宙」ともいう。

航空宇宙および宇宙工学

「地球の大気圏外の空間」という意味では、国際航空連盟 (FAI) の規定によると空気抵抗がほぼ無視できる真空である高度 100 km 以上のことを指す[6][7]。この基準はカーマン・ラインと呼ばれる[8]

その他の宇宙と地球大気圏を分ける基準として、アメリカ合衆国における宇宙飛行士の認定プログラムの規定がある。1950年ごろ、アメリカ空軍(USAF)では高度 50 測量マイル(50 ✕ 6336/3937 km ≒ 80.47 km[1959年以前当時])以上に到達した飛行士を宇宙飛行士と認定する規定を設けていた[9]連邦航空局(FAA)は USAF の基準を踏襲し 50 測量マイル以上に到達した飛行士を民間宇宙飛行士と認定している[10]

宇宙論の歴史

プトレマイオスの説にもとづいて作られた宇宙モデル
1208年のアラビアのアストロラーベ
ペトルス・アピアヌス (en:Petrus Apianus) による Cosmographia 。アリストテレスの説に沿ったコスモス像。地球を中心とした天球の多層構造の図。西洋中世の人々は、地球を宇宙の中心だと考えた。(アントワープ、1539年)

宇宙について説明するにあたり、まず人類がどのように宇宙の理解を深めてきたか、おおまかな流れを解説する。

宇宙がいかに始まったかについての議論は宗教哲学上の問題として語られて続けている[11]。宇宙に関する説・研究などは宇宙論と呼ばれている。 古代インドのヴェーダでは無からの発生、原初の原人の犠牲による創造、苦行の熱からの創造、といった宇宙生成論があった。古代ギリシャではヘシオドスの『神統記』に宇宙の根源のカオスがあったとする記述があったが、ピタゴラス学派は宇宙をコスモスと見なし、天文現象の背後にひそむ的な秩序を説明することを追究した。秩序の説明の追究は、やがてエウドクソスによる、地球を27の層からなる天球が囲んでいる、とする説へとつながり、それはまたアリストテレスへの説へと継承された。

アルマゲスト』(George of Trebizond によるラテン語版、1451年頃)

2世紀ころのクラウディオス・プトレマイオスは『アルマゲスト』において、天球上における天体の動き(軌道)の数学的な分析を解説した。これによって天動説は大成され、ヨーロッパ中世においてもアリストテレスの説に基づいて宇宙は説明された。しかし天球を用いた天体の説明は、その精緻化とともに、そこにおける天球の数が増えていき、非常に複雑なものとなっていった。こうした状況に対し、ニコラウス・コペルニクスは従来の地球を中心とする説(地球中心説)に対して、太陽中心説を唱えた。この太陽中心説(地動説)は、当初は惑星軌道が楕円を描いていることが知られていなかったために周転円を用いた天動説よりも精度が低いものであったが、やがてヨハネス・ケプラーによる楕円軌道の発見などにより地動説の精度が増していき、天動説に代わって中心的な学説となった。 宇宙は始まりも終わりも無い同じ状態であるものとアイザック・ニュートンは考え[11]、『自然哲学の数学的諸原理』の第3巻「世界の体系について」において、宇宙の数学的な構造を提示し、地球上の物体の運動も天体の運動も万有引力を導入すれば統一的に説明できることを示した。 ニュートンがこうした理論体系を構築した背景には神学的な意図があったとも指摘されている。ニュートンはまた同著でユークリッド幾何学に基づいて時空を定義し、絶対空間および絶対時間という概念を導入した。

科学的な分析が始まった[11]20世紀初頭でも科学者も含めてほとんどの人は宇宙は静的だと見なしていた。20世紀になりアルベルト・アインシュタインにより絶対時間・絶対空間を否定し、宇宙の不安定なモデル(宇宙方程式)が提示され[11]、1927年にジョルジュ・ルメートルが今日ビッグバン理論として知られる説を提唱した。ルメートルの説は1929年にエドウィン・ハッブルが観測した銀河の赤方偏移によって支持された。「ビッグバン」の名称は、ルメートルの非定常な宇宙説に反対の立場を取ったフレッド・ホイルの発言に由来する。今日ではビッグバン理論は多くの宇宙論の研究者によって支持され「標準的宇宙論モデル」を構成する要素になっている。


注釈

  1. ^ この2つのグループはライバル関係にあり、それらが同じ結論に至った事が観測の信ぴょう性を高めた。荒舩、p. 19
  2. ^ 電磁波による観測に制限されない、観測可能な宇宙との違いに注意。
  3. ^ ここでいう「速度」の大きさとは地球のある位置から対象までの宇宙論的固有距離を宇宙時間で微分したものである。以下、「宇宙の大きさ」の項目における「速度」および「速さ」はこの定義に準ずる。
  4. ^ 450億光年先の空間は現在における光子の粒子的地平面である。

出典

  1. ^ “Hubble's Deepest View Ever of the Universe Unveils Earliest Galaxies” (プレスリリース), NASA, (2004年3月9日), http://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/2004/07/ 2008年12月27日閲覧。 
  2. ^ Merriam-Webster, definition of cosmos.
  3. ^ 広辞苑第六版【宇宙】
  4. ^ Merriam-Webster, definition of universe.
  5. ^ 宇宙”. トクする日本語. 日本放送協会 (2014年9月24日). 2014年9月25日閲覧。
  6. ^ フジテレビトリビア普及委員会『トリビアの泉〜へぇの本〜 5』講談社、2004年。
  7. ^ Sanz Fernández de Córdoba, S. (2004年6月21日). “100km altitude boundary for astronautics”. www.fai.org. FAI. 2022年1月28日閲覧。
  8. ^ Sanz Fernández de Córdoba 2004, The Karman separation line: Scientific significance.
  9. ^ de Gouyon Matignon, Louis (2019年12月24日). “Why does the FAA uses 50 miles for defining outer space?”. www.spacelegalissues.com. Space Legal Issues. 2022年1月28日閲覧。
  10. ^ Commercial Space Transportation Activities”. www.faa.gov. FAA (2020年6月19日). 2022年1月28日閲覧。
  11. ^ a b c d e f g h i j k l m 荒舩、pp. 8-13、ビッグバンからはじまった宇宙
  12. ^ Frieman, Joshua A.; Turner, Michael S.; Huterer, Dragan (2008-09-01). “Dark Energy and the Accelerating Universe” (英語). Annual Review of Astronomy and Astrophysics 46 (1): 385–432. doi:10.1146/annurev.astro.46.060407.145243. ISSN 0066-4146. https://www.annualreviews.org/doi/10.1146/annurev.astro.46.060407.145243. 
  13. ^ Nine-Year Wilkinson Microwave Anisotropy Probe (WMAP) Observations: Final Maps and Results (PDF)”. 2013年1月29日閲覧。
  14. ^ Britt RR (2003年1月3日). “Age of Universe Revised, Again”. space.com. 2007年1月8日閲覧。
  15. ^ Wright EL (2005年). “Age of the Universe”. UCLA. 2007年1月8日閲覧。
    Krauss LM, Chaboyer B (3 January 2003). “Age Estimates of Globular Clusters in the Milky Way: Constraints on Cosmology”. Science (American Association for the Advancement of Science) 299 (5603): 65–69. doi:10.1126/science.1075631. PMID 12511641. http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/299/5603/65?ijkey=3D7y0Qonz=GO7ig.&keytype=3Dref&siteid=3Dsci 2007年1月8日閲覧。. 
  16. ^ Planck 2013 results. XVI. Cosmological parameters (PDF)”. 2013年6月8日閲覧。
  17. ^ a b c d 荒舩、pp. 22-23、星や銀河は宇宙のわずか5%にすぎない
  18. ^ Planck reveals an almost perfect Universe”. ESA (2013年3月21日). 2013年7月7日閲覧。
  19. ^ 「徹底図解 宇宙のしくみ」、新星出版社、2006年、p39
  20. ^ 荒舩、pp. 16-17、ビッグバンで膨張した宇宙の成長
  21. ^ a b c 荒舩、pp. 14-15、ビッグバンの前にも宇宙はあった
  22. ^ 「宇宙はどのように生まれたのか?」(国立天文台)
  23. ^ a b 荒舩、pp. 18-19、宇宙が辿る運命は3つの可能性
  24. ^ 「宇宙図の見方」(国立天文台)
  25. ^ Rindler (1977), p.196.
  26. ^ Christian, Eric. “How large is the Milky Way?”. 2007年11月28日閲覧。
  27. ^ I. Ribas, C. Jordi, F. Vilardell, E.L. Fitzpatrick, R.W. Hilditch, F. Edward (2005). “First Determination of the Distance and Fundamental Properties of an Eclipsing Binary in the Andromeda Galaxy”. Astrophysical Journal 635: L37–L40. doi:10.1086/499161. http://adsabs.harvard.edu/abs/2005ApJ...635L..37R. 
    McConnachie, A. W.; Irwin, M. J.; Ferguson, A. M. N.; Ibata, R. A.; Lewis, G. F.; Tanvir, N. (2005). “Distances and metallicities for 17 Local Group galaxies”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 356 (4): 979–997. doi:10.1111/j.1365-2966.2004.08514.x. http://adsabs.harvard.edu/cgi-bin/nph-bib_query?bibcode=2005MNRAS.356..979M. 
  28. ^ Mackie, Glen (2002年2月1日). “To see the Universe in a Grain of Taranaki Sand”. Swinburne University. 2006年12月20日閲覧。






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